【中学一年 ―― 12月】
穏乃「おっじゃましまーす」
憧「お邪魔します」
京太郎「おう、いらっしゃい」
穏乃「はい、これ。うちのお母さんから差し入れ」
京太郎「お、お菓子か。ありがとうな」
憧「こっちもお菓子と後、飲み物買って来たから…」
京太郎「サンキュ。んじゃとりあえず広げるか」
穏乃「うん。えっと…よいしょっと」
憧「ん…って…あー…」
京太郎「…こうして広げると量がやばいな」
憧「三人全員がパーティ用の大きい奴買って来たらそりゃねぇ…」
穏乃「これ食べきれるかな…」
京太郎「まず無理だろ。この上、料理来るんだぜ?」
憧「ま、食べきれなかったら食べきれないでまた置いておけば京太郎やしずが食べるでしょ」
穏乃「えへへ…うん」
京太郎「そうだな。じゃ…まずは乾杯から始めるか」
穏乃「かんぱーい」
憧「はい、乾杯」
京太郎「お疲れ様。乾杯」
穏乃「…~♪」ゴクゴクッ
穏乃「ぷぁ~♪この一杯の為に生きてるよね!」
京太郎「サイダーで何言ってるんだお前」
穏乃「えーでも炭酸って美味しくない?」
憧「そりゃ…まぁ、美味しいでしょうけど…」
京太郎「そこまで言うほどじゃないよなぁ…」
穏乃「えー…そうかなぁ…」
京太郎「つか、空きっ腹に炭酸はきつい」
憧「あ、それはあるね」
穏乃「そう?私全然気にしないけど…」
憧「それはしずだからじゃない?」
京太郎「しずだからなー」
穏乃「??」キョトン
憧「それより…京太郎…あの…」
京太郎「あ、そうだな。じゃあ…はい」スッ
憧「ん…っ♪」ギュッ
穏乃「えー…」
京太郎「ん?」
穏乃「憧だけギュってするのずっこいー…」
京太郎「つっても…こればっかりはな」
憧「そうそう。…リハビリだから仕方ないの」ウットリ
憧「あ、でも、京太郎、このままじゃ、ご飯取れないよね?」
京太郎「え?いや…」
憧「欲しいのあったら言って。あたしが取ってあげるから」
京太郎「あー…じゃあ、鳥から頼む」
憧「はい。じゃあ、あーん♪」
京太郎「あ、あーん…」
穏乃「むぅ…」
穏乃「…私もぎゅってする」
京太郎「え…でも…スペースないぞ?」
穏乃「う、後ろからぎゅってするもん…」
京太郎「でも、それじゃお前が食べられないだろ?」
穏乃「…じゃあ、京ちゃんが食べさせて」
京太郎「え?」
穏乃「どれでも良いから…京ちゃんがあーんして」
京太郎「いや、でも、無理にそんな事しなくても…」
穏乃「…ダメ?」
京太郎「……あーくそ…そういうの卑怯だろ…」スッ
穏乃「えへへ…♪」
穏乃「だから、京ちゃんって大好き!」
京太郎「はいはい。アホな事言ってないで口開けろ、ほら、あーん」
穏乃「あーん♪」
憧「あ…ずるい…」
憧「き、京太郎。あたしにもあーんして?」
京太郎「いや、別に憧はテーブルに手が届くんだから必要ないだろ」
憧「だ、だけど…ほら…そ、そういうのもリハビリに必要だと思うのよね」
憧「口に尖ったものつきつけられるって不安になるし、うん。そう必要なの」
京太郎「そうか…じゃあ…」スッ
憧「あ…あーん…」チョットダケ
京太郎「…いや、それじゃ入らないし」
憧「だ、だって…流石に大口開けるの恥ずかしいじゃない…」カァ
穏乃「ぅ?」モグモグ
憧「…あ、しずは例外だから」
京太郎「分かってる。分かってるって」
穏乃「??」
穏乃「じゃあ、いまの間に私が京ちゃんのとってあげるね!」
憧「え、ちょ…」
穏乃「はい、京ちゃんあーん」
京太郎「おう、あーん」モグモグ
穏乃「美味しい?」
京太郎「おう。美味でおじゃる」
穏乃「じゃあ、今度はお刺身いっちゃうねー♪」
憧「あ…ぅ…き、京太郎!私にも…」
京太郎「お、おう。ほら、あーん」
憧「あーん」
穏乃「はい。京ちゃん、あーん」
京太郎「……」
京太郎「……」
京太郎「……」
京太郎「…なぁ、流石にこれ止めないか?」
穏乃「えー?」
憧「な、なんでよ?」
京太郎「いや、だって食いづらいし…話しづらいし動きづらいし…」
憧「そ、そんな事ないわよね、しず」
穏乃「うん。とっても楽しいよ!」
京太郎「…楽しいか?」
穏乃「うん。京ちゃんに食べさせてもらうと何時もよりずっと美味しいし」
穏乃「京ちゃんに食べてもらうと嬉しいもん」
京太郎「…憧もうそうなのか?」
憧「ぅ…あ、あたしは…」
憧「……し、しずほどじゃないけど…お、同じ気持ちかな…って…」ポソポソ
京太郎「そっか…んじゃ、仕方ない。我慢するか」
穏乃「わーい!じゃあ、京ちゃん、次は私に…」
憧「あ、じゃあ、あたしが食べさせてあげるね」
京太郎「…もう好きにしてくれ」
憧「ん…」ファ
京太郎「ん…眠くなったのか?」
憧「…うん…ごめん…」
京太郎「良いよ。んじゃ、ベッド行こうか」
穏乃「え?」
京太郎「あ、悪い。ちょっと俺、憧の添い寝するから…」
穏乃「添い…寝?」
京太郎「あぁ」
穏乃「…わ、私も!」
京太郎「ん?」
穏乃「…私も添い寝する!!」
京太郎「いや…でも…そんなスペースないぞ?」
京太郎「正直二人でも結構、一杯一杯だし…」
憧「…」
憧「あたしは…良いよ」
京太郎「え?」
憧「こう…うつ伏せじゃきついけど…寝転がるようにしたら三人並べるでしょ」
京太郎「でも、それだと眠れなくないか?」
憧「あたしは多分大丈夫。…京太郎の側だったら…きっと何処でも同じだし」
京太郎「そう…か?」
憧「…うん。ただ…態勢崩さない為に足絡ませるかもしれないけど…」カァ
京太郎「??まぁ…それくらいなら…」
憧「き、決まりね。じゃあ…まずしずから…」
穏乃「うん。えっと…じゃあ…お邪魔します」イソイソ
穏乃「えへへ…♪」
京太郎「ん?」
穏乃「…京ちゃんの匂いで一杯…♪」
京太郎「…俺って臭いのか?」
憧「大丈夫、いい匂いだから」
京太郎「そうなの?」
憧「あ…い、いや…しずにとってはだからね?あ、あたしがそう思ってるとかそういうんじゃないし!」
京太郎「まぁ…それなら良いんだけど…」ヨイショット
穏乃「あ…」
京太郎「ん?どうした?」
穏乃「…京ちゃんの背中ずいって来て…ドキッとした…」
京太郎「あー…ごめん。邪魔か」
穏乃「ううん、大丈夫」
穏乃「寧ろ…もっと近くに来て欲しいかなって…」
京太郎「…コレ以上近づいたら壁の間で潰れないか?」
穏乃「えっと…それも良いかなって…」
京太郎「ばーか。流石にそんな事するかよ、んじゃ…憧」
憧「…ん…っ♪」ギュッ
京太郎「…ちゃんと眠れそうか?」
憧「…ん…大丈夫…そう…」ギュゥゥ
京太郎「そっか、んじゃ…眠れるまで撫でといてやるからさ」
憧「う…ん…♪」
憧「…すぅ…」
穏乃「…憧寝ちゃった?」
京太郎「あぁ…やっぱりちゃんと家で眠れてないみたいだな…」
穏乃「…大変…なんだね」
京太郎「そうだな…俺達が簡単に…分かるなんて言っちゃいけないくらいには…そうなんだろう」
京太郎「(…しずには言わないけど…憧が寝ている途中で飛び起きた回数なんて一度や二度じゃないもんな…)」
京太郎「(今はこうして笑うようになったけど…まだその爪痕は憧の中に残ってる…)」
京太郎「(…それを少しでも癒してやる為にも…俺が頑張らないと)」
京太郎「(頑張らないと…いけないんだけど…)」
京太郎「(正直な…身体の一部が限界っていうか…)」
京太郎「(俺だって一応、男な訳で、こうして密着されるといろいろと意識しちゃう訳で)」
京太郎「(何時もは腕枕してるだけなのに…今日はしずも居て身体全体がぴっとりくっついてるからな…)」
京太郎「(いや、一部はくっついてるどころか…絡みついてるし…)」
京太郎「(スベスベした肌意識して…やばいって)」
京太郎「(何処とは言わないけど…やばいんだって!!)」
穏乃「…良いな」
京太郎「え?」
穏乃「あ…いや…その…」
穏乃「…ごめん。何でもない」
京太郎「…そうか?」
穏乃「…うん…ごめんね」
穏乃「(…私…どうしちゃったんだろ…)」
穏乃「(…あんな風に京ちゃんに抱きしめられる憧を見て…羨ましいなんて…)」
穏乃「(苦しんでる憧を見て…ずるいって思うなんて…)」
穏乃「(こんなの…友達失格だよね…)」
穏乃「(でも……でも…)」
穏乃「(…京ちゃん…私も…みて欲しいよ)」
穏乃「(憧じゃなくて…私も…撫でて欲しい)」
穏乃「(そんなの言えないけど…でも…)」
穏乃「(私ももっと…京ちゃんに甘えたいよ…)」
【System】
高鴨穏乃の愛情度がLV3になりました
高鴨穏乃は新子憧に対して嫉妬を覚え始めたようです
新子憧の愛情度がLV6になりました
新子憧の傷跡はまだまだ深いようです
最終更新:2013年10月13日 17:55