小学3年生――3月

【3月】

京太郎「(阿知賀に引っ越してきてからもう一週間か…)」

京太郎「(新しい家も大分、片付いて来たし…町内の人にも顔を覚えられ始めた)」

京太郎「(多分…慣れてきた…で良いんだろうな)」

京太郎「(まぁ…友達らしい友達なんて高鴨くらいしかいないんだけど)」

京太郎「(学校始まってないからね仕方ないね)」

京太郎「(ただ…流石にアイツだけが友達っていうのはやっぱり寂しいよなぁ…)」

京太郎「(高鴨も実家の手伝いがあって毎日、暇してる訳じゃないし…)」

京太郎「(つーか…あんまり手伝いある日に誘ってやるのは可哀想だからな…)」

京太郎「(俺の案内頼まれてた日も本当はお使いの途中だったのを完璧忘れてやがったし…)」

京太郎「(アイツ頭は悪くないはずなのになぜか物覚えが悪いからなぁ…)」

京太郎「(まぁ、何事も一生懸命なんだろうけど…それがどうしても裏目に出るって言うか…)」

京太郎「(悪い奴じゃないんだけど…なんかこー…おっちょこちょいなんだよなぁ…)」




京太郎「(ま、それはともかく、友達作り…かぁ…)」

京太郎「(…いや、そもそも友達なんてどうやって作るんだろ…)」

京太郎「(穏乃みたいにいきなり話しかけて友達認定…!)」

京太郎「(いや、ねぇな。流石にこれは変態だわ)」

京太郎「(正直、俺でもドン引きするわ)」

京太郎「(そういう意味では女の子って卑怯だよなぁ…)」ハァ

京太郎「(ま…愚痴ってても仕方ない…か)」

京太郎「よいしょっと…」ムク

京太郎「(とりあえず穏乃に負けない体づくりをするのと阿知賀になれる為にちょっと外に出てくるか)」

京太郎「ちょっと出てくるから」

京太郎母「はいはい。晩ご飯までには帰ってくるのよ」

京太郎「ん。分かってる」




京太郎「(さて…とりあえず外に出たものの…まずは何処に行こうか)」

京太郎「(えーっと…確かこの辺りだと神社と商店街、後は旅館があるんだっけ?)」

京太郎「(商店街は普段からお使いで言ってるし、旅館は俺なんかが言っても門前払いだろうし除外)」

京太郎「(って事は残るは神社だな)」

京太郎「えーっと…確かあっちだったっけ…?あれ…?こっちだったか…?」

京太郎「(やばいな…展望台から見るのとは全然、違うな…)」

京太郎「(地元の人に聞く…いや、でも、それはそれで負けた気がする)」

京太郎「(これも阿知賀に慣れる為だ。時間もあるし、地力で頑張ろう)」





>>+2
00~30 迷ったが問題なく神社に到着
31~60 問題なく神社に到達
61~75 何故か旅館の方へ…
76~99 何故かボウリング場へ






























>> 問題なく神社へ到達

【神社】

京太郎「(ふぅ…どうやら無事に到着出来たみたいだな)」

京太郎「(しかし…順風満帆過ぎて何となく物足りない気がするのはどうしてなんだろう)」

京太郎「(まぁ…多分、神社でやる事なんて殆どないからなんだろうけれどさ)」

京太郎「(神頼みしてまでして欲しい事なんてないし…まぁ、友達は欲しいけれどな)」

京太郎「(こうして神社に来たのも暇潰しみたいなもんだし…)」

京太郎「(って結構境内広いんだなぁ…)」

京太郎「(展望台から見てた時も思ったけど、かなり立派だ)」

京太郎「(俺の中の神社のイメージって社がポツンとあってそれで終わりーみたいなんだけれど)」

京太郎「(立て札も一杯あってでかい屋敷もポツポツ並んで…すげぇ)」

京太郎「(って義経とか弁慶とか…豊臣秀吉とかそういうの由来のもんまであるのな)」

京太郎「(俺でも知ってる有名人が使ってたものがあると思うと…胸が熱くなるな)」

京太郎「(って…今なら小学生は拝観料無料なのか…)」

京太郎「(…どうせ暇だし、ちょっと見てみるかな)」



京太郎「はぁ…」

京太郎「(中も純和風でザ・神社って感じだな…)」

京太郎「(その中に並ぶ重要なんとか文化財の数々…)」

京太郎「(うん。まぁ…その凄いんだろうな)」

京太郎「(それは…うん。俺にも分かるよ。分かるんだけど…)」

京太郎「(当たり前だけど…ただの紙や鎧や茶釜なんだよなぁ…)」

京太郎「(有名人が使ってたって言うからオーラとか出てるもんだと思ってたんだけど…)」

京太郎「(ごくごく普通のものばっかで…なんか拍子抜けだ)」

京太郎「(その上、ひらがな打ってあるけど説明難しすぎて良く分かんねぇし…)」

京太郎「あーぁ…ちょっと失敗したかな…」

??「何が失敗したって?」

京太郎「えっ!?」



??「」ジトー

京太郎「あ、いや…その…」

??「」ジィ

京太郎「まぁ…な、何て言うか…ごめん」

??「いや、なんで謝るの?」

京太郎「(そりゃ、そんな風にジト目で見られたら同い年の女っぽくても謝るしかないって…!)」

京太郎「(つーか、ひとりごと聞かれた時点ではずいし!!気まずいし!!)」

京太郎「(俺圧倒的に不利じゃん!?)」

??「まぁ…気持ちは分かるけどね。ここの説明、小学生にはハードル高いから」

京太郎「あ、あぁ…だ、だよなー?」

京太郎「小学生拝観料無料とかやってるならもうちょい気を効かせて欲しいっての」

京太郎「そんなんじゃ今のぐろーばるな時代に客は呼び込めないって。怠慢だぞ怠慢」

??「へぇ…そう思うんだ」

京太郎「おう。やっぱきぎょーどりょくって奴が足りないよな!」

??「確かにそうかも。でも…アンタって度胸あるのね」

京太郎「え…?」

??「まさかここの娘の前でそこまで展示のこと貶してくれるとは思わなかったから」ニコー

京太郎「(あ、俺、これ死んだんじゃね?)」




京太郎「いや…その…な、何て言うかですね」

??「うん」

京太郎「ち、ちょっと調子に乗っていたと言うか…」

??「ほうほう」

京太郎「つまりその…まさか関係者とは思っていなくて…」

??「それで?」

京太郎「……」

??「……」

京太郎「すみませんでした…っ!」フカブカー

??「……ふふっ」

京太郎「え?」

??「あはは。別にそんなに必死に謝らなくて良いよ」

??「言ったでしょ。あたしも同じ事思ってるって」

??「実際、似たような事は何回か言われてるみたいだしね」

??「とは言え、ここは一応、天皇家縁の品もある神社だし、あんまり軽い展示の仕方には出来ないみたい」

京太郎「そ…そっか…」クタァ

??「はは。気ぃ抜けちゃった?」

京太郎「あ、当たり前だ…心臓止まるかと思ったぞ…」

??「ごめんごめん。なんかからかいがいのありそうな顔があったからさー」

京太郎「からかいがいがあるって…」

??「なんか数年後には弄られ役として成長してそうなオーラが出てると言うか?」

京太郎「どんなオーラだよまったく…」




??「まぁ、お詫びと言ってはなんだけど、あたしが展示の説明してあげよっか?」

京太郎「え?」

??「元々、そのつもりで声を掛けたんだよね。なんか途中から自爆してくれたけどさ」クスッ

京太郎「あー…もう…その話はもういいだろ」メソラシ

??「はは。ごめん。盛大な自爆っぷりだったからさ」

??「で、どうする?あたしも暇だし、今ならじっくりお相手出来るよ」

京太郎「あー…んじゃ頼もうかな。折角、来たのに何も分からないままってのも癪だし」

??「はーい。んじゃ、まずは最初からだけど…」

京太郎「ほうほう…」


………



……











京太郎「いやー…楽しかった。色々と堪能したわ」

??「ふふん。うちの展示も中々のもんでしょ」

京太郎「あぁ。ちゃんとしっかり解説して貰えると中々に面白いのな」

京太郎「つか、お前が展示の説明係やればもっと客来るんじゃねぇの?」

??「そう言ってくれると嬉しいけれど…あたしはあんまりそういうの興味ないしー」

京太郎「アレだけ詳しく説明しといてないのかよ」

??「うん。展示は好きだからちゃんと頭に入れてるけれどね」

??「そもそもあたし基本的にはアウトドア派だもん」

京太郎「あー…確かにそういうタイプだよな。寧ろ、丁寧に解説されてびっくりしたくらいだし」

??「…へぇ。それは私が馬鹿っぽいって事?」

京太郎「ち、ちげーって。雰囲気が知り合いに似てたんだよ」

??「知り合い?」

京太郎「あぁ。高鴨穏乃って奴。知ってるか?」

??「え…っ。アンタこそどうしてしずを知ってるの?」

京太郎「えっ」

??「えっ」






??「なんだ。アンタがしずの隣に引っ越してきたって言う男の子だったのね」

京太郎「あぁ。…ってかなんだと思ってたんだよ?」

??「いや、見かけない顔だったし、しずのストーカーかなって」

京太郎「どうしてそこまで話が飛躍するんだ…」

??「ふふ。冗談冗談。まぁ、しずの友達関係かなーとは思ってたよ」

??「まさかお隣さんだとは思ってなかったけど」

京太郎「まぁ俺が引っ越してきたのはつい一週間前だしな」

??「へぇ…そうなんだ。って事はまだこっちには友達いない?」

京太郎「そんな人を寂しい奴みたいな言い方するなよ…」

??「じゃあ、いるの?」

京太郎「た、高鴨がいるし…」

??「その他には?」

京太郎「……」

??「……」

京太郎「わ、分かってるのに聞くなよ…っ」

??「あははっ」





??「つまりアンタはぼっちなんだね」

京太郎「ぼっちってなんだよ…」

??「一人ぼっちの略」

京太郎「だ、だから、別に一人じゃねぇって!」

??「でも、今は一人じゃん」

京太郎「う…そ、それは…」

??「それは?」

京太郎「…し、仕方ねぇじゃん…高鴨にばっか頼ってらんねぇし…」

??「ふふ。ごめんごめん」

??「じゃあ…虐めちゃったお詫びに…はい」

京太郎「…ん?」

??「しずの家の和菓子。これで仲直り…しない?」

京太郎「…お菓子で仲直りって安っぽいなぁ…」

??「へぇ…じゃあ、後でしずにアンタのところのお菓子安っぽいって言ってたって言いつけよ」ニコー

京太郎「ちょ!止めろよ!俺の唯一の友達をなくすような真似すんなって!!」

??「えーどうしよっかなぁ…?」

京太郎「…すみません安っぽいって言って悪かったですやめてください…」フカブカー





??「まぁ、その程度じゃしずは誰かを嫌いになったりしないから大丈夫」

??お人好し過ぎるくらいお人好しだからねーあの子」

京太郎「…お前もそんな変わんないと思うけどな」

??「えっ?」

京太郎「何だかんだ言って俺の暇潰しに付き合ってくれてるじゃん」

??「あー…まぁ…それは…ねぇ」

京太郎「それにこうしてお菓子くれたし…仲直りしようってそっちから言ってくれたし」

??「ちょっ!や、やめやめ!そ、そういうのはずいから!!」カァァ

京太郎「…ほぅ」

??「あっ」

京太郎「なるほど。お前はこうやって褒められなれてないんだな」ニヤー

??「べ、別にそんな事ないし!常日頃からあたしは賞賛されまくりだし!!」

京太郎「…可愛い」

??「ふぇ…っ」ビクッ

京太郎「俺が分かるまで説明してくれるなんて可愛い。暇潰しに付き合ってくれるなんて可愛い。素直にお礼言われて照れるのが可愛い」

??「やーめーてーーーーっ!!」





??「分かった。分かった!もうこれノーサイドゲームにしよう!」

京太郎「のーさいど…?」

??「無効試合って事!!」カァァ

京太郎「えー…ここから面白くなってきたのに…」

??「…そんな事言うなら友達になってなんかあげないからね」

京太郎「え?」

??「だ…だから…友達になってあげるからそういうの止めてって言ってるの」

京太郎「……」

??「……」

京太郎「…なんかそれ友達じゃなくね?」

??「うん。あたしも今、そう思った…」

??「で、でも、悪くない話でしょ?アンタには友達が出来てぼっちじゃなくなる訳だし…」

京太郎「だからぼっちじゃないって…いや、まぁいっか…」

京太郎「でも、お前は良いのかよ?まだろくに俺の事知ってる訳じゃないだろ」

??「大丈夫。どの道、しずが友達になってやれって何れあたしのところに引っ張ってくるから」

京太郎「あー…すげぇ想像出来るな…」

??「それにまぁしずはああ見えて人を見る目はあるから」

??「あの子がアンタの友達になったならきっと大丈夫」

京太郎「そっか…」

京太郎「じゃあ…これからもよろしく頼むな。えっと…」

??「あたしは新子憧」

京太郎「俺は須賀京太郎。よろしくな」

憧「うん。よろしくね。…あたしのオモチャとして」

京太郎「おい馬鹿ふざけんな!」

憧「ふふーん。からかいがいのあるアンタが悪いのよ!」

























【System】
新子憧との思い出を一つ手に入れました。
新子憧の好感度が2(1+1)上がりました。
最終更新:2013年09月21日 14:17