John B. Goodenough

【生年月日】

1922年7月25日

【出身地】

ドイツ・イエナ

【肩書】

テキサス大学 オースティン校 教授

【学歴】

1944年 イェール大学 卒業
1952年 シカゴ大学にて博士号取得

【予想授賞理由】

リチウムイオン二次電池に関する先駆的な研究とその開発に対して。
水島 公一吉野 彰らとともに共同受賞の可能性がある。

【受賞歴】

2001年 日本国際賞

【主要業績】


【研究内容】

携帯電話、PCなどモバイル製品に必須であるリチウムイオン電池。現在のハイブリッド自動車はいまだニッケル水素電池が主流ですが、ポテンシャルを考えると次世代電気自動車はリチウムイオン電池が中心になっていくでしょう。そんなリチウムイオン二次電池を開発したのが今から30年ほど前、当時オックスフォード大学に所属していたグッドイナフ教授でした。科学的にもう少し正確にいえば、リチウムイオン電池ではなく、「リチウムイオン電池の正極」です。それまでリチウム電池は知られていましたが、その正極としては化学的に反応性の高い金属リチウムであり使い物になりませんでした。ところが1979年にグッドイナフ教授と当時オックスフォード大学に留学していた水島公一氏(現東芝リサーチコンサルティング)が正極としてリチウムコバルト酸化物(Li-XCoO2)が適していることを見出し、特許として報告しました。その後、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)も正極材料として効率的であることを発見しています。
その後、旭化成の研究員であった、吉野彰氏(現旭化成フェロー)が白川英樹教授(2000年ノーベル化学賞受賞者)が発見したポリアセチレンに注目し、1981年に負極に炭素(ポリアセチレン)、正極にをリチウムコバルト酸化物を用いた現在のリチウム二次電池の基礎となる電池を創成しました。その後、電解質にポリマーを用いる(リチウムポリマー電池)など様々な改良が加えられ現在の実用化にいっています。

1978年、英オックスフォード大 無機化学研究所で小さな爆発事故が起きた。これがリチウムイオン電池を生み出すきっかけとなった。
爆発の「犯人」は水島公一さん(現、東芝リサーチ・コンサルティング)。当時は東京大助手で、ジョン・グッドイナフ教授に招かれ留学中だった。リチウムを使った充電式電池(二次電池)の正極材料を探す実験に取り組んでいた。隣の研究室の電気炉を借りて実験していたろころ、小爆発が起きた。部屋中に硫黄とリンの蒸気がもうもうと立ちこめ、大騒ぎになったという。
当時はオイルショック後間もない時代。エネルギー問題から高性能な二次電池が求められた。金属リチウムを電極に使うと高い出力電圧が得られることは分かっていた。小型軽量化もできる。しかし、充放電を繰り返すうちにリチウムが電極上で樹状に成長しショートを起こして、発火爆発をする危険性があった。

電極の素材選びがカギ
その時、注目を集めたのが層状化合物の層間にイオンや分子が入り込む「インターカレーション」という現象だ。こうした化合物を電極に使えば、リチウムは電極内でイオンとして存在するため金属リチウムを使うより安全性は高い。
水島さんは爆発事故で隣の研究室を出入り禁止になった。グッドイナフ教授の勧めもあり、研究目標を硫化物から、安全に合成できるリチウムの酸化物に変えた。これがターニングポイントだった。
東大時代に研究で酸化物を使っていた水島さんは、酸化物の物性に「土地勘」があった。数ヶ月で、正極の材料としてコバルト酸リチウムにたどりついた

同博士の発見によるリチウムコバルト酸化物(Li1-XCoO2)は層状構造を持つ酸化物で、リチウムイオンが電解液を、電子が外部回路をそれぞれ移動することによって、結果的にリチウムがこの酸化物に挿入・引き抜きされる。リチウムコバルト酸化物をカソードに用いたリチウムイオン電池は4Vの高い起電力を持ち容量も大きいため、高いエネルギー密度を持つ。軽量高エネルギー密度の二次電池はこのリチウムコバルト酸化物の発見によって実現された。
リチウムコバルト酸化物は層状構造であるが、同博士は三次元スピネル構造のリチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)がリチウムイオンの挿入・引き抜きの出来る二次電池カソード材料である事も見出している。また、コスト、環境、保存性などの視点から新材料の探索を行い、ナシコン型酸化物(Li3Fe2(PO4)3)など新しい材料も提案している。
リチウムコバルト酸化物をカソードとして用いたリチウムイオン電池は、エネルギー密度が従来の二次電池の約3倍となる。極めて軽く、軽量性が強く要求される可搬型情報機器電源として必要不可欠であり、情報機器の急速な普及とともに生産量も急激に増大しつつある。今後もいっそうの需要増大が予想される。鉛、カドミウム等の有害物質を含む二次電池の置き換えが可能となり、環境保護の面でも重要な役割が期待される。また、博士の研究に基づくリチウムマンガン酸化物カソード材料も近年多くの研究者により活発に研究されており、すでに実用も始まっている。マンガン系材料は資源量の点で優れており、それを用いた二次電池の本格的実用化は希少資源保護の立場から見て意義は大きい。ハイブリッド車、電気自動車用を目指した開発が進み実用化に至れば、CO2排出量削減に大きく貢献すると思われる。
このように、リチウムイオン電池は、情報機器を通して社会に大きく寄与しているが、ハイブリッド車、電気自動車への実用が実現されれば、地球温暖化ガス(CO2)削減に多大の寄与をするものと考えられる。

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最終更新:2013年12月28日 17:37