中学一年――9月(レジェンドEX)

【中学一年 ―― 9月EX】

京太郎「(結局、あれから夕方までずっとやえ先輩をエスコートした訳だけど…)」

京太郎「(あれってやっぱりデートなのかなぁ…)」

京太郎「(ずっと腕組んでたし…すげぇ楽しかったし…)」

京太郎「(ただ、やえ先輩の方はどうだろうなぁ…)」

京太郎「(会話は何時も以上に弾んだけど…隣にいたの緑のジャージ男だった訳だし…)」

京太郎「(最後は笑顔で別れてくれたけど…うーん…)」

京太郎「(やっぱりこういうのって憧に聞くべきか…?)」

京太郎「(割りと女の子してる憧だったらきっと、答えを出せるだろうし…)」

京太郎「(…あー…でも、なんでだろ…)」

京太郎「(相談した瞬間、また静かに機嫌が悪くなっていく姿が簡単に想像出来るぞ…)」

京太郎「(理由は分からないけど…なんとなく本能的にそれをしちゃいけないってのは分かる…)」

京太郎「(でも…それならどうしよっか…)」ブルルル

京太郎「(って…あれ、珍しい。電話…?)」カチャ

京太郎「(って…しかも、これ…レジェンドじゃん…!)」ピッ






晴絵「やっほー。元気してた?」

京太郎「…いきなりなんだよ、レジェンド」

晴絵「あ、良かった。これ京太郎の番号のままだったんだ」

京太郎「そりゃ、ポンポン変えるもんじゃねぇし」

晴絵「まぁ、京太郎は電話番号とかファッション感覚で変えるタイプじゃないよね」

京太郎「そもそもファッションすらよく分かってないけどな」

京太郎「…で、何の用だ?」

晴絵「って…久しぶりに連絡した恩師に酷くない?」

京太郎「恩師なんて思ってねぇからな」

晴絵「もう…あんなに熱い日々を過ごしたのに…」

京太郎「冗談言ってるだけなら切るぞ」

晴絵「ちょ・・・!待って!待ってって!!」






京太郎「じゃあ、要件だけを簡潔にな」

晴絵「うぅ…京太郎が冷たい」

京太郎「ごーぉよーん」

晴絵「わーわー…!待って待って!!ごめんってば!!」

京太郎「はぁ…で?」

晴絵「うぅ…私だって…その…緊張するんだもん」

晴絵「…ちょっぴりお茶目になっちゃうのも仕方ない事じゃない?」

京太郎「そのお茶目に延々付き合わされる身にもなってみろよ…」

京太郎「付き合わせてる側には分からないかもしれないけど、結構疲れるんだからな…」

晴絵「あぁ…一年見ない間に京太郎がしなびた大人みたいなセリフを…」

京太郎「ま…この一年、色々あったからな…」

晴絵「…うん。インターミドルにも…優勝したしね」

京太郎「…なんだ。見てたのかよ」

晴絵「うん…だからこそ…連絡せずには居られなかったって言うか…」

京太郎「…ん?」

晴絵「あの…あのね、今から…外出てこれない?」

京太郎「外って…レジェンド、何処にいるんだよ」

晴絵「えと…その…なんていうか…」

晴絵「京太郎の家の…前?」

京太郎「は…はぁ!?」






晴絵「へぇ…ここが京太郎の部屋なんだ…」

晴絵「なんていうか…結構、スッキリしてるね」

晴絵「麻雀の本も一杯で…ちゃんと勉強してるんだ」

京太郎「ま…レギュラーつっても所詮、一年だしさ」

京太郎「勉強しなきゃいけない事なんてやまほどあるんだ」

晴絵「へぇ…じゃあ、エッチな勉強も?」チラッ

京太郎「っていきなりベッドの下覗き込むなよ!?」

晴絵「ちぇー…エッチな本とかないんだ…」

京太郎「お前言っとくけどそれ小学校の時の玄と同レベルだからな?」

晴絵「ふふん…良い女は何時までも少女の心を忘れないものだよ」ドヤァ

京太郎「あぁ、ダメだコイツ色んな意味で手遅れだ…」






京太郎「…で、誤魔化さずにそろそろ話せよ」

京太郎「なんでこっちに帰ってきてるんだ?」

晴絵「え?帰ってきちゃダメだった?」

京太郎「そんな事言ってねぇよ…ただ…今まで休みだってあったのに帰ってこなかっただろ」

晴絵「…うん」

京太郎「それなのに…なんで今なんだ?」

京太郎「レジェンド、実業団でも立派にやれてるだろ?」

京太郎「この前だって結構、大きなところに逆転勝ち決めてたじゃないか」

京太郎「それなのに…どうしてだ?」

晴絵「それは…」

晴絵「…京太郎に会いたかったから…」






京太郎「はぁ、この期に及んでも冗談かよ」

晴絵「……」

京太郎「…え?」

晴絵「…」カァ

京太郎「…え?マジなの?」

晴絵「……」コクン

京太郎「…いや、まぁ…そりゃ…悪かったな」

京太郎「わざわざ会いに来て貰ったのに…冗談なんて言ってよ」

京太郎「でも…それなら余計…俺にとっちゃ理由がきになる」

京太郎「別に俺は病気したって事もないし…順調だ」

京太郎「部の皆とも上手くやれてるし…麻雀だってどんどん上手くなってる」

京太郎「順調だよ。だから…レジェンドが気にする事なんて…」






晴絵「…本当に?」

京太郎「当たり前だろ。レジェンド相手にこんな嘘ついてどうするんだよ」

晴絵「それなら…どうして順調だなんて言ったの?」

京太郎「…え?」

晴絵「私は京太郎に会いに来たとしか言っていないのに」

晴絵「ただ、寂しかっただけかもしれないのに」

晴絵「どうして『言い訳』から始めたの?」

京太郎「それ…は…」

晴絵「…それは…京太郎が『何か』あるからでしょ」

晴絵「人には言えない『何か』を抱えているからでしょう?」

晴絵「例えば…そう…」

晴絵「来年たたかう相手が恐ろしい…とか」

京太郎「~~っ!」






晴絵「私もね。教え子の晴れ舞台だから…あのインターミドルは録画したんだよ」

晴絵「見返したのは最近だったけど…でも、凄かった」

晴絵「私が教えてた頃とは見間違えるくらい強くなって…強豪たちと渡り合ってた」

晴絵「そんな京太郎を見れて…嬉しかったよ」

晴絵「でも…そんな気分は…最後のあの卓で吹き飛んじゃった」

晴絵「あの卓で…一人最後に全部をもぎ取っていった…彼」

晴絵「青山中学の江藤って子は…私から見ても…恐ろしいくらいだったんだから」

京太郎「な…にを言ってるんだよ」

京太郎「俺は…小鍛治プロとも打ち合った奴なんだぜ?あのくらいの奴にびびるはずが…」

晴絵「…でも、一度、覚えた恐怖は克服出来ない。…でしょ?」

京太郎「な…何を…根拠に…」

晴絵「私だよ」

京太郎「…えっ?」

晴絵「私自身の経験から…そう言ってるの」






晴絵「私…何回もトラウマを克服したって思った」

晴絵「何回も…これで元に戻ったんだって…そう思った」

晴絵「でも…それは幻で…一過性のもので…」

晴絵「連想するキッカケさえあればすぐにダメになっちゃって…」

晴絵「折角の実業団でも…あまり実力を発揮する事が出来なくって…」ギュッ

晴絵「だから…私…私…今…小鍛治プロの話を聞いて…尚更…強く思った」

晴絵「京太郎には…同じ風になって欲しくない」

晴絵「私と同じ風に…潰れて欲しくなんかない」

京太郎「レジェンド…」

晴絵「だから…逃げて…良いんだよ」

晴絵「怖いなら苦しいなら…全部、投げ捨てちゃって良いの」

晴絵「そんな京太郎を…皆は責めるかもしれない」

晴絵「けれど…私は…私だけは…その気持ちが分かってあげられるから」

晴絵「ううん…寧ろ…そんな潰れそうなものと戦ってまで…麻雀なんてして欲しくないから…」

晴絵「だから…」

京太郎「俺は…」




>>+2
00~50 …馬鹿にするなよ
51~99 そう…だな


































>>そう…だな…

京太郎「そう…だな…」

京太郎「多分…レジェンドの言う通りなんだと思う」

京太郎「俺は…きっと怖がってるんだ」

京太郎「江藤の奴に…その後ろに見える…小鍛治プロの影に…」

京太郎「俺は…未だに怯えてるんだと思う」

京太郎「それくらい…俺にとってあの経験は…印象深いものだった」

京太郎「正直…レジェンドがトラウマになるのもおかしくないってそう思うくらい…ボコボコにされたからな」

晴絵「…そう…なんだ」

京太郎「あぁ…そうだ。うん…だけどさ」

京太郎「…俺はそれでも…逃げないぜ」

晴絵「…えっ!?」








晴絵「なんで…!?怖いんでしょ…?恐ろしいんでしょ!?」

京太郎「あぁ、そうだ。正直、今でも夢に見るレベルだよ」

晴絵「だったら…!」

京太郎「でも…それじゃあさ…俺がダメなんだよ」

晴絵「…え?」

京太郎「ここで逃げたら…俺はもう一生…レジェンドの教え子だって…胸を張れなくなる」

京太郎「あの化物みたいな小鍛治プロに跳満ぶちあげたレジェンドの教え子だって…言えなくなる」

京太郎「だって…そうだろ?」

京太郎「相手は小鍛治プロの教え子なんだ」

京太郎「レジェンドの教え子である俺が…小鍛治プロの教え子から逃げた…なんて」

京太郎「俺だけじゃない。レジェンドにまで…迷惑が掛かるからさ」

晴絵「そんな事…子どもが気にしなくても…っ」

京太郎「あぁ。子どもだよ」

京太郎「俺はまだまだガキで…なんにも知らない奴で…」

京太郎「人に頼ってばかりのひよっこだ」

京太郎「でも…だからって言ってさ…」

京太郎「俺は…ここで逃げるような奴にはなりたくない」

京太郎「俺の大事な奴に迷惑掛けるって分かってて…」

京太郎「簡単に逃げられるような大人には…絶対になりたくないんだ」

京太郎「だから…俺は絶対に逃げない。真正面からあいつとぶつかって…必ず勝つ」









晴絵「馬鹿…格好つけて…」

京太郎「当たり前だろ。コレでも男なんだから」

京太郎「女の前で格好つけるのが本能みたいなもんなんだよ」

京太郎「ま…ちょっと話がずれたけど…そういう訳だから…さ」

京太郎「来年のインターミドルもまた…見ててくれよ」

京太郎「俺…きっとレジェンドの無念を晴らすから」

京太郎「あいつに勝って…レジェンドの方が凄かったんだって…証明してやるからさ」

京太郎「だから…恩師として…背中押してくれよ」

京太郎「お前なら…大丈夫ってさ」

晴絵「馬鹿…」グスッ

晴絵「京太郎なら…きっとだいじょうぶだよ…きっと…きっと…大丈夫…」

京太郎「…おう。レジェンドがそう言ってくれるなら…俺は何も怖くねぇよ」

京太郎「ありがとうな、レジェンド」

晴絵「それは…こっちのセリフだよ…ぉ」ポロポロ

















【System】
赤土晴絵の欠片が1増えました
現在の赤土晴絵の欠片は3です

須賀京太郎の男気が3あがりました
最終更新:2013年10月12日 11:34