D&D

プリムス(痕跡霊)

プリムス、唯一にして第一の者 PRIMUS, THE ONE AND THE PRIME

痕跡霊レベル3
呪縛難易度24
かつては神のごとき力を持つ存在であったプリムスは、この多元宇宙の全てをしろしめす論理と原理原則を探し求め、そうすることでそれ自体の存在を非論理的なものとしてしまった。プリムスは混沌と戦う際にバインダーの助けとなり、彼らが他者に与える秩序を執行するパワーを与える。

伝説:

はっきりしない次元界の伝承によれば、プリムスはあまりに厳格に秩序の存在であったために、その奉仕者として生まれた種族―モドロンとして知られる奇妙なクリーチャーたち―以外の者からは一切の崇拝を受けることがなかった存在だという。純粋な規律の存在であり、多元宇宙のあちこちに精密性と構造を向上させることに献身しているモドロンたちは、プリムスを彼らの神にして主人として服従していた。“唯一にして第一の者”は、この種族の完璧な論理の究極の理想形態を表しており、そのあらゆる命令は、ありえないほど複雑怪奇な組織の鎖を辿って下達される。副官、副官補佐、執行人、そして監督官という経路を通って、その任務はあらゆる者たちの耳に達するのである。このように、モドロンたちは多元宇宙で任務を果たしており、プリムスの言葉は命令であった。
メカヌスの遠隔の地にある、レグルスという名で知られる64のモドロンたちが支配する歯車の上に、モドロン大聖堂として知られる想像を絶するほど複雑な要塞が存在している。この玉座から、プリムスはその信者たちそれぞれの道を指図していた。その判断を助けるために、偉大な知識が絶えずこのプリムスの大聖堂に流れ込み続け、この次元界の歯車に完璧に合うようにして鍛造された強力な魔法の創造物が、多元宇宙全体に置かれた窓となっていた。こうした魔法の1つにグランド・オラリィ(大太陽系儀)という計り知れないほど複雑に入り組んだ装置があった。これはパワー、次元界、そして惑星の動きを測定する装置で、それらの宇宙的、多次元的な意味を推測するために使われていた。宮宰の幹部の1人がグランド・オラリィが語る内容について直接プリムスに報告すると共に、多元宇宙全域に張り巡らせたエージェントのネットワークを通じて入ってくる、それと関連のありそうな出来事についても報告をしていた。同時に、プリムスはインフィニティ・ウェブ(無限の蜘蛛の巣)として知られる別の強力な装置を使って、その部下たちを監視していた。このすべすべした紐と糸の集合体を通じて、プリムスの意識は下位のモドロンの中へと拡張され、無限の現実世界のあちこちで発生する出来事を目撃していた。つまり、“唯一にして第一の者”はどんな神よりも多くの事を目撃していたのである。
ある情報が、グランド・オラリィとインフィニティ・ウェブを通じてモドロンの玉座へと吸い上げられてきた。それはプリムスの死に繋がる予言と報告であった。彼が多元宇宙で最大の情報ネットワークの中枢部に座していながらにして知ったのは、プリムスの知識に嫉妬した人々についての情報だった。
こうして、デーモン・プリンスのオルクスが、彼の影そのものであるテネブロウスとして、神性を得るための不浄な探索行のために次元界間で血の道を切り開いているとき、プリムスはその最初の犠牲者の1人となった。彼の失われたロッドを探していたテネブロウスは“唯一にして第一の者”の聖域へと侵入し、死の言葉によってこの疑り深い存在に止めを刺し、その姿に成り変わり、彼の邪悪な目的のためにその諜報ネットワークと奉仕者たちの軍勢を屈服させた。数知れないモドロンたちがテネブロウスの残酷な気まぐれに服従して失われた。そして、この神になろうとしていたデーモンが望みの全てをかなえたとき、そのうわべの姿を脱ぎ去ると、そこにはめちゃくちゃにされたモドロンたちの階級社会だけが残された。
彼らの神であり指導者であった存在を失うと、プリムスに最も近い副官だったメンバー―セクンダス―が最高位モドロンの位に就いた。この新しいプリムスは、人々がひどい害を受け、大聖堂は略奪され、その魔法は崩壊してしまっていたため、その種族の注意を内側に向けさせ、すべての生き残りモドロンたちをレグルスに帰還させ、その境界を封印した。それ以来、多元宇宙のどこであれ、モドロンを見かけることはほとんどなくなり、彼らの現在の活動は謎に包まれている。
しかし、前のプリムスは外見上は滅ぼされたにも関わらず、その意識が次元界中に広がっていた存在は、容易に滅ぼすことはできない。それの破滅の瞬間に接触があり苦悩を味わった何千ものモドロンたちの精神と記憶から、古いプリムスの痕跡霊が生み出された。かつては論理、法、そして体系化された多元性がそのあらゆる行動を決定付けていたが、今や新しい指令がこの几帳面な秩序の幽霊を奮起させている。すなわち、テネブロウスとそれに類するありとあらゆる混沌の存在を壊滅させるという指令だ。

特殊条件:

呪縛者がすでにテネブロウスを呪縛した後であれば、プリムスは姿を現すことを拒否する。もし呪縛者が過去のいずれかの時点でテネブロウスを呪縛したことがあるなら、プリムスはその事を知っており、その秘紋を明るい光の中で描くことを要求する。

霊の発現:

プリムスが発現を開始する時、その秘紋はまるで浮遊する演壇のように浮かび上がり、何ダースもの小さな歯車とからくり仕掛けを持った青銅の機械のように見え、それらは動くにつれてブンブンと唸りカチコチと音を鳴らしている。黄色い光が地面から漏れ出し、機械を突き抜けて輝き、虹色の光の爆発と共にプリムスが出現すると同時に少しだけ薄暗くなる。
プリムスは頭頂部から浮遊する機械仕掛けまで全体で10フィートほどの身の丈で、その下半身は床から立ち上る輝きに溶け込んでいる。姿は人型生物であるが、プリムスは固い金で作られたように見える性別を持たない肉体をしている。
プリムスは静かで無感情に立ち、何も言葉を発せず、その表情には全く特徴というものが欠けている。ついにバインダーが何か喋ろうとした時、プリムスは唐突に喋り始めるが、その声はうつろで冷たい。「我々を招来するのは誰だ?」いったん言葉を発すると、プリムスのうつろな顔の目があるべき位置に2つの穴が開き、それぞれの穴からプリムスの顔へ黒い液体が溢れだす。その液体が流れ出すと、あたかもプリムスの涙がその肉体を焼き尽くしているかのように、薄い膜で覆われたこの痕跡霊の黄金の肉体がジュージューと音を立てる。この暗黒の液体が作り出す溝がどんなに深くなろうとも、プリムスは全くひるむことはない。

徴候:

バインダーの足や腕の皮膚の一部分が、何ダースもの金、銀、青銅でできたつぎはぎになる。これらのランダムに配置された金属板は、非常に正確な正方形、正三角形、六角形、その他の幾何学的図形の形状をしている。これらの金属片は、キャラクターに対していかなるボーナスも、制限も与えない。もしこれを取り去ると、それは血の滴る肉片に戻ってしまう。

影響:

プリムスは、バインダーを無情な実際家にさせるという精神的影響を引き起こす。そのバインダーは、究極の目的のために行なうあらゆる活動に価値を見出し、軽々しい言動やただの気晴らしといったものには我慢がならなくなる。あらゆる行動は計算された動きとなる。加えてプリムスは、バインダーに対して、それと知っていて法を犯したり、あらゆる秩序の権威の直接の命令に従わなかったりしないように要求する。

付与能力:

プリムスはバインダーに、混沌と戦う力、秩序ある行動から利益を得られる能力、そしてあらゆる存在に一時的に命令を下す能力を与えてくれる。

信仰力による行動の様式化 Divine Structure:

もし君が連続したラウンドに同じ順番で同じアクションを取るなら、君はそのラウンドに行なうすべての攻撃ロール、セーヴ、そして技能判定に対して+1の洞察ボーナスを得る。たとえば、もし君が移動して1回の標準アクションの攻撃を行ない、続く次のラウンドにも移動して1回の標準アクションで攻撃を行なったなら、君はこのボーナスを受けられる。もし君が移動して1回の標準アクションの攻撃を行なった後、次のラウンドで5フィート・ステップを行なってから全力攻撃を行なったなら、このボーナスを得られない。

秩序の攻撃 Lawful Attack:

君の近接と遠隔攻撃は、ダメージ減少を打ち破れるかどうか判定する際に秩序の属性を持つものと見なされ、近接あるいは遠隔攻撃(接触攻撃も含まれるが、遠隔接触攻撃は含まれない)を命中させたあらゆる混沌属性のクリーチャーに対して+1d6ポイントの追加ダメージを与える。

プリムスの命令 Primusu's Order:

君は100フィート以内にいる1体のクリーチャーに対し、特定のアクションを取るように命令することができる。そのクリーチャーは君の声を聞くことができなければならないが、君の話す言語を理解できる必要はない。この能力を使用する時、コマンド呪文にリストされている命令から1つを選択すること(訳注:「来い」「落とせ」「倒れろ」「逃げろ」「止まれ」)。もしその目標が意志セーヴに失敗したなら、そいつはそのアクションを取る。加えて、意志セーヴに失敗した目標は、1d4ラウンド間か、あるいは君がそいつを攻撃するまで、あたかも君がインヴィジビリティとサイレンス呪文の効果を得ているかのように、君の事を見たり聞いたりすることができなくなる。他のクリーチャーは通常通り君を知覚することができる。この能力は[言語依存]ではないし、[精神作用]効果に完全耐性を持つクリーチャーに対してさえ効果を与えることができる。一度この能力を使用したなら、君は5ラウンド間は再びこの能力を使用することができない。

出典:

『Dragon #341』p.71

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最終更新:2013年11月17日 07:37