淡「……」

淡「はぁ……」

淡「忙しいなら、これってめーわくになるよね」

淡「はぁ……」


京太郎(なんて言ってるのかまでは、判らないなぁ)

京太郎(……)

京太郎(よし、保留。どうせ大星だし別にいいだろ)

京太郎(……で、姫子さんからメールか)

京太郎(えーっと――)

京太郎(『きょーたろ君の放置プレイのおかげで、身体が疼きよって仕方なか』)

京太郎(『早くこの身体ば苛めて欲しか……抱きに来て』)

京太郎(『ちゆーんは、冗談で……長くかかっとるけん、きょーたろ君はなんか忙しかとね?』)

京太郎(『無理して付き合ってくれんでんよかよ? 今日んデート、切り上げる?』)

京太郎(『何にしても、連絡欲しかね。待っとーとよ』)

京太郎(……)

京太郎(女って怖い。改めてそう思った)

京太郎(大星よりも上手に感じるな……流石は年上だ)

京太郎(無駄にエロいことを書いてこっちを呆れさせつつ、そこからの気遣う体の文言。ギャップ)

京太郎(しかも然り気無く、『待たせられている』と伝えてくる言葉。罪悪感)

京太郎(しかも、提案自体は非常に常識的と来ているから……こいつはグレートだぜ)

京太郎(大星のメールは、あいつについての主張や欲求。個人的なお願い)

京太郎(対する姫子さんは、こっちを気遣う言葉。モラル。マナー)

京太郎(流石は麻雀プロだ。色々と、一年の重みというのを考えさせられる)

京太郎(女は怖いな)

京太郎「やっぱ、遊ぶんなら男が一番だよな」

京太郎(一緒に遊びに行くなら、余計な気を使わなくてもいいもんなぁ)



213 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TOMOkiii
(ガタッ)

214 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
やっぱ、遊ぶんなら男が一番だよな
やっぱりホモじゃないか

215 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:MIHspring
男と遊ぶ(意味深)

216 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:eomotRev
今まで何人と遊んだんでしょうねぇ……?



京太郎(どうするか……)

京太郎(ここは、そうだな……憧に聞いてみるか? この手の話のそうだんには)

京太郎(『女の子二人とデートしてます。別々で』)

京太郎(『なんとか片方ずつとを繰り返して上手いことやってたんだけど……』)

京太郎(『その二人が出会って、なんか彼氏の見せあい的な空気になっちまったんだ』)

京太郎(『俺はどうしたらいい?』――送信、っと)


京太郎(……)

京太郎(……)

京太郎(……)


京太郎(……あ、メール来た)

京太郎(スゲーな、流石は憧……。よくもあいつ、悪戯だと思わなかったな)

京太郎(何々? えーっと――)

京太郎(『……首括って死ねば?』)

京太郎(『ほらさ、そしたら……死んで魂が出るでしょ?』)

京太郎(『で、片方には身体。もう片方には魂でいいんじゃないの? 公平に分身できるから』)

京太郎(うわー、手厳しいな……)

京太郎(でもまあ、流石だよ。流石憧。酔うとエロいというか……淫靡な感じになる女)

京太郎(とりあえず――)


姫子「あー……」

姫子「つい、意地ば張っちゃったけど……相手は大星やけん、なんかあるっちゆーのも十分ありうる」

姫子「……熱くなる癖、直さんと」

姫子「……」

姫子「……はぁ。きょーたろ君に付き合わせるのは悪かよね」


京太郎(……よし)

京太郎(とりあえず、このまま俺は――こうしようと思う。)

京太郎(放置! 絶賛放置プレイするしかない!)

京太郎(ねーちゃん、明日ってやっぱり明日さ!)


 時がすべてを解決してくれる。……かもしれない。

 誰も時、止められない。

 時に愛は二人を試してる。……これは関係ないか。 


京太郎(一体、どうしてこうなったんだろうな……)


 ふむ、と顎に手を当てて考える。

 どうでもいいけど、憧の顎に手を当てたこともある。本当にどうでもいいが。

 顎に手を当てようが何しようが大体胸あたりほどにしか憧の顔はないので、

 碌に調整の効かない卓上蛍光灯を弄っているような、なんとも居たたまれない気持ちに襲われただけ。

 ちなみにそのときの酔った憧には乳首を噛まれた。

 あの酒淫乱(酔うと淫らになるという意味である)は、そのあたり色んな意味で手に負えないのだ。

 普段がいい奴なだけ、尚更困る。

 正直誘われてるんじゃないかと思ったのも一度や二度では利かない。何回か、押し倒しそうにもなった。

 正直ムラムラした。

 ただ、高鴨穏乃の親友であり、高校時代からの大恩人である――しかも思い人がいるという――少女を、

 自分の穢らわしい欲望の矛先にしたくなかった。下の突撃槍的な意味で。てへっ。


京太郎(あー)

京太郎(そうだ! ハギヨシさんがいるじゃねーか!)

京太郎(あの人に俺に変装して貰えばいいんだ! そうだ!)

京太郎(なら早速――)


ハギヨシ『無理です』

京太郎「え?」

ハギヨシ『無理です』

京太郎「え……?」

ハギヨシ『だから、無理です』

京太郎「なんで……」

ハギヨシ『何故と嘆きたいのは私の方ですよ、京太郎くん』

ハギヨシ『たとえドッキリだとしても、誰かの身代わりだとしても……あんな美人さんたちを侍らせたいです』

ハギヨシ『むしろ私は、よろこんで変装したいです。ドッキリであろうとデートしたいです』

ハギヨシ『お触りまでならオッケーじゃないか、とか……アクシデントならフレンチキスもいいんじゃないかと思ってます』

京太郎「……」

ハギヨシ『失礼、噛みました』

京太郎「……噛むって、本音が駄々漏れになることでしたっけ?」

ハギヨシ『失礼、冗談です。間違えました』


京太郎「俺のハギヨシさんがこんなにも下劣な人だとは思わなかった」

ハギヨシ『私の京太郎くんがこんなにも無理解な人だとは思いませんでした』


 ちなみにフレンチキスとは舌をぐっちゃんぬっちゃん絡めて、そのあと下もぬっちゃんぐっちゃん絡む奴だ。足も絡む。

 決して事件であって事故では済まない。

 事故で済むと思ってしまうのなら、頭の中のチューチュートレイン(キスだけに)が壮絶な人身事故を引き起こしてる。

 倫理観や平穏な人生というレールから脱輪しているだろう。

 どうでもいいけど、脱倫って書くと高度な不倫か、そんな掛け声と共に服や倫理観とオサラバするヒーローが思い浮かぶ。

 「倫理に縛られていては人を守れない」とか、そんな決め台詞のダークヒーロー路線はありじゃないだろうか。


 閑話休題。


京太郎「なんで無理なんですか? 技術的には可能ですよね?」

ハギヨシ『それは、あの二人――少なくとも一人――が京太郎くんのことを……』

京太郎「俺のことを?」

ハギヨシ『……』

ハギヨシ『非常に、見上げる形になっているからですよ。ええ』

京太郎「見上げる形?」

ハギヨシ『身長差がありますよね? 京太郎くんとあのお二方の間には』

京太郎「はい、そうっすね」

ハギヨシ『鶴田プロはともかく――大星プロとは、30cm近い差がありますよね?』

京太郎「あー、そうっすねー」

ハギヨシ『で、私と京太郎くんが入れ替わったら……非常に見上げる形になりますね? たった数cmと言えども』

京太郎「ああ……なるほど」

ハギヨシ『恐らく、見上げるときの首の痛みとか僅かな違和感でバレますね。確実に』

京太郎「……あっちゃー」

京太郎「なるほど……いい案だと思ったんだけど、駄目だったか」

ハギヨシ『残念ながら……』

京太郎「あー」


 やれやれ、と視線を落とす。

 やはり解決法はないらしい。いい案だと思ったのだが、これでは仕方がない。

 これが逆ドッキリというのであれば、いっそ萩原に女装をしてもらい、

 二人の逢い引きというのを大星淡と鶴田姫子に見せ付けてしまうのだが、残念ながら最早逆ドッキリの時間は終わりだ。


京太郎(……いや)


 待てよ。

 何かが今、引っ掛かった。


京太郎(あの二人は……いや、一人はガチかもしれないけど……俺にドッキリを仕掛けに来てる)

京太郎(その筈だよな? それしかないよな?)

京太郎(ってことは――)


 今、この状況はドッキリの仕掛けであるのだ。

 つまり、あの二人も京太郎がブッキングしているとは折り込み済みで、あの喧嘩も紛れもない演技。

 その実、京太郎を嵌めに来ているのである。酒に酔ってハメられた振りをしながら(なんちゃって)。

 危うく騙されるところであった。何も怖れることはないじゃないか。


京太郎(やれやれだな……そんなことに気付かないなんて、俺も未熟かぁ)

京太郎(つまり、どう足掻いてもブッキングするというのは避けられないんだよな)

京太郎(そーゆーんなら、やりようはある)


 どうせ何かしらを仕掛けられるというならば、別に変に慌てる必要はないではないか。

 何をどうしようと、『ドッキリ大成功』という言葉に繋げるためのオチを用意してあるのだ。

 なら、すべては杞憂である。


京太郎(……いや、待てよ。もう一度考えた方がいいよな)

京太郎(大星か、姫子さんのどっちかがガチかと思ったけどさ……)

京太郎(辻垣内先輩がガチってパターンもあるんだよ。十分あり得る)

京太郎(そうなったら……マジでやっべーよなぁ)

京太郎(『そっちがドッキリ仕掛けてたから俺も逆ドッキリ仕掛けました』)

京太郎(なーんて言い訳が通用しなくなるんだからさ。そうなったら、出遅れだよな)

京太郎(……いや、わりと既に手遅れって気もしなくもないけどさ。でも、今んとこ……後遺症残るようなことしてないからな)


 さて、そうだとしたらどうするか。


京太郎(大星と姫子さんを守る――これは誰がガチでも必須)

京太郎(そして、明らかなイケメンオーラで誰がガチか確かめる)

京太郎(ガチじゃない人間なら……ドッキリの側なら……俺と『そういう雰囲気』になるのを嫌がる筈だ)

京太郎(つまり、俺が全力で口説きにいけばいい!)



京太郎「この戦い――我々の勝利だ!」

京太郎「いや……俺の勝利だな! フハハハハハハ!」



289 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あっ(察し)

290 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
清々しいまでに負けフラグを立てるな(須賀だけに)

291 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:YOU908HTT


292 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:semaitoko
ちなみに須賀って名前の由来は清々しいから来てるのよ

293 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:WOLFanSPC
……あまりお得でも役立ちそうでもない無駄知識ですね

294 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:KAMENride
ふわ、わぁ~……物知りさんなんですねー! 尊敬しちゃいます!

295 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
それにしても……あわあわも、性的な方さんもスゲー演技力だよなぁ……
麻雀プロってすげえ



京太郎(さあ、どうやって落としに行くか……)

京太郎(……)

京太郎(……)

京太郎(……)

京太郎(基本告ったことしかないから、相手をその気にさせる言動とかわかんねー)

京太郎(そもそも俺、残念だなんだって影で言われてるんだった)

京太郎(惚れさせる言動とか無理だよな。無理無理無理無理カタツムリだ)

京太郎(どうしよう……)


 これで、テレビカメラが回ってなければ手っ取り早くホテルに連れ込んだのに。

 顔が火照ったらドッキリ。身体が火照ったらガチである。(ドヤァ)

 流石に、テレビカメラの前であれになってしまうのはアウトだ。アウトである。

 ということは、相手がガチかどうか確かめつつ、ガチな言動をさせてはならないのだ。

 超無理ゲー。

 無理無理無理無理。むしろ、ムラムラムラムラであるが。気分的には。

 勿論、冗談である。そんなことをしたら村八分である。ムラだけに、なんちゃって。


京太郎「とりあえず……電話すっか」


京太郎「さて、となれば姫子さんだよな」

京太郎「元々、姫子さんとこに向かってたんだしさ」

京太郎(あと、この人がガチだったら色々……本当にヤバい。訴えられたらヤバい)


 大星淡には強制猥褻。鶴田姫子には強姦。

 彼女たちの言葉を鵜呑みにするなら、そうなる。ヤバい。マジにヤバい。

 辻垣内智葉の場合は、リアル極道の跡継ぎである。正直洒落にならない。誰にしてもヤバい。

 正直リアルに詰みだ。罪だ。その命を神に返しちゃうレベルだ。壊れて楽になりたくなってくる。


京太郎「もしもし、姫子さんですか?」

姫子『あ、きょーたろ君』

姫子『随分時間かかっとったけど……今まで、何しよったと?』

京太郎「すみません……ちょっと、仕事の打ち合わせが続いちゃって……」

姫子『ふーん……そいでか』

京太郎「そうです。すみません、本当……」

姫子『仕事やけん、仕方なかちゆーんは十分判っとるけど……そいでん、こいは感心出来んよ』

姫子『一度途中か、こっちに顔出すかして……話が長引いとるって知らせて欲しかとね』

姫子『……そいじゃなか、うち、置いてかれたんやなかかって思ってしまうけん』

姫子『置いてかれんのは……寂しかよ?』

京太郎「姫子さん……」


京太郎(これは……やっちまったなぁ)

京太郎(この人が……! 姫子さんが……!)

京太郎(一度も下ネタを言わないなんて、どうかしてるって!)


京太郎「心配かけたのはすみません……」

京太郎「でも俺、姫子さんを置いてなんかいきませんから……」

姫子『きょーたろ君……』

姫子『こげん公衆の面前で繋がってたかなんと言われたら、いくらなんでん恥ずかしかよ……』

姫子『あ、頭がフットーしちゃうけん……!』

京太郎「恥ずかしいのはあなたのそのショッキングピンクな脳味噌と、一瞬でも貴女を見直した俺の浅はかさです」

姫子『ショッキングピンクって……いくらなんでん、そげん酷かこと言わんでもよかばい!』

京太郎「あ、すみません」

姫子『せめて、うちん乳首と同じ桜色ち言ーてくれてん……』

京太郎「だからそういうところがショッキングピンクなんだよ……!」


 やっぱりこの人駄目だった。

 いや、待てよ。

 こうやって下ネタを振ってくるのに、敢えて乗ると言うのはどうだろうか。


京太郎「なら……」

姫子『えっ』

京太郎「確かめさせて下さいよ、色を」

姫子『へっ』

京太郎「それ以上のことをしたって言ってたんだから、いいですよね?」

姫子『あ、あう……』

姫子『そ、そいは確かにそうやけど……その、うちにも心ん準備ってもんが……』

京太郎「心の準備はともかく……さっきから姫子さんが言ってる通りなら、身体の準備はオッケーじゃないですか」

京太郎「なら……いいですよね?」

姫子『う』

姫子『うぅ……』

姫子『あの、その……』

姫子『……』

姫子『……きょーたろ君ん、えっち』



347 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
うああああああああああああああああああああああああ

348 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
普段の性的なのよりエロい。むしろかわいいエロさ

349 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガもちょっとSっ気出してるしな

350 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
中々に貴重なシーン

351 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ここに神社を建てよう

352 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
もう建ってた

353 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
仕事はえーなオイ



京太郎「いや、えっちなのはそっちですよね」

姫子『う』

姫子『そ、そいぎー……。……。こ、こん……すけべ』

京太郎「すけべなのもそっちですよね」

姫子『う』

姫子『きょ、きょーたろ君の変態』

京太郎「変態も変態、ド変態なのはあなたの方です」

姫子『う』

京太郎「えっちな考えをして、すけべな身体つきで、変態な欲望を持ってるのはあなたです」

京太郎「つまり、頭のてっぺんから爪先まであなたはエロいんです。存在が性的なんです」

京太郎「ただ普通にしてても、ムラムラさせる魅力に溢れてるんです」

姫子『そ、そいがどうか――』

京太郎「姫子さんはがばいいやらしか。いやらしか人です」

姫子『――』

京太郎「判ります? だから、あんまり性的な興奮を導くような言動は控えて――」


姫子『……き』


京太郎「ん? なんすか」

姫子『きょきょきょきょ、きょーたろ君の変態! 変態! 変態!』

姫子『う、ううう、うちんことをそげん目で見とったなんて……へ、へんたいっ! どすけべ! えっち!』

京太郎「……」

京太郎「姫子さんの身体がどすけべで、口の形が変態で、舌の動きがえっちです」

京太郎「あなたは性的なんです。そこを判って下さい」

姫子『う、うらめしか! うらめしかよ! うらめしかとね!』

京太郎「姫子さんはがばいいやらしか人です」

姫子『――っ』

姫子『そげんうーまんことゆーて、きょーたろ君はうちんことうっさごとゆーと!?」

姫子『うちはかからんけん! うちはかからんと! かからんけんね!』

姫子『もう、きょーたろ君のことは知らなかよ! うちは知らん! 知らんけん!』

796 名前:1 ◆rVyvhOy5r192[saga] 投稿日:2013/12/12(木) 00:42:58.54 ID:seec/gmfo [1/2]

京太郎「……あ。電話切れた。最後の辺りは方言バリバリで訳判らんかったなぁ」

京太郎「やっべー……不味ったか? 不味ったよなぁ……多分」

京太郎「あれ、誘い受けって奴なのか? 訳がわからないな……誘い受けとか」



389 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
解読班!

390 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:SHeepD4C
うらめしか=うるさい
そげんうーまんこと=そんな上手いこと=そんな出鱈目
うっさごとゆーて=嘘をついて=だまして

391 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ネットって凄い。改めてそう思った

392 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:mairuMMM
がばい=とても
いやらしか=可愛い

393 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
須賀プロは……こりゃ意味知らねーで使ったんだなぁ

394 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
京太郎「姫子さんはとても可愛いです」

姫子「そんな出鱈目言って、私のこと騙そうとしてるでしょ!」

こんな感じでしょうかね

395 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガェ……



京太郎「うーん」

京太郎「放って置いたら、折り返し電話来るか? 来るよな?」

京太郎「なんであんなに怒ったのか、訳わかんねーよ」

京太郎「なんなんだ、誘い受けって奴は……良くわからないな」


京太郎「さて……じゃあ次は大星か」


京太郎(さっきの姫子さんの反応はかーなーり、ガチっぽかった)

京太郎(いや、単にあの人が誉められなれていないだけかも知んないよな)

京太郎(というか後半、ただ単に言葉攻めになってただけだしなぁ……そりゃ恥ずかしがったり、怒ったりするよな)

京太郎(ヒントになってるような、なってないような……)

京太郎(うーん)

京太郎(大星に仕掛けて、それで判別つけるしかないよな)


 チラと、姫子の方を見てみる。

 なんだか良くわからないが、激しい踊り(身悶えというのか)をした後に、その場からよたよたと離れていた。

 まあ、あれだけ羞恥心を刺激されたら当然だろう。さもありなん。

 一方の大星淡は――


京太郎(ソフトクリーム食ってる場合かァァア――――――ッ!)

京太郎(ドッキリ仕掛けてるんだろ! 仕掛けてるんだよな!?)

京太郎(なんで手持ち無沙汰って感じでソフトクリーム食ってんだよ! スタッフと連絡取るとかしろよ!)


 非常につまらなそうにしながら、ソフトクリームを二つ手に持っていた。

 欲張りか。

 欲張りなのか。

 甘いの三つ欲しいのか。このいやしんぼめ。

 どうでもいいけど、いやしんぼをいやしん棒って書くと、頭の悪そうなエロ漫画の台詞に出てきそうだよね。


京太郎(違う、落ち着け……俺)

京太郎(エロ漫画じゃない……エロ漫画じゃないだろ……)

京太郎(加瀬あつしの漫画の下ネタだ……こういうのは。そう、定番)

京太郎(『だー! いやしんぼじゃなくていやしん棒ー!!』)

京太郎(凄い思い浮かぶな、絵柄が……)


 大体意味を理解できる中学~高校生とか、色々アホの大学生ぐらいになると笑えるよな。

 今のこの状況、まるで笑えないけど。

 ドッキリっていうか、色々心臓に悪い。これから先を考えると目の前が真っ暗になる。

 努めて様々なことを忘れようとしなければ、耐えられない。自棄っぱちである。


京太郎「ま、いいか」

京太郎「電話――っと」


 あ、いや。

 両手が塞がってたら電話に出られないか。

 流石自分だ。よく気付いた。

 大星淡相手に発揮することは何故だか殆どないが、気遣いの男である。まさに面目躍如だ。


京太郎(……)

京太郎(……)

京太郎(……)


 ……って。


京太郎(遅せえええええええええええ――――――ッ!)

京太郎(どんだけゆっくり食ってんだよ! そんなに味わって食いたいのかよ!)

京太郎(ソフトクリーム好きすぎだろお前!)


 しかし、実に困り者だ。


京太郎(……電話、かけらんねーな。このままじゃ)

京太郎(このままだと……色々手遅れになるかもしんねー)

京太郎(流石に早々兵隊が壊滅してたら、あっちとしても本腰入れてくるだろう……そうなったら、こっちとしても不味い)

京太郎(暢気そうに食いやがって……)


 色々、許せん。ドッキリ仕掛けてる側だと考えたらなおさらである。

 デコピンでもかましてやりたいぐらいだ。いやマジな話。

 何故自分はアンブッシュしているというのに、向こうは幸せそうに(黙々としているが、多分集中しているのだろう)食ってるのか。

 今ならシュトロハイムの気持ちがよく判る。


 考えてもみて欲しい。

 普段、記憶がなくなるまで酔うことはないというのに、そんなになるようなカクテルを飲まされた。

 それもドッキリのために。

 ドッキリの内容は、酔って女性とやらかすという洒落にならないもの。

 で、このドッキリの参加者は知り合いだらけ。なんだかんだ信頼してた相手。

 要するに裏切られた気持ちで一杯だ。

 しかもそこに、酔わされたせいでガチ不祥事起きたかもというオマケ付き。

 そういうスキャンダルを避けて、こちとら彼女と別れたり彼女作ったりしてないのに……。

 あなたならどうする? ……最高だった。

 最高にブチ切れるレベルである。

 そりゃもう、父親を殺された挙げ句にその遺体を弄くり回されて薄汚いゴキブリ野郎に利用され、デコピンで吹っ飛ばされたレベルに。

 キレちまったよ……。


京太郎(まあ、辻垣内先輩の件に関しては完全に自業自得で自縄自縛……どころか自爆だからいい)

京太郎(でもなぁ……)

京太郎(ま、いいや。置いとく。とりあえず、大星が食い終わるまで置いとく)

京太郎(その間に、姫子さんと顔を会わせとくか。やることやっとかねーとさ)

京太郎(……)

京太郎(しまった。あの人怒らせて電話切られたんだった)

京太郎(……どうしようか)


京太郎(……そうだな)

京太郎(なんか、見てたら俺もソフトクリーム食いたくなってきたし……買いに行こうか)

京太郎(二つとか、羨ましいな。俺も二つ買ーおうっと)

京太郎(どこに売ってるんだろ?)



482 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あわあわのあの目は完全に彼氏に待ちぼうけ食らってる目

483 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
すげー寂しそうな感じだな

484 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ドッキリだって言うのに芸が細かいなオイ

485 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
京淡あるで

486 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:Terr3Terr3
京ハギ

487 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HOKU10ki
京ハギやろ

488 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
京セラ(真顔)

489 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:MIHspring
京セラ(半ギレ)

490 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:eomotRev
京セラ(迫真)

491 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:SEraEgchi
か、関係ないやろ!

492 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
せめて痛みを知らずに安らかにちくわ大明神

493 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
まあ、ドッキリの仕込みと言っても…
実際一人で二つソフトクリーム持って待つことになったら、なにやってんだろって気にはなるよな

494 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
かくれんぼでいつまでも鬼が来ないようなもんだもんな

495 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
やめろ

やめろ…

496 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:PeachMMM
フハハハハ、ぼっちさん乙っす!

乙っす…

497 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
この傷口の抉りあい



京太郎「あ、はい。二つお願いします」

京太郎「ありがとうございます」


 なんというステマだろうか。結局二つ買ってしまった。

 ステルスということにかけては東横桃子ほどではないにしろ、中々に自負はあるが、

 それにしても見事なステルスマーケティングである。ソフトクリーム屋の売り上げに貢献したのだから大したもんだ。

 いや、たった二つだけどね。


京太郎(それにしても……回りはカップルばっかだなぁ)

京太郎(……目の毒だ)

京太郎(末長く幸せに爆発しろ、リア充さんたち)


 こういうの見ると無性に寂しくなるよな。

 都会の人混みで肩がぶつかってひとりぼっちな感じだ。言うなれば。

 果てない草原で風がびゅびゅんとひとりぼっちなのとはまた違う。

 ちなみに、両方とも泣きたくなる。

 今とこれから先を思うか、今と過去を思うかの違いであるのだ。これは。

 チョッピリ大人になったんだろう。


京太郎(……ま)

京太郎(せっかく買ったんだし、食べるかな。二つとも)

京太郎(子供の頃、一つじゃ足らなくて……二つ食いたいって思ったら、『お腹壊すからダメ』って言われたっけ)

京太郎(そう思うと、やっぱ大人になったよなぁ……贅沢なことできるからさ)

京太郎(ビッグマックのLLセットに、BLBと“てりたま”を単品でつける……みたいな暴挙もできるもんな)

京太郎(早速、いただきま――)


姫子「あ、きょーたろ君……?」


京太郎(――せん! 知ってたさ、ああ!)


姫子「なんしょっと? こげんとこで……」

京太郎「あ、ああ……いや……」

京太郎「その……」

京太郎「……」

京太郎「ほら、これ……」

姫子「? うちに?」

京太郎「そのー、待たせちゃって悪かったからお詫びってのも兼ねて……二人で一緒に食べようかな、と」

京太郎「そんな風に思ったんスけど……駄目だったですか?」

姫子「――」

京太郎「姫子さん?」

姫子「な、なんでんなか! なかと! なかとー!」

京太郎「アッハイ」

京太郎「じゃあ、あっちの噴水のとこで食べましょうかね」

姫子「う、うん……」


姫子(な、なんか……学生んデートみたいで緊張すっとー)

姫子(こ、高校中学と……男子とこげん感じんデートばしたことはなかばい。妙に恥ずかしかよぉ)

姫子(う、うぅー……さっきはきょーたろ君、うちんこといやらしか(可愛い)ち言ーっとったし)

姫子(ぶ、ぶちょー……!)


京太郎(……あとでもう一個買うかな)

京太郎(まあ、凄いタイミング良くて……自分一人で食うよりも、なんだか微妙に嬉しいもんだよな)

京太郎(なんか、普通のデートっぽい)


 ・
 ・
 ・


姫子「ん、ふ、んちゅ、ふ、れろっ、んっ、んふ、は、ぁ、はむ、ふ……んん」

姫子「んっ、あ、はぁ、ふ、ぅ、んふっ、はむ、れろ、ん、ぁ、ふぁ、んふ、ふぅん」

姫子「ふ、ぁ……大っきかね、ん、れろ、垂れて、ぁ、じゅぷ、ん、は、ゃん、あぁ、っ、はぁ……っ!」

京太郎「やめろ、この歩く猥褻物陳列罪」

姫子「ふ、ぁ……なんが?」

京太郎「わざとらしく音を立てて、ソフトクリームにむしゃぶりつくその様がです」


 舌をちろっと出してみたり。ソフトクリームと糸を引いてみたり。

 上目遣いで咥えてみたり、空いた手を髪を掻き上げてみたり。

 唇で扱いてみたり。わざとらしく湿り気ある音で鼻を鳴らしたり。


 正直立つ。立たないまでも走ってしまう。起立せずに走るという不思議。まさに先走るというものだ。

 酔ったときに意味深な目で腸詰めをしゃぶる憧のようだ。

 立つというか勃ってるせいで、逆に立てない。ハメ技か。

いやハメ技というか、カメハメ波……というか、カメをハメたことは別にあるけどね。



580 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
うっ……ふう

581 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
誰かキャプ画くれ。マジで

582 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ぐうしこ

583 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
俺、10発はやっちゃうよ?

584 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
俺、20発はイケちゃうよ?

585 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ちんこもげた

586 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
こんなにもエロい彼女欲しい(切実)

そもそも彼女がいたことないって?

なんだと
そうだな

587 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
実際これ、放送できる限度じゃね?



姫子「にひ、こーふんしたと?」

京太郎「……いえ」

姫子「そげんこと言ーて、きょーたろ君もちゃーんと興奮しとるんじゃなかと?」

京太郎「違いますね」

姫子「またまたー」

京太郎「ただ、こんな人目に付くところでやってしまって……」

京太郎「――姫子のそんな顔を、誰かに見せたくなかっただけです」

姫子「――」


姫子「は、ぇ」

姫子「え、ぃ、今、きょーたろ君、うちんこと、あの」

姫子「呼び捨、ぇ、あん、その、えっ、ちょ、え」


京太郎(なんとなくこの変態プロの御しかたが判ってきた)

京太郎(痴女は……そういう部分も当然あるんだろうが、そういうキャラとかアピールって部分も大きい)

京太郎(わりと誘い受けだ。この人)

京太郎(強気で攻めたら、結構逆にテンパるところが多いな)

京太郎(そうと判れば、こっちのもんだ)


京太郎「姫子」

姫子「へっ」

姫子「や、顔熱かって……み、見んで。見んで欲しかぁ……」

京太郎「駄目ですよ。ほら、こっち向いて」

姫子「ゃ、恥ずかしかぁ……恥ずかしかよぉ……」

京太郎「ほら、顔を反らそうとしないでください」

姫子「や、やけん……こげん近かっていくらなんでん、うちには恥ずかしかって」

京太郎「なに言ってるんですか? 目、瞑ってください」

姫子「目? ……め、目!?」

京太郎「いいから、ほら。早くしてください」

姫子「や、いけん。いけんよ。いけんけん、きょーたろ君……ぅ」

姫子「う、うちにはぶちょーが……ぶちょーがおるけん……!」

姫子「ぁ――」


京太郎「……よし、取れた」

姫子「へ?」

京太郎「瞼んとこに、クリームついてましたんで」

姫子「……あ、そ」


京太郎「へへ、騙されました?」

姫子「……」

京太郎「いやー、姫子さんは何を考えてたんですかねー」

京太郎「ちょっと俺にはわかんねーなー」

京太郎「わっかんねー。なにもかもわっかんねー」

姫子「……か」

京太郎「いや、姫子さんはがばいいやらしか人やなー。やけんこんなのにひっかか……」

姫子「う、うらめしか! うらめしかよ! うらめしかっ!」

姫子「そーにゃこと、のっけからしてきょーたろ君は! あんまいよ! あんまいよ!」

姫子「また、うちんことばそげん風にうっさごと言ーて! おーどーか!」

姫子「ぞーたんのごたっ! いかなこつ、うちでん我慢できんけん!」

姫子「きょーたろ君のふっけ! ふーけもん!」


京太郎(やっべえ、何言ってるのかわからねーよ)

京太郎(ハード過ぎるよな、九州……)

京太郎(日本語喋れよぅ……日本語喋れよぅ)


姫子「きょーたろ君の分のアイスも貰う! 絶対に許さんけん!」

京太郎「ちょ……」

姫子「あーん!」

京太郎「お、オイ! 俺のですから! 俺のだから!」

姫子「もう、知らんもん! うちが食ーゆ!」

京太郎「ちょ、俺だって食いたいんだから! ちょ――」



淡「――何、やってるの……?」



京太郎(――――)

京太郎(――油断してた)

京太郎(やられた……! クソッ、完全に……してやられた!)


 このタイミングでの邂逅。

 完全に自分は今この瞬間、失念していた。周囲への警戒を怠っていた。

 あのソフトクリームがこの場へ導くための思考誘導――なんて馬鹿な話はないだろうけど、あまりにも迂闊だった。

 ここはアウェイである。完全に、アウェイであったのだ。


 おめでてーな。

 何を暢気に「よーし、パパソフトクリーム二つ買っちゃうぞー」とかやっていたのか。

 もうね、バカかと。アホかと。見てらんない。

 ドッキリっていうのはな、もっと殺伐としているもんなんだよ。サツバツ!


 というか実際サツバツとしたマッポーだった。このドッキリ。

 カメラが入ってるのかは知らない。というか、カメラなんて待機させてなかったけど……あの戦いとか、やばいのではないだろうか。放送したら。

 あとは、鶴田姫子。

 立てばセクハラ、座ればビッチ。歩く姿は猥褻物。そんな逸材である。

 放映することになっても、発言の大半が[ピー]音で埋め尽くされるような、匂い立つ痴女。キングオブ痴女。カリスマ痴女。

 多分、高校時代からもっとも足を踏み外してしまった女。それがコンビ。一緒に超写ってる。ドッキリとは言っても、デート中。痴女と。

 番組は本当に大丈夫なのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。

 これがゴールデンタイムに流れたら、もうお茶の間騒然。鶴田姫子の日常茶飯事な爆弾発言でお茶の間騒然。サザエさんの家よりすごい爆発する。

 で、きっと無言。

 中学生のお子さんとかいたら、もう大変。小学生の子供でも大変。マジ気まずい。


淡「……何か、言ってよ」


 駄目か。

 モノローグでページとコマを埋め尽くして次週に続けて、次のしょっぱなではなんだかんだ話が終わってるとか駄目か。

 現実は漫画のようには行かないものである。ファッキンブッダ。

 気まずいのは放送時のお茶の間じゃなくて、今この場でした、あはは。……ってやかましいわ。


 どうしよう。


京太郎(……さて、落ち着け。落ち着くんだ須賀京太郎)

京太郎(よく考えれば、この場を上手く切り抜ける策がある筈だ。そうだよな?)

京太郎(さて、ある意味修羅場は必死のこの状況……俺はどうやって切り抜ける?)


 三択――ひとつだけ選びなさい。


京太郎(①ハンサムの須賀京太郎は突如起死回生のアイディアが閃く)

京太郎(②やえさんや憧が来て助けてくれる)

京太郎(③切り抜けられない。現実は非常である)


 自分としてはこの状況、②に○を付けたいところであるが……小走やえは試合、新子憧は奈良なので期待できない。

 やはり答えは――①しかないようだ。


 ……というかこのモノローグ何度目だろう。

 漫画だったら、編集仕事しろって怒られてる。ボンボンでも許されねーぞこんなの。あだち充ならワンチャン許されるかも知れないけど。

 あの人、何書いても顔変わらないよな。いやマジ。

 個人的には、KATSUとか好きだったんですけどね。いやマジ。超マジ。


姫子「なんしょっとって……んー」

姫子「彼氏のきょーたろ君とデート中やけど、そいがどーかしたと?」

姫子「ね、きょーたろ君?」


京太郎(マジか。超マジか。マジかよ)

京太郎(この人――――ブッこみやがった……!)

京太郎(流石は痴女! 躊躇いとか恥じらいとか、そんなの関係ない……ッ)


 小島よしお、今どうしてるんだろうね。知らんけど。


姫子「……きょーたろ君、今なんか失礼なことば考えとらん?」

京太郎「いいえ、何も。あなたの美しさに魅せられてただけです」

姫子「もー。上手かこと言ーても、貞操くらいしかあげられんよ? えっち」

京太郎「それよりも正気に戻ってください」


淡「……」


 このまま、和やかな雰囲気でフェードアウトしたい気分で一杯である。

 むしろおっぱい用意してくれ。痴女なのに、グラマーじゃないんだもん。そこが逆にエロイけど。

 いっぱいおっぱい用意して、元気にしてくれ。ボクのボクを。


淡「……そっ、かぁ」

淡「私は……遊びだったんだ……」

淡「都合よく、利用してただけなんだぁ……」

淡「……そっか、そうなんだ」


 俯いてて、顔色がうかがい知れないけど。

 大星淡の声はいつもよりも落ち着いているようで、どこか震えている。

 ひょっとして……。そう、本当に本当にひょっとして……。

 泣いて、いたりするんだろうか。


京太郎(淡から、俺のことがどう見えてるのか)

京太郎(①ガチの場合――)


 自分の貞操を奪っておいて、何とか切り替えて順序が逆だけど恋人からスタートしようと思ってのデート。

 そっからの、浮気。しかも痴女と。そう、痴女と。超、痴女と。

 デートに行ったはいいけど中座して、帰ってこないと思ったら痴女の口の周りにべたべたする白い液体着けてた。

 これはヤバイ。

 逆の立場なら、見て見ぬふりして立ち去って、何かの間違いに違いないとか怖くて聞き出せないレベルにヤバイ。


京太郎(②ドッキリの場合――)


 ドッキリとしては成功である。そこから須賀京太郎を追い詰めればいいのだから。

 ただ、淡からは京太郎はドッキリの被害者だと思われている。何も知らないの、だと。

 そこで、デート。別の女とデート。デート中にデート。

 デート・オア・アライブならぬデート・オア・デート。アライブどころかデッド一択。トリックもトリートもない。むしろ違う女に悪戯してる。

 で、そんな最低男がライバル。再戦誓ってた男が最低のクズのヤリチンクソ金髪男。


京太郎(あわわわわわわわわわわわわわ)


京太郎「あ、あわ、あわ、あわ、あわわ」

姫子「泡風呂?」

京太郎「違います! あ、淡……あのな、その」


 肩に伸ばそうとした手が――


淡「うっさい! 触んな!」


 ――払いのけられた。


 そこまではいい。よしとしよう。

 しかし、何の因果か――払いのける際にわずかに曲がったその手首が、京太郎の腕を絡め取った。

 逃れようと捻られた体。その回転に、京太郎が合わせられる。

 京太郎の手を、潜って躱そうとしていたのであろう。淡の重心は落ちた。落ちていた。

 回る勢いのまま、その身軽さで、最小の半径を描いて――伴われた肘。

 逃げ出そうと、力が込められた足。落ちたはずの重心と噛み合って、地を叱りと踏みつける。


 泳いだ身体。無防備な腹部。崩れた体。浮いた重心。

 そこへ――目掛けて。

 いかなる因果か。何の偶然か。どんな奇跡か。

 大星淡の肘が、突き立って――。


京太郎「――――っ」


 ――発勁。


姫子「あ」

淡「え」

京太郎「――ぁ、っ」


 須賀京太郎の身体を、弾き飛ばした。



630 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なん……だと……

631 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガの霊圧が……消えた……?

632 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
これが44位とか嘘だろ……?

633 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
流石M.A.R.S.ランカー。制圧力は伊達じゃない

634 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
世界よ、これが麻雀プロだ(白目)

635 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
淡の奴……いつの間にあんな技術を……

636 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
使い手だったのか……

637 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
これは……なかなか見事な功夫ですね

638 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:LoveTrain
いくら京ちゃんでも、今のは……

639 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ARKWbjDrK
綺麗に入ってたから、危ないなぁー

640 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:KO1SAIKYo9
いや、なんかおかしいですよね!? 麻雀プロってそんなのじゃないですよね!? ねえ!?

641 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
絶対変だって……こんなの絶対おかしいよ

642 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
ツッコんだら負けだと思……ちくわ大明神

643 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
アイエエエエエエエエエエエエ!?カラテ!?カラテ!?

644 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ramenMGDV
カラテじゃなくて、あれはラーメン神拳でスネ

645 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
WTF?ラーメン神拳?ナニソレ?

646 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ramenMGDV
大星プロの髪の毛がラーメンみたいでしたンデ

647 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HOKU10ki
せめて、痛みを知らずに安らかに眠るとええ……

648 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
確かにこれはドッキリだよな。まさかの発勁喰らうんだもん

649 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
浮気にうろたえた女の子のフリをしてから、射程距離に収めたスッガに発勁

あわあわは策士(確信)

650 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
普通に攻撃しようとしたら、回避されるかもしれないからな

651 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんか様子がおかしいと思ったけど、このためだったのか

652 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
麻婆豆腐とワインが上手い。愉悦



京太郎(も、もろ――刺さった)

京太郎(殴られるより……い、痛いぜ。内臓全部が揺さぶられたみたいに……)

京太郎(こいつ、まさかの拳法家だったのか……?)


 ソフトクリーム食べなくてよかった。

 食べてたら、今ので吐き戻すことになっていたに違いない。確実に。

 立ち上がろうとして、足が縺れた。膝頭を押さえて、何とか踏みとどまる。

 先ほど喰らった蹴り。打ち付けた背中を、再度叩き付けることになった。身体が、痛みで突っ張る。


淡「……ぁ。違」

淡「きょ、きょーたろ――」

姫子「――きょーたろ君っ!」


 駆け寄ってきた、姫子に助け起こされる。

 身長差のためか、ほとんど寄りかかる形になってしまう。

 そのままベンチへと運ばれた。


姫子「きょーたろ君ば、こんなにするなんて……!」

姫子「大星淡……お前、何ば考えとる!」

淡「――っ」

淡「うっさい! 痴女にどーこー言われる筋合いはない!」

姫子「拳法かける奴に言われとーなか!」

淡「拳法とか知らない! 今のは、たまたまだってば!」

姫子「たまたまで人が飛んでたまるか! たまたまで飛ぶんは精子だけや!」

淡「せ……い゛!? あんた、何言ってるんの!? バカなの!?」

姫子「人を飛ばす女に言われとーなかとよ! こん、ゴリラ女! 蛸足!」

淡「誰がゴリラだ! 私は、ウサギって決まってるの!」

姫子「そげに性欲アピールしたいんか、淫乱! 金髪淫乱女!」

淡「い゛、淫……!? 頭おかしーでしょ! 何言ってるのか、判ってるの!?」

姫子「ウサギはチン○がもげるまで交尾すると! チ○ポがもげても交尾する、ド変態やけん! 知らんかったか!」

淡「チ、う、うぅ……。こ、この……! 淫乱はあんたで、ド変態もあんた!」

姫子「ふん、ウサギの生態を知ってか知らんでか、ぶりっこするお前に言われとーなかと! 一つ勉強になったか、このカマトト!」

淡「――ッ。そんなに私のこと、怒らせたいんだぁ……新道寺!」

姫子「怒りよったら、どうすると? ウサギさんとダンスでも踊るんか?」

淡「上ッ、等……! そこの金髪男みたいにボコボコにしたげるから……覚悟しろ!」


京太郎(わーお)

京太郎(男を取り合う女の戦い……じゃねえな、これ)

京太郎(ラブコメ的なきゃっきゃうふふとかないのな。元々、ある訳がないだろうけど)


姫子「そこの金髪……クリリンのことと? クリリンのことと――――ッ!」

淡「それ逆じゃない?」

姫子「あ、そうとね」

淡「しかも、それ……金髪になってから言う台詞だからね」

姫子「あー、そうやっとね」

淡「そこ間違える奴多いよねー」

姫子「いや、ほんとに」

淡「感動のシーンなんだからさ、そこらへんちゃんと押さえとけーっていうか」

姫子「そげんのは、いかんよね。ファンとして」


京太郎(……)

京太郎(お前ら実は仲いいだろ)



672 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
お前ら実は仲いいだろ

673 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
お前ら実は仲いいだろ

674 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
お前ら実は仲いいだろ

675 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
お前ら実は仲いいだろ

676 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
お前ら実は仲いいだろ

677 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
仲いいでしょ。絶対あんたら

678 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
仲がいいなら……もう、やめようよ。こんなの……

679 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
ちくわ大災害

680 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH
ま、ボクと彼の方が仲良しだけどね!



京太郎(……ま)

京太郎(これで、少なくとも判ったぜ)

京太郎(この二人のどっちかが……ガチだ)

京太郎(多分、おそらく……きっと。メイビー)


 直撃を受けた腹部と口元を押さえて、目の前の二人を見る。

 演技であそこまで喧嘩できるとしたら女って凄い。というか実際怖い。口喧嘩怖い。

 このドッキリというのは、女の怖さに目覚めさせるためのものなのだろうか。なんかそんな気がする。

 そして仕掛け人の一人は、萩原。

 これはつまり――。


京太郎(ハギヨシさんから俺への、遠まわしな告白……?)

京太郎(……)

京太郎(さ、流石に……気持ちの準備ができてないっていうかさ)

京太郎(ちょっと大掛かり過ぎて恥ずかしいっていうか……その、あの……)

京太郎(いくらハギヨシさんでも、そういう関係になるのは……ちょっと、難しいっていうか。抵抗があるっていうか、なぁ……)


 完璧超人だと思ってた憧れの人が、自分をそういう目で見ているだなんて……。

 軽くこそばゆい。男同士がどうこうって問題はあるけど、自分のどこを見てそう思うようになったのか、それも気になってしまう。

 心当たりを探してみるが、特に浮かばない。

 人に惚れられるとかよくわからないから、分析しておきたい……というか。なんだろう。


京太郎(……ま、気つけのための冗談はここまでにしといて)

京太郎(流石に、止めに入らないとな……)

京太郎(女性二人の取っ組み合いってのはまずいし、あんまり口喧嘩させても……二人の印象を損ねるかもしれねーし)

京太郎(動いてくれ、俺の身体……!)



姫子「だいたい、あんたは気に食わんかったんよ!」

淡「気が合うね……。私も、あんたのことが大ッ嫌いだったよ……!」

姫子「人ん、部長との最後のインハイば訳判らんダブリーでぶち壊してくれて……!」

淡「私の1位通過の邪魔してくれるし……あれのおかげで、テルに顔向けできなかったし、悪い意味で目立つし……決勝の奴らに研究されちゃうし……!」

姫子「その、自分が勝って当然って態度がいっちゃん好かん!」

淡「北九州最強だかなんだか知らないけど、本っっっ当に、あんたらムカつく!」

淡「麻雀は自分ひとりで打つものなのに、先輩におんぶに抱っことか恥ずかしくないの?」

姫子「うちらん絆に僻みか、こん化け物! そげん態度でおるから他に誰も打ってくれんとよ!」

淡「――ッ」

淡「あんた、もう麻雀とか関係なしにぶっ潰す……!」

姫子「こい、大星淡! そいとん、デカイのは態度と口だけと?」

淡「実力で言えば喧嘩でも百段ってことも証明してあげる……!」

姫子「喧嘩百段? だからどーした。北九州の危険地帯舐めんな!」


京太郎「……おい」

京太郎「流石に二人とも、その辺にしとけって」

京太郎「判ってるのか判ってないのかは知らないけど……人目もあるし、あんまり――」


淡「――きょーたろーは黙ってて!」

姫子「――きょーたろ君、少し喋らんで!」


京太郎「アッハイ」

淡「だいたい何よその、きょーたろ君って」

淡「そんなにきょーたろーに媚売りたいの? この、淫乱!」

姫子「そいは、お前の方やけん……大星淡」

姫子「『きょーたろー』? ずいぶん甘えた声だして、そんなにきょーたろ君に構って欲しかと?」

淡「誰がこんな奴! 麻雀がちょっと強くて諦めが悪いだけでしょ!」

姫子「中身が残念で顔だけいいっていうのもあると!」

淡「ばっかみたいに運動やってて、麻雀プロを何かと間違えてるってのも!」

姫子「最近気遣いやなくて、気違いと化してることば忘れんな!」

淡「タレントな扱いを受けてるのは、その無駄な器用さってのもあるから!」

姫子「人の観察が得意って、そんなんどこにも見られんのも押さえとけ!」


京太郎「……」



712 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
喧嘩に見せかけた巧妙なスッガいじめ

713 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガが泣きそうになってるwwww

714 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
どうやら、本来のドッキリではこんな流れだった模様

715 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あわあわも性的な方さんもスッガを苛めるんですね
しつぼうしました。ちゃちゃのんのふぁんをやめます

716 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChachaNO
じゃけぇ、なして!?
泣いとるちゃちゃのんもおるんよ……?

717 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
泣いてるちゃちゃのんを見てふぁんになりました

718 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChachaNO
ノーセンキューです――



淡「大体、こいつもちょーし乗ってんの! 二股って何?」

姫子「流石にまるで擁護できん! もっと男らしく、さっさと打ち明けた方がよかに決まっとるけん!」

淡「ま、そうなっても選ばれたのどうせ私だろうけどね」

姫子「は?」

姫子「お前みたいな、放っといたらすこやんはやりんコースのメンヘラコミュ障女にだーれが絡むと?」

淡「……は?」

淡「ずいぶんとまあ……人のこと、知りもせずに知った風な口聞いてくれるけどさぁ……」

淡「頭のおかしいレズ痴女は黙ってろ! 白水とかいうのと乳繰り合ってればいいじゃん」

姫子「……大星ぃ」

姫子「うちんことだけやなくて、部長のことまでバカにしたな……!」

淡「だったらどうするって言うのかなー? この痴女! 痴女! 痴女!」

姫子「……ッ」

姫子「きょーたろ君に三倍満喰らってタイトル逃して、いい年して涙目になってた奴がよー言うもんやね」

淡「ふん。お得意のタッグとやらを、きょーたろーに破られてたくせに!」

姫子「あいは、小走やえの力もあるやろ! ランキング7位の!」

淡「ランキングなんて飾りだってなんでわかんないのかなぁ……?」

淡「あんたら、きょーたろー一人相手にも負けたかもしれないよねー」

姫子「ふん。そいにしても、きょーたろ君一人に『負けるかもしれない』と『負けた』には大きな違いがあっとね!」

淡「新道寺ぃ……!」

姫子「大星ぃ……!」


京太郎「……」



762 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
体育座りでスッガいじけてんぞwww

763 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
これは人間不信間違いなし

764 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
誰かパネキつれてきてやれ。スッガがストレスで死にそうになってるから

765 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
お前みたいな、放っといたらすこやんはやりんコースのメンヘラコミュ障女にだーれが絡むと?
すこやんはやりんコース

やってしまいましたなぁ……

766 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:noWYNWDNO
とても悲しいけど、リアルなんで仕方ないですよね

767 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:sukoyA50
……

768 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:kituiA50
……



淡「そんなに言うんなら、きょーたろーに決めてもらえばいいよね」

姫子「おー、おー、望むところやけん!」

淡「ね、きょーた――」

姫子「きょーたろく――」


淡「――ろ、ぉ……?」

姫子「――ん……?」


京太郎「……」


姫子「こ、こいは……!」

淡「知ってるの、新道寺?」

姫子「こいは伝説の防御術……『猛奈丹摸鬼気託拿意』」

姫子「身体ば縮めて、外界との接触ば最小限に抑えて……そいから目と耳を塞ぐことで、五感を意図的に制限する……」

姫子「究極の防御……言わば、肉体の絶対安全圏ぞ!」

淡「なるほど……」


淡「……どうすんの」

姫子「どげんしよーか」

淡「あんな須賀、見たことある?」

姫子「なかよ」

姫子「とゆーか、そもそもあんまりきょーたろ君と顔合わせたこと自体なかとね」

淡「そうなの?」

姫子「ん」

淡「……どーすんのー、これ」

淡「こいつ、ここまで打たれ弱い奴だなんて思わなかったんだけど」

姫子「サドやけん」

淡「は?」

姫子「サド。サドち言ーたんやけど」

淡「……は?」

姫子「サドやけん、自分が打たれるのには慣れてなかとー」

淡「……いや」

淡「サドっぽく見えても、こいつマゾだから」

姫子「は?」

淡「いや、こいつマゾじゃないの?」

姫子「……は?」

淡「麻雀のスタイルとか、出演番組の内容考えてもマゾ以外ないって!」

姫子「大星ぃ……お前に、なんが判っと!」

淡「新道寺……絶対あんたなんかより詳しーから!」


姫子「サド!」

淡「マーゾー!」

姫子「サド!」

淡「マーゾー!」

姫子「聞かん奴やな、大星淡!」

淡「ああもう! それはこっちの台詞!」

姫子「サド!」

淡「マゾ!」

姫子「サド!」

淡「マゾ!」

姫子「サドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサド!」

淡「マゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾマゾ、マゾっ!」


京太郎「……」


淡「ああ、きょーたろーが死んじゃった!」

姫子「これは……『虎乃海星那死』……!?」

淡「知ってるの、しんどーじ!?」



791 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ああ、スッガが死んだ!

792 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
このひとでなし!

793 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NIKEnazca
須賀は風になったのだ……この街に吹く風にな……

794 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
さらばS

795 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
おっと、無意識に敬礼しなきゃ

796 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:DragonEyE
本当に身体張っとるんやな……芸人さんみたいに

797 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TOMOkiii
ゲイ人?(難聴)

798 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
京セラと聞いて

799 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:MIHspring
限界への、挑戦の記憶で

800 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:eomotRev
駆けつけました

801 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TOMOkiii
gomennnasai

802 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
実際どっちやろ

803 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
サドだよ

804 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
いや、そんなことないと思…

805 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
こればっかりは意見割れるなぁ……



京太郎「――ッ」

姫子「す、座ったままの姿勢で……!」

淡「跳んだ……!?」

京太郎「……」

姫子「す、凄味ば感じる……!」

淡「今の須賀に触れることは死を意味しそーな感じの……」

京太郎「二人とも……」

淡「ひっ」

姫子「い、いやー……こいはね?」


淡(どーすんのさ、新道寺!)

姫子(そげんこと言ーても、うちには判らんけん!)

淡(このままだと、絶対オシオキされちゃうって!)

姫子(オシオキ? 何?)

淡(そ、その……あの……えっと……あの)

姫子(……もっとはっきり言わんと、判らんって)

淡(す、須賀の持ってる……え、えっちなオモチャ使われちゃったりー……)

姫子(……)

淡(……どしたの?)

姫子(されよう、オシオキ!)

淡(話聞いてた!?)

姫子(聞いとった! やけん、むしろそいがよか! ばってん、そいがよかとよ!)

淡(頭おかしい!? なんなのよ、あんたは!)

姫子(ひっひっひ、調教の愉しさにきょーたろ君ば目覚めさせるチャンスやね!)

淡(やめてよ! 私は普通なんだって! ノーマルなのっ!)

姫子(お前はなんか、無理矢理されたのに悦びそーな顔しとるけん……問題なか)

淡(どんな顔!? っていうか、そんなことない! ないから、離せ!)

姫子(だいじょーぶ、だいじょーぶ)

淡(やめろっ! 離せって、このしきじょーま! 離して!)

姫子(……あ、なんか今ん大星が可愛く見えてきた)

淡(ひっ)

姫子(こいまでの諍いは忘れちって、一緒に気持ちよかことしよーか。な?)

淡(やだやだやだやだやだっ、絶っっっ対、やだっ!)

姫子(……あは。可愛かぁ……可愛かよ……!)

淡(ひっ……い、いや! ちょ、やめてってば! ほんと、やだから! 嫌! や、やだっ)


京太郎「なあ……」

京太郎「もう、離さないぜ」

淡「ひっ」

姫子「あはっ」

淡「い、痛いのはやらないよね?」

姫子「酷いことになりよっと?」

京太郎「……ああ」

京太郎「痛いし、酷いことになるだろーな」

淡「ひっ」

姫子「にひっ」


淡(ちょ、やだやだやだやだっ)

姫子(別におぼこやあるまいし、そげん道具の一つや二つで……)

淡(一つや二つじゃないから問題なんじゃん!)

姫子(……)

淡(……し、新道寺?)

姫子(涎が止まらんと。止まらんとねー)

淡(は?)

姫子(きょーたろ君がそこまで振り切っとったって、そいは流石にうちにも判らんかった)

淡(は……?)

姫子(そげん数ば試してくれるなんて……きょーたろ君はいい子やけん)

淡(もー、ほんとーに頭ん中どーなってんの!?)

姫子(だいじょーぶ、先っぽだけ。先っぽだけやけん)

淡(そーゆーこと言う奴が、それで済ますワケないよねー?)

姫子(そいは、勿論当然)

淡(うあー、も、やだー!)

姫子(だいじょーぶ、だいじょーぶ)

姫子(『だいじょーぶ』が『らいひょーふぅ』としか発音できんくなるだけやけん。だいじょーぶ)

淡(だいじょーぶの欠片もないよっ)

淡(や、やだからやめてってば! やだよっ! やだやだやだっ!)


京太郎「――オ、ラァッ!」


 急に抱き締められた――。

 などと、大星淡と鶴田姫子が感じた直後、それは起こった。

 強烈な後ろ蹴り。

 黒服の腹部にめり込んで、そのまま膝から崩れさせた。

 呻き声と、幾度と込み上げては垂れ落ちる胃液。紫色にみえるほど、真っ赤に染まった顔。

 それを繰り出した須賀京太郎というのは、実に平然とした顔で……


京太郎「……余計な音を塞いで、地面に直接くっついていたから、解ったんだ」

京太郎「『ここはすっかり囲まれていた』」

京太郎「やれやれなのかな、こいつはさ」


 などと、息を漏らしながら右手と左手で、握り拳を手のひらに打ち付けて音を立てていた。

 そしてそれから、搾るような吐息をひとつ。

 自らのリズムを整えて、肉体と精神のパフォーマンスを最大限に引き出そうと言うのであろうか。

 緩やかな構えのまま、京太郎は奇妙な呼吸音を繰り出した。


京太郎「この分じゃ、確実にバレるよなぁ……メンポないし」

京太郎「……まあ、なんにしてもさ。二人には指一本触れさせないから、安心してくれよな」

京太郎「さあ――――ショータイムだ」


淡「は?」

姫子「え?」


 呆然とする二人を尻目に、京太郎はバッグから取り出したゴムボールのようなものを投擲する。

 黒服の一名がそれを腕で払いのけ――


「いぎぃ!?」


 同時に弾けとんだボールから吹き出した液を顔に浴びて、悲鳴を上げた。

 ボール――にしてはやけに独特の形状のこれは、コンドーム。

 中学生の頃のイタズラで、限度まで水を入れたことがある人間なら判るであろうが、

 その際コンドームはバルーンアートのバブルじみた長さまで膨れ上がる。

 そうならないのは、予め京太郎が、過度に膨脹しないように加工しているからに他ならない。

 そして、手を加えたのはそれだけではない。

 詰められているのは、例の刺激水。

 さらには、その中身には幾多の画鋲が。

 この画鋲の為に、何か固いものや激しい質量で動くものに叩き付けられたとき、

 運動の慣性の残る画鋲が、さながら急ブレーキをかけた満員電車の乗客の如く殺到することで、

 コンドームの膜を傷付け破壊させ、内容液を周囲にブチ負けるのである。


 ……ちなみに。

 トイレで例のコンドームパンパン水ロケットをやったあと、処理をしなかったために学年主任と副校長が出張る騒ぎとなり、

 巡り巡って恋人と別れることになった人間がいたのは、余談である。

 水をパンパンにしても、トイレではパンパンしてないのに理不尽である。


京太郎「名付けて――」


 その、画鋲を含んだ縛られた先端の球体を、遠心力で伸びる持ち手で支える京太郎。

 薄緑色の尾をたなびかせながら、不気味な音を立てるコンドーム。

 振りかぶったそれを、回転の勢いそのままに、敵対する――あまりに唐突な現象に困惑する――黒服の顔面へと叩き付けた。

 破裂音。上がる悲鳴。 


京太郎「クラッカーヴォレイ!」


姫子「クラッカーやなくて、コンドームヴォレイよね」

淡「まったくもって!」

京太郎「クラッカーみたいに破裂するから、これでいいんですよ!」



829 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんというお下劣非人道兵器

830 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
これだけでは倒されたくない。屈辱すぎるw

831 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
荒木先生に土下座しろよwww

832 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:CHiLDPlay
これは何を武器にしてるんだ?

833 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
目の前の箱を使って、鶴田プロの言葉を検索だ!

834 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:CHiLDPlay
わかった。ありがとう!

835 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:niwakaOOO
……頭、痛くなってきた

836 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガにかかれば日用品も武器になるんやな(小学生並の感想)

837 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:sukoyA50
……日用品?

838 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
そ、そんな小学生いたら嫌よ!

839 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
おい

840 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんだなんだ?

841 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TOMOkiii
ちがうわたしじゃn



京太郎「更に――」


 取り出したゴムボール。

 それを投げつけるが、流石に事態を把握した男たちは受け止めようとはせず、巧みに躱す。

 足元で破裂するクラッカー(京太郎・主張)。

 ブチ撒かれた液体と画鋲。

 しかし、顔に降りかからなければ何でもない。

 ともすれば相手を侮辱するような武器に、激昂した男たちは意気強く一歩を踏み込み――


京太郎「あれ? 躱してもいいのか?」


 そのまま、勢いよく――滑った。

 地面さんと猛烈な勢いでキスする男の尻さん……の、間には邪魔物が。

 そう。画鋲である。

 またまた、悲鳴が上がった。


京太郎「へっへっへ、仕掛けさせて貰ったぜ?」

京太郎「その中には――ローションが入ってるんだよ」

京太郎「勢いよく踏み出したら、どーなるかは判るよなー?」


 傍目からでは、どちらがどちらかは判別不可能。

 受け止めるべきか、それとも回避するべきなのか。

 そう逡巡している間に、次々と須賀京太郎の攻撃が突き刺さる。


京太郎「『クラッカーヴォレイ Act.2』!」

京太郎「こいつはちょっとばかり、危険だぜ?」


 今度の内容液は、高濃度の揮発性の液体。

 着弾の衝撃。噴出の勢い。さらには画鋲が打ち鳴らす火花で着火。

 顔を庇った男たちの腕や背中で炎や爆発が巻き起こる。


京太郎「こっからは、オカルトスレイヤーの独壇場だ!」

京太郎「俺のステージだ!」


 用量がそれほどでもないため、大事には至らない。怪我も負わない程度の発火。

 だけれども、パニックには十分。

 なんとか避けようと、或いは火を消そうと駆け出し、それまで巧みに躱していたローションのスリップゾーンで足を取られる者。

 着火してしまった洋服の炎を消そうとして防御を忘れたところに、顔面への一撃を受ける者。

 まさに、地獄絵図だった。


淡「……ふつーに、引く」

姫子「……」

淡「どしたの? ショック?」

姫子「……」

姫子「……きょ、きょーたろ君が」

淡「うんうん、頭おかしーよね」

姫子「こげんハードなSMまで求めとったなんて……最高よ! 最高やけん!」

淡「うえっ、こっちも頭おかしーんだった!」

姫子「だいじょーぶ! こんあと、そいば楽しめるようになるけん!」

淡「なりたくないっ! なりたくなんかないっ!」

姫子「だいじょーぶ、痛かとは最初だけで次には気持ちよーなっとっとよ!」

淡「もうやだー! 助けてよ、テルー!」



853 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:KAMENride
こんなのちょっと……怖いです……

854 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:YOU908HTT
ひぇぇ……

855 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
流石にやりすぎだよね……

856 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:KUGYUUUU
誰かあのバカ止めろ

857 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
ocltslyr he is so KOOOOOOoooool!!
he is amzin! its really fntstic hero! fuckin good! fuckin crzy!
U make me crzy! so,very very very very very really fuckin craaaaaaaaazy nice!

858 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ramenMGDV
この流れからこの感想トハ……
いや、外人の感性は恐ろしいでスネ



京太郎「これで、粗方片付いたか?」


 やれやれと、溜め息を漏らす京太郎。

 辺りには呻く黒服たち。

 男たちが暴れまわったことで、惨々たる様を晒す広場。

 立っているのは、京太郎を含めて三人だけ。


京太郎「……離れるか、ここを」

京太郎(流石に、こうも連戦が続くとストレスが酷い……)

京太郎(相手には後遺症が残らないような怪我を負わせないようにして……それで、この人数)

京太郎(さっき闘り合った超人がかましてくれたダメージ。淡の発勁の分のも……)

京太郎(あんま、闘り合い続けるのは……無理だよな)


京太郎「二人とも、ここを離れよう。出きる限り、さっさと」

淡「……」

姫子「……」

京太郎「大星? 姫子さん?」

淡「なんで、逃げなきゃいけないの?」

姫子「流石にじょーだんで済ませるんは無理でしょう、こいは」

京太郎「……」

京太郎「……事情は、あとで説明するから。な?」

淡「やだ」

姫子「嫌やね」

京太郎「……は?」

淡「だって、どーみてもあんた犯罪者じゃん」

姫子「そげん奴に付き合えって、無理な話じゃなかと?」

京太郎「それは……」


淡「ふつーに、けーさつに電話するよね」

姫子「それがよかよね」

京太郎「それは――、それは……」

京太郎「頼む、それは……待ってくれよ」

淡「なんで?」

姫子「理由は?」

京太郎「その……あの……この人たちは、あの……」

淡「なんなの? 知り合い?」

姫子「そいなら、なんできょーたろ君と争っとーと?」

京太郎「……説明する。説明するけど、離れないと」

淡「だから、どして?」

姫子「理由は?」

京太郎「……俺のミスのせいで、二人が狙われてるんだよ」

淡「は?」

姫子「は?」

京太郎「わ、悪い……本当に悪いと思ってる」



淡「……」

姫子「……」

淡「……まあ、いいよ。須賀については許す」

姫子「意味もなかてこげん暴力、きょーたろ君が振るうとは思えんし」

京太郎「あ、ありがとう……」

淡「でも……だったらなおさら、けーかん呼ばないとね」

姫子「困ったらちゃんと警察ば頼りよるんが、一番よね」

京太郎「俺も、その通りだとは思う。思うよ……でもさ」

京太郎「そうなったら、そうなったあとの方がヤバいんだよ」

京太郎「絶対報復が来る。ことが、収まらなくなるんだ」

淡「……」

姫子「……」

京太郎「頼む、何を言ってるんだって思うかもしれないけど……頼む」

京太郎「俺がどうなったとしても、絶対に二人を護る。護り抜くから……」

京太郎「信用できないかもしれないけど、それでも二人を護らせてくれ。俺に護らせてくれ」

京太郎「二人が……大切なんだ。大好きで、護りたいんだ……!」


 それでも二人は、釈然としない顔である。

 当然だろう。自分が逆の立場でも、何を言ってるんだ……と思う。

 どう伝えたらいいのか、どう言えばいいのか判らない。

 こんなにももどかしい思いをするなら、もっと言葉を交わして置けばよかった。

 ぞんざいに扱いはせず、ちゃんと、優しく接していれば良かった。

 今となっては、そう――思う。


京太郎「――っ」

京太郎「新手、か……」


 そこへ乗り入れてきた、黒塗りの車。

 道端に転がる黒服たちを、たぐいまれなるドライバースキルで交わしていくと、京太郎のトラップ群を踏破する。

 流石に、怪我をさせない前提の装備では、車には対抗しえない。

 フロントガラスを砕くことなら可能だろうが、中に辻垣内智葉が乗っていることもあり得る。

 そのスモークの奥に、言い知れぬ不安を覚えた。


京太郎「下がってて、くれ」

京太郎「絶対……何があっても、二人には指一本触れさせない」


 これで、降りてきたのが辻垣内智葉であったのなら――。

 色々と手間取り、ことが大きくなりすぎたが、当初の目的通りに――大星淡と鶴田姫子への誘拐中止を伝えられる。

 まあ、間違いなく自分はケジメをとることにはなるが……身から出た錆だ。

 警察に伝えたなら、面子の問題で完全にどうにもならなくなる。

 それに、警察は万能じゃない。

 いや――強大な力を持ってはいるが、それを果たして十全に使用してくれるかは判らない。

 彼らが総力を上げて護るならともかく、そうでなく、そして何者かに付け狙われた場合、いつかは悲劇を生む。

 だから――こうするしかない。


 女性とのスキャンダル未遂に始まり、自分のミスに、ハンデのある戦闘に、負傷。

 溜まりに溜まったストレスと、初めて受ける二日酔いという現象に――自分は正常な判断力を失っているのかもしれない。

 二人を守らなければという、使命感じみた感情だけが強く焼き付く。


 車から、一人のスキンヘッドが現れた。

 外れだ――智葉ではない。

 いや、腕が立つであろうから彼女の護衛かもしれない。

 そして、そのハゲは――日焼けが激しいハゲは、車から一歩分京太郎に近付いて言った。


「じょうじ」


 じょうじ――譲二。それが名前なのか。

 ドアが開き、明らかなる巨漢が――筋肉質の大男が、車外に降り立った。

 思わず、息を飲む。


京太郎「――」


 アレと、この状態でやりあうのは不利だ。

 可及的速やかに、決着をつけなくてはならない。

 両足に力を込め、一息に飛びかかる――。

 そこへ。


「譲二」


 譲二という巨漢への呼び掛け。

 呼応して、繰り出される譲二の巨大な拳。

 カウンター。合わせられた。

 このコースは、不味い――。そう、脳内を警報が埋め尽くす。

 完全なる空中で、この速度で迫る拳を躱す術は、今の京太郎にはない。

 しまったと――目を見開き。


 譲二が、その巨体に相応しい手を見せる。

 バッと、空中に踊りかかる白い布。

 そこに描かれて/書かれていた文字は――。



 ――ドッキリ大成功!



京太郎「――」


京太郎「……は?」


 そんな幕に阻まれて、蹴りの威力が殺された。

 体勢を崩す京太郎の身体を、件の譲二が受け止める。

 そして、優しく下ろされた。


京太郎「あ、ど、どうも……」


 別に構わないと笑いかけて、譲二が車に戻った。

 入れ替わりに出てきたのが――辻垣内智葉、萩原、天江衣、三尋木咏である。

 誰もが、やり遂げたという顔をしていた。


ハギヨシ「困りますよ、大星プロ。本当に警察に向かわれたらどうするんですか?」

淡「だってさ、何かの間違いで相手に怪我させるかもしれないですよね?」

姫子「そいに……流石に、言わんと不自然かな、と」

咏「まあ、確かに平然と受け入れたらおかしいかもねぃ」

衣「これが特撮なら、判るけど……」

智葉「いや、それにしても二人とも……いい演技だったな」

淡「演技っていうか、半分は素?」

姫子「うちは、ドッキリ仕掛けるんはうち一人って聞いとったけん」

淡「私もそうだよ」

淡「だから、なんで鶴田プロと一緒にいるのー……って本気で思ったし」

姫子「なんか当初の予定と違うけん……あれ、『もしかして逆ドッキリ』なんて思ったとよ」

ハギヨシ「リアルな表情が欲しかったので、すみません」


京太郎「いつ、から……?」

智葉「私か?」

智葉「お前が嘘を言ったと気付いたのは――あの直後だな」

ハギヨシ「いやはや、流石ですね」

智葉「お前がやったと知っている私とお前はともかくとして……それ以外の人間にとっては」

智葉「『謎の無差別通り魔に事務所が襲撃される』」

智葉「という事件でしか、ないはずだよな?」

智葉「だったら当然、『ひょっとしたら次は自分のところかもしれない』――と、注意の呼び掛けが入る」

智葉「そうだろう?」

京太郎「……」

智葉「で、それがなかったので――おや、と思ってな」

智葉「そこの天江衣と、三尋木咏に連絡をとった訳だ」


咏「いやー、なんだろねぃ」

咏「ちょっと仕返しされたんなら、仕方がないかなって頷いたろーけどさ」

咏「さっすがにあんだけやられて……トラウマ寸前まで驚かされてさ」

咏「泣き寝入りなんてのは、性に合わないんじゃね? 知らんけど」


ハギヨシ「それで、三尋木プロと辻垣内プロが新たに計画を作って――」

ハギヨシ「『須賀京太郎へのドッキリに対する逆ドッキリに対する、逆々ドッキリ』」

ハギヨシ「を、仕掛けるさせていただきましたよ。ええ」

ハギヨシ「……あ、私ですか?」

ハギヨシ「流石に、衣様の前であんな演技をさせられたことへの不満がありましたので……」

ハギヨシ「まあ、『やられたらやり返される』のは常だと思わせていただきました」

ハギヨシ「多少は……お気付きになられるか、と期待したのですがね」

ハギヨシ「例えば……『何故私がバックアップにいながらも』」

ハギヨシ「『襲撃者の情報を伝達しなかったのか』、『こちらでも排除を試みなかったのか』など……」

ハギヨシ「京太郎くんが冷静でさえ居れば、気付く機会はあった筈です」


衣「衣はハギヨシに、『どうせなら生のオカルトスレイヤーが観たい』と言ったんだ」

衣「期待以上のものを観られて良かった! ありがとうな、キョータロー!」

ハギヨシ「その為に、良いアクションになりそうな方に急遽依頼を出させていただきました」

ハギヨシ「強いて言うなら……これが一番大変だったでしょうか?」

智葉「流石に洒落にならないから、スタントマンをエキストラとして使ったぞ」

智葉「色々と技能がある奴を選んだんだが……齧った程度じゃ、お前の相手にはならなかったな」


淡「ほんっと、こいつって無茶苦茶だよねー」

淡「さっきのも、最初は本気で何かと思ったんだから!」

姫子「うちらも、半分はドッキリん被害者よ」

姫子「『自分一人が須賀京太郎にドッキリを仕掛ける』、『恋愛面の素を暴』としか……聞いとらんけん」

淡「まさかの別の女。で、あの謎の戦闘シーンだから本っっっ気でビックリ!」

姫子「ほんっと、一体なんかと思ったとね」

淡「……」

姫子「……」

淡「でもさ」

姫子「ああ」

淡「ねえねえ、須賀っ!」

姫子「今、どげん気持ち? どげん気持ち?」

淡「『付き合いたい順』のラス2人相手にー」

姫子「すっごい真剣な顔ば作って……」

淡「『二人が……大切なんだ。大好きで、護りたいんだ……!』」

姫子「なーんて、歯の浮くよーな台詞ば言いよって」

淡「ねえ今、どんな気持ち? ねえ、今どんな気持ちなのー?」



950 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
このあわあわのドヤ顔

951 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
腹パンしたい
というか、頬っぺたを叩きたい
普通に二度と話しかけるなってガチ切れして怒鳴り付けたい
涙目のあわあわが見たい

やれ、スッガ

952 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なにこの人怖い

953 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんでや、あわあわかわいいやろ!

954 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっぱ、獰猛な笑みを浮かべたスッガは駄目か……

955 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
無理な姿勢で攻めに転じたから、カウンターも仕方ないね

956 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
今ごろ、心がマジミンチだろうな

957 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
普通にスッガの立場なら、ガチで疎まれてんのかと自殺を考えるレベル

958 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あ、猛奈丹摸鬼気託拿意が発動した



智葉「悪いな、須賀」

智葉「だが……他でもなく『逆手にとって仕掛ける』という手法を選んだ以上は」

智葉「またそれを、逆に利用されるのも然りだ」

智葉「今回はこっちが上手だったということだな」



998 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
復讐とは、実に無益なものなんだなぁ……

999 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
ちくわ大明神

1000 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
あのソフトクリーム美味しそうだったな

1001 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:Awaawaii
1000ならきょーたろーに、ちゃんとごめんなさいって言える

1002 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:SMSMHIMEko
1000なら流石にどっちもやりすぎ

1003 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
1000ならすぐに立ち直れる

1004 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:catchamber
1000なら大人としてやりすぎ



 ◇ ◆ ◇



京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……」

晴絵「やっほ、どうしたの? そんな、暗い顔して」

京太郎「……」

京太郎「……放っといて下さい。俺に光は似合わない」

晴絵「いや、放っといてって……」

晴絵「別にいいけどね……でも、それでもさ」

晴絵「それならそれで、もうちょっと笑いなよ。辛気臭い顔してたら、気になるだろ?」

京太郎「……」


京太郎「……俺に、良くもそんなこと言えますね」

京太郎「ドッキリで俺が追い詰められていくのは、そんなに面白かったですか?」

京太郎「ハハ……笑ってるんだろ? ……笑え。笑えよ……!」

晴絵「え? ドッキリ? 何?」

晴絵「いや、何のことか良く判らないんだけど……」

京太郎「……」

京太郎「……俺のこと、ハメた癖に」

晴絵「え?」

晴絵「なに言ってんのさ。ハメたのは、そっちの方だろ?」

京太郎「――」


晴絵「ハハ、なーんて」

晴絵「実は私も記憶がないからさ」

晴絵「実際何があったのかまでは判ってないんだよね――」


京太郎「うああああぁぁぁぁああぁああああァァァァァァァァ――――――ッ」


晴絵「――って、足速っ」


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【赤土晴絵の好感度が上昇しました!】

【辻垣内智葉の好感度が上昇しました!】

【ハギヨシの好感度が上昇しました!】

【天江衣の好感度が上昇しました!】

【三尋木咏の好感度が上昇しました!】

【大星淡の好感度が上昇しました!】

【鶴田姫子の好感度が上昇しました!】

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最終更新:2013年12月31日 13:16