注意:R-18 BL作品のため同性愛、性的表現、グロ表現、反社会的表現が含まれます。
今から百年もしくは数百年後の未来。
短い平和と長い戦乱の時代が過ぎた後、残されたのは瓦礫の山にうずもれた少数の人だった。
満足に復興することが出来た地区《中央街》は戸籍と財産の確保された階級のみ立ち入ることを許され、
どちらかに欠ける者はその外周を取り囲むように居を構え、
どちらも持たないものは染み出た排水のように外環《最下層街》に放り出されている。
そこで発展した法ともスポーツとも戦争ともつかぬ競技がひとつ。
『代理戦争』――本来法や多数の人間の抗争で治める対立事項を、
互いの命運を託す戦士の公開闘争をもって決着させる《最下層街》発祥のルール。
失うものを持たない最下層街の戦士は戦うことで名誉を、人権を、金銭を得る。
赤い髪の青年もその一人。名誉よりメシが喰いたくて、メシより自由が欲しくて、
それでもこの争いを糧にする以外の術を知らず、今日も綱渡りをしていた。
いつか自分も、かならず敗北して築き上げてきたものを失うのだろうと諦観を抱きながら
――あの日、運命に出会うまで。
篠木 山桃(やまもも)
篠木 紅梅(こうばい)
竜胆(りんどう)
薺(なずな)