中学一年――7月(練習試合)

【中学一年 ―― 7月第四週】

郁乃「で、今週も合宿やで~」

京太郎「あー…やっぱりっすか…」

モブ1「ま、インターミドルまで後一ヶ月を切ったからな」

モブ2「テストも終わって夏休みも入ったし、ここからは当分、合宿漬けになるぞ」

京太郎「うへぇ…勘弁して欲しいんですが…」

モブ3「ま、諦めろ。強豪校のレギュラーに青春の二文字はない」

モブ3「あるのは仲間たちとの深い友情だけだ」

モブ2「でも、須賀はこの前、黒髪美人と仲よさそうに話してたぞ」

モブ1「マジかよ…意外と隅におけない奴だな」

京太郎「い、いや、違いますって。玄はそんな色っぽい関係じゃ…」

モブ3「…って言うか、須賀は女子の新子と付き合ってたんじゃないのか?」

憧「っ!?」ドキーン










京太郎「あーそれ何故か最近、よく聞かれますけど、そういうんじゃないですよ」

京太郎「あいつはあくまで幼馴染ですし…すげー世話にはなってますけどね」

憧「…」シュン

モブ1「あー…これは…アレだな」

モブ2「あぁ、俺にも分かった。これはアレだ」

モブ3「まったく…うちのエースは罪作りな奴だな」

京太郎「え?なんですか?」

モブ1「何でもない。ただ…まぁ…うん」

モブ2「ちゃんとケアしてやらないと女の子って奴は傷つきやすいんだぜ?」

モブ3「まぁ、そういうのが面倒だと言う気持ちは分かるがな。ただ…刺されたりしないようにしろよ?」

京太郎「…???」






京太郎「(で…それから何度聞いても先輩たちは応えてくれなかった)」

京太郎「(憧の奴もなんか顔を合わせてくれなかったし…一体、どういう事なんだろう…?)」

京太郎「(ま、それより合宿だ)」

京太郎「(最近は慣れてきたけど…でも、やっぱ県外遠征はきっつい…)」

京太郎「(先輩たちが言う通り車中泊とかごく普通だからな…)」

京太郎「(ま…俺らは男の分まだマシだけど…)」

京太郎「(女子の方は大変なんだろうなぁ…)」

京太郎「(そういや…女子の方は何してるんだろ…)」

京太郎「(確か明日は同じ学校で鉢合わせになるって話だったけど…)」

京太郎「(ま…その日を楽しみにして今は…)」

モブ1「んごおおおお」

モブ2「すぴゅぅ」

モブ3「ほもぉぉ…」

京太郎「(寝るのに集中しよう…)」






モブ1「っと…ほら、見えてきたぞ」

京太郎「あー…あそこが太平山ですか…」

モブ2「あぁ。今日明日はあそこで世話になるらしい」

モブ3「良かったな、須賀。明日は布団の上で眠れるぞ」

京太郎「そ、その次は…」

モブ1「まぁ、また車中泊だろうな」

モブ2「安心しろよ。どうせ男しかいないんだし」

モブ3「あぁ。邪魔な女どもはいないんだ。気にする事はない」

京太郎「つっても…そろそろ女子と合流なんですけど…」

モブ1「まぁ、その前にシャワーを浴びる時間くらいはあるだろ」

モブ2「俺としてはゆっくり湯船にも浸かりたいところだがなぁ」

モブ3「ま…汚いなんて言われたら言い返してやれば良い」

モブ3「どうせあっちもまともに風呂に入れたりしていないんだからな」

京太郎「流石にそれはどうかと思いますけど…」






京太郎「(さて…シャワーも浴びさせて貰ってスッキリしたし…)」

京太郎「(早く先輩たちと合流しないとな)」


うぉおおおおおおお


京太郎「??あれ…?」


すげーほんものだ!
さ、サイン!サイン下さい!!


京太郎「(なんか騒がしいな…こっちかな…?)」

??「いや…あの…い、一応、プライベートだから…さ、サインとかはその…」

京太郎「…え?」





京太郎「(あの黒髪、何処か自信なさそうな顔…独特の虐めてオーラ…)」

京太郎「(ま…間違いない…あ、あの人は…!!)」

京太郎「こ…こ…小鍛治プロ!?」

健夜「あぅ…ままた人が増えちゃった…」

京太郎「(す、すげー!本物だ!!本物の小鍛治プロだ!!)」

京太郎「(さ、サイン…欲しい…!めっちゃ欲しい…!!でも、困ってるみたいだし…何より…)」

郁乃「はいはい。そこまで~」

「う…監督…」

郁乃「今日の特別講師の人をそんな困らせたらあかんよ~」

健夜「人を無理矢理引っ張ってきた赤坂さんがそれを言うの…?」ポソッ

郁乃「ん?なんか言うた~?」ニコー

健夜「う…な…何でもない…」メソラシ





郁乃「まぁ、バレてもうたなら仕方ないけど~」

郁乃「今日一日太平山と私たちの指導をしてくれる小鍛治健夜プロやで~」

郁乃「はい。皆、挨拶~」

「よろしくおねがいします!!」

「八冠達成おめでとうございます!!」

「ずっとファンでした!!」

「実はアラフォーって本当ですか!?」

郁乃「はいはい。困らせたらあかんって何度言えば分かるの~?」

郁乃「それより…そろそろ皆揃ってきたみたいやし合宿始めるで~」

郁乃「あ…ただ、須賀君とやえちゃんはさきにこっちね」

京太郎「…え?」

やえ「私達…ですか?」






郁乃「え、この二人が言うとったうちの有望株~」

健夜「あ、よろしくね」

京太郎「よ、よろしくおねがいします」ガチガチ

小走「ほら…自己紹介」ツン

京太郎「あ…っ!す、須賀京太郎です!!」

健夜「くす…っあ、ごめん。私、小鍛治健夜、よろしくね」

京太郎「あ、ありがとうございます!恐縮です!!」

やえ「私は小走やえです。今日一日、ご指導ご鞭撻よろしくおねがいします」

健夜「うん。小走さんもよろしく」






郁乃「で、早速やけど…」

健夜「うん。この二人と打てば良いんだよね?」

京太郎「え…っい、良いんですか!?」

健夜「うん。勿論」

健夜「赤坂さんから頼まれた内容にはそれも入ってたし

健夜「ただ……その…出来るだけ手加減するつもりだけど…」

健夜「その…麻雀を嫌いになったりしないでね…?」

京太郎「え…?」







京太郎「(麻雀を嫌いに…?)」

京太郎「(そんな事あるはずない)」

京太郎「(俺も小走先輩も好きだからこそここまでやれてるんだ)」

京太郎「(幾ら小鍛治プロだと言っても…今の発言は許せない)」

京太郎「(勿論、勝てるなんて思わないけど、そんなナメた事が言えないように…)」

郁乃「あーはい、ストップー」

京太郎「え?」

郁乃「そんな気負っても無駄やって~。勝負は既に見えとるんやし~」

京太郎「…それどういう意味ですか?」

郁乃「もうそんな怒らんとって~」イヤンイヤン

郁乃「ただ、私は善意からアドバイスしようと思っただけやで~」

京太郎「…アドバイス…ですか?」

郁乃「そう…まぁ、簡単な事や~」

郁乃「―― 全局ひたすら降りる事」

郁乃「じゃないとあっという間に飛ばされるで~」フリフリ

京太郎「え…っあ…」

京太郎「(言っちゃった…結局、何が言いたかったんだ?)」

京太郎「(まぁ…良い。俺は俺に出来る麻雀さえすればそれで…)」





>>+2京太郎(雀力3+能力補正6+土壇場補正5-能力補正(健夜)100) -86
>>+3健夜(雀力20+能力補正100-能力補正(京太郎)6) 114 特徴:まだアラサーでもないよ!!!
>>+4やえ(雀力8+能力補正10-能力補正(健夜)50) -32






>>京太郎 0
>>健夜 166
>>やえ 52

京太郎「(なんだ…これは…?)」

京太郎「(手が進まないどころか…どんどん…沼に落ちていっているような感覚は…)」

京太郎「(和了りどころか…聴牌にすら近づける気がしない…)」

京太郎「(寧ろあがけばあがくほど…どんどんと沈んで…堕ちていく)」

京太郎「(だけど…それを…作っているであろうその人は…)」

健夜「」トン

京太郎「(平然と打ち続けてる…)」

京太郎「(俺の能力が効いてない…?いや…効いてるのかもしれないけど…)」

京太郎「(まったく考慮に値しない…そんなレベルって事なのか…?)」

京太郎「(くそ…!分かってたつもりだったけど…)」

京太郎「(なんて差だ…正直…追いつける気がしない…!)」

京太郎「(だけど…諦めるわけには…)」トン

健夜「ロン。32000」

京太郎「な…っ!」







健夜「大丈夫だよ。この局に飛びはないから」

健夜「マイナスはマイナスだけど…でも、それで終わりじゃないし」

健夜「だから…最後までがんばってね」

健夜「私も…潰れる子はあんまり見たくないから」

京太郎「~~っ!」ゾッ

京太郎「(なんだ…なんなんだこの人は…!)」

京太郎「(今まで会った相手とは…明らかに違う…!)」

京太郎「(実力じゃない…レベルじゃない…次元じゃない…!!)」

京太郎「(根本から・・・明らかに…何かが違う…!!)」

京太郎「(まるで奈落の底を除いているような…そんな暗ささえ…)」カタカタ


小鍛治健夜の特殊能力
補正込みコンマが0になった時、次の相手の判定を放棄させる







やえ「(…須賀の精神がやばいな…)」

やえ「(当然か。いきなり一局目から役満で…しかも、飛びがないと来てる)」

やえ「(正直…私だって…今すぐ逃げたいくらいだ)」

やえ「(監督が言ってた事は正しかった。…これは全力で降りていかなければならない相手だ)」

やえ「(勝つとか負けるとか…そういう段階にいる相手じゃない)」

やえ「(壊すか壊されるか…そんな領域の相手のバケモノなんだ…!)」

やえ「(……)」

やえ「(正直、帰りたいよぉ…)」

やえ「(でも…須賀じゃどうにも相手が悪いし…少しでも手が進む私がどうにかしないと…)」

小走やえの特殊能力
自身に対するマイナス補正を半分にする






健夜「じゃ、次に行こうか」

健夜「大丈夫。この局に連荘はないから」

健夜「八回…それだけ凌げば…大丈夫」

健夜「とんでもデメリットもないんだし…」

健夜「…簡単でしょ?」


>>+2京太郎(雀力3+能力補正6+土壇場補正5-能力補正(健夜)100) -86
>>+3健夜(雀力20+能力補正100-能力補正(京太郎)6) 114 特徴:まだアラサーでもないよ!!!
>>+4やえ(雀力8+能力補正10-能力補正(健夜)50) -32






























>>京太郎0
>>健夜192
>>やえ12

京太郎「あ…ぅ…」

やえ「(…ダメだ。須賀は完全に心が折れてる…)」

やえ「(打ち筋もボロボロで…もう見ていられない…)」

やえ「(でも…私も…ギリギリで…)」

やえ「(まだこんなのが…ずっと続くって言うの…?)」

やえ「(後…ようやく東場が終わるかもってところなのに…)」

やえ「(息苦しくて…辛くて…もう…)」

やえ「(…折れちゃいそう…)」

健夜「…ロン」

京太郎「う…」ビックゥ


>>+2京太郎(雀力3+能力補正6+土壇場補正5-能力補正(健夜)100) -86
>>+3健夜(雀力20+能力補正100-能力補正(京太郎)6) 114 特徴:まだアラサーでもないよ!!!
>>+4やえ(雀力8+能力補正10-能力補正(健夜)50) -32































>>京太郎0
>>健夜167
>>やえ42


やえ「(悪くない手は入ってる…入ってるはずなのに…)」

やえ「(進めない…どうしようもない…)」

やえ「(普段だったら出来るはずの事が…まったく出来ない…)」

やえ「(そして…それに比べて…)」

健夜「…」トン

やえ「(小鍛治プロは…恐ろしく早い…!)」

やえ「(さっきから和了っているのは常に満貫以上…!)」

やえ「(しかも、それをまるでタンピン系のような気軽さでポンポン上がっていく…!!)」

やえ「(テレビで見て知ってはいたし…格好良いと思った)」

やえ「(けれど…実際に敵にすると…こんなに恐ろしいなんて……)」ゾッ

健夜「ロン。今度は跳満だね」

京太郎「あ…あぁ…」ブルブル


>>+2京太郎(雀力3+能力補正6+土壇場補正5-能力補正(健夜)100) -86
>>+3健夜(雀力20+能力補正100-能力補正(京太郎)6) 114 特徴:まだアラサーでもないよ!!!
>>+4やえ(雀力8+能力補正10-能力補正(健夜)50) -32








京太郎「(ダメ…だ…もう点数が-10万とかになって…)」

京太郎「(なんだよ…俺…-10万って…聞いた事なんかねぇって…)」

京太郎「(なっさけねぇ…始まる前にあんな大見得切ったってのに…)」

京太郎「(もう手が震えて…ツモするのも怖くて…)」

京太郎「(何切っても和了られるイメージしかなくて…)」

京太郎「(怖い…もう…麻雀なんてしたくない…こんな…こんな辛いなら…俺…)」

やえ「…くぅ…!」

京太郎「(なん…で…?)」

京太郎「(小走先輩だって…マイナスで…苦しいだろうに…)」

京太郎「(なんで…まだ…戦えてるんだ…?)」

京太郎「(なんで…まだ…あの目は諦めてないんだ…?)」








京太郎「(…あぁ、そうか。小走先輩は凄いんだ)」

京太郎「(俺とは違う…凄い人だから…)」

京太郎「(まだ…小鍛治プロと戦えて…)」



















やえ「あぁ。私もな…中学一年の時にレギュラーを取って…それはもうプレッシャーだったものだ」

やえ「一時期はトイレに逃げ込んで出てこれなくなったくらいだからな」クスッ
















やえ「はは。残念だが…本当の事だ」

やえ「いや…今だって本当はプレッシャーを感じてる」

やえ「名門校を背負い闘うエースとしての立場に…な」



















京太郎「(……う)」

京太郎「(…違う…)」

京太郎「(確かに…小走先輩は凄い人だ)」

京太郎「(麻雀もすげぇ上手いし後輩の面倒見も良い)」

京太郎「(でも…それだけなんだ…!)」

京太郎「(先輩だって…超人でも何でもないんだ…!)」

京太郎「(今だって…辛くて苦しくて…でも、歯を食いしばって耐えてる…!!)」

京太郎「(そんな人の前で…こんなにうなだれてて良いのかよ…!!)」

京太郎「(諦めて…自暴自棄になって…逃げ出そうとして…!!)」

京太郎「(そんな情けない姿見せてて…良いのかよ…!!)」







京太郎「(俺に目を掛けてくれる人の前で…)」

京太郎「俺に期待してくれた人の前で…)」

京太郎「(そんな格好良い姿見せて…良い訳ねぇだろ…!!)」

京太郎「(何でも良い…!目を見開いて…思考を走らせろ…!!)」

京太郎「(今の俺に出来る事…今の俺が…少しでも報いられる事…!!)」

京太郎「(例え頭が焼き付いてでも…搾り出せ…!!)」

京太郎「(例え可能性が少なくたって良い…!)」

京太郎「(終わった後に倒れたって良い…!!)」

京太郎「(だから…頼む…!!俺に何か…道標を…!!)」





>>2
1.トップに対するデバフ能力
2.特定条件下で自己を強化する能力


































>>特定条件下で自己を強化する能力

京太郎「(必要なのは…イメージだ)」

京太郎「(何百回何千回何万回…)」

京太郎「(自身がどう打って…どうするべきか)」

京太郎「(どうあって…どうあるべきなのか)」

京太郎「(それを…無意識に形作れるほどにイメージする)」

京太郎「(勿論…それをやっている時間はない。余裕もない)」

京太郎「(俺だって半ば一年掛けて…ようやく今の能力の取っ掛かりを得られたくらいなんだから)」

京太郎「(だけど…その発展なら…)」

京太郎「(今まで積み重ねてきたものにもう一つ…積み重ねるだけならば…可能なはずだ)」

京太郎「(勿論…この土壇場で出来るかどうか分からない…!)」

京太郎「(でも…出来なきゃ…俺は勝てない…!一生…小走先輩に顔みせ出来ない…!!)」

京太郎「(それなら…やるしかない!)」

京太郎「(例え無茶でも…!その可能性が微かにでもあるのなら…!)」

京太郎「(俺は…俺は…)」キッ







健夜「(…顔つきが変わった…)」

健夜「(さっきまで…あんなに絶望しきった顔だったのに…)」

健夜「(そっか…立ち直ったんだ。嬉しいな)」

健夜「(でも…もう遅い)」

健夜「(私がツモるまで…残り4巡)」

健夜「(その間に…君の手は進む事はない)」

健夜「(この卓は未だ私の支配下。君のツモは只管、裏目に出るだけ)」

健夜「(和了れるのは私だけ。依然、変わりなく…)」

京太郎「…それはどうかな?」

健夜「…え?」

京太郎「…まだわからないぜ、勝負は…さ」

京太郎「俺の最初の先生が言ってた。最後まで諦めない奴が…一番、強いんだって」

京太郎「だから…俺は諦めない。最後まで…絶対に…」






やえ「(須賀…お前…)」

やえ「(…だが…無理だ)」

やえ「(私にも分かる。須賀の手は決して良い物じゃない…)」

やえ「(寧ろ…ボロボロだ。これからの挽回なんて不可能なくらい…)」

やえ「(今からじゃ…どれだけ運がよくても満貫を和了るのが精一杯だろう…)」

やえ「(立ち直ってくれたのは嬉しい…でも、希望なんて持つんじゃない…)」

やえ「(希望を持てば、辛いだけだ…)」

やえ「(諦めろとは言わない。だが…結果は受け入れるんだ)」

やえ「(でなければまた…また潰れるだけだぞ…!)」





京太郎「(必要なのは…逆転の発想だ)」

京太郎「(さっきまでで打ってて…よくわかった)」

京太郎「(暗刻も順子も…この状況じゃ3つ揃わない)」

京太郎「(諦めて切った途端にもう一枚やってくるんだ)」

京太郎「(永遠にムダヅモだけを繰り返す感覚に…俺はずっと圧倒されてた)」

京太郎「(だけど…それが逆に言えば…来るんだ…!)」

京太郎「(自分の次のツモ…それまで置いておけば…来る…!)」

京太郎「(その為に必要なものと言えば…!!)」

京太郎「ポン!」

京太郎「(鳴く…!ツモ順をズラす…!!)」

京太郎「(そしてズラした牌は…俺以外の二人の手に入る…!)」

京太郎「(そしてそれは俺が抱えているが故に高確率で出る…!!)」

京太郎「(それを鳴く!!鳴いて鳴いて…鳴き続ける…!!!)」






健夜「(嘘…私の支配の中で鳴く事が出来るなんて…)」

健夜「(そんなの…プロにだって滅多にいなかったのに…)」

健夜「(ただの中学1年生がそんな真似を出来るだなんて…)」

健夜「(でも…そうやって私を破ろうとした人は別に君だけじゃない)」

健夜「(今まで似たような事を考えていた人はいたんだよ)」

健夜「(だけど…皆、結局、私の支配からは逃れられなかった)」

健夜「(聴牌まではそれでいけても…最後の一枚を手に入れる事は出来なかった)」

健夜「(だから…そう。君も…)」

京太郎「(終わらない…終われない…!)」

京太郎「(この程度じゃ終われない…!)」

京太郎「(聴牌じゃダメだ…和了れなきゃダメだ…!!)」

京太郎「(終わっちゃダメだ…行き詰まりじゃ…また捉えられる…!)」

京太郎「(速度が…速度がなければ…)」






やえ「(須賀が鳴いた…今まで鳴く事すら出来なかった卓で…)」

やえ「(これも…諦めなかったからか…?)」

やえ「(最後まで喰らいつこうと…そうしているからなのか?)」

やえ「(…凄いな、須賀は…)」

やえ「(あんなにえらそうな事を言った私がもう諦めそうなのに…)」

やえ「(もう…心が挫けてしまいそうなのに…)」

やえ「(私以上にボロボロになって…でも、そこから這い上がろうとしている…)」

やえ「(…本当に…格好良いよ、お前は)」

やえ「(後輩なのに…弟みたいに思ってたのに…)」

やえ「(立派な…立派な男だったんだな)」

やえ「(…だけど…少しだけ生意気だぞ)」

やえ「(先輩を差し置いて…そんなに格好良いところ見せるなんてな)」

やえ「(だから…あぁ…そうだ。だから…)」

やえ「(私もすこしだけ…格好良いところを見せてやる)」

やえ「…チー!!」

健夜「っ!?」







健夜「(鳴かれた…?…私の支配が破られてきてる…?)」

健夜「(嘘…そんなの…今まで殆どなかったのに…)」

健夜「(プロ相手の時だって…こんなに鳴かれた事なんて今まで一度も…)」

健夜「(…いや…一人…だけ)」

健夜「(一人だけ…いた)」

健夜「(インターハイで…私に…跳満当てた…あの人…)」

健夜「(自分も鳴いて、他の人にも鳴かせて…)」

健夜「(私に…初めて跳満を直撃させた…あの人)」

健夜「(確か…名前は…赤土…晴絵)」

健夜「(阿知賀の…レジェンド…)」

健夜「(阿知賀…もしかして…この子たち…)」

健夜「(彼女の…教え子なの…?)」








京太郎「(小走先輩が鳴いてくれた…!)」

京太郎「(ツモがさらに入り混じり…滅茶苦茶になっていく)」

京太郎「(場が荒れてめちゃくちゃになって…小鍛治プロの支配が薄くなる…)」

京太郎「(今なら…やれる)」

京太郎「(いや…やらなきゃいけないんだ…!)」

京太郎「(小走先輩が鳴いてくれたのは…全て無駄鳴き…!)」

京太郎「(役にもからまない…いや、寧ろ和了れなくなるだけの鳴きなんだ…!!)」

京太郎「(そんなもんまでさせて…ダメでしたなんて言えるかよ…!!)」

京太郎「(やるんだ…京太郎…!!)」

京太郎「(最後のツモ…!これで…和了り牌を……!!)」

京太郎「(小走先輩の為にも…ここで…必ず……っ!!!!)」スッ


















京太郎「…ツモ。…満貫だ」

健夜「…あ…」










健夜「はは。まさか…最後に満貫和了られちゃうなんてね」

健夜「しかも中学生になんて…はは。これじゃ八冠台なしだね」

京太郎「小鍛治…プロ…」

健夜「…うん。凄かった。…ふたりともお疲れ様」

京太郎「はは…や…た…やってや…」フラッ

やえ「っ!須賀!!!」















京太郎「あ…れ…?」

やえ「…起きたか?」

京太郎「あれ…小走先輩…なんで俺の部屋に…」

やえ「馬鹿。まだ寝ぼけているのか?」コツン

京太郎「あいた…って…あれ…ここは…」

やえ「太平山学園の医務室だ。お前は麻雀中に運ばれたんだよ」

京太郎「麻雀中…運ばれ…」ハッ

京太郎「最後のツモどうなりました!?」

やえ「…なんだ。覚えていないのか」

やえ「見事に満貫ツモったよ。…よくやったな」

京太郎「あ…あぁ…」






京太郎「…すみません…」

やえ「何を謝るんだ。格好良かったぞ」

京太郎「いや…でも…俺…」

京太郎「途中まで諦めてて…全然…ダメで…」

京太郎「最後も…小走先輩の援護があってようやく一回和了っただけで…」

やえ「…こら」コツン

京太郎「い、痛っ!」

やえ「まったく…お前が一つ大事な事を忘れているぞ」

京太郎「え…?」

やえ「誰も一年のお前にそこまで大層なものは期待していないし…それにお前は最後に結果を出してくれただろう?」

やえ「…私の…いや、私だけじゃない」

やえ「監督や小鍛治プロの期待以上の結果を…な」

やえ「だから、そんな風にしょげるな」

やえ「何度だって言ってやる。お前は…最高に格好良かった」






京太郎「小走先輩…」

やえ「だから…ほら、もう少し横になっていろ」

やえ「先生が言うには脳の使いすぎて知恵熱出して倒れたらしいからな」

京太郎「…知恵熱って…子どもですか…」

やえ「まぁ、子どもだな。まだまだお前は中1だし」

やえ「この前までランドセル背負って学校に言ってたんだからな」

京太郎「う…いや…そうですけど…」

やえ「だから…あんまり必死になって格好つけようとしなくても良いんだぞ」

やえ「私は先輩なんだ。多少の格好悪いところは多めに見てやる」ナデナデ

京太郎「う…」カァァ

やえ「なんだ…照れてるのか?」

京太郎「そ、そりゃいきなり撫でられたら当然ですよ…」

やえ「はは。それもそうだな。悪かった」スッ

京太郎「あ…」







やえ「ん?」

京太郎「あ…いや…何でもないです」

やえ「…どうした?言ってみろ」

やえ「今日のお前はMVPなんだ。何でも言う事を聞いてやる」クスッ

京太郎「じゃあ…あの…わ、笑わないで聞いてくれますか?」

やえ「ん?どうした?」

京太郎「もうちょっと…頭撫でてくれますか?」

京太郎「先輩の手…ひんやりしてて気持ち良くて…落ち着くって言うか…」

やえ「なんだ。そんな事か」

やえ「…良いぞ。それくらいやってやる」

やえ「…何なら子守唄もつけてやろうか?」クスッ

京太郎「そ、そんなに子どもじゃないですって!!」カァァ

やえ「はいはい」ナデナデ

京太郎「ぅ…」

やえ「まぁ…何はともあれ…お疲れ様…だ」

京太郎「…はい」










【System】
小走やえの思い出が4になりました。
小走やえの好感度が6あがりました。
現在の小走やえの好感度は14です

須賀京太郎の雀力が5あがりました。
須賀京太郎はスキル【加速世界】を手に入れました。
このスキルは相手の能力補正にてコンマが自身の雀力を下回った場合、相手の能力補正を+へと変えるスキルです。
最終更新:2013年10月12日 09:46