ニコル・ド・ムンファーレ

ニコル・ド・ムンファーレ CV.高橋広樹
男 16歳 178㎝ 327日生



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 一人称:僕 (怒り時:俺)
 二人称:アナタ/君/呼び捨て/(男性:貴方 女性:貴女)(怒り時:お前/クソ野郎/クソ女)


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 ✂エルバーク   (ゲス野郎) 
 ✂クロムニール  (バカ羊)
 ✂ヨギリ     ()
 ✂フェリー    (鉄仮面)
 ✂クロー     ()
 ✂フユトキ/フユ (小鳥)     
 ✂モノラ     (南瓜)
 ✂トルス     ()
 ✂ランディーネ  (メスガキ)
 ✂梨庵      ()
 ✂ローク     ()
 ✂ニコ      ()


✂✂✂✂✂✂要項



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✂✂✂✂✂✂お部屋内装


部屋の中が四方本棚で固められている。圧倒的な本の量で足の踏み場も無い。割れた鏡が無造作に壁や床に散らばり、窓は無く、外との接点は出入り口のドアのみ。ベッドは無く、大きめの黒い革張りのアンティークソファーとクッション、小さめのスタンド机とランプ以外は物があまりない。

 

 

✂✂✂✂✂✂過去

 

※若干の性的描写を思わせるシーンがあります。露骨な物ではありませんが苦手な方はご注意ください 

 

 

 

彼はね、たゆたう豊かな小麦の様に、それは奇麗な褐色の肌

絹のような白い髪は撫でると滑るようでした

赤い瞳のそれも、彼にそっくり生き写し

あなた達を見ていると、まるで彼と私の子供の様だわ

 

そんな事、あり得ないのに、だって彼は

 

私の旦那が殺したんですから。

 

生前、母が漏らした言葉だとメイドの陰口で聞いたのだ。


生れ落ちた瞬間から不幸であった、哀れな双子の物語り

彼らはとある有名な貴族家庭の生まれであった。彼らの両親は制約結婚というなの愛の無い結ばれ方をしていた。父は成金、母は貴族。このまま無事に父と母との跡継ぎの子供が出来れば、父も晴れて貴族の仲間入り。

しかし二人の中はとても悪く、その思いが子供に反映したのかは定かではないが世継ぎもなかなか出来なかった。何度と医者から勧められた薬を飲み続け、やっと出来たお腹の子は、双子であった

この時代の考えでは人間は本来一人に一つの生命が宿るものとされていた。それ以外は犬畜生と同じ、双子を孕んだ母は畜生腹と呼ばれ家畜同等の差別を受ける者とされた。

名のある貴族の一人娘がそんな汚名を着せられる訳にも行かず出産は秘密裏に行われた。双子が生まれる場合、その地方では先に生まれた方を蔑み差別する習慣があった。双子の父親は例の如くどれに従ったが、母は納得がいかなかった。

出産の時は迫る。長年待った子供。苦い薬にも耐えた。両方男であれば問題は無かった。


しかし、先に生まれたのは男女の双子。しかも、先に生まれたのは兄の方。もし立場が逆だったならば、世継ぎになる筈であった男児。父は子供を産んだばかりの母に激怒した


「よくも男女の双子など生みやがったな、女の領主など聞いた事が無い。畜生腹め、よくも俺の顔に泥を塗ったな」


そんな罵声を浴びせた為か、母は五年もたたず、間もなくして死んでしまった。


父にはそんな事関係なかった。取り合えず、子供さえ生まれれば自分は貴族の仲間入り。生まれてきた子供を良い様に操りさえすれば、権力は我が者全てが上手く行く。そう思っていた。


その後父は再婚し、また新たに子供を儲けようとした。今度は正真正銘愛する人との子供だ。

しかし、何度試すも子供は出来ず、出来ても流産する結果。

父は、畜生腹の呪いだと自らの子供である双子を恐れた。


しきたりを破ればそれこそもっと強い呪いにかかってしまうと考え、兄と妹を格別差別した。


兄は奴隷と同等の扱いを強いられた。妹は、まるで神様かなにかの様に大切に大切に育てたが、愛はかけらも注がなかった、注げなかった。


生まれた双子はその容姿からしてとても奇妙であった。両親共に誰にも似ない褐色の肌、白い髪、真っ赤な瞳、全てがちぐはぐで気味の悪い。


面倒を見る筈の乳母でさえ怖がり、泣いている赤子を抱いてやる事さえしなかったのだ。


「気味の悪い」「あの褐色の肌を見た?」「髪はまるで老婆のようだ」「赤い瞳はまるで血の色だ」

「あの容姿、知ってる。あれじゃあまるで、死んだ彼の生き写し」「しっ!聞こえますよ」「しかし気味が悪い」

「まるで悪魔の子だ」「悪魔の子だ」「悪魔の子だ」「悪魔の子だ」「悪魔の子だ」

「悪魔の双子だ」


それが悪かったのか、双子はまるで、表情のない子供に育ってしまった。

愛される事を知らぬ赤子は、表情を教えてもらう事すら出来なかったのだ。




父は、この醜い子供達を愛してやる事が出来なかった。

信じがたい事実だが、確かに自分の子供の筈だった彼らの容姿は

自分が数年前に母と婚約する為に殺した筈の、彼らの母の恋人の容姿に生き写しだったからだ。





兄であるニコルは、ニコと違い。生まれて数年経つと、妹と離され年老いた乳母に育てられ、奴隷としての教育を叩き込まれた。

乳母は義務のように、口癖の様に毎日毎日こう言った。



「貴方がよく働いた分、貴方の妹が幸せに暮らせるのです。

貴方が虐げられた分、貴方の妹が無事で居られるのです。

この世には理不尽な事があふれていますが、それのこれも全て、貴方のたった一人の家族の為だと思い考えなさい。

貴方のお母様は、貴方達兄弟に平等に愛を捧げていらっしゃいました。

そのお母様も、理不尽な理由で死にました。

貴方の仲間はもう、貴方の妹の他誰一人として存在しません。

だから考えなさい、何が最前か。理不尽に耐えなさいとは言いません。

自分を守る為に考えなさい。自分の為に考えなさい。

そう…

地べたを這いずり回る虫の様に哀れに無様に死にたくなかったら

足掻く力を身につけなさい」



乳母は死ぬまでその言葉を吐き続けた。まるで、呪文かなにかの様に言い続けた。

これから起きる長くて辛い戦いに負けてしまわないように、聞かせられたような気がした


乳母が死んだと同時に生活は一変した。質素だった生活が夢の様に思える程酷い暮らしになった。

早朝叩き起こされたかと思うと馬車馬の様に働かされ、足腰が立たなくなるまでそれが続けられた。食事は一日一度きり、食べられない日もあった。時間内に物が喉を通らないと地面に食事を撒かれ、這いつくばって食えと言われた。腹が減っていたから大人しく頭をもたげて食べはじめると、頭を踏みつけられ罵声を浴びせられた。

悔しくて、苦しくて、腸が煮えくり返りそうだったのに、表情は変わらなかった。



父と呼ぶべき人物は、今思うと頭のおかしい人であった

自分が物心つく頃にはもう殴られていたような気がする。夜中に酒を煽っては、自分を地下の部屋で鎖に繋ぎ、殴る蹴るの暴行。

殴る間、父は、俺を無表情に眺めた。息子を見る眼差しではない。アレは何度も見た事がある。奴隷を見る目。

こびりつくような眼差し


『畜生腹め、畜生腹め、お前のせいで滅茶苦茶だ

あの野郎と同じ顔しやがって…畜生、畜生、畜生

妻の流産もお前のせいだ、俺の仕事が上手く行かないのもお前のせいだ』


何度も何度も殴られて、これが当たり前なのかと錯覚してしまいそうになる


でも耐えた、何年たっても耐えた、いつか終わると思っていたのに、それは序章にしか過ぎなかった


ある日も事だ


自分を虐げる事でしか安心出来なかった父は、奴隷まがいの扱いから、暴行までではは空き足らず、

少年愛好家趣味のお偉いさんに自分を宛てがい金をもらい始めたのだ







くらいへやで


だれもこなくて


なにもしらなかった


おれに――――








殴るのは、父だけではなくなった。

何度も何度も殴られて、体を玩ばれ、これが当たり前なのかと錯覚してしまいそうになる

その時不意に


乳母の言葉を思い出した



貴方がよく働いた分、貴方の妹が幸せに暮らせるのです。

(解ってる、だからキツくても我慢して働いてるんだ)

貴方が虐げられた分、貴方の妹が無事で居られるのです

(解ってる、だから殴られたって、玩ばれたって、我慢して耐えてやってるんだ)

この世には理不尽な事があふれていますが、それのこれも全て、貴方のたった一人の家族の為だと思い考えなさい

(解ってるさ…まだ幼い頃、窓の外から盗み見た、自分にそっくりな笑わない妹の為に、毎日こんな理不尽を受けてる)

貴方のお母様は、貴方達兄弟に平等に愛を捧げていらっしゃいました


(…わかってる…わかってる………けど……こんなのの、何処が、平等だ)


そのお母様も、理不尽な理由で死にました


(…………何で、俺だけ、こんな扱いを…受けなきゃならない)


貴方の仲間はもう、貴方の妹の他誰一人として存在しません


(…………おかしいだろう…?…………そいつの為に生きろってのか)


だから考えなさい、何が最前か。理不尽に耐えなさいとは言いません。


(…………そうか)


自分を守る為に考えなさい。自分の為に考えなさい。


(…………なら俺は)


そう…


(いつか、必ず)


地べたを這いずり回る虫の様に哀れに無様に死にたくなかったら


(誰より偉くなってやる)


足掻く力を身につけなさい


(今まで散々してくれたぶん、何倍にもして返してやる)

(今に見てろ、必ず復讐してやるからな)


誓ったその日から、今までの真面目を捨てた。

文字を覚える為に本を盗み、強くなる為に食べ物を盗み、お偉いさんの機嫌を取りつつ、知識を貪欲に貪った。その為なら何だってした。

生きる為に、復讐する為に  何だってした。





今日も殴られてやる時間。大人しく鎖に繋がれてやる。沢山殴られていたせいか、逆に体が丈夫になっていて、最近では痛みすら感じられない。体も強く大きくなって、今では父も小さく見える。今日は何だか静かだった。小さな物音がして、顔を上げる。表情には出なかったが、驚いた

自分にそっくりな女の子。見たのは、何年ぶりだろう。無表情だった。

瞬間駆け巡る思い。生きていたのか、元気だったか、お前何処に、何もされてないか、怖い思いはしてないか、何で此処にいる、何で、こんな、汚いもの、お前は知らなくていい、知らなくて良いんだ


「何しに来た此処は、お前の来る場所じゃない。お前が見ていい場所じゃない、帰れ、帰れ、帰れ」


吐き捨てる様に言ってやったら、逃げていった。これでいい、これでいい

誰もいなくなった牢獄で、ただ思ったのは、

無事でいてくれて良かった、お前の為に受けた理不尽も、無駄じゃなかったのか。

それが解れば、もう少し耐えられる、お前の為に耐えられる、たった一人の家族の為に、耐える事が出来る。そう思っていた。

メイドの噂話を聞くまでは



「聞きました」「聞きましたとも」「また殴ったそうよ」「何度殴ったって同じ事なのに」

「今日も無表情だっだらしいわ」「哀れな子」「泣き叫べば奥様の気もおさまるでしょうに」

「そうかしら」「でも無理よ」「あり得ないわよ」「だって」「あの子は」

「悪魔の双子の」「片割れなんですから」






メイドの噂話に、今まで感じた事が無い憤りに、目の前が真っ赤になった


鎖を引きちぎり、牢を壊す、怯えるメイドを物もたいになぎ倒す


どうゆう事だ、無事じゃないのか、大人しく殴られてるってのか、じゃあ、じゃあ…


俺が今まで受けて来た理不尽はどうなる


考えた瞬間止まらなかった。


扉を開けた瞬間広がる光景、大人しく殴られてるおれの片割れ、無様で情けないその姿


そこから記憶が曖昧で、ただ、暖かい物が冷たくなるまで殴ったり引きちぎったりした感覚があるだけ


全部終わって、頭の芯が冷えて来た。

肉片を抱える妹を見た、足掻く事もせず無様に殴られていた出来の悪いコイツ


オイ、俺にそっくりな顔して、そんな情けないツラしてんじゃねぇよ


あいつらと同じ様に殴り殺してやってもよかった

でも



『行くぞニコ』



ずっとずっと考えない様にしていた。もしコイツさえ居なかったら、どんなに、どんなに、どんなに、良かったか。



でも。




『貴方…お名前は…?』

「…ニコル…残念ながら、お前の双子の兄だ」





本当に愛される事を知らずに育った 哀れな双子の物語り


(俺が求めたのは、紛れも無く――――――――――)






 

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最終更新:2013年10月17日 22:26