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アステカの神話Ⅲ

アステカの神話Ⅲ AZTEC MYTHOS III

by David Schwartz
精霊の代わりに、常に空腹の女性が生きていた。彼女は手首とひじに口を持ち、また足首と膝にも口を持っていた。精霊たちは彼女に食べ物を与えなかったため、ケツァルコアトルとテスカトリポカは彼女を終わりなき水の下へと運び下ろし、彼女の肉体をそこに横たえた。彼らは彼女の髪の毛から森を作り出し、彼女の目から湖を作り出した。彼女の肩からは山々を作り出し、彼女の鼻からは谷が作られた。しかし彼女の口はなおいたるところに存在し、食べ物を求めて叫び声を上げていた。雨が降ると彼女はそれを飲んだ。花がしおれ、木が倒れ、そして人々が死ぬと、彼女はそれを食べた。しかし彼女は決して満足することはなかった。
中央アメリカ高地の人々は、他のあらゆる地の人々と同様に、様々な様相で大地を崇拝した。しかしながら、メソアメリカの大地の女神は、有益なる地母神ではない。シワコアトル―アステカの人々は彼女をそう呼んだ―は生産者にして消費者である。
彼女はまた別の名前も持っている:コアトリクエ、彼らの神聖なる守護神格ウィツィロポチトリの母である。かつて、コアトリクエが掃除をしているときに、彼女のそばに羽の房が落ちてきた。彼女はそれを拾って自らのスカートにしまい込んだ。彼女が掃除を終えたとき、彼女はしまっておいた羽を探したが、それはどこにも見当たらず、その後、彼女は妊娠した。コアトリクエにはすでに数え切れないほどの子供がおり、彼女が妊娠したこと¥を彼らが知ったとき、彼らはその事を恥じ、怒った。最年長の姉コヨルシャウキはその兄弟姉妹たちに、母親が出産する前に彼女を殺してしまわなければならないと納得させた。しかしながら、彼らが近づくと、ウィツィロポチトリは即座に完全に成長して軍装を整えた姿で生まれ出でた。彼は速やかにコヨルシャウキを殺害し、彼の他の兄弟姉妹たちを殺害するか、敗走させるかした。
この高地においては、アステカ人たちは比較的新参者であった。彼らはその守護神格ウィツィロポチトリの命令によって北方から旅をしてきた。ウィツィロポチトリは木の偶像を通して彼らに話しかけたという。アステカ人たちがここに辿りついたとき、すでに数多くの都市国家がこのメキシコの谷間を故郷としていた。これらのすでに定着していた部族は外来者を受け入れず、アステカ人たちは入植するには全く適していない沼沢地に住まざるを得なかった。しばらくの間、アステカ人たちは傭兵として働き、この地域において恐ろしい評判を打ち立てた。しかしウィツィロポチトリは彼らが満足していっているのを感じた。
彼らの神の命令に従って、アステカ人はコルアカンの王に話を持ちかけ、彼の娘をウィツィロポチトリの妻へと懇願した。貪欲な王は快くそれに同意した。しかし、その王女を彼らの寺院へと連れていくと、その神官は彼女を生け贄としてしまった。彼らはウィツィロポチトリの指示に従って彼女の生皮を剥ぎ、1人の少年がそれを被り、かの王を招待し、女神となった彼の娘を供応物として提供した。王が彼への供応物を食べ始めたとき部屋は暗かったが、彼が香に火をともしたとき、彼はアステカ人たちが何をしたのか見知ったのである。激怒した王は彼の軍勢をアステカへと差し向け、アステカ人たちはテスココ湖の中にある1つの島へと逃げ込んだのである。
その島の上で、ウィツィロポチトリは彼らに1つの徴を示した。すなわち、彼らはサボテンにとまって1匹の蛇を食べている1羽の鷲に遭遇したのである。これは彼らが新たな故郷に到着したのだという徴であった。
アステカ人のパンテオンについてのもっと詳細な情報については、このシリーズの最初の2つの記事を参照すること。『Dragon #352』ではケツァルコアトルとテスカトリポカについて、『Dragon #354』ではチャルチウトリクエとトラロックについて紹介している。

アステカの神格

出典:

『Dragon #356』p.90

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最終更新:2013年11月15日 23:47
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