竹市 雅俊

【生年月日】

1943年11月27日

【出身地】

愛知県名古屋市

【肩書】

理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長

【学歴】

1966年 名古屋大学 理学部 生物学科 卒業
1973年 京都大学より理学博士号授与

【予想授賞理由】

細胞接着分子カドヘリンの発見に対して。

【受賞歴】

1994年 朝日賞
1996年 日本学士院賞
2001年 慶應医学賞
2004年 文化功労者
2004年 フランス教育・学術功労勲章
2005年 日本国際賞
2012年 トムソン・ロイター引用栄誉賞

【著書】


【主要業績】


【研究内容】

動物の細胞は驚くべき能力を持ち、それぞれが想像を超えたダイナミックなはたらきをする。そのひとつが「自己組織化」だ。発生生物学における自己組織化とは、多細胞生物の細胞が自律的に組織を作ることをいう。たとえば、細胞をばらばらにしても、適切な条件下で培養すると自然と元の組織様に戻る。では、どのような力が複雑な組織形成を可能にしているのか?細胞接着、細胞骨格に関する分子構造から動物の体づくりの謎に挑むのが、発生生物学の第一人者である理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長の竹市雅俊氏だ。
今から30年以上前、竹市氏は、細胞同士がくっつきコミュニケーションを図るために重要な役割を担う「細胞間接着分子カドヘリン」を発見。以来、一途にカドヘリンの研究を進めてきた。近年は、がんや脳の神経回路などへの関与も明らかになり、発生生物学のみならず医学分野からも多くの注目を集めている。世界に高いインパクトを与え続ける竹市氏は2012年に「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を受賞した。

私の研究の大命題は、「動物の体がどのようにできるか」です。動物は多くの細胞が集まって形成されていますが、それには細胞同士がくっつかなければなりません。また、くっつくことで多細胞体にはなりますが、さらに細胞間の詳細なコミュニケーションがなければ体の機能は上手く働きません。つまり、「くっつき」かつ「コミュニケーション」を行う。このふたつが重要です。
「くっつく」については、どの細胞とどの方向でくっつくか、さらに、「離れる」というふるまいも重要です。一方、「コミュニケーション」に関しては、くっつくことで細胞が増殖を停止したり、お互いを知る事ではじめて極性が決まったりという極めて多様な関わり合いがあります。そこには様々な分子が関与していますが、私が1977年から1984年にかけて発見した「カドヘリン」という細胞間接着分子が、中でも重要な役割を担っていることが分かりました。このカドヘリンと総称できる分子は今まで120種ほど発見されており、全体を「カドヘリンスーパーファミリー」、細胞の接着に重要な役割を果たす約20種の分子を特に「クラシカルカドヘリン」と呼んでいます。さすがに120種すべてを研究することは難しいので、クラシカルカドヘリンと、その他の一部の興味深い分子について研究を続けてきました。
私の研究は、「動物の体はどうやってできているか」という自然科学上の問いに応えるとともに、細胞の接着やコミュニケーション異常に起因する様々な病気の解明の糸口になるのではないかと考えています。例えば、がんが転移するという現象は非常に深刻ですが、転移とは、くっついた細胞が離れて移動してしまうことであり、ある意味、細胞の接着異常と説明できます。また、「シナプス」という脳の細胞間の接着の形成にもカドヘリンが関わっていて、カドヘリンに異常が生じると脳の神経回路に障害ができると考えられています。つまり、カドヘリンを研究することは、すなわちがんや脳の病気の原因を探ることにも繋がります。

【本人HP】


【その他】


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最終更新:2013年12月29日 19:04