VOCALOID【概要】

VOCALOID(ボーカロイド)とは


ヤマハ株式会社が開発したデスクトップミュージック(DTM)製作を目的とした音声合成技術、及びその応用製品の総称である。

また、ニコニコ動画におけるカテゴリタグの一つである。

概要


メロディー(音階)と歌詞を入力するだけで、人間の声を元にした歌声を合成することができる。
2011年10月現在、製品は基本ソフトに基づくとVOCALOID(パッケージ製品として2004年にリリース)、VOCALOID2(パッケージ製品として2007年にリリース)、VOCALOID3(パッケージ製品として2011年にリリース)の3種が発売されている。

VOCALOIDは実際に収録された音声に基づいたデータベースとともに用いられるが、
それらはVOCALOID及びVOCALOID2においては基本ソフトとバンドルされる形で、
VOCALOID3においてはデータベース単体(但し、主として音声データの試用に使えるTiny Editorが付属)で販売されている。
VOCALOIDのデータベースについては、国内ではヤマハからライセンスを受けたクリプトン・フューチャー・メディア、株式会社インターネット、AH-Software、ビープラッツ、キューンレコードの5社がパッケージ販売を行っている。
海外ではZERO-G(英国)、PowerFX(スウェーデン)、SBS Artech(韓国)、Voctro Labs(スペイン)の4社が同様にパッケージ販売を行っている。

VOCALOID製品の構成


VOCALOID製品は以下の要素で構成されている。
1.スコアエディタ(VOCALOID Editor/VOCALOID2 Editor/VOCALOID3 Editor)・・・楽譜情報入力のインタフェース。ヤマハが提供。
楽譜情報(音符、歌詞、音楽的表情(ビブラートなど))の取り込みと加工。
2.歌声ライブラリ・・・実際の歌手の歌唱から音源として抽出した以下の2つのデータベース。パッケージ製品として販売する各社で用意。
I.発音データベース・・・実際の歌手の歌唱から音源として抽出したデータ。
II.表情データベース・・・同様にこちらはビブラートなどの音楽的表情のデータ。

3.音声合成エンジン(VOCALOID/VOCALOID2/VOCALOID3)・・・VOCALOIDの心臓部とも言える部分。ヤマハが提供。1.と2.の入力情報を合成して歌声として出力する。

ヤマハよりライセンスを受けた各社は、実際の歌手(例として初音ミクの場合は藤田咲)の歌唱を基に上記2.の歌声ライブラリを作成し、ヤマハの提供する1.と3.と合わせてパッケージ製品として販売している。
もちろん歌声ライブラリは音源だけ用意すればいいという訳ではなく、自然な歌声となるように様々なチューニングが施されている。このため、同じVOCALOID、VOCALOID2を使用する製品でも各社ごとに特徴や癖が生じることとなりそれが製品ごとの個性となって表われている。

VOCALOIDの仕組み


ヤマハの音声合成エンジン(VOCALOID/VOCALOID2/VOCALOID3)では、歌声の合成に「周波数ドメイン歌唱アーティキュレーション接続法」という技術が用いられている。
この技術を大雑把に説明すると、歌手の歌声からビブラートや音の断片といった声の表情となるデータ(上記2.)を集めて「歌唱アーティキュレーション」を生成し、周波数領域に変換した上でデータベース化し、歌詞や音程のデータ(上記1.の入力)に合わせて接続して歌声として出力するものである。

互換性についてはVOCALOIDとVOCALOID2との間に互換性はないが、VOCALOID3はVOCALOID2の上位互換となっており、VOCALOID3においてはインポート機能によりVOCALOID2のデータベースを使用することが可能である。

派生技術

VOCALOID-flex
従来のVOCALOIDでは歌唱に比べて苦手であった「喋り」を実現するため、音韻や韻律の細かな編集を可能にした歌声および発話の合成エンジンソフトウェア。音源には、VOCALOID用の既存の歌声ライブラリが利用可能。
消費者向けのサービスとしてインターネット社のサービス「V-Talk」があり、ガチャッポイドの声でしゃべり声を合成することができる(ガチャッポイド購入者は登録日から6ヶ月間無料で使用可能)。
また、アプリ開発者に対し、2010年10月から2ヶ月弱、ヤマハが無料で「NetVOCALOID-flex API」を提供しており、VY1の声でしゃべるウェブアプリを一般人が作成することが可能。NetVOCALOIDサーバ上にVOCALOIDを配置し、歌声合成機能をネットワーク経由でユーザに提供するSaaS型のサービス。
現在、提供または提供を予定されている主なサービスには以下が挙げられる。
携帯電話向けサービス株式会社インターネット「ケータイがくっぽいど」(2009年4月7日携帯サイトオープン)
クリプトン・フューチャー・メディア「ミクと歌おう♪」(2009年4月7日携帯サイトオープン)
KDDIの携帯ブランド「iida」の企画「iida calling 2~4」(2009年~)
コナミのPSP用ゲームソフト「メタルギアソリッド ピースウォーカー」(2010年発売)

VocaListener(通称ぼかりす)
産業技術総合研究所が開発している入力された歌声を元に自動的にVOCALOIDのパラメータ設定を行い歌声を出力する技術。Netぼかりすヤマハと産業技術総合研究所が共同で開発中の簡易版VocaListenerの機能をネットワーク経由で提供するサービス。

ニコニコ動画との関係


ニコニコ動画では、初音ミクの「Ievan Polkka」(通称ロイツマ)をきっかけに人気が大爆発。各メディアでも取り上げられ、ニコニコ市場だけで2000本以上を売り上げるなど、ニコニコ最大のヒット商品でもある。

VOCALOIDで歌声を合成する製作過程は「調教」と呼ばれる事が多い。ただし、この「調教」という表現には当初から現在に至るまで否定的な見方をするファンが一定数存在し、「調律」「調声」という表現をされる事も少なくない。

VOCALOIDを使用した動画を投稿するユーザーにも様々なタイプがあり、曲から歌詞から何まで自作するタイプ、既存曲をカバーするタイプ、既存曲やVOCALOIDのオリジナル曲をアレンジするタイプ、歌わせるのではなく喋らせるタイプ、など多岐に渡る。

また、そういった動画の作者は「~P」と呼ばれることが多い。ただし、このP名に関しては、タグロックしない作者や、終わりに「P」を付けずに名前だけでタグロックする作者、作品によってP名が異なる作者などが少なくないため、P名を明確に認識していないファンも多い。

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最終更新:2011年12月27日 02:59