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アセレラック(痕跡霊)

アセレラック、貪る者 ACERERAK, THE DEVOURER

痕跡霊レベル5
呪縛難易度25
半人間のリッチであったアセレラックは、実在として留まることを失ったことによって、神に匹敵するパワーを手にした。痕跡霊としては、彼はリッチのパワーに似た能力を付与してくれる。

伝説:

アセレラックの名前を記憶しているのはバードたちとごく少数の学者たちだけであるが、彼の最後の休息所であったと推測される“恐怖の墓所”(トウム・オヴ・ホラーズ)の伝説を知る者はたくさんいる。この名高い場所には富と魔法が隠されているという噂が広まり、この墓場は次々と増える探検家と墓泥棒たちの埋葬場所を化した。しかし実は、“恐怖の墓所”は全くアセレラックの墓所ではなかった。そこは永遠の不死を獲得し、すべてのアンデッドに命令を下すという彼の計画の一部に過ぎなかったのである。
アセレラックは日記を残しており、そこに記載された情報と、少数の勇敢な者たちの活動とによって、ついにアセレラックのすべての物語が明るみになった。彼の日記によれば、アセレラックは人間の女性とデーモンの間に生まれた混血児だと書かれている。恐ろしい畸形児であったにも関わらず、母は彼を保護した。そして、幾人かの迷信に取り付かれた村人が、彼が10歳のときに彼らの家を焼き払ってしまうまで、母は彼の世話をし続けた。アセレラックはデーモンの血筋のおかげでこの災禍を生き延びたが、母は生き残れなかった。彼の日記の中で、アセレラックはこの事件こそが、彼を死霊術の道へと導き、人間たちに対する復讐を誓わせたきっかけだったと追憶している。
アセレラックは強力なウィザードとなった。年老い、死の影に脅えるようになると、彼はリッチをなるための儀式を探し出し、実践した。アンデッドの姿を取った後、数世紀の間に彼のパワーは成長し続けた。しかしながら、その日記の中でアセレラックは、自律行動能力を得たアンデッドの肉体までも、最終的には衰弱し始めてきたことを述べている。最終的な忘却の時が近付いている事を知った彼は、自ら秘密の墓所を建築することを決めた。「とてつもない幸運と最高級の技量を持つ者だけが勝ち残り、我が下へと辿り着くであろう」日記にはそう書かれている。「そこで彼らは、永遠という素晴らしい報酬を受け取ることだろう。」
日記、“恐怖の墓所”、そしてその存在を信じられている報酬、これらはすべて、アセレラック―そのときには強力なデミリッチとなっていた―が“結末の要塞”と呼んでいた墓所の一部へと、強力な冒険者を誘い込むために紡ぎあげた念入りな計略であった。実際は、アセレラックは強力な精神を生贄に捧げることによって、負のエネルギー界と彼の意識を同化させようという望みを持って、儀式を手配していたのである。実際にこの目的を達成したなら、彼はあらゆる次元界にいるすべてのアンデッドを制御下に置き、神の如きパワーと不死性を同時に手に入れていたであろう。しかし、“恐怖の墓所”の悪名は、アセレラックの日記に約束された報酬を得ることに熱をあげる、富に飢えたスリルを求める連中だけを引き寄せた訳ではなかった。請願者たちもやって来た。知識を探索している死霊術士、永遠の生を求める者たち、そして目的を探し求める失われた魂は、彼らが暗黒の技でできる事を学ぶために、この墓所へ旅立った。やがて、請願者は崇拝者となり、彼らは献身する対象の近くに居住するようになった。最終的に、アセレラックの“恐怖の墓所”の入口周辺に、スカル・シティと呼ばれる居留地が勃興することとなった。
アセレラックが彼の墓所へと誘い込んだ英雄たちの幾人かは、彼が予測していた以上に強力で賢明であることが判明した。スカル・シティと“恐怖の墓所”を戦って切り抜けた後、彼らはかのデミリッチの“結末の要塞”へと乗り込んだ。我慢を重ねた最後の瞬間、彼らはアセレラックの計画を推測し、彼の神格化にとって重要であったアーティファクトを破壊した。彼らはアセレラックを打ち倒し、彼の経箱を破壊した。
通常、そうした行為がなされれば、アセレラックの魂はアビスに送り込まれるものであるが、スカル・シティ住民の崇拝は、彼に見せかけの神性を付与していたのである。負のエネルギー界と一体化したいという彼の願望は、アビスの力よりも強いことが判明した。アセレラックには不幸なことに、死んだ魂は負のエネルギー界には旅立つことはない。彼の霊魂にはっきりした目的地がなかったために、それはどこにも行かず、すべての次元界から切り離されて痕跡霊と化すことになったのであった。

特殊条件:

アセレラックの秘紋の中心に、人間の歯か目と同程度のサイズの宝石を置かなければならない。この宝石は招来の工程において消費されることはないし、アセレラックの霊の発現の様子(下記、霊の発現の項目参照)にも関わらず、君が置いた位置から移動することもない。

霊の発現:

君が秘紋の中心に置いた宝石は君の頭の高さまで浮かび上がるように見える。周りの空気から埃が渦巻いて、地面から浮かび上がった宝石と一体化し、歯か目が宝石でできた黄色い人間の頭蓋骨が形成される。その直後、きらめきと共に、両目の眼窩とそれぞれの歯にダイアモンド、ルビー、エメラルド、サファイアといった様々な宝石が出現してその場所を占める。その宝石はいずれも内側からかすかな輝きを発している。そして、アセレラックは蔑みをこめた乾いた声で話し始める。

徴候:

君の歯の1本が宝石と置き換わる。もし抜いたとしても、その歯は普通の歯に戻ってしまい、抜いた箇所に新たな宝石が出現する。

影響:

アセレラックは、痕跡霊として望み通りに不死性を獲得したが、それには何の力も伴っていない。もし彼の影響下にあるなら、君は影響力を握ることと一番になることへの強力な欲望を示す。もしクリーチャー集団において何らかのパワーの不在を満たすことができる機会を与えられたなら、アセレラックは君にそれを握るよう迫ってくる。君は行方不明の町役人を演じようとするかもしれないし、指揮官のいない兵士の部隊の指揮権を握ろうとするかもしれないし、あるいは暴走した馬を制御するために手綱を取ろうとするかもしれない。

付与能力:

アセレラックを呪縛している間、君は偉大なるリッチが保持していた伝説的な不死性というパワーを獲得する。

ディテクト・アンデッド:

同名の呪文と同様のディテクト・アンデッドを回数無制限で使用できる(術者レベルは君の有効バインダー・レベルに等しい)。

ハイド・フロム・アンデッド:

回数無制限で標準アクションとして、君はアンデッドに発見されなくなることができる。この能力は、知性のあるアンデッドがこの効果を無視し君に気付くための難易度が10+有効バインダー・レベルの半分+【魅力】修正値に等しい点を除き、ハイド・フロム・アンデッドの呪文と同様に機能する。

リッチのエネルギーへの完全耐性:

君は[冷気]と[電気]のダメージに対して完全耐性を得る。

麻痺の接触:

標準アクションとして、君は生きている敵を麻痺させる接触攻撃を行うことができる。接触されたクリーチャーは頑健セーヴを行わなければならず、失敗すると君の有効バインダー・レベルの半分に等しいラウンドの間、麻痺する。それぞれのターンにおいて毎ラウンド、麻痺しているクリーチャーは全ラウンド・アクションとして新たなセーヴィング・スローを試みることができ、成功すれば即座にその効果は終了する。一度この能力を使用すると、5ラウンド間は再び使用することができない。

スピーク・ウィズ・デッド:

君は回数無制限で、あたかもスピーク・ウィズ・デッドの呪文を使用したかのように、死体に質問することができる(術者レベルは君の有効バインダー・レベルに等しい。またセーヴ難易度は10+有効バインダー・レベルの半分+【魅力】修正値に等しい)。

アンデッド的治癒能力:

負のエネルギー(インフリクト呪文によるものなど)は、君を傷つけることなく治癒する。もし君が生きているクリーチャーであれば、正のエネルギー(キュア呪文によるものなど)もまた、同様に君を治癒する。

出典:

『Tome of Magic』p.19

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最終更新:2013年11月16日 18:06