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ヴァヌス(痕跡霊)

ヴァヌス、罵られた者 Vanus, The Reviled One

痕跡霊レベル6
呪縛難易度29
彼の犯した罪のためにかなり嫌われている微笑むヴァヌスは、バインダーたちにとって謎の存在のままである。ヴァヌスはバインダーたちに自分より弱い敵を恐怖させ、罰を与え、直感的な知覚力で進行中の悪事を聞きつけ、束縛から味方を解放する能力を付与してくれる。

伝説:

伝説は数多くの渾名でヴァヌスのことを記録している。裏切り者、卑怯者、不正のプリンス、うじ虫野郎、怖がり屋、そして地獄を呼ぶ者といったものまである。バインダーたちは単純に彼のことを“罵られた者”とだけ呼ぶ。昔からヴァヌスに対して向けられてきた憎悪は、彼の失敗の大きさによるものと思われるが、それが何であったかは、バインダーたちにもいまだ解けずにいる謎のままである。
ヴァヌスの物語は壮大な王国に始まる。そこは現代よりも相当に昔に存在していた平和な帝国であった。人間の伝説ではドワーフの王国だと語っているが、ドワーフに伝わるヴァヌスの物語では世界の支配者になろうとしたエルフであると言われている。エルフの神話ではヴァヌスの話は彼らのものとは言っておらず、代わりに、ティタンと同じように現在ではそのほとんどが世界から失われてしまったエルフたち以上に古い太古の種族に関連すると言っている。こうした相違点や他の変異種の物語があるにも関わらず、この物語の基本的な部分は同じままである。
この太古の王国は、悪をその中心部に捕らえていたおかげで、何年にもわたって平和を謳歌していた。王国が生まれる前、この偉大な国家の建設者たちは強力なフィーンド(バロールかピット・フィーンドのような者)に対する恐るべき戦いを行なった。彼らはその敵を殺すことはできなかったものの、何とか大地の地下深くに捕らえることに成功した。彼らの敵を封印し続けるために、彼らはその不浄な大地の上に1つの城を建築した。その城が彼らの王国の首都となったのである。
その砦からは善なるものが生まれていたにも関わらず、そこに悪は留まり続け、常に抜け目なく機会を窺っていた。その国の指導者たちはこのフィーンドを内側に閉じ込め続けておき、脱走しようというあらゆる試みを警戒してダンジョンに常時衛兵を置いていた。このようにして、ヴァヌスが衛兵の任務を務めることになるある運命的な夜まで、数世紀にわたってこの状態が続いた。
ヴァヌスはこの王国のうぬぼれの強いプリンスであり、自己中心的で軽薄な人物だった。このプリンスの苛立ちが引き起こした厄介事に対する罰を与える目的で、王は君主の誕生祭を祝うパーティの最中にダンジョンの衛兵を務めるよう、ヴァヌスに命令した。暗く湿っぽいホールの奥深くで、ヴァヌスは衛兵たちとのおしゃべりを無視し、上の階で行なわれている祝宴の騒音を聞こうと必死になった。彼が耳にすることができたのは、笑い声で遮られ気味の、遠くの音楽の音色くらいのもので、ほとんど何も聞くことはできなかった。彼が耳をすましていると、あるひとつの声がはっきりと聞こえてきた。深く堂々とした声で話すその話し手は何か喋っているのだが、ヴァヌスにはそれをはっきりと聞きとることはできなかった。ヴァヌスがフィーンドの牢獄に続く扉に近付くと、その声はよりいっそうはっきりと聞こえるようになったため、ヴァヌスは衛兵たちの横をすり抜け、古代の転移門の方へ近付いた。
ヴァヌスが扉に耳をあてると、他のいかなるものとも似ていない声が聞こえた。それが彼に伝えたことは彼を恐怖させた。ヴァヌスはフィーンドが脱獄している、と叫びながらダンジョンから逃げ出した。自分たちが古の英雄たちとはまるで違うという事を重々承知している衛兵たちは、この国のプリンスがパニックに陥っている様子を見て、彼らも逃げ出した。このプリンスはパーティ会場を通り抜けて逃げて行き、破滅がやって来たと喚き散らしていったため、すぐに城全体が避難することになった。
パニックは地方にまで広がり、人々は我先に逃げようとして互いに争った。戦いは家族や町の中で発生し、この古代王国の市民たちは戦争で滅亡した廃墟をその土地に残すことになった。続いて起こった抗争では、人々は彼らが逃げる原因になった元々の理由をすっかり忘れ去り、彼らの新しい敵を倒すことにばかり夢中になった。王国は解体し、城は廃墟と化し、牢獄の中でかのフィーンドが高笑いすることになった。
いくつかの伝説では、その後かのフィーンドが自らの力で自由を手に入れ、神々はそのあまりの愚かさと臆病さゆえにヴァヌスに呪いをかけたと言う。別の神話では、ヴァヌスが戻って来てフィーンドを解放したため、神々はその邪悪な行ないに対して呪いを与えたとも言う。さらに別の伝では、ヴァヌスが戦争の扇動者にして恐怖の飼育者となり、宇宙におけるフィーンドの居場所であると見なし、フィーンドの悪がダンジョンの壁を超えて広がったときでさえ、彼の恐怖によって閉じ込められることになったと伝える。

特殊条件:

何らかの種類の戸口や窓が視界に入っている場所で彼の秘文が描かれたなら、ヴァヌスはバインダーの前に姿を現さない。もしそうした開口部が視界から隠すことができるなら、ヴァヌスは招来の要請に応えるが、扉や窓をヴァヌスが目にした瞬間、彼は絶叫を上げ、青い炎の残滓を残して消え去ってしまう。このようにして呪縛の試みが不首尾に終わったなら、3日の間ヴァヌスはそのバインダーの前に姿を現すことはない。

霊の発現:

バインダーには見えない乗り物から降り立ったかのようにして、ヴァヌスは彼の秘文の中に出現する。彼は常にバインダーの種族のハンサムな男性の姿を取り、富と特権を持つ人物としての良質な衣類に身を包んでいる。ヴァヌスは招来者に向かって微笑んで低くお辞儀するが、顔を上げたときには、その容貌は一変している。ヴァヌスの姿はデーモンのようになっており、顔からは6本の黒い角が生え、肌は黒いでき物に覆われ、その中で蛆虫が泳いでいる。目からは涙のように血が湧き出し、微笑みを浮かべる顔を伝っており、唇をかすめている。この姿でヴァヌスは再びお辞儀をする。再び顔を上げても彼のデーモンのような体はそのままで、彼は招来者の意向を待つ。

徴候:

バインダーが“罵られた者”と契約を結ぶと、彼の肉体にはでき物が出現する。このでき物の中の赤い体液の中には蛆虫が泳いでいる。このでき物を潰すと、蛆虫はバインダーの体の中を素早く横に移動し、捕まえようとするあらゆる試みを回避し、皮膚の下に再び潜り込む。元のでき物がかさぶたになる前に、別のものが吹き出し、そこにも蛆虫が出現する。ヴァヌスとの契約を中止する以外には、バインダーがこの害虫とそれ自体がむかむかする巣となっているでき物を取り除くことはできない。

影響:

ヴァヌスの影響下にあると、君はあらゆる機会を捕らえてどんちゃん騒ぎをしようとする。どんなに小さな勝利でも壮大な祝宴を催すべきものに思われるし、もし幸せなら、君はあらゆる人々とその喜びを分かち合いたいと思う。もし君が他の者がお祝いをしているのを見たなら、君はそれに参加しなければならない。もし戦闘で勝利を手に入れたなら、即座にその勝利を勝ち誇る行動のために1全ラウンド・アクションを取らなければならない。

付与能力:


恐怖のオーラ Fear Aura:

10フィート以内にいて君が気付いている敵は意志セーヴ(難易度10+有効バインダー・レベルの1/2+【魅】修正値)を行なわなければならない。失敗した者は怯え状態か恐れ状態のどちらかになる;それぞれについてどちらかを決定すること。敵は君のバインダー・レベルの半分に等しいラウンド数だけ怯え状態あるいは恐れ状態になる。セーヴに失敗したクリーチャーは、彼らが持続時間が尽きた後ではなく前に再び10フィート以内に戻ったなら、再度ロールしなければならない。この能力に対するセーヴに成功したクリーチャーは、24時間の間は再度のセーヴを行なう必要がない。これは[精神作用]の[恐怖]効果である。

味方の解放 Free Ally:

バインダー・レベルあたり5フィート以内にいる任意の味方1人を選択し、その者にフリーダム・オヴ・ムーヴメント呪文かガアシアス・フォーム呪文の利益を与えることができる。その味方は即座に移動だけにしか使うことができない(武器を抜くなどには使えない)移動アクションを割り込みで獲得する。その味方が得る利益は君のターンの間にだけ適用される。したがって、君のターンの終了時、その味方は本来の姿に戻る。
またこの能力を、君がその幽閉の事に気付いているなら、インプリズンメント呪文や、ハルファクスの幽閉の能力からクリーチャー1体を解放するのに使うこともできる。
この能力を君自身に対して使うことはできない。一度この能力を使用すると、5ラウンド間は再び使用することができない。

貴族の侮り Noble Disdain:

君自身よりも低いヒット・ダイスの敵を遠隔あるいは近接武器で攻撃するとき、+1d6ポイントの追加ダメージを与える。

ヴァヌスの耳 Vanus's Ears:

ヴァヌスを呪縛している事によって、〈聞き耳〉判定に+5のボーナスを得る。このボーナスは物音を立てている者が悪属性であれば、このボーナスは+10となる。

出典:

関連項目

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最終更新:2013年11月18日 12:37
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