高校二年――3月第一週

【高校二年 ―― 3月第一週】

京太郎「(…来週は卒業式と…その後にネト麻の大会…か)」

京太郎「(でも…なんか気分が上向かない…)」

京太郎「(やらなきゃいけないのは…分かってるんだ)」

京太郎「(これまで俺に想いを託してくれた人が沢山いて)」

京太郎「(その為にも…ここで頑張らなきゃいけないんだって)」

京太郎「(でも…どうしてだろうな)」

京太郎「(そうやって頑張ろうとする度に…)」

京太郎「(頭の中にかにゃーさんの…いや、池田さんの言葉が浮かんで…)」

京太郎「(あの問に何も答えられなかった俺に…ここから先に進む資格があるのかって…)」

京太郎「(どうしても…そう思ってしまう)」

京太郎「(そうやって誰かを踏みにじる覚悟なんて…ずっと前からあったはずなんだけどな…)」

京太郎「(だけど…池田さんの言葉はとても切実で…胸に突き刺さるみたいで…)」

京太郎「…はぁ…俺何やってるんだ…」

京太郎「(こんなモヤモヤとしたコンディションで…大会で勝てるはずがない)」

京太郎「(そんな事…分かってるはずなのに…どうしても振り払えなくて…)」

京太郎「(池田さんだってそんなの望んでないはずなのに…)」

京太郎「(…ダメだな…こんなんじゃ…やっぱりダメだ)」

京太郎「(今日はネト麻はお休み…んで、気晴らしに重点を置こう)」

京太郎「(それでこのもやもやが晴れるとは限らないけど…)」

京太郎「(でも、ここでネト麻を無理矢理やるよりはマシなはずだ)」

京太郎「(そうと決まれば…今週は…っと)」


>>+2
末尾16 憧しずと勉強
末尾27 灼に相談
末尾38 玄とアルバイト
末尾49 宥さんと散歩
末尾50 レジェンドと特訓





































>>宥さんと散歩

宥「…どうしたの?なんだか元気がないみたいだけど…」

京太郎「あー…そうか?」

宥「うん。それに何時もより手が暖かくないし…悩み事あるんでしょ?」

京太郎「ってすげーな…それで分かるもんなのか」

宥「えへへ…だって、きょーくんの手は何時でも暖かいから…♥」

京太郎「はは。姉さんにとっては最高の褒め言葉なんだろうな」

宥「うん。だから…」

京太郎「あー…そうだな。まぁ…下らない話なんだけどさ」

京太郎「ただ、ちょっとさ。悩んでるって言うか…なんというか…」

宥「…うん。大丈夫だよ」

宥「ゆっくりで良いから…話してみて?」

宥「おねーちゃんは側にいるから…ね」ナデナデ

京太郎「…ありがとう。じゃ…ちょっと…聞いてくれるか?」


















宥「…勝って良いのか分からない?」

京太郎「…あぁ。まぁ…端的に言えばそうなる」

宥「…それは…」

京太郎「あぁ。すげー失礼な話だって俺も分かってる」

京太郎「だけどさ…だけど…俺はあの時何かを返すべきだったんだよ」

京太郎「そんな事言われても困るとか…そんなんでも良かったんだ」

京太郎「どんな形でも良い。答えは出して…」

京太郎「そういうの踏みにじるけれど前に出るんだって…そう示すべきだったんだ」

京太郎「だけど、俺は…あの時何も言えなかった」

京太郎「そうやって苦しんでいる人がいる事なんてとっくの昔に知ってるはずなのに」

京太郎「一番、情けない事をして…だから…」

宥「…そっか」

宥「きょーくんはやっぱり…とっても真面目なんだね」

京太郎「…そう…か?」

宥「うん。そうだよ」

宥「真面目じゃなきゃ…他人に真剣になれなきゃ」

宥「そんな風に思い悩んだりしないんだから」


宥「…」




















宥「でもね、そんな風に悩まなくても良いんだよ」

京太郎「…だけど」

宥「多分、その答えを持っている人なんて誰もいないんだから」

京太郎「…え?」

宥「だって人はデータじゃないんだから」

宥「誰かと比べて何かが足りないなんてきっと誰にも分からない」

京太郎「でも…」

宥「現実は何度やっても同じ結果が出るような…そんなガッチリとした世界じゃない」

宥「そんなのは分かった上で…彼女はそれをきょーくんにぶつけた」

宥「それはきっと…彼女自身が言っていたように八つ当たりがしたかっただけだよ」

京太郎「…それでも俺は応えるべきだったんだ」

京太郎「かにゃーさんの為にも…俺の為にも…」

宥「ううん。きょーくんはちゃんと応えたよ」

京太郎「…え?」

















宥「沈黙が何も産まないなんて事はない」

宥「きょーくんの沈黙は、彼女にとってある種の答えであったはずだよ」

京太郎「…そう…なのか?」

宥「少なくともそうやって答えに窮すると言うのは…」

宥「彼女から見て『持っている人間』もまたその明確な答えを持っていない証でしょう?」

宥「それはきっと彼女にとって答えの一つであったはずだよ」

京太郎「…そう…なのかな」

宥「うん。だから…そんなに悩まなくても大丈夫」

宥「きょーくんは彼女に一つの答えを返したのは確かなんだから」

宥「それは自分の意思で紡いだものとは違うけれど…でも」

宥「知らないと彼女を突き放すよりかは私は良い答えであったと思うよ」



















京太郎「…そっか。ごめんな…こんな情けない話聞いてもらって」

宥「ううん。誰だって思い悩む事くらいあるもの」

宥「それに私はそれを話してくれた事の方が嬉しいかな?」ナデナデ

京太郎「…ん」

宥「ちゃんと私、おねーちゃんらしい事出来たって…そう思えたから」

京太郎「…姉さんは何時だって俺にとって頼りになる人だよ」

宥「…本当?」

京太郎「あぁ。じゃなきゃこうやって相談なんかしないよ」

宥「えへへ…っ♪きょぉくぅーん♥」ギュッ

京太郎「こらこら…突然抱きついてきて…」ナデナデ

宥「ごめんね…♪あんまりにも暖かくなっちゃったから…きょーくんが欲しくなって」ニヘラ

京太郎「…ぅ」

宥「ん?どうかした?」

京太郎「い、いや、なんでもないよ、うん」

















京太郎「でも…ありがとうな」ナデナデ

宥「んふぅ…♪」ポワァ

京太郎「姉さんのお陰で…胸のつかえが大分なくなったよ」

宥「それなら良かった…♪」

宥「あ…じゃあ…お礼って訳じゃないんだけど…」モジモジ

京太郎「…もうちょっとこのまま?」

宥「あぅ…なんで分かったの…?」

京太郎「そりゃ姉さんが暖かいの大好きなの知ってるからさ」

宥「…私が大好きなのはあったかいのだけじゃないよ?」

京太郎「あぁ、後、玄も大好きだよな」

宥「…それときょーくんも…ね♥」ギュッ

京太郎「はは。ありがとう。俺も大好きだよ」

宥「えへへ…じゃあ…両思いだね♥」

京太郎「そうだな。ま…それじゃ両思いらしく…」ギュッ

宥「はふんっ♪」

京太郎「仲良く日向ぼっこして過ごしますか」

宥「うん…♥」トローン



























【System】
女神松実宥の加護により来週の効果が二倍になります
最終更新:2014年01月30日 22:14