淡「えっとねー、やっぱり一緒にご飯は確定でしょ?」

淡「学生ならファミレスってのもいいけど、私はもうちょっと客層が落ち着いてる方が好きだよ」

淡「美味しいの食べるの好きだから私はラーメンもオッケーだけど、匂いが付いたり髪の毛が大変だから気遣って欲しいな」

淡「あと、喫茶店で落ち着いておしゃべりーみたいのもいいね! ちょっと散歩したあととか、特に!」

淡「でも、サラリーマンの人たちに混ざるのも悪いから……そういうお店ならちょっと時間外して欲しいかも」

淡「一緒にショッピングってのも、私は好き! 色んなお店巡って、ああでもないこうでもないってコーディネート考えたり!」

淡「あとはプールとかボウリングとか、ちょっと身体動かすのもいいよね! そういう爽やかな感じも、オッケー」

淡「他にはうーん……映画とか? でも、二人で行くんなら映画の前評判くらいは確認しててよ?」

淡「あとはプラネタリウムとか! 動物園とか! アトラクションある遊園地もいいけど、あんまり待たされて話に困るとかはえぬじー」

淡「あ、別にカラオケとかゲームセンターでもいいよ? そういう、学生ーみたいのもたまにはいいよねっ」

淡「ちょっと高そうなレストランに行ったり、バーに行っちゃうアダルティなのもいいよ? そーゆーの、憧れるし!」

淡「あとはあとは、DVD借りてきて自宅デートとか! 一緒に夜、手を繋いでコンビニに行くときに星を見ちゃったり!」

淡「でね、きょーたろー。他にはさ――」


京太郎(……すっげえマシンガントーク)

京太郎(舌入れてキスしたら、少しは静かになるんだろうか、こいつ)

京太郎(……っと、電話か)

京太郎「……悪い、淡。ちょっと電話だ」

淡「むー」

淡「ん、いいよ? 出てきたら? 待たせたら悪いしさ」

京太郎「悪いな」

淡「そこは、『悪い』じゃなくて『ありがとう』だよ、きょーたろー」

京太郎「おう、サンキュー」

淡「他のお客さんのめーわくにならないよーに!」

京太郎「ラジャー、お姫様」

淡「ばーか」



785 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
この笑顔、曇らせたい

786 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:Terr3Terr3
私はお菓子づくりしたい

787 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
アウトドア系か……ツーリングとか一度でいいからしてみたいなぁ

788 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
趣味に理解がある人と、池袋……

789 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
特にないけど、一緒に買い物とかは好き……

790 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:MOKOTANN
あたま撫でてほしい

791 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:kituiA50
夢見んな。現実見ろ

792 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:sukoyA50
何年かしたら、君たちもそんなのはフィクションの世界にしかないって気付くから

793 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NIKEnazca
これだからスイーツは……

794 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
いくつかはやったことあるなぁ……デートではなかったけどさ

795 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
結構、やったことあるわね。……デートなら良かったのに

796 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:sukoyA50
神様、どうしてなの?

797 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:kituiA50
呪われろ、ホビットども



淡「~♪」

淡(……っと、あれ、きょーたろーの鞄?)

淡(ちょっと開いてて、中身出そう……)

淡「……ぶよーじんだなぁ」

淡「全く、きょーたろーってば。仕方ないんだから……」



800 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あっ(察し)

801 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あわあわ涙目ヤッター

802 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
こりゃ、スッガのケジメ案件ですわ

803 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
撤去しとけよwwwww



淡「え……」

淡(や、な……なにこれ……)

淡(なんで……なに……これ、何に使うの……? えっ……?)

淡(ここにあるって……デートって……まさか……)

淡(……ゃ)

淡(ムリ。ムリ。ムリ。ムリ。ムリ)

淡(無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理)

淡(無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理)

淡(無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理)

淡(いくらなんでも、無理……! 怖いよ、やだ、こんなの……!)

淡(助けて、誰か……)

淡(ちが、逃げなきゃ……逃げなきゃ、ダメだ――!)


京太郎「……ふう」

京太郎(辻垣内先輩、音信不通。ハギヨシさんでも見付けられねー)

京太郎(どうなってんだ? いくら、あの素早い辻垣内先輩でも……隠れ続けるなんて無理だよな)

京太郎(……デートの場所を伝えなきゃなんねーし、そんときには連絡付くよな?)

京太郎(そのときに、言わないと……流石に、言うチャンスはある筈だ)

京太郎(……)

京太郎(……それにしても、ハギヨシさんのあの言葉)


ハギヨシ『――ところで、ですけど』

ハギヨシ『私の聞いたところでは……今回の仕掛人は5人だった筈です。名前までは失念してしまいましたが』

ハギヨシ『いえ、私の思い違いかも……しれませんが』


京太郎(……どういう意味だ? まさか一人、ガチでお持ち帰りしちまったのか?)

京太郎(うーん)

京太郎(スタッフが撮影してるから、そういうのはないと思うんだけどな……)

京太郎(……)

京太郎(……マジなら、対応を考えねーと。ドッキリじゃ済まないんだからな)

京太郎(――って、淡!?)

京太郎(あいつ、何一人で店出てんだよ! あいつは知らねーかもしれないけど狙われてるんだよ!)

京太郎(くそっ、追わないと!)


京太郎「おい、待て!」

淡「ひっ」

淡(み、見付かっちゃった!? せんっぜん、距離稼げてないのに!?)

淡(や、逃げなきゃ……! 捕まったら、私……私っ!)

淡(は、走らなきゃ……!)


京太郎「ちょ、お、おい……! 何やってんだよ!」

京太郎「まさか、街中で鬼ごっこ……つー訳でもないよな? 流石にない」

京太郎(刺客……らしきものは、見えないよな)

京太郎(なんだか判らねーけど……とにかく、逃がさない。今は、離れる訳にはいかないッ!)

京太郎(街中で、俺から――逃げられると思うなよ!)


淡「……ゃ」

淡(やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ)

淡(足、速いって……! 速いよぉ……!)

淡(顔、凄い怖い……やだ、あんな須賀、怖すぎる……!)

淡(つ、捕まったら……やだ! やだぁ! そんなの嫌!)


京太郎「あいつ……また加速しやがった」

京太郎(なんだよ、あの鬼気迫る勢いは……)

京太郎(やっぱり、あいつのことを拐おうとしてる奴が……いねーよな)

京太郎(……でも、あんまり一人にもしておけねーのは確実だ。いつ拐われるか判ったもんじゃねえ)

京太郎(本気、出すか――!)


淡「~~~~~~~~~~~~~~~~っっっ」

淡(どうして? どうしてこんなことになっちゃった?)

淡(や、も、助けて! 足、限界なの!)

淡(やだよ、きょーたろー、あんな奴だなんて思わなかったよぉ……!)

淡(やだ、やだよきょーたろー……! いつもみたいなきょーたろーに戻ってよぉ……!)

淡(ひぐ、ぐすっ……うう、ひっく)

淡(……ダメだ。他人任せになんてしたら、ダメ。自分で――自力でなんとかしないと!)

淡(須賀から、逃げ切って……! 逃げ切って――)


淡「……ぁ」


淡(袋小路!? 行き止まり!?)

淡(や、に、逃げ――)




京太郎「――捕まーえた、っと」

淡「ひっ――」




淡「や、ぁ……あ……」

京太郎「おいおい、何いきなり走ってんだよ……驚いたぜ?」

京太郎「お前、意外に早いのな。なんか、運動とか好きなのか?」

京太郎「ハハ、ま、俺の敵じゃないけどな!」

淡「……ぁ」

京太郎「全く、これからデートだってのに……勝手に一人でどっか行っちまってさ」

京太郎「鬼ごっこのつもりだったのか? それにしても、ちゃんと考えろよ……そういうのは」

京太郎「あんまり突拍子もないことされると、俺だってどうしたらいいか判んなくなるだろ? な?」

京太郎「そこらへん、ちゃんと考えてからやれな?」

淡「……ゃ、ぁ」 カタカタカタカタ


淡「ぃ……ぁ、ご、ごめん……! ごめん……!」

淡「謝るから……! あ、謝るからぁ……!」

京太郎(……やけに素直だな)

京太郎(ま、いきなり驚かされたし……ちょっとは、意地悪な感じでもいいよな)

京太郎(ったく、ただでさえ疲れてるのにさ)

京太郎「なあ、淡」

淡「ゃ……は、はいっ!」 ビクゥッ

京太郎「ごめんじゃなくて……こういうときは、ごめんなさいだろ?」

淡「……ぁ」

淡「ごめんなさいっ、ごめんなさい! ごめんなさいっ!」

淡「ゆ、許して……! ゆ、許してっ! ぁ、ちが、許して……許してくださいっ!」


京太郎(……様子が変だな)

京太郎(誰かに脅されてるか、からかわれてるか――あとはなんだ? あれか、マジに反省してる)

京太郎(まあ、全力疾走したら息も乱れるよな。普通は)

京太郎(その分か? ……ったく、普段からお騒がせだよな。こいつさ)

京太郎「いや、そこまで謝られても……」

淡「……っ」

京太郎「ああ、まあ……でも、そこまでお前が言うのも珍しいし――許せばいいんだよな」

京太郎「確かにちょっと手間かかったけど、別に体力は使ってないしな」

京太郎「そーゆー訳で、別に許さない理由はないんだよな。許せばいいんだろ、許せばさ?」

淡「じゃあ――」


京太郎「――だが断る」

京太郎「この須賀京太郎の最も好きなことのひとつは、予想を『NO』と裏切ってやることだ」

淡「――」

京太郎「さあ、お仕置きの時間だ……Baby」

淡「ぁ……ぁ、ぁ……」

京太郎「これからちょーっとばかし、淡には『痛い目』にあって貰うが……」

京太郎「くれぐれも、大げさに騒いだりするんじゃねーぞ? 他人様の迷惑になるからな……」

京太郎(デコピンぐらいならいいだろ)

京太郎(……って俺、あのバッグ持ってきちまった)

京太郎(なーんか走りにくいと思ったんだよなぁ……デッドウェイト感じたっつーか)

京太郎(ここに置き去りにしたいぐらいだぜ、マジ)

京太郎(とりあえず、置くか――って、おお! やっぱり微妙にちがうな!) ドサッ


淡「……ぁ」

淡(このバッグ、さ、さっきの……!?)

淡(やだ……や、やだっ!)

淡「やだ、ゆ、許してよぉ……きょーたろー……!」

淡「痛いの、やだから……お願いだから、それだけはやめてっ」

京太郎「は?」

京太郎「いやー、それじゃあお仕置きの意味ないだろ?」

京太郎「ちゃんと、痛くないとさ」

淡「~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっ」


京太郎(……たかがデコピンに、なにこんなに怯えてんだ?)

京太郎(わっけ、わかんねーな……。いやマジ、本当にさぁ……なんだ?)

京太郎(なんか、嫌な思い出とかあんのか? デコピンに)

京太郎(勢い強すぎて、打った側の中指の爪が割れたっつーのは知ってるけどなぁ……)

京太郎(もしかして、瞼に当たって切れたりしたこととかあんのか?)

京太郎(そこまでじゃなくても、結構な痛い感じなのが……)

京太郎(……)

京太郎(うん、ちょっと気の毒だな……流石に)

京太郎(だから――)


京太郎「淡」

淡「……っ」 ビクゥン

京太郎「大丈夫だって、そんなスゲー痛くはならないから」

京太郎「お前が大人しくしてたら、すぐにさっぱり終わるからさ」

京太郎「変に動いたり抵抗するから、予定が狂っておかしなことになるんだよ」

京太郎(額狙いが瞼に行ったり)

京太郎「だから、お前次第だよ。痛いか、痛くないかってのは……さ」

京太郎「痛いの嫌なら、静かにして、大人しくしろよ。な?」


淡「――」


淡(や……ぁ、ああぁ……、あ、ぁ……!)

淡(ゆ、許してよ……許してよぉ……!)

淡(助けて……誰か、誰か……!)

淡(誰か、助けて――――!)


淡「ぁ……ぁ、あ……」

京太郎「安心しとけ、痛いのは一瞬だからさ」

淡「ぅ……」

京太郎(……デコピンにそんなトラウマでもあんのか、こいつ)

京太郎(流石に様子が尋常じゃねーよ)

京太郎(なんか……『これから無理矢理スカート下ろされてパンツ見られる中学生』みたいな怯えようだな)

京太郎(逆に心配になってきた……いやマジ)

京太郎「なあ、淡」

淡「……っ」

京太郎「別にお前が嫌だって言うなら、無理に俺はやんないからな」

京太郎「お仕置きなんてのは冗談なんだし……普通に、お前が嫌がることはしねーから」

淡「……」

淡「……ほんと、なの?」

京太郎「そりゃ、そうだろ」

京太郎「お前のそんな顔なんて見てて、気分がいいもんじゃねーよ」

京太郎「嫌なら、嫌だって言ってくれればいいからさ」


淡(……須賀)

淡(須賀のこと、信用していいの……?)

淡(はっきり言って最低の、鬼畜ド変態野郎だけど……今の今まで、変なことしてこなかったし)

淡(まだ……)

淡(まだ、ちょっとくらい、私の知ってる須賀を信用してもいいの……かも知んない)


淡「きょ、きょーたろー……?」

京太郎「ん?」

淡「私はちょっとさ、そういうのは……」

淡「い――」

京太郎「――オラァ!」 ドガァッ

淡「ひぃ!?」

京太郎「ったく……どこにでも居やがんのな、ゴキブリって奴はさ」

京太郎「本当にこいつら、図々しくて厚かましい生き物だぜ……」

京太郎「ちょろちょろと鬱陶しく動き回りやがって、さっさとおっ死ねよ……ゲスが」

京太郎(家族の仇が……のうのうと生きてんじゃねえ……)

京太郎「んで、悪い。話はなんだっけ?」

淡「ぁ……、ぁぁ……」 カタカタカタカタ

淡「……ぅ、く」

淡「私は、いや――」

京太郎「――ドラァッ!」 ドグシャァァア

淡「ひっ!?」

京太郎「一匹見れば三十匹って、よく言ったもんだぜ……ゲスが」

京太郎「火炎放射でも喰らわしてやろうか、畜生」

京太郎「ったく、ふざけやがって……。ゴキブリ共が……! 人間様の会話の邪魔するんじゃねーよ」

京太郎「靴、買い換えないとならないじゃねーか……クソッタレ」

京太郎「……」

京太郎「悪い、なんの話だった? もう一回言って貰えるか、淡?」

京太郎「いや、その……さ。何度もデカイ音立てて……ほんっと、悪いな、淡」

京太郎「次はやらないからさ、な? ごめんな?」

淡「あわわわわわわわ……」 カタカタカタカタ



820 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
俺なら漏らす

821 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
コンクリートに皹が入ってるんですが、それは……

822 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
脆かったんじゃないのかな(白目)

823 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
完全に流れ的には、ヤクザが「聞こえねーな」とか「ここ、暑いな」をしてるのと一緒だよな



淡(嫌だって言うならやめる、って……)

淡(嫌だなんて“言わせない”……喜んで、受け入れろってことなんだ……)

淡(嫌がることなんてしない、って……嫌がる顔を見せるなって……きっと、そーいうことだ)

淡(“痛いのが嫌なら”、“静かに”、“大人しく”……“受け入れろ”)

淡(きょーたろー……ううん、須賀は――こいつは……!)

淡(私のこと、脅してる。暴力で、従わせようとしてる……! 鬼畜ごーかん魔め……!)

淡(怖い、けど……)

淡(絶対……絶っっっ対、こんな奴のいいようにはされない……! 思い通りになんて、なってやるもんか……!)

淡(私、負けないっ! 負けないから――)


京太郎「――ッ、オラァ!」


淡(――)

淡(――へっ?)

淡(え? 今、頭の横、何? 何かが、びゅんって……何? なんなの?)

淡(あんなの、当たったら危ないって……いくらなんでも、じょーだんじゃ済まないから)

淡(目付きが、気に入らなかったからやったのかも……?)


京太郎(うわ、マジかよ……今の大雀蜂だよ。長野だとよく見たけどさ)

京太郎(今投げたので、危機感もって逃げてくれたらいいんだけどなぁ……)

京太郎(……あー)

京太郎(だよなぁ、余計に興奮させちまうよなぁ……)

京太郎(逃げよう、っと……最初からそうしとけばよかったな。ちょっと淡に接近して、ヤバそうだったとは言え)

京太郎(ここ、クソッタレのゴキブリ野郎共も多いし……いても意味ないな)

京太郎(逃げるんだよぉぉおー!)


京太郎「……淡、行くぞ?」

淡「……へ?」

京太郎「ここに居てもしょうがねーし、さっさと場所を移すぞ」

京太郎「ほら、早くしないと痛いじゃ済まねーことになるからさ」

京太郎(都会っ子のこいつは、雀蜂への対処とか慣れてなさそうだ)

京太郎(もしかしたら一度刺されてるかも知れないし、危ない……かも?)

淡「……っ」

淡「な、なんで私があんたの言うことを聞かなきゃダメなの!」

淡「脅せば従うなんて思ってるんなら、絶対にそんな考えには――」


京太郎「――うるせえ」


淡「――」

京太郎「ごちゃごちゃ言ってる暇はねーから、さっさと行くぞ」

淡「や……!」

京太郎「おら、こい。ふざけてる場合じゃないんだよ! 歩け!」

淡「だ、誰が……! あんたなんかに……!」

京太郎「~~~~~~~ッ、さっさとしろ! 死にたいのか、なあ!」

淡「ひっ」

京太郎(流石にあんなに仲間を呼ばれたら、打ち落としきれねーぞ。やっべえ)

京太郎(この間も、お年寄りが被害にあったって聞くしなぁ……)


淡「うぅぅ……」

淡「う、ぅぅぅう……!」

淡「……ひ、ぐっ」

淡(青筋浮いて……怖い。こいつの顔が、初めて、怖い)

淡(力強くて、逆らえないって……何、なんなの、これ……)

淡(しょ、正面から言っても……ダメだ。無理。絶対、こいつに無理矢理やられちゃう)

淡(従ったふりして……ムカつくし気持ち悪いけど、こいつに従ったふりして……)

淡(油断させて、そこを突くしかない……!)


 ・
 ・
 ・


京太郎(……疲れた)

京太郎(なんか大星の奴、やけに固いっつーか頑なっていうか……様子が変だった)

京太郎(デートについては、伝えた)

京太郎(何としても来るように、誠心誠意、丁寧に伝えたから大丈夫だと思う)

京太郎(……大丈夫だよな?)

京太郎(……)

京太郎(……ふう。これからどうすっかね)

京太郎(『実は5人でした』とか、そういうのを今さら言われても困るよなぁ……)

京太郎(あー……)

京太郎(初めて二日酔いになって、酒の不祥事ドッキリがきて、それでこれって……)

京太郎(なんか、頭がガンガンして思考が纏まらないんだよなぁ)



846 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ところで、どうやってスッガを酔い潰させたんた?確か、強いって話よな?

847 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ああ、確かに。なんかお酒に強そうだよな

848 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ウォッカのポカリ&レッドブル割り、らしいな

849 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なにそれは(驚愕)

850 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
※ただスガ

851 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
常人ならヤバイ。殺人罪に匹敵するカクテル

852 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
でもスッガならバラエティになる!不思議!



京太郎「さて……これから、どうするか」

京太郎(辻垣内先輩に連絡がつかないんだけど……冷静に考えるなら、先輩も二人を拐いに来る以上――)

京太郎(俺に、デートをどこでやるのか聞いてくる筈だよな。確実にさ)

京太郎(そこが最後のチャンス……だ。説得をするなら、そこしかない)

京太郎(そのチャンスを行かさないと――俺は)

京太郎(……)

京太郎(……っと、電話!?)


京太郎「はい、もしもし――」

姫子『ね、おにーさん。どげん下着ば履いとっとー?』

京太郎「人違いです。俺に妹はいない」

姫子『ちょ、ちょっと――』



857 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ちなみにそれぞれ、最低値の評価

ころたん→二人はホモ♂キュア マッスルハード
うたたん→ガチ鬼畜サイコパスロリコン
ガイト姐さん→衝動的にヤクザの事務所にカチ込んで制圧するはしゃぐ世紀末覇者
姫子→せっかくきょーたろ君が悦ぶ道具選んだのに……!
あわあわ→どう見ても犯罪者やヤクザにしか見えない口調や言動で脅される

858 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
うーん、このアベンジャースッガ……

859 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
性的な方さん流石です



京太郎「……もしもし?」

姫子『うち、今は裸にエプロンば着けとーとよ? きょーたろ君、見たかと?』

京太郎「セールスお断りです」

姫子『あ、ちょ――』


京太郎「……もしもし?」

姫子『は、ぁ、ん、んんっ……ぁ、きょーたろ君、きょーたろ君っ』

姫子『あ、ふ、んんっ、そこ、ぁ、凄か……! 何度も何度も、ぐりぐりされて、気持ちよかぁ……!』

姫子『ぁ、ん、や、凄、凄かて……! んん、んっ、あ、は、ひっ……ふ、ぅ、んんっ』

京太郎「……マッサージチェア?」

姫子『ん、正解とー。よく、わかりよったね……きょーたろ君』

京太郎「何となく、パターン的にそうかと」

姫子『パターンが判りよるなら、相性がよかちゆーことやけんな!』

姫子『そいで、うちの声でえっちな気分になっとーと?』

京太郎「……切りますね」

姫子「あ、ちょっ――」


京太郎「……」

京太郎「……はぁ」

京太郎「……やべえ、俺。何を守る為に戦うんだろう」


京太郎「……。……もしもし?」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「……なんすか?」

姫子『黒と黒縁のピンクの、どっちがよかと?』

京太郎「何がっすか?」

姫子『好きな下着の色ば、聞きとーよ?』

京太郎「……ショッキングピンクで」

姫子『そ、そげな色ば履きよるんか、きょーたろ君は!?』

京太郎「俺は履いてねえよ!」

姫子『ああ、着けとーと?』

京太郎「着けてもねーよ!」


京太郎「……。……はぁ、もしもし?」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「……。……なんすか?」

姫子『緑とピンクと紫、どれがよかと?』

京太郎「……何がっすか?」

姫子『ゴムん色』

京太郎「……。……」

姫子『コンドームん色よ?』

京太郎「二回も言わなくても聞こえてますから! っていうか、聞いてどうすんだよ!」

姫子『どうするって……そいは、勿論――』

姫子『ハッ……』

姫子『ま、まさか……きょーたろ君』

京太郎「……。……。……なんすか?」

姫子『うちとんときには、ゴムば使う気なかか!?』

京太郎「うるせえ黙れ」

姫子『そ、そんな鬼畜に手籠めにされよるなんて……正直、感じちゃう――』

京太郎「さよなら」


京太郎「……。……はい、もしもし?」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「……。…………。…………用件は?」

姫子『後ろなら妊娠しないからって、生はいけん――』

京太郎「――言わせねーよ! 言わせねーからな!」


京太郎「……はぁ、もしもし?」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「只今留守にしております」

京太郎「用件がおありなクソド低能はクソ今すぐ首を括ってクソあの世から電話をクソ折り返しクソおかけください」

姫子『……クリを括る? クリば括ると?』

京太郎「黙れよあんたいい加減にさぁ!」

姫子『きょーたろ君が黙らせてくれよるん? ……って、まさか公衆の面前で口臭ば気にするようなことになりよるぐらいん量ば出す――』

京太郎「――ほんっっっと、頼みますから黙ってくださいよ! いい加減に!」


京太郎「……」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「……」

姫子『……きょーたろ君?』

京太郎「……」

姫子『きょーたろ君、うちんことば嫌いになりよったん?』

姫子『……はしたなかか、そいもしょーがなかよね』

姫子『でもうち、きょーたろ君とあんま喋ったことがなかったけん、話題が思いつかんとよ』

姫子『きょーたろ君のこと、怒らせるつもりはなかと……』

姫子『ばってん……ただ、なんか話とらんときょーたろ君に嫌われるんやなかち不安で不安で……』

京太郎(まさか、幻の六人目って……)

姫子『まあ、放置プレイで今は「ぅふ、あぁん」なんやけど!』

京太郎「もう喋るな。話が噛み合わねー」 ブツッ


京太郎「……」

姫子『きょーたろ君、きょーたろ君』

京太郎「……」

姫子『は、ぁ、い、今きょーたろ君のことば考えて、うつ伏せてお尻突きだして――』

京太郎「……」 ブツッ


京太郎「……」

姫子『きょーたろ君、きょーたろく――』

京太郎「……」 ブツッ


京太郎「……」

智葉『京太郎――』

京太郎「……」 ブツッ

京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……あっ」


京太郎「あわわわわわわわわわわ」

京太郎「あわあわあわあわあわわわわわわわわ」

京太郎「り、リダイヤル……リダイヤルを……!」

淡『……もしもし、呼んだ?』

京太郎「呼んでねーよ! 黙ってろタコッ!」

淡『ひっ』

京太郎「やっべえ、これはやっべえよ……」

京太郎「駄目だ、通話中だ……」

京太郎「メール送って……って、メアド変わってる!? 電話番号しかわからねー!」

京太郎「SMSは……駄目だ。通じない……」

京太郎「……」

京太郎「……もういいや」

京太郎「大星と姫子さん呼び出して二人事情話て、辻垣内先輩からなんかあっても口裏あわせて貰えば――」

京太郎「あ」

京太郎(……六人目の件、どうする?)

京太郎(二人のどっちかが六人目なら、顔を合わせさせるってのは――不味いんじゃないか?)

京太郎(……いや)

京太郎(今さら、不味いとか不味くないとかそーいう話じゃ……)

京太郎(いやでも、これは……)


 ・
 ・
 ・


京太郎(……そうこう考えているうちに、デート時間になっちまった)

京太郎(よく判らんアミューズメント施設だ。最近オープンしたばっかりの)

京太郎(水族館、プラネタリウム、映画館、ゲームセンター、ボウリング、カラオケ、アトラクション……)

京太郎(正直、ごった煮過ぎて訳が判らない)

京太郎(ここなら人混みで撒ける――というのがあるけど、同じくらい襲撃者の区別が付かない)

京太郎(正直、避けたいんだけど……あっち二人が揃って行きたいなんて言うんだもんな)

京太郎(つーことは、本来のドッキリ的にここに何か仕掛けられてるってことだ)

京太郎(あとは、番組での施設宣伝も兼ねたのか? 知らんけどさ)

京太郎(幸い、今日が平日だからあんまり人がいないってのは助かった)

京太郎(あとは、あの二人を護る……決して襲撃者と会わせない)

京太郎(そんで、極めて穏便に、後遺症なく、こちらの素性を隠して、襲撃者を撃退する)

京太郎(……待てよ)

京太郎(そもそも、知らせてないし襲撃者が来る……とはあんまり思えないんだけどな)

京太郎(ああでも、あの二人が“当初の予定ではどこ誘うか”から逆算されるかもな)

京太郎(……)

京太郎(色々ありすぎたのと二日酔いで、碌に頭が回らないのが困り者だぜ)

京太郎(まあ、襲撃者とニアミス一つさせないであいつらを護れれば――)


淡「あっ」

姫子「あ」


京太郎(ニアミスぅぅぅぅう!?)

京太郎(確かに襲撃者とはニアミスさせてないけどな。サマルトリアの王子ばりに尻尾も掴ませてないけどな)

京太郎(だからって、こっち二人のバッティングも駄目だろ!)

京太郎(バッティングセンターにギガスラッシュゲーのロト剣コントローラー持っていくぐらい駄目だ)


淡「あれ、鶴田プロ? こんにちは」

姫子「あ、大星……プロ。こんにちは」


京太郎(やっべー、何だろう)

京太郎(とても和やかな風なんたけど、二人の間がロンダルキアにしか思えないんだが……)


淡「こんなところでどうしたんですか? 奇遇ですねー」

姫子「こげなとこにいるっとゆーたら、そいはデートに決まっとるよ」

淡「ああ、そうですよねー」

姫子「そうよ」

淡「……」

姫子「……」


京太郎「あわあわあわあわあわわわわわわわ」

京太郎(そういえばこの二人は、高校時代に団体戦で戦ったことがある程度の仲だった)

京太郎(それか? その所為で何となく空気が悪いのか)

京太郎(マジかよ……勘弁してくれよ……)

京太郎(どっちかガチだとしたら、完全にヤバいパターンじゃねえかよ……)


淡「……!」

姫子「どげんしたと?」

淡「いや、なんか彼に呼ばれた気がして……」

姫子「かー、熱か。アッツアツやねー」

淡「そうなんですよねー。彼ってば、私のことを放してくれなくてー」

淡「打ってる最中も、『ずっと俺のことを忘れずに考えとけー』……なんて」

京太郎(初耳だな)

姫子「そいは羨ましかねー。ばってん、うちらの絆も相当なもんやけんね」

淡「白水哩……さん、でしたっけ? 今日も二人で?」

姫子「そげに、四六時中一緒におるわけやなかとよ? 今日は、彼ちデートでもせんかーって」

淡「へー! 彼氏とデート!? すっごい奇遇じゃん!」

姫子「なんなら、Wデートも悪くなかかね?」


京太郎(無理だから。勉図みたいに彼氏が被ってるから。重なってるから)

京太郎(確かにある意味はWデートだよな。彼氏、ダブってるからさ)

京太郎(むしろダブルどころか、ハーフにされちまうからな。Wデートだけど彼氏の愛も体もハーフサイズだからな)

京太郎(流石に身体が縦に半分こ、とか死んじまうから)


姫子「……!」

淡「どしたの?」

姫子「呼ばれた気がして……」

淡「ふーん」


京太郎(これは不味いぜ……不味いって……)

京太郎(なんで俺、こんなラブコメめいた胃の痛さを味わってんだよ……)

京太郎(あー、なんもかんも政治が悪い)


姫子「彼氏さん、どげん人と?」

淡「えー、私の彼ですかー?」

淡「まず身長は180センチ超えてて、スポーツ万能で、イケメンで、高学歴で、バリバリ働いて年収も高いかなー」

京太郎(お前どんだけ見栄張るの!?)

京太郎(……って、一つも嘘がなかった。すげーな俺。完璧超人じゃねーか)

京太郎(なのになんでモテないんだよ。世の中間違ってるだろ……)

姫子「へー」

姫子「うちん彼と一緒やねー」

淡「そうなんですか? ほんっと奇遇ー」

姫子「まさか、同一人物やったりしてねー」

淡「あははは、それ、面白いかも」


京太郎(そうです。そのまさかです)

京太郎(何一つ面白い要素ねーよ! むしろ“面(おもて)”が白くなってるだけだから!)

京太郎(顔面蒼白通り越して、死化粧になっちまってるからな!)

京太郎(やっべえよ……やっべえよ……)


淡「でも、付き合うんならやっぱり麻雀に理解が欲しいですよね」

姫子「そうねー」

淡「打てるんですか? その彼氏さん」

姫子「んー、まあそいなりに打てる方やね。控え目に言って上位ランカーくらいやけん」

淡「へー! 強いんだ!」

淡「控え目に言って上位ランカーって、かなりじゃん!」


京太郎(いやいや……)

京太郎(控え目じゃなくて、そのままズバリ上位ランカーだからな)

京太郎(上位ランカーは上位ランカーであって上位ランカー以外の何者でもないから)


淡「じゃあ、だったらだったら……Wデートついでに、4人で卓を囲んじゃったり!」

姫子「うちは全然、構わんよ?」

京太郎(三麻になるけどな。三麻だけどな)

姫子「でも、そっちの彼氏さんは打てけると?」

姫子「楽しく打ちたくてん、ばってん、レベル差があったらあんま楽しめんよ?」

淡「あ、だいじょーぶですよ」

淡「まあ、私の彼は……調子いいときの実力から言ったら2位クラスなんで」

淡「こう、巧みに攻撃を掻い潜ってビビビーバチィって、私の胸に稲妻走らせるくらい強いから」

淡「あそこまで電気ショックな体験だと、恋に落ちちゃうよね」

姫子「ひえー、凄かねー」

淡「でしょ? 自慢の彼氏なんだから!」

姫子「まあ、うちん彼氏は……上位ランカーは上位ランカーでん、こう、2位なんやけど」

淡「へー、そっちも2位? 奇っ遇ぅー!」

姫子「的確に打ち込んできて、手ば進めさせんように痺れさせて」

姫子「そんで最後には、雷落とすみたいな和了やけん……どうしてん魅せられるよね」

淡「へー、やるぅー!」

姫子「ま、自慢の彼氏とね」


淡「まあ、私の彼氏は2位は2位でも超ブーストしてある強さなんだけど」

淡「もう、2位ってレベルを超えた2位かな? スーパー2位的な」

姫子「へー」

姫子「やけん、うちん彼氏も2位は2位でん……キメラ的な2位やけんね」

姫子「8位の視力に、7位の鋭さに、3位の固さに、9位の速さに、12位の精密さに、4位の必殺率やけん」

淡「へー」

姫子「……」

淡「……」


京太郎(お前らなんで2位に拘ってんの!? そこは嘘でも1位とか言っとけよ!)

京太郎(あれなのか? 1位って言うと欲張り過ぎだから、控え目で2位なのか?)

京太郎(それともお前ら、ホルホースなのか? ホルホース好きなのか?)

京太郎(ナンバー1よりナンバー2なのか? 銃は剣より強しとか言っちまうのか?)


京太郎(とりあえず、待ち合わせ場所変えるようにメールして……と)

京太郎(……)

京太郎(……ま、俺風に言うなら『拳は剣より強し』ってとこか?)


 ゆらりと、身を起こす。

 剣呑そうな雰囲気を湛えた一団を見やり、静かに息を絞る。自然と丹田に力が宿る。

 そのまま、一歩。

 踏み込むと同時に左の掌底。強烈な一撃で脳を揺さぶり、戦闘不能に。

 更に、二歩。

 踏み出しを兼ねた体重移動と共に繰り出された右足が、地面すれすれを這い、足を崩して転倒させる。

 そして、三歩。

 足払いを行った右足で地面を踏み締めると、後ろ回りに繰り出される直蹴り。横蹴りが、腹部にめり込み悶絶。

 四歩目。

 蹴った左足が地を捉えると同時に、飛び上がる京太郎の身体。

 両膝が顎先を捉えて、一名が白目を剥く。重力を振り切る運動エネルギーを持った、強烈な一撃。

 着地、せず。

 空中で左右に繰り出される二本の足。両側に伸びるそれが、二人の男の顎を射抜いた。

 その後、落ちる身体。地球の縛りを取り戻す肉体。

 両足で接地。これが五歩と六歩。


 紫電一閃。

 電光石火。

 疾風迅雷。


 六歩で六人を戦闘不能に。一歩で、一人の自由を奪う。

 これこそが須賀京太郎。

 これが――オカルトスレイヤー。


京太郎(……突き止められた、ってことか?)

京太郎(ま、あの二人を守りながら戦うってのは……そう難しいことじゃないぜ)

京太郎(覚悟はいいか? ……俺はできてる)



886 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
この、ほのぼの日常系に紛れ込んだバトル漫画感

887 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
いま、3秒かかってなかったぞ……?

888 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
実際スッガはすべてにおいて一流なんだよなぁ……

889 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
周りが超一流だから仕方ないね

890 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
流石は麻雀以外を極めた男……

891 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
格闘家や軍人の強さって言うよりも、完全に野性動物の強さ。生物として次元が違う

892 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あれ?いつからここはドラゴンボールの世界になったっけ?

893 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
流石、ワイヤーなしのワイヤーアクション!

894 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
おいおい、雑技団か…

895 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
相手が悪かったんや…

896 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ultraQhna
実際、明らかに須賀プロの方が強すぎましたからね
テレビで見る格闘技は、強い人間VS強い人間やからあんまそうは感じんけど
片方を素人にしたら、同じ感じにハッキリとレベル差が表れるますんで

897 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ARKWbjDrK
あとは、須賀プロが筋肉をしなやかに鍛えてて、新体操とかタンブリングとかフリーランの影響で身軽やから
そのせいで、三次元的な動きが加わって派手に見えるんやないかなぁー

898 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
軍人の堅実な強さ、格闘家の鋭い強さって具合にそれぞれ“強さの見せ方”が違うのと同じで、
これもまたベクトルが違う強さだね。空間殺法……みたいな

899 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
相手の実力が同じぐらいなら、もうちょっと派手さはなくなると思うよ
まあ、そっからの読み合い騙し合いが須賀プロの本質だろうけどさ

900 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
どうしてこんな風になってるんだよ……

901 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
麻雀プロってなんだっけ?(白目)

902 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
拾参號立会人 須賀京太郎

903 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
速すぎて見えなかったんだけど、誰か解説してくれ

904 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
俺も俺も

905 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
まず、左足からの踏み込み
同時に右手で相手の左手をとってガードを崩し、左の掌底を一撃
それから後頭部に左手を引っかけ地面に倒しつつ半回転して、同時に回る右足で二人目に足払い
右足をついて相手に背中を向けた状態からまた半回転で、後ろ回し蹴りを三人目の腹部に一発
反動で戻って足がつくと同時に跳躍
両膝蹴りを四人目の顎に叩き込みつつ、頭部に跳び箱のように手をついて跳び、
両足を広げて、それぞれ左右にいた相手の顎に足刀
そして着地、です

906 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:niwakaOOO
最後の着地抜くと、実質的には三歩しか地面に足ついてないって感じ

907 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なにそれは……というか解説できる人が何者……?

908 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あ、スロー再生きた

909 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
もう(番組の趣旨が)わかんねぇな…

910 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:noWYNWDNO
ちなみに噂によると須賀プロのパンチ力は30トン、キック力は90トンらしいです

911 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
人、間……?

912 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
流石にデマでしょう、それは

913 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
須賀プロリアルニンジャ! ダイテ!

914 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ramenMGDV
ヤクザじゃニンジャに勝てませンネ

915 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TOMOkiii
麻雀を極めると肉体も強くなるという風潮

916 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
人間やめすぎ…



京太郎「お待たせしました、姫子さん」

姫子「今来たとこよー」

姫子「そいより、きょーたろ君?」

京太郎「ええ。……似合ってますね、可愛いですよ」

姫子「きょーたろ君も、ジャケット? 似合っとるよ」

京太郎「ありがとうございます」

京太郎(白色の文字Tシャツに黒のハーフトップ。そしてホットパンツか)

京太郎(……アリだな)

京太郎(この人はスタイルはそこまででもないんだが太股周りが実にエロいというか性的というか淫らというか……全部同じことだなおい)

京太郎(然り気無くTシャツはダボついているようで丈が短く僅かながらにお臍が覗くというセクシャル仕様だ)

京太郎(俺はおっぱいが好きでありいやむしろ男である以上巨乳が嫌いな奴など存在するはずもないだろうが)

京太郎(やはり足も足で魅了があるというか臍周りとかマジセクシャルというか腹と足には女の性格が出るよねというか)

京太郎(なんかスタイルがそこまででもない女の子がセクシャルなアピールをしているというのは却ってエロス溢れる素敵であり)

京太郎(そのアンバランスさにこそかの偉大な画家たちが見出だしたエロチシズムというのが存在しているのではないか)

京太郎(そう疑ってはならないというかもう俺ゴールしてもいいんじゃねエロい彼女とかそれはそれで十分だよねお腹一杯だよ)

京太郎「……行きましょうか」

姫子「うん」


姫子「きょーたろ君、きょーたろ君」

京太郎「なんですか?」

姫子「んー、豆知識なんやけどね」

京太郎「はい」

姫子「あっこが左に広がってるようなら左手でしてて、右のようなら右手らしかよ?」

京太郎「……何が」

姫子「オナニー」

京太郎「……」

姫子「自慰行為」

京太郎「言い直さなくても聞こえてますよ、畜生!」

姫子「そ、そげに大声出さんくても……恥ずかしかぁ」

京太郎「あんたの発言の方が一兆倍恥ずかしいですから!」

姫子「なん怒っとるん? ……って、ああ」

京太郎「その先は言わなくていいです」

姫子「豆知識やのーて、もちっと下の方の知識やったね」

京太郎「言うなって言ってるでしょうが!」

京太郎「間違えてるのそこじゃなくてあんたの頭全部だからな!」

姫子「ちなみに豆さんに通っとる神経は男のそいと同じやけん、小さい分優しく扱っとーね?」

京太郎「女の下ネタはリアクション取りづらいんだよ!」


姫子「女の……って、やっぱ男同士ならすると? そげん話ば」

京太郎「……まあ、多少は」

姫子「どげん手錠ば使っとるとか、どげん格好で写真撮ったとか、どげん縛り方が好きかとか」

姫子「どげん風に尻ば叩いたとか、どげん風に目隠ししよるとか、どげん感じで調教したとか……」

京太郎「なんでSしか居ないんだよ!」

姫子「だって、きょーたろ君はSっぽいけん」

京太郎「事実無根。俺は至ってノーマルです」

姫子「男根?」

京太郎「誰も、んな話してねーから!」

姫子「巨根?」

京太郎「言い換えても意味がまるで変わってないですからね! 結局男の局部の話しかしてないですから!」

姫子「きょ、局部って……きょーたろ君のえっち」

京太郎「鏡見ろあんた頼むから」

姫子「……ハッ」

京太郎「その、『この人鬼畜過ぎて引くわー』って顔を今すぐやめてください」

姫子「……きょーたろ君が、鏡ば使って『ほらこんなに咥え込んでるぞげっへっへ』プレイばしたかっち言うけん」

京太郎「……殴りますよ?」

姫子「やっぱ、Sとね。Sやけん」

京太郎「ああ、クソ……本当にこの人とは話が噛み合わない……!」

姫子「反省ん後悔んしてなかよ?」

京太郎「そっすか……」

姫子「お仕置きしてもよかよ? あっこの多目的トイレとか、お勧めやね」

京太郎「多目的にそーいう目的は含まれてません!」


京太郎「……ほら」

姫子「ん? なんしょっと?」

京太郎「手。手ぇ出してくださいよ。デートなんだから」

姫子「……」

京太郎「……なんすか?」

姫子「な、なんでんなかよ?」

京太郎「……そっすか」

姫子「……♪」

姫子「えへへ、きょーたろ君は優しかねぇ」

京太郎「……そー思うなら、もちっと労ってください」

姫子「そいとこいとは、話が別とねー」

京太郎「……指、握り潰すぞ」

姫子「大歓迎よ?」


 ・
 ・
 ・


姫子「そいでね、そんときぶちょーが花田にね」

京太郎「面白い人たちですね、新道寺の皆さん」

姫子「そげんこと言っとるけど、きょーたろ君も新道寺メンバーと知り合っとーって聞いとーよ」

京太郎「ああ、江崎先輩。あの人も面白い人だったなぁ……」

姫子「しっかりしとる人っちゃんねー」

京太郎「しっかり……っていうか、ちゃっかり……?」

姫子「へ?」

京太郎「いや、確かに真面目は真面目でしっかりしてるっちゃしてるんだけど……」

京太郎「一番一般的な意味で大学生っぽかったのは誰かって言われたら、あの人なんだよなぁ……」

姫子「へー」

姫子「どげん風に接しとってん、人は変わるもんなんかねー」

京太郎「そっすねー」

京太郎「……っと」

京太郎(大星との待ち合わせ時間がそろそろだな……。あいつ、何か早く来てたけど)

京太郎(あとは、ハギヨシさんから連絡……追っ手だな)

京太郎(大星と、こっちか)

京太郎「すみません、ちょっと仕事の電話が……」

姫子「えー」

姫子「デート中なんに、仕事ー?」

京太郎「いや、すみません……本当に、申し訳ない」

姫子「……んー」

姫子「ま、よかよ。きょーたろ君は人気者やけん、仕方なかとね」

姫子「うちは、そこで服ば見とるから気にせず電話ばしてんよかよ?」

姫子「ばってん、あんま待たせんといてなー」

京太郎「了解っすー」


京太郎(……さて)

京太郎「もしもし、淡か?」

淡『……もしもし?』

京太郎「お前、今どこにいる?」

淡『どこって……。まだ着いてないけど』

京太郎「……そうか」


 路地裏を歩く男が、曲がり角で突如倒れこんだ。

 足元に張られたワイヤー(正確に言うならテグスである)。それに、突っかかったのだ。

 ワイヤーのその先、止められたテープが弾け飛ぶ。

 テープには、画鋲が打ってあり――画鋲はあるものに穴を穿ち、そして止めていた。

 あるものとは、たらふく水を詰められて限界まで張り詰めたコンドーム。

 水圧とゴムの収縮により、勢いよく吹き荒ぶ内容液が、先頭の男の顔に降り注ぎ――


淡『どしたの? 何か、あった?』

京太郎「ん? 何が?」

淡『何か、変な叫び声が聞こえたから……』


 刺激物――恐ろしい量のタバスコなどの香辛料を混ぜ入れられていた、殺人カクテル。

 目や鼻に入れば、それなりに戦闘不能に追い込めるであろうブービートラップ。

 よろけた男が、近くのごみ箱を蹴飛ばした。それと同時に立ち上る、白煙。

 近頃は便利なもので、爆発させることなく缶に穴を開ける道具が売っている。予め取り付けて塞いであったそれが、放たれたのだ。

 制汗剤のスプレー。さらにその先には、粉末とされた唐辛子。

 即席の催涙ガスだ。あまりにもチープだが、これでいい。


京太郎「どっかで、喧嘩でもしてるのかもな?」

淡『危なくない? 大丈夫?』

京太郎「心配してくれんのか?」

淡『ばっ……だ、誰があんたなんか! 相手の心配だから!』


 連鎖する噴出。

 光を集めやすいように黒く塗ったペットボトル。その周囲には光を反射するアルミシート。

 内容物は純度が極めて高いアルコール。こちらもやはり封がしてあり、衝撃を受ければ容易く弾け飛ぶ。

 視覚と嗅覚と聴覚を刺激する数々のトラップに、相手は既に恐慌状態となっていた。

 嗚咽混じりの怒号が飛んだ。


京太郎「はは、ちょっと気になるから見てくるぜ。大事なら止めなきゃいけないし」

京太郎「そんな訳で……ちょっと遅れるかもしれないけど、悪いな」

淡『……無茶、しないでね?』

京太郎「おう。ま、相手次第だな」


 笑って電話を切る京太郎。

 その顔にはニンジャのメンポめいたマスク。両手に括られたロープが嘶いた。



940 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
この人なんのプロだっけ?(白目)

941 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あらゆる戦いのプロだよ(諦観)

942 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
野性動物じみた身体能力と、達人めいた白兵戦闘力と、特殊部隊がごとき技術力……

強い(確信)

943 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
ニンジャ! its rlly COOOOOOOOOL!! U driv me crzy 4 U!!!

944 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
やっぱ、ブービートラップとか向いてるなぁ



京太郎「悪いな、淡。お待たせ」

淡「……今来たとこだから」

京太郎「そっか? まあ、それより……可愛いな、服。似合ってるよ」

淡「……ふん」

京太郎(なるほどなるほど……白いキャミワンピに、焦げ茶色のブルゾか)

京太郎(なんとなく落ち着いた風であり、さりとて社会人だなという空気を醸し出しながら、こいつのこの天真爛漫さだ)

京太郎(ある種の清純っぽい感じを出しながらも挑発的な猫のような目がなんというか逆に色気に繋がっている)

京太郎(身体のラインを隠すこれは寸胴ともすれば野暮ったい垢抜けない印象を産み出すのが常であるが)

京太郎(そこはこの大星淡。顔も整ってれば身体も整っている。足が長いからあまりモサッとした印象を受けない)

京太郎(やはり中々に胸があるから身体を少し捻る度にワンピにわがままな丘ができるのは実に嬉しいと言わざるを得ない)

京太郎(まあ、俺個人の意見を言うとすればもう少し肌色を露出してもいいんじゃないか)

京太郎(いや、パーカーにキャミソールにフレアスカートとかどうだろう足を見せて欲しいなんて言いたいところだが)

京太郎(これはこれで可愛いのでなんの問題もない。さあ付き合おうか相手が大星でも構わねえいや寧ろお前がいい)

京太郎「……いくか」

淡「……」

淡「……エスコート」

京太郎「ん?」

淡「エスコート、ちゃんとしてよね」


淡「ね、きょーたろー」

京太郎「なんだ?」

淡「大丈夫だった? 怪我とかしてない?」

京太郎「大丈夫だって! 俺が素人相手に怪我するなんざ、VADSでも使われないとあり得ねーよ!」

淡「……VADS?」

京太郎「対空機関砲」

淡「……えっ」

京太郎「Vulcan Air Defense System」

淡「いや、名前じゃなくて……」

淡「……」

淡「……ねえ」

京太郎「なんだ?」

淡「素人に、対空機関砲って使える?」

京太郎「……ハッ」

淡「なんでそんなに『その質問は考えてなかった』みたいな顔してんの?」

京太郎「考えてなかったからな……。正直、予想外のツッコミだった」

淡「……」

淡「……私の前で、無理してボケなくてもいーよ」

京太郎「そうするかぁ」


淡(……怪我してない、か)

淡(怪我の一つでもしててくれたら、逃げ出しやすいのにさ)

淡(……)

淡(ま、須賀を怪我させるなんて無理だよね。殺したって死にそうにないからさー)

淡(だから別に、こんな鬼畜クズ男の心配なんてしてない。ないったら、ない。絶っっっ対、ないから)

淡(……)

淡(……どうしちゃったんだろ、須賀。なんかの間違いじゃないのかなー……?)

淡(こいつ……生意気で、格好つけで、調子に乗ってて、口煩くて、馬鹿で、気障で、軽薄で、スケベで、馬鹿なのに)

淡(でも……いきなりあんなことするよーな奴じゃないって、思ってたのに)

淡(……)

淡(ま、いっか)

淡(こんなクズ男、大怪我でもして痛い目みればいいんだ!)


 ・
 ・
 ・


淡「あーもー、このUFOキャッチャームカつく! アームの設定が甘い!」

京太郎「そんなに違うのか?」

淡「違うってば!」

淡「しっかりしてる奴だと、挟めば取れるのにー――ってのは判るよね?」

京太郎「ああ、なんとなく」

淡「でも、そうじゃないのも……そうじゃない方が多いから、色んな方法使うんだよね」

淡「例えば、固定されてる方のアームを押し込んだり、その反動使ったり、引っ掻けて引き寄せたり、一部分持ち上げたり……」

淡「だから、しっかりしとけーなんて言うつもりはないよ?」

京太郎「……ないのか」

淡「な・い・け・どっ!」

淡「でも、こいつ……動く方の引き寄せもダメ! 固定の方も柔いし、クレーンが降りる力も弱い!」

淡「全っっっ然、押し込めないし引っ掻けらんない! 持ち上がんない!」

淡「もー、ほんっっとムーカーつーくー!」

京太郎「……」

京太郎「俺は得意じゃないからわかんねーけどさ」

淡「?」

京太郎「そいつ、とりゃいいんだろ?」

淡「……話聞いてた?」

京太郎「聞いてたよ。お前が、そんぐらい悔しがるくらいには取りたいってな」

淡「……」

京太郎「だから、ま……なんつーか俺に任せとけよ」

淡「きょーたろー……」

京太郎「こういうときぐらい――ささやかなヒーローになってもいいだろ?」

淡「……クサすぎ。カッコつけ男」

京太郎「うっせ。黙って見てろ」


淡(……)

淡(……いや、別に大して欲しくはなかったんだけどなー)

淡(ただ、機械に舐められっぱなしってムカつくよね)

淡(なーに、早合点なんかしちゃってるんだかー)

淡(バーカ)


京太郎「……よっ、と」

淡「……うそ」

京太郎「嘘じゃねーよ。ほらよ」

淡「……」

淡「どうやって……?」

京太郎「ん、ああ……」

京太郎「お前ので散々見させて貰ったから、大体どこにどれぐらい動かせるのかは判ったし……」

京太郎「アームの力とアームが動かす分も判ったから、あとは必要なポイントに入れればいいだけだった」

京太郎「……ま。麻雀に比べたら、あんま“目”ェ使うもんでもなかったな」

京太郎「これでヒーローにはなれたか、お姫様?」

淡「……かっこつけんな。ちょーしにのんな」

淡「……」

淡「その……」

淡「……あ、ありがと」

京太郎「どういたしまして、お姫様」


淡(……しかも、違う方じゃん)

淡(私が欲しかったの、そっちのウサギであってウナギじゃないってのにー)

淡(……)

淡(……ま、きょーたろーに免じて持っといて上げてもいいかもね)

淡(まったく……。ばか須賀。ばーか、ばーか)

淡(……)

淡(……なんかこれ、本当のデートみたい)

淡(……)

淡(……変なこと、しそーにないよね?)

淡(なら、もーちょっと楽しんでみても――)


京太郎「――っと、電話だ」

淡「誰? 仕事?」

京太郎「仕事、なんだよなぁ……」

淡「……。……電源切っときなよ。オフなんだから」

京太郎「わ、悪い」

淡「……」

淡「……はぁ。……別にいーよ? 行ってきたら?」

淡「私、適当に喫茶店でも入ってるから」

京太郎「悪いな! すぐ戻る!」

淡「……いってら」

淡「……」

淡「……」

淡「……」

淡「……ばーか。ばか須賀」


京太郎(さて……)


 ――ここで、人間と、そして武術のある説明をしよう。


京太郎(『お、待、た、せ、し、ま、し、た。向、か、い、ま、す』……っと)


 人間というのは、得てして、ある種のバイアスを持ってしまう。

 ジンクスなども、これらの一種だと考えて貰ってもよい。

 何かをしたら、ある良い結果(または悪い結果)を伴ったから――次もそうしたらそうなるだろう、とか。

 そんな、思い込みだ。

 これから論ずるのはそんな思い込みの一種。


京太郎(『きょーたろ君が中々来らんけん、身体ばもて余しとります』)

京太郎(『こうやって、放置&焦らしプレイでうちんことば調教するつもりと?』)

京太郎(『悔しかよ……ばってん、感じとーて……』)

京太郎(……ハハ、マジあの人らしい)

京太郎(あっちには、一応ハギヨシさんにガードについて貰っている)

京太郎(だから、なんにもない……今んところは)


 その性質とは、実に単純なもの。

 人間が、一度疑って――それから“好し”としたものを二度疑うには心理的なハードルが上がるというもの。

 或いは怠惰。或いは負い目。或いは安心感。

 そんなもののために、人は二度同じものを疑わない。疑いにくい。


 特殊警棒などを片手に歩く男たち。

 皆が皆、足元を確認して慎重に進んでいるのだ。一歩一歩、確実に。


京太郎(……)


 そんな男たちの目についた――1枚のカード。

 襲撃者からのメッセージであり、怪物からのラブコール。

 犯行予告にして、彼らに手向ける逮捕令状だ。


 ――『BeHinD yOU』。


 弾かれたように、男たちが背後を振り替える。そして、溜め息。

 当然馬鹿正直に、そちらの方向ばかり見ている訳には行かない。

 天井が高い通路は一本道で、自分達が通ってきた道にはドア。開閉すれば、嫌でも気付く。

 となれば、振り向いた隙に自分達が目指す先から詰め寄っての奇襲か、それとも――。


京太郎(……)


 メッセージカードそのものに、罠が仕掛けられているか、だ。

 カードに繋がるテグスを見付けた男は笑いを溢し、後続のものたちに足元――カードの周辺に注意するように声をかける。

 そして、角を曲がっていく。

 後続が、姿を消していることに気付かずに。


京太郎(寝てな)


 京太郎は正しく、列の最後尾から次々に屠っていく。

 裸絞めで頸動脈を圧迫。的確に血流を阻害された脳は、容易く意識を手放した。

 一人、また一人と静かに消える。


 いかにして、京太郎が彼らの背後に降り立ったか。

 ドアを開けることなく、その最後尾から戦闘不能に追い込んでいくか。

 その答えは簡単だ。

 初めから、京太郎は潜んでいた――だから改めてドアを開く必要はなかった。

 ならば、どこに。どこに潜んでいたのか。


京太郎(……ミス・ディレクションだ)


 答えは単純。天井である。

 遠方から視認されぬように、角を曲がったその先に、あたかも蜘蛛がごとく両手足を突っ張って天井付近で待ち構える。

 トラップにより、全員の意識を足元に移した。

 さらにメッセージカードにより後方への注意を呼び覚まし――襲撃は前方または後方だと、無意識に刻みつける。

 あとは単純。

 見計らって手の力を弛めて、三角跳びの要領で角の向こうへ/男たちの後方へ。

 しなやかなその肉体は、猫科の猛獣が如く、足音一つ生み出さない着地を実現。

 そこから、一人一人削っていくのだ。確実に。


 先頭の男が気付いたときには、既に遅し。

 残すところは、彼一人となってしまっていた。

 構えをとった視線の先には、不気味なメンポの奥に瞳を輝かせる、幽霊めいた影。


京太郎「ドーモ、ヤクザ=サン。オカルトスレイヤーです」

京太郎「誘拐犯殺すべし。慈悲はない」



960 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
先生、俺、番組の趣旨が分かんなくなってきたー

961 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ドッキリなのか逆ドッキリなのか特撮なのかハッキリしろ!

962 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
Ocltslyr! Ocltslyr! Ocltslyraaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaayarghh...uh...aaahah-! AaAAAAA!!!
OCLTSLYROCLTSLYROCLTSLYRaaaaAAAAaaa!!!
Ae...sniffsniff! sniffsniff! sssssaaahsssssaaah.. smells good.... sniff gasp!
I can haz sniffsniff blonde hair ocltslyr Kyotaro?!
sniffsniff! Aah! No! I want fluffing! fluff! fluff! Hair hair fluff fluff!
Scratch scratch fluff fluff...Kyunkyunnkyui!!

963 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
どうやら外人サンには大ウケらしいです

964 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
というか外人さんもスッガのこと応援してるんか



京太郎(いや、殺すつもりも後遺症を負わせるつもりもないけど)

京太郎(悪いが……こうして、来る奴来る奴を叩き潰して――)

京太郎(チョコボールのように、出しつくし、辻垣内先輩を呼び出す。そして話をつけるしかない)

京太郎(なんとしても、俺は――)

京太郎(護る! 護るッ! 淡を、姫子さんを――護るッ)

京太郎(二人を護りッ、こいつらを無力化し、ドッキリを終わらせ――日常へ……日常へッ!)

京太郎(日常へ――還るッ)


 そして、駆け出した京太郎。

 握られた拳と構えから、相手が有段者であり、相当な実力者であると察したが……構わない。

 全力での加速。すべてを擲っての突撃。


 ――武術というのは基本的に、点または線、或いは面を相手にする。

 人間同士での素手での戦いというのは、基本的に同じ土台に立って行われる。

 そうである以上、必ずや攻撃は奥から手前目掛けて襲いかかって来る。

 であるが故に、武術には、三次元的な――空中から自在に襲いかかる相手への対処は盛り込まれていない。

 鳥以外のすべての動物は空を自由に飛べないのだから必然だ。


 だが、京太郎は。

 空中感覚に、跳躍技術に、武術の才を合致させ合一させた須賀京太郎は。

 このような、周囲を壁に囲まれた環境にあってはまさに、鳥もかくやという勢いで、空間すべてを足場にする。

 まさに、飛蝗。

 群れることで黒く変貌するそれらと同じく、京太郎はこの空間では、宙を統べる者と化すのだ。

 地を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴り、複雑怪奇な直線運動で、空間を翻弄する。



965 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
Ocltslyr! Ocltslyr! Ocltslyraaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaayarghh...uh...aaahah-! AaAAAAA!!!
OCLTSLYROCLTSLYROCLTSLYRaaaaAAAAaaa!!!

Ae...sniffsniff! sniffsniff! sssssaaahsssssaaah.. smells good.... sniff gasp!
I can haz sniffsniff blonde hair ocltslyr Kyotaro?!
sniffsniff! Aah! No! I want fluffing! fluff! fluff! Hair hair fluff fluff!
Scratch scratch fluff fluff...Kyunkyunnkyui!!

Ocltslyr-san was so kakkoii in vol.12 of the videos!!
AaaAA...AAA...AhAaAAA!! FaaAAAnng!..Congrats on the 2nd season of the drama Ocltslyr-san!
AaAAAAA! So cool! Ocltslyr-san! Kakkoii!
AaaAAA! 2nd volume of the manga were grea...nnNrAGGggghHH!!
Nyaaaaaargh!! UGyaaaAAAAA!!! Nnnnnnyyyyuuuurrrrgggghhhh!!!

Mangas...................... AREN'T reality!!! ?
...what about the video and the drama.... OCLTSLYR I S N' T R E A L?????

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HGGGGrrrrruuyynnnnnNN!!! Halkeginiaaaaaa!! You! BASTARDS! I'm quitting!
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ocltslyr... at me!
Ocltslyr-san in the pictures in the book are looking at me!! ocltslyr-san in the drama is talking to me!!!

Phew... reality ain't so bad after all!

Yessssss! Wheeeee!! YEAH!!! I have ocltslyr!! I've done it Kurumi-chan, I can do it alone!!!
V..video... ocltslyr OCLTSLYR-SAAAaaaaaAAaaAAAN!!!!!!!!
HyaaAAAaaaAaaaAAaA!!!!! Ahahaah...ahahaaahhhhahaAnn!
Shi, Shiro!! SaEaaaAAAAAAaAA!!! ToyonEaaAAAAA!! u....uuuu..sniffsniffuuuUUU!!!


May my love reach Ocltslyr!! May my love reach Ocltslyr of Neo-Saitama!



 だが……仮に――仮にここで男の名前を、七志野権兵衛とでもしよう。

 否、あまりにもありきたりで冗談めいて気勢を殺ぐので……七志野兵衛と呼ぼうか。

 京太郎の仕掛けたトラップを兵衛が、鼻で笑ったのは何故か。

 実に単純であった。そう、実に。


京太郎(このまま、寝てて――)


 それは、要するに失望であった。

 なんて“せせこましくみみっちいことをするのだ”と思ったのだ。

 彼が、戦闘を歩いていたのはこれに由来する。

 単純に、何が来ても叩き潰す自信があったから、彼は先陣を切ろうとしていたのだ。


 達人同士の戦いで、勝敗を分けるのは一点。

 それは疲労と、負傷と、そして――“虚”。

 油断であるとか、奇襲であるとか、不意を突かれるとか――そんな精神の空白=“虚”が命運を分かつ。

 今まで、京太郎がそうしてきたように……


京太郎(退けぞ――!?)


 跳びかかる京太郎を前に、男は、兵衛は突如として仰け反った。

 京太郎の脳裏には爆転の二文字が過るが――違う。男はただ、ブリッジがごとき姿勢をとっただけだ。

 何事だと、脳が問題を前に反射的な分析を始めた。

 そこへ――


京太郎「――か、っ」


 繰り出された強力な蹴り上げが一閃。京太郎の身体を跳ね上げる。

 背中から、天井に接触。蛍光灯が砕けちり、破片が舞った。

 強かに打ち付けた身体が肺を絞り、知らず知らずに吐息が零れ出していた。


 なんとか勢いを殺そうと、格子状の窓に手を伸ばす。

 掴むことには成功したものの、しかし、衝撃からか京太郎は留まりそこねて、落下していく。

 その、落下点に待ち構えるのが兵衛。

 殆ど自由落下の京太郎目掛けて――


兵衛「――ふ、ッ」


 タイミングを合わせた、蹴り上げた右足をそのまま畳んでからの横蹴り。

 空中故に踏みとどまることも叶わず、背中から壁に叩き付けられる。

 衝撃で、脳が揺れた。全身の血が逆流する錯覚とともに訪れる、吐き気。


京太郎(デ、タラメ……過ぎんだろ……!)



977 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ここ、天井高いから……何メートル飛んだ?

978 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ブリッジ姿勢からの蹴りだから3~4メートルぐらい(白目)

979 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガ、スペックどうだっけ?

980 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
184cm、76Kg

981 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
あれ、意外に筋肉少ない?

982 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
むしろ見てくれの体格考えたら多い。あいつモデル体型だぞ?

983 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
骨密度が高いのと、ボクサーのように水抜してあるからでしょうね>体重
それと、ここまで飛んだのは咄嗟に両手を相手の足に合わせて自分から跳ね上がったことがあるでしょう

984 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:niwakaOOO
無防備な部分や内臓に一点集中の一撃喰らうよりマシって判断したんだろうけど
結果として相手の蹴り+自分の勢いでそれで背中打ってるから、どのみちダメージはあるわね
壁にも叩き付けられてるし

985 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ARKWbjDrK
このクラスになると、ちょっとイイののダメージが後に響いて明暗分けるからなー。気をつけんとあかんよーぅ

986 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
あんたらなにやってる人……?



京太郎(こいつは、実にグレートな感じだぜ……)


 揺れる視界と臓器に脂汗を流しながら、京太郎は息を搾る。

 どこかを骨折したとか、損傷したとか、そんなような明確な負傷こそは存在しないものの、

 衝撃は身体の各所に響いており、すぐさま戦闘続行というのは難しい。次の攻撃を捌ききれないのは明らかだ。

 となれば、敗北は必定。

 今の一撃は――須賀京太郎の虚を突く攻撃は、その点から見れば必殺。

 必殺の布石であった。


京太郎(なんつーか、所謂『詰み』って奴になる……やれやれだぜ)


 右足をやや爪先立ちにした、兵衛が冷たい目で京太郎を見下ろす。

 恐らく、相手に容赦はあるまい。

 しいて言うなら、今の攻撃が小手調べであったのだ。そしてその攻防から、兵衛は京太郎の実力を把握した。

 単純な膂力――破壊力なら兵衛が上。身軽さと反射は、京太郎が上だ。

 しかし京太郎は少なからず、疲労していた。

 殆ど戦闘の体はなしておらず、一方的な虐殺と読んで然るべきであるが、連戦は連戦。

 そこにきて、この内臓を揺さぶる一撃。

 天秤は傾き、戦いは分水嶺を越えた。


 数瞬にも満たない睨みあい。

 兵衛が、その足に力を込めたそのところで――


京太郎「ま、待ってくれよ! は……話をしようぜ、な?」


 京太郎から、そんな声がかかった。

 戦意がない、何も仕掛けていないと表さんばかりに、両手を広げて、地面に座しての言葉である。

 ぴくりと、兵衛の眉が動く。


京太郎「こ、こんな風に殴り合っても碌なことにならないだろ?」

京太郎「だから、ここが潮時っつーか……やめどきだと思うんだよ」

京太郎「ほ、ほら……お互いそーいうのは良くないんじゃねーかな、うん」


 必死に捲し立てる京太郎。

 対する兵衛は、無言である。


京太郎「なんとか言ってくれよ……むっつりだと、女にモテないぞ?」

京太郎「トークしようぜ、トーク! ほら!」

京太郎「笑ったら、こう、もっとハッピーになるんじゃねーかな? うん!」


 その様は――実に、酷く滑稽であった。

 素直に降参するか、命乞いをすればまだ可愛げがあるものの、この期に及んで双方痛み分けを提案する。

 なるほど確かに、同僚を――部下をこうもやられたというのには、兵衛としても損害だ。

 だから、痛み分けというのは正しい。

 しかしその、行った当人がこうして尻餅をついている以上は痛み分けではなく、全員で京太郎を追い詰めたという形であろう。


 こいつの考えは――。

 ――だがまあ、都合がいいか。


 嗜虐心を露にした笑みを顔の下に隠しつつ、兵衛は京太郎に視線で先を促した。

 同僚をやられたことへの感慨はない。

 ただ純粋に、兵衛は自身の“暴”に基づいていた。


兵衛「話か……話」

京太郎「お、乗り気になってくれた……?」

兵衛「お前が、体力の回復を待っているってことか?」

兵衛「それとも――」


 瞬間、兵衛と京太郎の身体が動いた。

 ポケットから抜き打ちされた兵衛のボールペンが、京太郎の手を――その手のフラッシュライトを弾き飛ばす。

 カツンと音を立てて、フラッシュライトが転がっていく。


兵衛「ライトに紛れて、かき集めた蛍光灯の破片を飛ばそうとしているって、ことか?」

京太郎「い!?」

京太郎「あ、ははは……う、ウィンク似合わねーな……あんた」


 片目を閉じた兵衛。

 いくら日中とは言っても、薄暗い室内。蛍光灯は破壊されている。

 多少の明かり取りの為の格子状の窓はあっても、若干不足気味。

 そこに、軍用のフラッシュライトだ。(部下の装備から奪ったのであろう)

 実際のCQBでも用いられるように、強烈な光りというのは人の行動を阻害する。

 光源による盲目、盲目状態での破片による攻撃、そのパニック。

 それらで、天秤を傾けようとしていたのだ。この男は。


京太郎「ち、近付いていいのか? 俺はまだ武器を隠し持ってたり、するかも……」

京太郎「近寄らない方が身のためだったりー……」


 なんともみみっちく、小賢しく、小狡い男だ。

 そこに苛立ちはない。ただ、憐憫があるだけだ。

 どこまでやっても、その程度。あまりに哀れすぎて、むしろ愛おしさをも覚えた。

 そして、それを踏み潰す愉悦も。

 右足に、力を込める。

 京太郎が口を開いたが、止まらない。兵衛は動き出していた。

 せめて末期の命乞いを聞いてやればよかったかと思い――無視して、冥土の土産に、絶望の現実を突きつけんと喉を震わせる。


京太郎「お前は次に――」


京太郎「『その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ』――と、言う」

兵衛「――その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ」


兵衛「――ハッ」



991 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ・・・・・・ハッ

992 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ……ハッ

993 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ・・・・・・ハッ

994 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ――ハッ!?

995 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:Terr3Terr3
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ! ……ハッ
1000ならシーザーポジも出る

996 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:TAKEMEEE
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ……! ハッ
1000なら須賀プロが解説してくれる

997 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
その薄汚いマスクを剥がしてやるぜ! ――ハッ
1000なら須賀プロがまたまたやらせていただきましたァン!

998 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
うーん、85点だね。褒めて上げる
1000なら須賀プロはいつも通り

999 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
な、なんなのこの流れ?
1000なら須賀プロは無事

1000 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
ん、これはジョj

1001 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:BurnKoke4
1000なら仲直りして終わるといいと思……

1002 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ANGELAKO
1000なら須賀プロは怪我してないで番組は円満に終わる



京太郎「だから、俺は言ったんだぜ?」

京太郎「『碌なことにならない』、『ここらが潮時』」

京太郎「『近寄らない方が身のため』――ってな」

兵衛「ば、馬鹿な……」


 踏み込んだ兵衛は今、逆さ吊り――正しくタロットのハングドマンとなっていた。

 室内の暗度に順応してくれば、判るだろう。

 彼の右足に――テグスが結び付いていることが。


京太郎「マグロ用の特性の釣糸だから……中々、簡単には切れないんじゃないか?」

兵衛「……ッ」

京太郎「いつの間に、って顔をしているから解説させて貰うけど……答えは『最初から』、だ」

京太郎「あんたの蹴りに合わせて掌底を繰り出した時点で、引っ掛けさせて貰った」

京太郎「途中、俺が格子に触ったのは掴まるためじゃなくて、彼処を中継点にするため」

京太郎「そんで二度目の蹴りで、ちゃんと止めさせて貰ったぜ? キッチリと」


 だが、幾ら糸とは言ってもそれは中々の太さであり、気付けば見える筈である。

 ましてや、違和感が残るのだ。足に、そんなものが付いているというのは。

 しかし――。


京太郎「あそこまで吹っ飛んだのは、あんたに取っても予想外だった」

京太郎「その派手さに意識が行き――次には、足への違和感が来る」

京太郎「だけど……あんた自身が気付いたその違和感ってのは、俺と打ち合ったことによる衝撃での痺れだ」

京太郎「そっちに気が行って塗り潰されるから、釣糸には気付かない」


 そのまま、京太郎は語る。

 彼の右足に発生した痺れがあるというのは――。

 話に乗らずに、直後に決着をつけにこなかったことが何よりもその証左。

 違和感を覚えた。

 であるが故に、京太郎の意図を察しながらもそれを即座に潰さなかったのは、

 ただ単に目論見を台無しにされた京太郎の顔を拝むためというよりも、自分も右足の回復を待ち、

 そして、片足が万全でないという儘ならない移動状態で攻撃を仕掛けられるよりも、

 しっかりと両足を踏みしめているそのときに、焦った京太郎に行動を起こさせるた方が都合がいいから。


京太郎「ま、意図を見抜けても……糸までは見抜けなかったみたいだな」

京太郎「へっへっへっへ」

京太郎「まーたまた、やらせていただきましたァン!」



51 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
うーん、このしたり顔

52 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なぜこれを麻雀で出せないのか

53 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
麻雀が苦手だからだろ

54 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガは麻雀に於いては真摯で紳士だからな

55 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
スッガ、声が福潤に似てるのにやけに杉田で再生される

56 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:magicSSSS
ま、前スレ1000は済まない……

57 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:42noMount
い、いや! いいんですよ!
それに、こっちこそあんなときに聞いちゃってごめんなさい!

58 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
イロイロモレソウ



京太郎「いや、あんたがライトに気付いてくれて……すぐに吹っ飛ばしてくれてよかったよ」

京太郎「あんまり照らしてたら、バレちまうもんな」


 やれやれだと、京太郎は溜め息を漏らした。

 相変わらず、尻餅をついたまま。

 呼吸を整えると同時に、自分自身を重りとして使っているのであろう。

 故に、べらべらといらん解説をしているのであろう。


京太郎「『相手が勝ち誇ったとき、そいつは既に敗北してる』……ってな」


 なるほど。

 だがそれは、貴様だ――。


兵衛「馬鹿が――」


 吊られていると判っていれば、その先に須賀京太郎がいると言うのならば。

 この状況を利用して、立ち回ればいいだけなのだ。


 力を込めて揺さぶったそれに比例して、振り子の自分が揺れる。

 引き寄せられて、須賀京太郎の身体が持ち上がった。

 単純な体格や体重差で言えば、自分が上である。

 片足で、今まさに攻撃体勢という不安定な状態なら文字通り“足を掬われた”が、尋常な場なら自分が勝つのは道理。

 今の、長いとも短いとも言えない時間で、この片足吊りの状態に関しては把握した。

 後はそれを、お返ししてやればいいのだ。


京太郎「いいや――」


 などという兵衛の目論見は、崩れた。

 須賀京太郎が吊り上げられて、地からやや足が離れるかというそのところで、兵衛は応力を失った。

 宙に、身体を投げ出される感覚。一瞬の無重力。


京太郎「やっぱりあんたの台詞は、『馬鹿な……』みたいだな」



85 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
解説犯!

86 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:RodRussia
釣糸には、縦方向の伸長に強いもの。横軸へのズレに強いもの。摩擦に強いものがある。
今回は張力重視で、摩擦に弱かった

87 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:HAgi4424
それなのにブラ下がって動いてたら、切れますね。リールもありませんし

88 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:niwakaOOO
解説してたのは、勝ち誇ってたんじゃなくて……これを狙ってたのよ

89 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:k1nuEATG
解説犯
犯罪者なん!?

90 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:ChaliceH1
うん、実にボク好みだ。判ってきたみたいだね……キスしてもいい

91 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
これ、いつからオカスレ2期になったっけ?

92 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:NGLwaKiwi
サキッポダケデイイ!サキッポダケデイイカラ!



京太郎「フゥゥ……、――ッ」

兵衛「――!」


 立ち上がった――図らずとも兵衛が立ち上がる手助けをしてしまった、須賀京太郎が横蹴りを繰り出す。

 それに、兵衛は呼応した。

 咄嗟に、空中で反転。天地を戻し、京太郎の蹴りに己を合わせる。

 須賀京太郎が自身の力で立ち上がらなかったのは、やはり衝撃の影響があるから。

 ならば、距離を取って攻めればいい。

 自分は空中。方向さえ調整すれば、反動の勢いを上手く殺しつつ距離を取れる。

 須賀京太郎は、地に足が付いているが故に飛ぶ方向の調整が利かない。

 事実、果たして――須賀京太郎は背面から再び壁に打ち付けられた。踏ん張りが利かなかったのだろう。

 回転して、着地。

 体勢を立て直せない京太郎目掛けて再突撃――しようとして、足を滑らせる。

 よろけた。なんとか堪えた。

 今度こそ、立ち上がる。が、よろける。ライトを踏んだ。倒れた。


京太郎「……そりゃあさ」 

京太郎「逆さ吊りで頭に血が上ってるのに、急にそんな振り回したら一気に降りて、そうなるって」


 呆れるような京太郎の声を最後に、兵衛の意識は闇に落ちた。


京太郎「あー」

京太郎「……智葉さんとこのなら、連絡先ぐらい持ってるか? 無線機とか、そんなんを」

京太郎「――ベネ(よし)! あとは、二人のとこに戻ろう!」


 何故こんな場所で、自分は戦っているのだろうか。

 そりゃ人生日々が戦いで、生きることは戦いだなんて言葉はあるにはあるだろうが……。

 こんなトラブルよりも、To-LOVEるが欲しい。

 ダークネスならぬダークネスフィンガーである。密編みの老人を師匠にした覚えはないのに。


京太郎「頭、痛……っ」

京太郎「はぁ……『怪我しない』『相手に怪我させないように戦う』って、キッツいよなぁ」

京太郎「……」

京太郎「やっぱムカつくからパンツ下ろして逆さ吊りにしてやろうか」

京太郎「それとも、パンツん中にアブナイおもちゃ入れてやろうかな……?」

京太郎「……」

京太郎「……やめとくか。それよりさっさと、帰ろう」


 ・
 ・
 ・


姫子「あれ、大星プロ……こげんとこでなんしょっと?」

淡「そういう、鶴田プロこそ」

姫子「うちは暇潰……待ち合わせよ?」

淡「私は……。……待ち合わせですよ」

姫子「いやー、彼ったら仕事で呼び出されとったけんね」

淡「へー、鶴田プロの彼氏さんはお仕事優先の人なんだー」

淡「私の彼はー、飲み物とか買いに行ってくれてるんだよねー。気が利くから」

姫子「そいはあれ、女の子を気遣う仕事よ」

姫子「うちの彼も、ソフトクリーム買いに行っとるけんね」

淡「へー」

淡「ま、常識ですよねー」

姫子「そうよ。デートにまで仕事は持ち込まん、公私の分別の取っきる男よ」

淡「あははは」

姫子「ふふふふ」

淡「……」

姫子「……」


京太郎(だよなー)

京太郎(知ってた)

京太郎(俺に平穏が来ないことぐらい知ってた)


京太郎(怪我させないようにするってのは……その後の落としどころを考えると、当然だから仕方ねーけど)

京太郎(……真面目に、キツい)

京太郎(実際、怪我しない方は守りきれてねーよ)

京太郎(骨折とか、そういうのは避けたけど……打撲とか酷いし)

京太郎(後遺症は出ないだろうけど、内臓への衝撃も半端ない……)

京太郎(強いって、さっきの奴)

京太郎(あの地形じゃなかったり、こっちに道具無しだったりしたなら判らなかったな……マジ)


淡「彼氏さんと、どんなところに行く予定なんですかー?」

姫子「そ、そいは……」

姫子「まずは映画館に行って、ショッピングして、お茶して、プラネタリウムに行って、そいでディナーよ!」

淡「……」

姫子「そういう大星プロは?」

淡「え、えっと……」

淡「まずは遊園地! それから水族館! で、食事して、二人でお喋りしてからカラオケ!」

姫子「……」

淡(……プランとられた)

姫子(……プラン取りよった)


京太郎(だけどな……)

京太郎(ぶっちゃけ、この二人の方が……強敵だぜ)

京太郎(時間どれぐらいかかるんだよ……俺の身体いくつあると思ってんだよ)

京太郎(無理だから)

京太郎(今遊園地行ったら三半規管ヤバイし、映画館の重厚サラウンドでもやられるから)


淡「ま、まあ……」

淡「彼と一緒にいれたらどこでもいいかなーって!」

姫子「う、うちもやけん」

姫子「行きたかとこはあってん、二人でいれれば一番よね!」

淡「あははは、あははは」

姫子「ふふふふ、ふふふふ」


京太郎(おーい)

京太郎(そう言いながら滅茶滅茶メールで場所の希望を出してるのは誰だー?)

京太郎(あんたら、嘘つきだね)

京太郎(……さて、落ち着くんだ須賀京太郎)

京太郎(よく考えれば、この場を上手く切り抜ける策がある筈だ。そうだよな?)

京太郎(さて、ある意味修羅場は必死のこの状況……俺はどうやって切り抜ける?)


 三択――ひとつだけ選びなさい。


京太郎(①ハンサムの須賀京太郎は突如起死回生のアイディアが閃く)

京太郎(②やえさんや憧が来て助けてくれる)

京太郎(③切り抜けられない。現実は非常である)


 自分としてはこの状況、②に○を付けたいところであるが……小走やえは試合、新子憧は奈良なので期待できない。

 やはり答えは――①しかないようだ。


京太郎(それぞれにメールを送る)

京太郎(プラネタリウムか? なるべく近くて、暗くて判りづらい場所で、同時にやり過ごす)

京太郎(鉢合わせする可能性があるのが難点だが――そこはこの俺の、技術と経験でどうにかする!)

京太郎(乗り切ってしまえばきっと――)


淡「絶対、私の彼の方がかっこいいから!」

淡「面倒見がよくて真面目で社交的でイケメン高身長スポーツ万能でユーモアもあって高学歴なんだから!」

姫子「いーや、うちん彼氏の方が……よかにせ、よ」

姫子「技術が凄くて二重の意味で突っ込みが凄くて身体が締まっててテクニシャンでイケメンやけん!」

淡「むむむむむ……!」

姫子「ぐぐぐぐぐ……!」


京太郎(アイエエエエエエエエエ!?)

京太郎(ナンデ!? 喧嘩ナンデ!?)

京太郎(ちょっと見ない間になにやっちゃってんの、お前ら!?)

京太郎(なんで張り合いが、喧嘩になってんの!?)

京太郎(しかも姫子さんの主張ポイントおかしい!)


淡「だったら、彼氏の見せ比べしましょうよ!」

淡「そこまで言うんなら、逃げないよね!」

姫子「望むとこやけん、大星淡!」

姫子「あんときのぶちょーとの恨み、ここで晴らす!」

淡「電話してくるから、ここで待ってなよ!」

淡「そしたらすぐに飛んできてくれるからさー!」

淡「……ま、勝てない勝負から逃げ出すのは許してあげてもいいけどね」

姫子「ふん、そっちこそ……そげんことばゆーて逃げる気やなかと?」

姫子「いまんうちなら、痛み分けにしてやってもよかよ……こっちは痛かも痒かなかけど」

姫子「会ったら……お前の天敵やけん、泣き見ることになりよるけんね!」

淡「じょーとー!」

姫子「そいはこっちの台詞!」


京太郎(……さて、落ち着くんだ須賀京太郎)

京太郎(よく考えれば、この場を上手く切り抜ける策がある筈だ。そうだよな?)

京太郎(さて、ある意味修羅場は必死のこの状況……俺はどうやって切り抜ける?)


 三択――ひとつだけ選びなさい。


京太郎(①ハンサムの須賀京太郎は突如起死回生のアイディアが閃く)

京太郎(②やえさんや憧が来て助けてくれる)

京太郎(③切り抜けられない。現実は非常である)


 自分としてはこの状況、②に○を付けたいところであるが……小走やえは試合、新子憧は奈良なので期待できない。

 やはり答えは――①しかないようだ。


京太郎(……あ、メール)

京太郎(淡からは……何々?)

京太郎(『ごめんね? 今、お仕事の話で忙しかったりする? 何か、考えなきゃいけないこととかある?』)

京太郎(『その……ちょっと声が聞きたくなっちゃてさ』)

京太郎(『あの……だから、電話してもいーい? 駄目かな?』)

京太郎(誰これ)

京太郎(誰これ)

京太郎(これ誰)

京太郎(偽者? ニセ淡? あいつこんなにしおらしくないだろ)

京太郎(……うわっ、鳥肌立った)

京太郎(姫子さんとあんな剣幕でやりとりしてて、なのにこんなメール送れるって女は怖い)

京太郎(……)

京太郎(あいつは、えーっと……居たな)

京太郎(苛々している風でもなきゃ、困ってる風でもない)

京太郎(ただ、なんか溜め息多いな……自分でも無茶だって判ってんのかね、やっぱ)


                                 続く

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最終更新:2013年12月31日 13:19