真夏の終わりと僕の魔王

【プロローグ】

8月31日
今日はお父さんがむかえに来る。
なつやすみもこれでおわり。
帰ったらおかあさんが
ぼくのだいすきなハンバーグを作ってくれてる。
なつやすみにおきたこと
いっぱい話すんだ。

8月32日
今日もなにもない
すばらしい一日だった。


それは真夏のある日に起こった不思議な出来事、
君は知らぬうちに、見知らぬ田舎町にいた。
足が一本もげたクワガタが、道端でひっくり返っている。
そこでであったのは『僕』と名乗る普通の少年。
彼は君が誰であろうと何であろうと、なつやすみに出会った見知らぬお友だちとして扱ってくれるだろう。
宿がないなら、彼が泊まっている民宿にだって案内してくれる。
そうして元の世界に帰れず何日かして、君は気づいた。

一昨日は8月32日、
昨日は8月32日、

今日も道端で、足が一本もげたクワガタがひっくり返っている。

 


【概要】

「真夏の田舎町」だけが隔絶されている世界に迷い混みます。
ここでは以下の三点の現象が発生します。

  1. 平和で平凡な町で少年『僕』と過ごす夏休み
  2. 永遠に続く『8月32日』
  3. 徐々に消えていく『本来の記憶』

この町に滞在すると、『本来の記憶』が抜けていき、少しずつ違和感を抱かなくなり、住民となってしまいます。
この奇妙な町から『脱出する』のが最終的な目標です。
脱出の条件は
『物理的に町から出る』
『町を作った元凶を倒す』
『町を作った原因を解決する』
の三種ですが他にあっても構いません。
いっそ住民となってしまって、誰かに助けてもらう、あるいはその逆でも面白いと思います。

 

  • 物理的に町から出る

町には二ヶ所だけ元の世界に帰る出口があります。
一つは「山奥にある廃トンネル」。非常に強硬な扉で閉じられていますが、「鍵さえあれば」簡単に開けられます。
もう一つは「ダム湖の大穴」。ダム湖の真ん中には大穴が空いていて、延々と水を吸い込んでいます。
どこまで息を止めればいいかはわかりません。
また、このどちらも『僕』は行くのを嫌がります。

 

  • を作った元凶を倒す

こちらは単純明快。
この永遠の夏休みを作り出した元凶『僕の魔王』を殺すことです。

 

  • 町を作った原因を解決する

この町ができて、永遠に8月32日を繰り返している原因を解決します。
具体的に言えば、『僕の魔王』に『この世界は偽りであり、君がいたはずの夏はもう戻らない』ということを認めさせれば世界は崩壊していくでしょう。

ほかにいい解決方法が思い付いたらご自由にしてもらって大丈夫です。

 

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【詳細設定】

■田舎町

『僕』が夏休みの間だけ泊まりにきている小さな港町。
不思議なことに、どんな環境で育った誰であってもとても過ごしやすいという印象を受けます。
民宿が一件あり、いつでも一人二人は泊まれる用意があります。
民宿を切り盛りするのは勝ち気な奥さんと厳しくも優しいおじさん。そして長女と次女。
町にはほかにもいくらか人がいますが、たとえ異形の魔王でもなんでもないかおで受け入れます。
住人たちは「今日は8月32日」ということを理解していますが、それが毎日続いていることに違和感を感じていません。
この町はどれだけ破壊されても翌日には元通りになり、住民もまたいつものように一日を始めます。
たった二つの出口を除いて、どんな手段でもこの町の外に出ることはできません。

 

■僕

田舎町で出会う人間の少年です。
まっくろに日焼けをしていて、シャツの形に日焼けあとがあります。
山で虫を捕まえたり、巣潜りで魚をとったり、夏休みを満喫しており、毎日日記をつけています。

 

■僕の魔王

左に三本、右に二本の腕をもち、頭にはクワガタのような角が生え、背には黒い翼が生えた異形の少年です。
『僕』の正体ですが、『僕』自身は自身が魔王であることに気がついていないどころか、ごく普通の人間だとおもっています。

 


【真実】

※すこし重めの設定なので拾っても拾わなくても大丈夫です。

 

 

 


『僕』は本当にただの少年でした。
体があまり強くなかった彼は真夏の間だけ避暑のため、親戚のいる田舎町に『夏休み』を過ごすために向かいます。
8月が終わるその日、お父さんが迎えに来る前、
町を一波の赤い津波が襲いました。
『僕』は偶然、お父さんがやって来るのが見えるかもしれないと山の上の展望台へと足を運んでいたのです。
『僕』は見てしまいます。赤い海に飲まれて消えていく一夏を過ごした親しい町を。
なにもできるはずもない、それでもただなにもできなかったことに唖然として、絶望して、悔しくて、
そして廃トンネルとダム湖の大穴から吹き出した赤い水に、『僕』もまた飲み込まれてしまいました。

「もう一度、もう一度あの夏を。楽しかったなつやすみを」


『僕の魔王』は正規の魔王ではありません。
人間であった『僕』が、強く願いを持って赤い海の向こう側へと渡り、変質した魂で成した『力強い自分』の形です。
彼は『真夏の田舎町』という世界を確立し、それをただ享受します。
代わり映えのしない8月32日のなか、「そろそろ新しい人がきたらおもしろいのにな」という、そんなふとした瞬間のなんでもない願いを叶え続けています。


赤い海の名が出ましたが、今はすでにその影響下にはありません。
安心してお楽しみください。

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最終更新:2024年01月04日 07:20