小ネタ:催眠アコチャー(エロ注意)

―― 言葉というのは人間にとってとても重要なものだ。

コミュニケーションの手段として人が作り上げてきた言語。
それがなければ種としてはあまりにも脆弱な人間は社会というものを意地出来ない。
バベル崩壊の一因として聖書の中で挙げられるほど、人間にとって言葉というのは大事なものである。
勿論、それは人間にとって言葉が完璧である事を意味しないが、さりとて、それでも人々はそれに頼らなければ他人と寄り添う事は出来ない。

―― けれど、行動というのは時としてソレ以上に重要視される。

目は口ほどにものを言う。
けれど、行動というのは時に口以上に物を言う場合がある。
時に言葉の通じない異種族とのコミュニケーションにも用いられるそれは決して軽視出来ない。
それは偽る事が容易い言葉よりも、より真実に近いものであると考えられるからだろう。
勿論、行動の中に偽りを混ぜる事は決して不可能ではないが、しかし、言葉よりも難しいのは確かだ。

―― まぁ、つまり…何が言いたいかと言うと…。

京太郎「(…生殺し過ぎるんだよなぁ…)」

その感情をため息に載せてそっと吐き出した俺は今、ある幼馴染の部屋にいる。
外観からは想像も出来ないほどファンシーな洋室には小さなぬいぐるみが幾つか転がっていた。
全体的に女の子らしい女の子をしているその光景に、俺は今更、気後れする事はない。
それはこうしてこの部屋に招き入れられるのは既に数えきれないほどになっているからなのだろう。

―― そう。俺と幼馴染 ―― 新子憧という少女は恋人同士だ。

中学の頃、とある事件を解決する為に俺がでっちあげた公開告白。
それを憧が受け入れてくれたが故に、俺達は学校公認のカップルになった。
それで事件はひとまず解決はしたものの、あまりにも早く別れてしまうとまた噂が復活してしまうかもしれない。
そう言う憧の言葉に従って、俺達は中学三年間、ずっと恋人を演じ続けていたのだ。

京太郎「(で…その間にマジ惚れしちゃったんだよなぁ…)」

元々、憧は俺なんかとは比べ物にならないくらい凄い奴だ。
勉強は出来るし、運動だって得意だし、気遣いも人並み以上にやってのけるんだから。
少々、気が強いのが難点ではあるが、それだって魅力的に思えるのが新子憧という少女だ。
そんな少女と演技とは言え、恋人を続けていたら、幾ら子どもの頃から知っているとは言え、どうしても意識してしまう。
結局、中学卒業を期に俺の方から告白し、俺達は本当のカップルになる事が出来た。

京太郎「(でも…もう一年なんだ)」

そう。
それが一年前の出来事で…俺達はもうそろそろ二年になろうかという時期に着ている。
しかし、その間、俺は手を繋いだり腕を組む程度で、ソレ以上の事は何一つさせて貰えなかった。
勿論、それは憧がある事件の所為で男性恐怖症気味であるという事が関係しているのだろう。
だからこそ、俺は何も言わず一年間待ち続け、中学の頃と変わらない初な付き合いを続けてこれたのだ。

京太郎「(だけど…流石に不安になるって)」

勿論、憧が俺の事をもてあそんでいるとか、騙しているだなんて思ってはいない。
外見こそ派手目ではあるが、憧はとても性根の優しい奴なのだから。
それは幼馴染であり、中学でもずっと一緒にいた俺がよく知っている。
だけど…だからこそ、もしかしたら憧が俺の事を何とも思ってないんじゃないかと。
同情で告白を受け入れてくれたのではないかと言う不安が脳裏を過って仕方がなかった。

京太郎「(好き…なんて言われたの告白の時だけだったからなぁ…)」

これがまだ日常的に好きだと言ってくれていれば不安も疑念も晴れていた事だろう。
だが、憧が俺の事を好きと言ってくれたのは告白の時だけで、ソレ以降はまったく音沙汰なしなのである。
関係そのものもそれまでと対して変わらず、抱きしめたり膝枕はするがそれ以上はNGという有り様だ。
幼馴染であった頃と何も変わらないその付き合いに、嫌な予感を感じるのは決しておかしな事ではないだろう。

京太郎「(はぁ…ホント…弱っちいな俺…)」

憧の事は信じたいし、信じている。
けれど、ソレ以上の疑念が湧き上がる自分が情けなくて仕方がない。
しかも、そうやって不安に思う原因が、自分の邪な欲望を憧が受け入れてくれないから、という自分勝手な理由なのだから尚更だ。
告白する時はこうなる事だって想像出来ていたのに今更、何を言っているのか。
そう思えども、やはりイヤイヤ付き合ってもらっているのではないかという不安は止まらない。

京太郎「…ん?」

そんな自分にもう一つため息を漏らそうとした瞬間、俺の視界にある本が入った。
女の子らしい小さな机の上にチョコンと置いてあるそれは所謂、カップル向けの雑誌なようである。
デートスポットやムードのあるレストランを纏めてあるそれに、俺も何度かお世話になっていた。
けれど、俺が目を引かれたのは、そのような焼き回された情報ではなくて… ――

京太郎「…催眠術?」

そう。
その本の表紙には『特集!恋人の本音を聞き出すラブ催眠術!!』という何ともいかがわしいフレーズが書いてあった。
何がラブなんだか、よく分からないが、しかし、憧の本人に悩んでいる俺にとって、それがとても魅惑的なのは事実である。
見てはいけないと思いつつついつい視線をそちらに引きつけられ、ついにはそっと手を伸ばし、その特集のページを開いてしまった。

京太郎「…へぇ…」

そこに書いてあったのは意外と本格的な催眠術のやり方であった。
一時期流行った五円玉を吊り下げるようなやり方ではなく、催眠状態にしやすいようにリラックスさせる方法まで書いてある。
まぁ…その中で最も効果的なのが、恋人を絶頂させた瞬間だというのは流石に眉唾ではあるけれど。
…そもそもそういう事出来るどころか、キスすらまだだしな俺ら…。

憧「お待たせー」
京太郎「う、うわっ!」

だが、それに目を通す事にいつの間にか必死になっていたらしい。
愛らしい声と共に入ってきた恋人に俺は小さく声をあげた。
それに憧が小さく首を傾げれば、手入れされたストレートのロングヘアが小さく揺れる。
光の加減で桃色にも見えるそれはとても美しく、また手で漉いた時の感触も良い。
化粧っ気の薄い、けれど華やかなその小顔は可愛らしさと綺麗さを両立させている。
特にぱっちりと開いた目には活力が溢れ、彼女の人生が充実しているものである事を感じさせた。

憧「どうかしたの?」
京太郎「い、いや…な、何でもねぇよ」

そんな憧からの言葉に首を振りながら、俺はそっとページをズラした。
特集であった部分から特に目立ったもののないデートスポットへの紹介へと。
その中で特に目を引いたものを指さしながら、俺はそっと憧にそのページを見せた。

京太郎「それより…ほら、こことか面白そうじゃないか?」
憧「ん?何処?」
京太郎「ぅ…」

そう言いながら憧はジュースとお菓子を並べた盆をテーブルへと置き、俺の手元を覗きこむ。
瞬間、俺の近くにふわりと良い匂いが漂ってくるのは憧の体臭なのだろう。
満開になった花を彷彿とさせるその匂いについつい顔が緩みそうになってしまった。
それを何とか堪えながらも、無防備に近寄ってくる憧の身体を抱き寄せてやりたいという衝動は消える事はない。

憧「確かに…京太郎にしてはいい趣味じゃないの」
京太郎「だろ?……って、それどういう意味だよ」
憧「ふふ…さぁ、どうでしょ」

そう悪戯っぽく笑いながら、憧はそっと俺の隣に座った。
そのままそっと寄り添う憧の顔には緊張はない。
俺が阿知賀に引っ越してきてからすぐ知り合った彼女にとって、俺との距離はこれが一番なのだろう。
少なくとも、こうして並び寄ってくれる程度には心を許されている。
それを…俺は誉とするべきなのだ。

憧「じゃあ、今度の日曜日…ここに行ってみましょうか。またお弁当作ってあげるし」
京太郎「お…良いのか?」

そう思いながらも…俺はやはり…憧の事がもっと欲しい。
憧の事を俺のものにしたくて仕方がない。

憧「まぁ、普段から作ってるものとそう変わらないけれどね」
京太郎「それでも憧の弁当って美味いからな、期待してるよ」

勿論、それは俺の自分勝手な欲望だ。
下手をすれば憧の気持ちを踏みにじる行為である。
しかし、それでも俺は…どうしてもその欲望を否定出来ない。

京太郎「あ、それと…さ。面白い記事見つけたんだけど…」
憧「ん?」

それはきっとそれがただの欲望ではなく、憧との好意と結びついているからなのだろう。
そうやって欲しいと俺が思うのは憧だけなのだ。
他の友人たち ―― 例えば同じ幼馴染であるしず相手にもそんな事は思ったりしない。
そうやって薄汚い欲望を向けてしまうのもまた俺が憧の事をそれだけ魅力的だと…そう思っているからなのだ。

京太郎「これ…試してみないか?」
憧「なになに…って…催眠術?」

それが免罪符になるとは思えない。
だけど、その言葉が俺の中で自己正当化の理由として使われているのは事実だった。
そんな自分に自嘲の言葉を向けながらも、俺の言葉は止まらない。

憧「こういうの眉唾も良い所でしょ」
京太郎「ま、そうだけど…話の種にくらいはなるんじゃないか?」
憧「んー…そう…だけど…」

まるで今までの不安を誤魔化すようスラスラと出てくる言葉。
それに微かな違和感を覚えるのは、俺にそのつもりがあってもここまで強く押す気はなかったからだろう。
そもそも俺はダメ元くらいの気持ちでこの特集を憧に見せているのだから。
けれど、まるでこの特集記事が俺の疑念を晴らす唯一の手段であるかのように、俺の言葉は続いていく。

京太郎「…もしかして怖いのか?俺に言えない事まで言っちゃいそうとか」
憧「そ、そんなのないわよ!」

根が意地っ張りな憧を挑発するような言葉に、彼女が顔を赤く染めた。
それが気恥ずかしさが故なのか、或いは怒りなのか俺には分からない。
けれど、それでも憧の中で揺れ動く感情が、ゆっくりと俺の望む方向へと向かいつつある事だけは伝わってくる。

憧「良いわよ。じゃあ、やってあげようじゃない。ま…そんなの効いたりするはずないから無駄だと思うけれど」

ツンと逸らした顔を微かに膨らます憧。
まるで顔全体で拗ねている事をアピールするようなそれに俺の胸が微かに痛む。
そんな風に拗ねさせるつもりなどなかったのだけれど、今更何を言っても遅い。
俺に残された道はチョコンと可愛らしく隣に座る恋人に手順の通り催眠術を掛けるだけで… ――

京太郎「(で…どうしてこうなった…)」

数分後、俺の目の前にいたのはさっきとは打って変わって胡乱な憧の姿だった。
一応、背筋はシャンと伸ばしているがその瞳は濁り、焦点がまったく合っていない。
普段の勝ち気な様子とはまるで異なるその姿だけでも不安を掻き立てられるのに、目の前で手を振っても瞬き一つしなかった。
まるで夢見心地のまま帰ってこれていないその姿は…馬鹿げた話と思うものの、本当に催眠に掛かっているようにしか見えない。

京太郎「(…これ…良いのか…)」

まさか効くなんて真面目に考慮していなかった。
そうあって欲しいと思っていたけれど、その可能性は0に等しいと思っていたのである。
しかし、俺の目の前にある現実はその0に等しい可能性が実現した事を俺に知らしめていた。

京太郎「えっと…憧?」
憧「はい…」

それでも信じられない俺の言葉に憧は抑揚のない独特の言葉で応える。
何時もの気が強そうな、けれど、暖かさと優しさを感じさせる言葉とは一切、違うその声音に俺の胸がドキリと跳ねた。
それが恐らく、憧が催眠に掛かっているという馬鹿げた現実を、俺はこの瞬間、ようやく認め始めたからなのだろう。

京太郎「(ど、どうしよう…どうすれば良い…?)」

とは言え、本当に効くと思っていなかった俺に明確なビジョンなどあるはずもない。
今更、そんな間抜けな言葉を浮かばせながら、俺は沈黙を続けた。
そんな俺に憧が胡乱な瞳を向けてくる。
まるで俺が何か言うのを待っているようなその姿に、俺は今の間に尋ねておかなければいけない事を思い出した。

京太郎「あの…憧ってさ」
憧「はい」
京太郎「俺の事…好きか?」
憧「はい。好きです」
京太郎「そっか…」

憧の言葉に安堵を覚えたものの、けれど、俺の不安が晴れる事はない。
それはやはり彼女の言葉があまりにも感情がこもっていない所為だろう。
催眠状態で嘘がつけるとも思えないが、少なくともそういう艶っぽい感情は感じられない。
好きなのは好きだが幼馴染程度にしか思われていないのではないか?とそんな疑問が浮かぶ程度には。

京太郎「それは…その…どういう意味でだ?」
憧「異性として京太郎の事が好きです」
京太郎「そ、そう…なんだ…」

でも、どうやら俺はちゃんと異性として憧に好きだとそう思われているらしい。
憧の言葉にその疑問が解消した俺はようやく確たる安堵を覚えた。
とは言え、それならそれで新しい疑問が浮かんでくるのが人というもの。
特にちゃんと一年間、そういう艶っぽい関係になれなかった俺にとっては余計にである。

京太郎「それは…どれくらいだ?」
憧「はい。毎日、京太郎を思ってオナニーしています」
京太郎「…え?」
憧「京太郎と繋いだ手を舐めながら、毎日オナニーしています」
京太郎「え?えっ!?」
憧「昨日は三回イくまでオナニーしました。その前は二回。京太郎に会えなかった日は五回やる事もあります」
京太郎「ご、五回も!?」

次々と齎される情報に俺はついていく事が出来ない。
そもそも憧がそんな風に頻繁にオナニーするタイプだとは思っていなかったのだ。
少なくとも五回もするようなタイプには思えず、淡々と述べる憧の前で声を上擦らせてしまう。

京太郎「(…見たい)」

しかし、ただ、それだけで済まないのが年頃の男の悲しい性という奴か。
憧の痴態を聞かされた俺のムスコはズボンの中でムクムクと大きくなり始めていた。
それに比例するように恋人が自慰に耽る淫らな姿が見たいという欲求が膨れ上がる。
それは何時しか俺の中で理性を超え、口にしてはいけない言葉を俺から放たせた。

京太郎「その…何時もみたいにオナニーしてるところ…見せてくれないか?」
憧「はい」

俺の言葉に憧は躊躇いを見せなかった。
小さく首肯を返したと思うと俺に寄りかかった身体をそっと立ち上がらせ、ベッドへと向かう。
そのままベッドの縁に腰を掛けた憧は手慣れた手で制服のボタンを外していった。
数秒後、水色の上品なブラがシャツから溢れだし、俺の視界で小さく揺れる。
だが、憧はそれすらも躊躇なく外し、俺の前でコロンと寝転がった。

憧「…ん…っ」
京太郎「お…おぉ…」

俗に言う横向き寝となった憧がゆっくりと自身の胸をいじり始める。
とは言え、憧の胸は決して大きいと言えるものではなく、慎ましやかか普通と言ったサイズだ。
正直、俺の嗜好から言えば、物足りないと言っても良いそこを弄ってもさほど迫力ある絵にはならない。
だが、そんなもの恋と言う大きな感情に比べればあまりにも小さいものだ。
好きな相手が目の前でその可愛らしい胸を愛撫していると思うと思わず声も出てしまう。

憧「はぁ…ぁ…♪」
京太郎「…ごくっ」

けれど、憧はそんな俺の言葉が届いていないかのように胸をいじり続ける。
その顔は早くも紅潮し、唇からは熱い吐息が漏れていた。
まるでもう感じ始めているようなその姿に俺は生唾を飲み込んでしまう。
初めて見る憧の痴態はこれまでおあずけを食らい続けた俺にとって、それだけ大きなものだったのだ。

憧「京太郎…京太郎…♥」

そんな俺の名前が憧の口から飛び出す。
何処か切なげなその響きは俺を誘っているようにも思えた。
けれど、今の憧は催眠状態であり、俺の言った事を実行しているだけである。
つまり、これは俺を呼んでいるのではなく、憧が自慰をする時の癖なのだろう。

京太郎「(やっべ…すげー嬉しい…)」

同情で付き合ってもらっているとさえ思っていた恋人の癖。
それに彼女の愛情の大きさを改めて知った俺は思わず口元を押さえた。
だが、それでもそこから漏れ出る吐息は止まず、頬の熱も収まる気配がない。

憧「ん…っ♪」

しかし、それでもきっと憧の顔の色には及ばないのだろう。
何せ、憧の肌はもう微かに汗を浮かべ、途切れがちであった吐息が早くなっているのだから。
その手は休まずに自身の柔肉を転がし、指先をリズミカルに動かしていた。
見るからに興奮しているのが伝わってくるその仕草に俺は下腹部に強い熱が生まれるのを感じる。

憧「は…ぁ…♪もうダメ…ぇ…♪」

その言葉と同時に、憧の手が机の上に伸びた。
そのまま整理整頓された机の角に置かれた写真立てをそっと引き寄せる。
そこに入れられているのは俺と憧が二人並んでとった写真だ。
中学を卒業する際にクラスメイトたちに取ってもらった思い出の一枚である。

憧「ちゅ…ぅ♪」
京太郎「お、おう…」

そんな写真に憧は躊躇いなく唇を寄せた。
まるでそうする事が当然のように、その唇はちゅっと音を立てる。
あまりにも自然なその仕草に、俺は一瞬、反応する事が出来なかった。
いや、それどころか憧の前で戸惑うような声をあげるのが精一杯だったのである。

憧「好き…ぃ…♪京太郎…好き…ぃ…♥」
京太郎「ぅ…」

そして勿論、そんな俺の様子に憧が気づくはずがない。
俺の声など聞こえていなかったかのように憧はチュッチュとリズミカルに写真立てにキスをする。
だが、それは決して親愛の情だけによるものじゃない。
それは時折、ねっとりと俺が映っている部分へと舌を這わせる憧の様子からはっきりと分かった。

京太郎「(憧の奴…こんな…)」

ただ俺の名前を呼びながら劣情を発散するのではなく、明らかに俺へと淫欲を向けている憧の顔。
それは普段の俺が知る勝ち気で、けれど、優しい姿とはまったく異なるものだった。
理性を投げ捨てたケダモノのような姿に、俺は再び生唾を飲み込む。
だが、それはさっきよりも遥かに粘つき、そして熱いものだった。
滑り落ちた先の胃でドロリとした熱を感じるそれは恐らく俺が興奮している証なのだろう。

京太郎「(俺…幻滅するどころか…今すぐ犯したいって…そう思ってる…)」

今まで見たことのないほど淫らで生々しい憧の痴態。
恐らく本人が最も隠したがっているであろうその姿を見て、俺のムスコは痛いほど勃起した。
クラスの中心人物で、誰からも頼りにされている憧が俺にはそんなドロドロとした感情を向けていると思うと嬉しくて堪らない。
正直、今すぐこの場で憧を押し倒して、お互いに劣情をぶつけあいたいくらいだ。

京太郎「(でも…そんな事出来ない…)」

そもそも今の憧は催眠状態なのだ。
ただ俺の命令に従うだけの人形のような状態なのである。
そんな状態でお互いに初体験を済ませるのは俺としても本意ではない。
俺は憧とそういう関係になりたいのは確かだが、さりとて俺が彼女に向ける感情は劣情だけではないのだから。
こうして憧の感情を垣間見た今、最高のシチュエーションで、最高の初体験をさせてあげたいと言う気持ちが強くなっている。

憧「京太郎の指…ぃ♪京太郎に…触れた…指…ぃ…♥」

けれど、俺の中のその気持ちを揺るがすように憧はうっとりと自身の指を滑り下ろしていく。
スルスルと自分の肌を撫でながら動くその右手は憧の下腹部へと到達した。
そのまま少しだけショーツをズラしたその手はクチュリと言う音と共に薄布の中へと入っていく。
粘ついたその独特の水音に俺がついつい視線をそちらへと向ければ、そこには変色したショーツの隙間から薄い茂みが顔を出しているのが見えた。

憧「あぁ…♪もう…こんなに濡れちゃってる…ぅ…♪」

何処かうっとりとしたその声は、きっと自分を高める為のものなのだろう。
今までのやり方から察するに憧は自分の声で興奮をするタイプだ。
きっとこうして自身を盛り上げる為にその口から声を漏らしているのだろう。
だが、そうと分かっていても、自身の痴態を伝えるその声に俺の身体は熱くなってしまった。
既に興奮が欲情へと変わった俺の中で、彼女の声は俺を誘うものにしか聞こえなくなりつつある。

憧「京太郎が…悪いんだからね…♪全部…京太郎が…ぁ…♥」
京太郎「…え?」

そんな俺の耳に届いた言葉に、俺は思わず身体を強張らせる。
そのまま聞き返す俺に、しかし、憧は視線を合わせない。
彼女の視線は未だ写真立ての中で、憧と腕を組む俺へと向けられていた。
どうやらそれは俺に向けられたものではなく、憧の中の『俺』に向けられているものらしい。
それに一つ安堵の溜息を漏らした瞬間、憧の唇がすっと動き始める。

憧「なんで…キスしてくれないの…ぉ♪あたし…待ってるのに…ずっと待ってるのに…ぃ♪」
京太郎「…っ!」

ポツリと漏れる憧の本音に、俺はどう反応して良いのか分からない。
何せ、それは俺もずっとしてやりたかった事なのだから。
それなのに俺が憧に対してキスも出来なかったのは、そういった雰囲気になると憧が見るからに挙動不審になっていたからである。
下手に近づけば距離を取られ、手をつなぐ事にさえ「ふきゅんっ♪」と声をあげられてしまうのだ。
それを恐怖によるものだと思った俺は、彼女の事を慮って強引に迫る事が出来なかったのである。

憧「京太郎の…馬鹿…ぁ♥鈍感…っ♥たらし…ぃ♥」
京太郎「…ごめんな」

だけど、それは違ったらしい。
それは…きっと憧の期待だったのだ。
けれど、それは俺が思っていたよりも遥かに大きく、そして憧自身にすら押さえ込めないものだったのだろう。
結果、挙動がおかしくなった彼女に俺は強引に迫る事が出来ず、そして憧もまたそんな俺に対して欲求不満を抱いていたのだ。

京太郎「(勿論…それに謝っても意味のない事だけれど…)」

憧の耳に俺の言葉は届いていない。
俺を罵る彼女の言葉はただの独り言に過ぎないのだから。
しかし、自分があまりにも臆病であり過ぎた事を今更ながらに悟った俺はそう謝る事しか出来なかった。

憧「はぁ…っ♪京太郎の指…あたしのあそこクリクリして…ぇ♥」

そんな無意味な言葉が憧に届くはずがない。
そうして俺が謝る最中にも指の動きを激しくする憧はオナニーをさらにエスカレートさせていた。
その口から漏れる言葉から察するに、恐らく自身の指を俺の指に見立てているのだろう。
指の動きそのものも早くなり、ショーツの蠢きはさらに激しくなっていた。

憧「も…ぉ…♪鈍感の癖に…スケベなんだから…ぁ♪」
京太郎「…ぅ」

瞬間、憧から漏れる言葉に、俺は視線を知らず知らずのうちに憧のショーツをガン見していた事に気づく。
すぐさま視線を逸らしたものの、しかし、今の憧は俺を認識している訳じゃない。
さっきのそれはあくまでも憧のイメージする『愛撫する俺』に向けられているものだ。
しかし、それでもやはりすぐさま憧のそこを見るのは恥ずかしく、俺は数秒ほど視線を反らし続ける。

憧「良い…よ…ぉ♪もっとそこ…して…ぇ♪京太郎の指で…あたしのそこイジメて…ぇ♥」

だが、それが長引かないのは憧の言葉があまりにも淫らだったからだろう。
妄想の中とは言え、俺に対してオネダリする言葉を聞いて、健全な男子高校生である俺が我慢出来るはずがない。
逸らした顔をついつい彼女へと向けた俺は、再びその愛液で変色したショーツをガン見してしまう。
しかし、ショーツと姿勢が邪魔で肝心な部分は決して見えない。

京太郎「…憧」
憧「はい」

それにもどかしさを覚えた瞬間、俺の口は自然と憧の名前を呼んだ。
その瞬間、憧は自身の手を止めて、俺へとそっと顔を向ける。
まるで今までの痴態が嘘であったかのように全てを切り替えるその顔にはさっきまでの淫らな表情はない。
催眠を始めた時と同じく何処か胡乱な表情がのっぺりと広がり、危なげな雰囲気を俺に伝えていた。

京太郎「(でも…さっきとはまったく違う…)」

けれど、その危なげな雰囲気が何処か色気に似たものに感じられるのはきっと憧の顔が紅潮しているからだろう。
自慰の興奮をそのままに表情だけが胡乱になったその口からも吐息がハァハァと漏れだしていた。
意識はどうであれ、間違いなく身体は興奮しているであろうその姿に理性の一部がバチンとはじけ飛んでしまう。

京太郎「あ、憧のオマンコ…俺に見やすいようにオナニーしてくれ」
憧「はい」

さっきよりも直接的な俺の指示に、憧はすぐさま従った。
ズラシたショーツを完全に脱ぎ去り、その形の良い足をすっとあげる。
引き締まった太ももを魅せつけるようなその仕草にクチュリという粘ついた音が答えた。
けれど、俺はその音を殆ど意識する事はなく、開かれた憧の秘所に思考を奪われてしまう。

京太郎「これが…憧の…」

初めて見る恋人の秘所は微かに膨れ上がっていた。
なだらかな丘を思わせるその周りに憧の髪の色と同じ薄い茂みが広がっている。
その下でぴっちりと閉じた筋のような部分はべったりと濡れ、時折、ひくひくと動いていた。
まるで疼いてしかたがないのだと視覚的に訴えるようなその反応に俺の腰にズキリと甘い痛みが走る。

憧「京太郎…♥あぁ…京太郎…っ♥」

そんな俺の前で再び憧のオナニーが再開される。
開かれた秘所にそっと覆いかぶさった右手が上下に秘所をこすり上げていた。
その度に粘ついた水音がクチュクチュと鳴り、部屋の空気を淫らに震わせる。
最早、お互いの吐息の中でもはっきりと聞こえるそれは憧の興奮が高まっている証拠だろう。

憧「クリもっと弄って…ぇ♪」

しかし、それでも満足出来ないとばかりに憧の動きが変わる。
ただ上下に擦るだけではなく筋の中から微かに突き出た突起を重点的に弄り始めていた。
その度に憧の吐息が微かに熱っぽくなる辺り、そこはきっと憧のクリトリスという奴なのだろう。

憧「あぁ…♪入り口も…入り口もクチュクチュ…♥」

そう思った瞬間、憧の言葉と同時に左手もまた秘所へと向けられた。
しかし、それは右手とは違い、ぱっくりと陰裂を開き、俺の前に桃色の粘膜を晒す。
愛液によってテラリと艶やかに光るそこは時折、ヒクヒクと動き、愛液を染み出させていた。
AVなどではモザイクによって隠されている場所が自分の目の前に開かれている状況に俺の頭がクラリとする。

憧「あ…あぁっ♪上手…ぅ♥京太郎…上手…っ♥」
京太郎「すげぇ…」

だが、それを表に出すよりも先に憧の左手がそこを撫で回す。
開かれた粘膜を確かめるようなその指の動きに愛液の勢いが目に見えて増した。
膣口であろう場所のひくつきも大きくなり、憧の下腹部がどんどんと濡れていく。
それに伴いクチュクチュという音が強くなるが憧はそれに構う事がなかった。

憧「もっとして…京太郎…っ♥もっと気持ち良く…して…ぇ♪」
京太郎「~っ」

半ば理性を投げ捨て、快楽だけを求める恋人の姿。
その口から快感を乞う言葉を聞いて、我慢なんて出来るはずがない。
興奮が波のように押し寄せてくる頭の中で理性が必死にストップを掛けるが、それは最早、ろくな抵抗にならなかった。
憧の痴態に膨れ上がった衝動は、理性とは比べ物にならないほど大きくなっているのだから。

京太郎「憧…気持ち良くして欲しいのか?」
憧「…はい。あたしは京太郎に気持ち良くして欲しいです」

それでも俺が尋ねたのは理性を納得させる為だ。
勿論、ここで憧が断るだなんて俺は欠片も思ってはいない。
催眠状態になった憧に嘘がつけるはずなんてなく、今まで漏れた言葉は全て彼女の本心なのだから。
今更、ここで彼女が俺を拒むはずなんてない。

京太郎「(…俺、卑怯だ)」

そう自嘲の言葉が浮かぶが俺はもう我慢出来なかった。
恋人の痴態を見ているだけではなく、俺も参加したい。
憧の恥ずかしい部分に触れたい。
憧を気持ち良くしてやりたい。
そんな気持ちが溢れて止まらず…俺はゆっくりと秘所を広げたまま止まった憧へと近づいていく。

京太郎「俺に任せてくれない…か?
憧「はい」

そのまま放った俺の言葉に憧はふっと身体から力を抜いた。
快感で強張り気味になっていた肩から力を抜く姿は本当にリラックスすしているようにも見える。
何処か子どものようなその姿に俺は微笑ましさを感じる余裕すらなかった。
限度を超えた劣情のままに憧の身体に手を触れ、ベッドへと横たわらせる。

憧「ん…っ♪」
京太郎「お…ぉ…」

そんな憧の胸を触った瞬間、俺の手に何とも言えない感触が伝わってくる。
ふにふにと柔らかで薄いそれはおもちと言うよりも生八ツ橋の感触に近い。
とは言え、それがお菓子などとは比べ物にならないほど魅力的なのはそれが憧の胸だからだろう。
こじんまりとしながらも自己主張を欠かさないその柔らかさに俺は一瞬で虜にされてしまった。

京太郎「すげー…これが…憧の…」
憧「は…ぅ♪」

何処か間抜けな声をあげながら俺の指は動き出す。
上から押さえつけるように乗った指先を動かす度に俺の手は独特の柔らかさを脳へと伝えた。
男の煩悩を擽るその感覚に俺の指は少しずつ自分勝手に、そして気ままに動き始める。
まるでその柔肉が自分のものだと確かめるような遠慮のないそれに、憧が艶めいた声をあげた。

京太郎「…気持ち良いのか?」
憧「いえ…擽ったい…です…」

とは言え、それは決して気持ち良い訳ではないらしい。
それに少し肩透かしめいたものを感じるものの、それも当然だろう。
憧が一日に何回とオナニーするような猛者であっても、それを触る俺が完全な初心者なのだから。
ぶっちゃけ力加減も分からない俺が憧の事を急に感じさせる事なんて出来るはずが… ――

京太郎「(…いや…待てよ)」

そこで俺の思考がストップを掛けるのは今のこの状況が決して普通ではないからだ。
勿論、普段であれば俺のさっきの思考はごくごく当たり前のものだっただろう。
しかし、今の俺の眼の前にいる憧は、文字通りの意味で俺の言葉を従順に受け入れてくれる状態なのだ。
そんな彼女に、もし、『感じて欲しい』と言ったら、どうなるのか。

京太郎「憧」
憧「はい」
京太郎「今から俺の手は…お前にとって一番、気持ち良いものだ」

その疑問に俺は好奇心を抑える事が出来なかった。
理性が静止を掛けるよりも先に、憧に対する命令が飛び出してしまう。
今までとは違い、憧を変化させる言葉が俺の中から放たれてしまった。

京太郎「どんな触られ方をしても憧は俺の手ですぐ気持ち良くなってしまう」
憧「は…い…っ♪」
京太郎「胸やアソコ…えっと…オマンコを触られるだけですぐイきそうになるんだ」
憧「んんっ♪」

瞬間、憧の肌がブルリと震え、その唇をキュッと結んだ。
しかし、その奥から漏れる嬌声は決して止まる事はない。
押し殺しきれない艶めいたそれが俺の耳には確かに届き、好奇心が満たされる。
予想通り、憧は俺の手で感じてくれているのだ。

京太郎「…さぁ、自分で復唱してみろ」
憧「はい…♪あたしは京太郎に触れられると…すぐ気持ち良くなります…ぅ♪」

けれど、俺の欲望はもうそんなものでは収まらない。
分かりきっているはずの事を憧に尋ね、その口から言葉を欲する。
しかし、望んだ通りの言葉が憧から出ても、俺はそれに満足する事が出来ない。
寧ろ、もっともっとと貪欲に彼女の口から淫らな言葉を求め始めている。

京太郎「どれくらい気持ち良いんだ?」
憧「もう…あたしイきそうに…なって…♪一人で触るよりも…ずっとずっと気持ち良い…ぃ♪」

甘くそう言葉を漏らす憧に俺の理性のタガが本格的に緩み始める。
今までのように逡巡しながらのそれではなく自分で進んで彼女を気持ち良くしたくなってくるのだ。
憧もそれを望んでいるというお題目を掲げながらのそれに理性の声が遠くなっていく。

京太郎「じゃ…こうしたらどうだ?」
憧「んきゅぅっ♪」

それを自覚しながらもさらに深みへと踏み込んだ俺の手が憧の乳首に触れた。
ツンと突き出した桃色の突起はそれだけでビクンと跳ねて乳房をプルンと震わせる。
あまりにも可愛らしいその反応に俺はさらに指を伸ばし、彼女の乳首を指先でコロコロと転がした。

憧「や…ぁ♪それ…ダメ…♪」
京太郎「何がダメなんだ?」
憧「気持ち…良すぎて…あたし…すぐ…ぅ♪」

それを拒絶する言葉が憧から出てきた事に少し驚いたものの、彼女が感じているのには変わりがないらしい。
恐らくあまりにも気持ち良すぎて憧の心が恐怖を感じたのだろう。
しかし、俺に任せると言った彼女の身体は抵抗を示さず、俺の前にその美しい裸体を晒して続けていた。
快感の所為か四肢を時折、ピクンと跳ねさせるそれはあまりにも愛らしい。

京太郎「憧。恋人に気持ち良くして貰うのはいけない事か?」
憧「…いいえ」
京太郎「そうだろう。皆やっている事だ」

そんな恋人の姿に俺の口からはスラスラと言葉が出てくる。
詭弁とも言えるそれに、今の憧が反論を返すはずがない。
従順に頷くだけ彼女に俺もまた首肯を返す。
そうする事が正しいのだと憧に言うような俺の仕草に彼女が快感で潤み始めた目を向けた。

京太郎「憧もそれが好きだろう」
憧「好き…」
京太郎「あぁ。だって、憧は俺の事好きなんだろう?だったら、俺に気持ち良くして貰える事も大好きじゃないとおかしいじゃないか」
憧「あ…あぁ…ぁ…♪は…ぃっ♪大好き…です…ぅ♥」

俺の言葉でまた憧の中の価値観が変わったのだろう。
肩をブルリと震わせる彼女は言葉を詰まらせながらも頷いた。
そこにはもう快感に対しての警戒も恐怖もない。
寧ろ、半開きになった唇から今にもオネダリが飛び出してしまいそうなくらいに憧はそれを受け入れ始めていた

京太郎「じゃあ…遠慮なく…イッて良いんだぞ」
憧「はい…♪イきます…♥あたし…もうすぐ…イく…ぅっ♪」

そう言いながら俺は憧の乳首をキュっと摘んだ。
左右から小ぶりで可愛らしい乳首を摘まれるその感覚に憧が太ももをすり合わせる。
まるでそこに走る疼きを我慢するようなそれに俺はムスコもまた甘く疼いた。
しかし、乳首を弄りながら、そっちも可愛がってやれるような器用さは俺にはない。
既に憧がイキかけている訳だし…まずは一度、満足させてやるべきだろう。

京太郎「…イッた時はちゃんと俺に報告しなきゃダメだぞ」
憧「はい…報告します…ぅっ♪イく…イクイクイク…イク…ぅぅ♪」

それでもそれが決して優しさだけで済まないのは俺が調子に乗っているからだろう。
既に催眠術で恋人の意識を書き換えるという事に俺は抵抗を覚えなくなり始めていた。
あまりにも早く順応する自分に違和感を覚えるものの、しかし、現実、俺はもうそれを止められない。
どれだけ最低な行為であると理解していても…俺の足は深みへと進み続けていた。

憧「んっくぅぅぅぅぅうっ♪♪」

そんな俺を象徴するように憧が全身を強張らせる。
ベッドのシーツをキュっと握りしめながらのそれは間違いなく絶頂だろう。
ただ乳首を摘まれているだけで憧は容易く俺の前でイッてしまったのである。
その顔に浮かべる紅潮をさらに強くし、頬を緩ませるその表情は今までで一番淫らだ。

憧「イきました…ぁ♥あたし…イッちゃいました…ぁ♪」
京太郎「…あぁ、良い子だな…」

その上、俺の言いつけを護ってちゃんと報告する健気さまで兼ね備えているのだから堪らない。
思わず胸の中がキュゥゥと締め付けられ、全身の血流が激しくなった。
ドクンドクンと鼓膜を震わす鼓動がうるさくて仕方がない。
しかし、頭の中は妙に冷静で、俺はこれからどうするかを考え始めていた。

京太郎「素直な憧は好きだぞ」
憧「んふぅ…ぅぅ♥」

興奮する身体とは裏腹に、冷静さを残す思考。
しかし、それは決してここで歯止めをかけようと考えているものではなかった。
既に俺の理性は半ば消え去り、本能的欲望が全てを支配しているのだから。
欲情で染まりきった思考が考えているのはここでどう止めるかというよりも、ここからどう楽しむかだったのである。
俺の手で撫でられるだけでまるで昼寝する猫のように目を細める憧の顔を見ても、それは決して揺らぐ事はなかった。

京太郎「…憧はもう満足したか?」
憧「いいえ…もっと京太郎に気持ち良くして欲しいです…♪」
京太郎「どんな事をして欲しいんだ?」
憧「クリトリスとアソコ…京太郎に弄って欲しい…です♥」

そして、憧もまたまだまだ満足してはいないらしい。
まぁ、それも当然だろう。
何せ、憧は俺と会えないというだけで日に五回もオナニーするような猛者なのだから。
それが一回イッただけで満足するはずがなく、こうしてさらなる欲求を俺に伝えてくる。

京太郎「まったく憧はエッチだな」
憧「やぁ…」

そんな憧とエッチと称する俺の言葉に彼女はイヤイヤするように首を微かに振るった。
不安と恐怖をストレートに伝えるそれに俺は自分の言葉が間違っていた事を知る。
今の憧にエッチと言っても羞恥心を擽ったりは出来ない。
ただ、俺に嫌われる恐怖に身を強張らせるだけだ。

京太郎「大丈夫だぞ。恋人と二人っきりの時はエッチになるのが当然なんだ」
憧「ほん…とう…?」
京太郎「あぁ。それに憧が俺にだけエッチになってくれた方が嬉しい」
憧「あ…あぁ…♥」

それを何とかフォローしようとする俺の言葉はどうやら憧に届いたらしい。
彼女の身体の震えはスッと収まり、緊張もゆっくりと抜けていく。
それに内心で安堵しながら、俺は今のやりとりを心に刻んだ。
俺が催眠術を使っているのは決して憧を怖がらせる為でも怖がらせる為でもない。
あくまでも俺と憧がより仲良くなる為のものなのだと、俺は自分に何度も言い聞かせる。

京太郎「じゃあ…お詫びに言われた通り気持ち良くするからさ…足を開いてくれ」
憧「は…ぃ…♪」

数秒後、自責の感情も幾らかマシになった俺の前で憧がゆっくりと足を開く。
ベッドの上でガニ股気味になるそれは決して見栄えの良いものではない。
しかし、あの憧が、クラスの男子の憧れの的である憧が、俺の前である種、惨めにさえ思えるような姿を晒しているのだ。
普段の彼女を誰よりも良く知るが故に、ギャップがのしかかる俺の胸で興奮の色が激しくなっていく。

京太郎「アソコも広げて…」
憧「ん…っ♪」

その興奮に背を押され、憧にさらなる辱めを加えようとする俺の言葉に彼女はやはり逆らわない。
汗の浮かんだその両手でスッと大陰唇を開き、俺の前に桃色の粘膜を広げた。
そこは一度イッた所為か、さっきよりもより朱を強くし、粘膜のひくつきも強くなっている。
特に粘液の量は比べ物にならず、もう洪水と言っても良いくらいになっていた。

京太郎「じゃ…触る…ぞ」
憧「んひぅぅぅっ♪」

そんな場所にオズオズと手を伸ばし、粘膜へと触れた瞬間、憧の身体がビクンと跳ねる。
乳首のそれよりもさらに激しいそれは恐らくこちらの方が敏感である証なのだろう。
どうやら憧は胸の刺激よりもこっちの刺激に弱いようだ。
さっきのオナニーでも優先的に下を触っていたし、毎日の自慰で開発されているのかもしれない。

京太郎「(…つか…ここ本当熱いな…)」

むき出しになった桃色の粘膜から俺の指にはっきりとした熱が伝わってくる。
怒張となったムスコをしごいている時よりも幾分、控えめなそれは、しかし、指にとっては高温だ。
その違いをはっきりと感じるほどの熱は熱いとしか形容のしようがない。
けれど、それは決して不愉快なものではなく、寧ろ、俺の指を蕩けさせるように思える。

京太郎「(その上…すげーネバネバして…)」

初めて触る女性の愛液はまさに粘液と言っても良いものだった。
ネバネバと指に絡むそれは俺が今まで生きてきた中で一度も味わったことのない感触である。
しかし、それが淫らなものだとすぐさま分かってしまうのは、社会に氾濫した性的知識の所為だろうか。
少なくとも指の間にニチャニチャとなるその感触も音も不愉快ではなく、寧ろ、もっと味わいたいくらいだった。

憧「あぁっ♪あぁぁっ♪」

そんな欲求に指を動かす俺の前で憧が甲高い声をあげる。
乳首のそれよりも一段強いそれは紛れも無い嬌声だった。
顎を微かにあげながら放たれるそれは聞いているだけでムスコが痛くなるくらいに淫らである。
AV女優などよりも遥かに魅力的で可愛らしいその声に俺の指から遠慮が抜けていく。

京太郎「ほら…ここ良いんだよな」
憧「くぅんっ♪良い…ですっ♪そこ…良いぃっ♪」

クチュクチュと円を描くように指を動かす俺の前で憧が太ももを震わせる。
がに股気味になった形の良い太ももに走るそれは間違いなく快感だろう。
しかし、可愛らしいおもちを弄っていた時にはそんな反応イク直前まで見せなかった。
もう既にイきそうになっているのか、或いは、敏感な分、快楽の上限が高いのか。

京太郎「(まぁ…どっちでも構わないか)」

例え、どちらであっても、俺がここでするべきは憧を気持ち良くさせる事だ。
こうして催眠術に掛け、その痴態を見せてもらっているお詫びとして彼女を満足させてあげなければいけない。
その為にする事が変わらない以上、それを尋ねる事にあまり意味はないだろう。
何より、憧がイく時には俺に告げるように催眠を掛けているのだから、何れ分かる話だ。

憧「はぁ…♪んんっぅぅ♪」

そんな事を考えている間に憧の声の艶やかさが上がっていく。
普段の快活でハキハキとしたものとは違い、鼻にかかったその声はまるで発情期のメス猫のようだ。
いや…実際、今の憧は…発情期と言ってもおかしくないくらいに発情しているのだろう。
半開きになった唇からハァハァと絶えず吐息を漏らすその姿は最早、欲情の範疇にない。
胡乱な瞳を潤ませて俺を見つめるその顔はここで下手に催眠を解けば、そのまま襲いかかって来られそうな危うささえあった。

憧「んあ…ぁ♪京太郎…京太郎…ぉ♥」
京太郎「…っ!」

その上、切なそうに俺の名前を呼ばれるのだから、正直、堪らない。
まるで今すぐ犯して欲しいと言うようなその声にムスコがズボンの中でビクンと跳ねた。
その先端がジワリとした感覚を広げるのは恐らく先走りが本格的に漏れ出し始めたからだろう。
先端にねっとりとのしかかるそれはあまりにも不愉快で…俺はついベルトに手を掛けてしまった。

憧「あ…っ♪」

そこで憧が微かにあげた声は不満を強くするものだった。
恐らく俺が秘所から手を離し、快感が中断された事に不満を覚えているのだろう。
それに申し訳なく思うものの、しかし、もう俺の興奮は止まらない。
窮屈で不快な締め付けの中からムスコを開放しようとベルトを外したズボンを一気に脱ぎ去った。

京太郎「はぁ…はぁ…」

幼馴染の部屋で下半身裸になるというシチュエーション。
それに背徳的なものを感じながらも、俺にズボンを履き直すつもりはなかった。
既にムスコは今までにないほど勃起し、腹筋についてしまいそうなくらい反り返っているのだから。
その上、興奮が疼きとなって肌へと絡みつき、今すぐ扱きたいくらいだ。

京太郎「(でも…それは流石に…)」

幼馴染の部屋でオナニーする自分に理性ではなく羞恥心が歯止めを掛ける。
こうして下半身裸になっているだけでも恥ずかしいのにオナニーするなんて変態も良い所だ。
勿論、憧にはソレ以上の事をやっているし、させているものの、自分から進んで扱くのはやはり恥ずかしい。
とは言え、ソレ以外にこの疼きを発散させる方法が無いのも事実で… ――

憧「あ…ぁ…♪」

その瞬間、俺は憧の視線に気づいた。
けれど、それはさっきまでのように俺の顔に向けられていたのではなく、下腹部で反り返るムスコへと注がれてる。
その視線は熱っぽく、恥ずかしそうで…そして何処か怯えが混じっていた。
恐らく初めて見るであろう男性器に憧は怖がっているのだろう。
特に俺のは人並みよりも遥かに大きいらしいから、初めてそれを見る憧が怯えるのも無理はない。

京太郎「…憧。怖いか?」
憧「はぃ…怖い…です…」

そう思うものの、やはり恋人に怖いと言われるのは少し寂しい。
自分でもグロテスクな部分なので好きだと言われたい訳ではないが、ここまで明確に怯えを見せられるとやっぱり凹む。
勿論、憧が大分マシになったとは言え、男性恐怖症の気があるので仕方ないとは思うものの、恋人に怯えられるのはきついものがあった。

京太郎「…でも、憧は俺のコレが好きなんだろ?」
憧「好き…?」
京太郎「あぁ。だって、恋人のチンポなんだもんな。好きなのが当然だろ」

そして、それを変える術が俺にある。
そう思った瞬間、俺の口からは躊躇いなく言葉が飛び出していた。
またもや憧の意識を根幹から変えるそれに、しかし俺は自嘲よりも先に興奮を覚える。
ついに彼女の嗜好までもを自分の好き勝手にイジろうとしている背徳感に肉棒の切っ先がピクピクと揺れた。

憧「好き…」
京太郎「あぁ。俺のチンポが憧は大好きだ。…あ、勿論、他の男のはダメだぞ」

それでもこうして念を押してしまうのは、俺の独占欲が強い所為か。
そもそも憧はクラスの人気者で、男子の憧れの的である。
俺も憧と幼馴染という立場でなければ、こうして恋人同士になれることなんてなかっただろう。
そんな彼女を誇らしいと思う反面、不安に思うのはきっと俺があまり自分に自信を持てないからだ。
そして、その自信の無さが憧を縛り付ける言葉を放ち、俺の後ろ暗い感情を満足させる。

京太郎「こうして顔の前に突きつけられると…扱きたくなるくらいに…憧は好きだろう?」
憧「は…い…♪」
京太郎「ぅ…」

憧の顔へと向かうようにベッドへと座った俺の言葉に憧は従順に頷いた。
そのままその両手をそっと伸ばすものの、恐らく力加減が分からないのだろう。
俺へと伸ばされたその手は逡巡を見せながらオズオズと触れてきた。
その手は俺と同じものでできているとは思えないくらいスベスベしており、触れただけで憧が女の子なのだと分かる。
肌さわりの良いきめ細やかな肌の感触に、俺は思わず呻いてしまった。
しかし、そんな俺に構わずに憧はゆっくりとその手を動かし、俺のムスコに奉仕してくれる。

京太郎「あぁ…上手…だぞ…」

勿論、憧にそうやってチンポを扱く経験などあろうはずがない。
実際、彼女の手は俺のムスコを上下に扱いているだけで、強弱も何もなかった。
だが、それでも興奮し、先走りがもう亀頭全体に広がっている俺には十分過ぎる。
恋人がようやく俺のムスコを初めて触ってくれているという興奮もあり、俺は今すぐにでもイきそうになっていた。

京太郎「俺も…憧のこと気持ち良くしてやるからな」
憧「んくぅ…♪」

そう言いながら俺は憧の秘所に再び手を向ける。
両手が離れた所為で再びピチリと閉じた肉の扉を開け、その奥の粘膜に指先を触れさせた。
その瞬間、憧が小さく声をあげるものの、彼女の手は止まらない。
常に一定のペースで俺のムスコを扱き続けてくれていた。

京太郎「どうだ…?俺のチンポは」
憧「熱くて…硬くて…大きくて…凄い…です…♪」

そんな憧の返事は吐息混じりの甘いものだった。
その視線は俺のムスコに注がれ続け、何処かうっとりと見つめている。
そこにはもう怯えなどなく、代わりに淫欲が現れ始めていた。
どうやらさっき掛けた俺の暗示は思った以上に効果を発揮しているらしい。

京太郎「…こうして俺のを扱いていると気持ち良いだろう?」
憧「はい…気持ち…良いです…♪」

しかし、だからと言って俺は止まれなかった。
寧ろ、思った以上のその成果をさらに裏打ちするように次の言葉を放ってしまう。
それにうっとりとした声で憧が返すのは俺に秘所をいじられているからだ。
だが、俺が憧に求めているのはそういうものではない。
俺が触っていなくても憧も気持ち良くなるという尋常ではない状態なのだ。

京太郎「憧は俺のチンポに奉仕するだけで気持ち良くなるくらい俺のことが好きなんだよな」
憧「ひぅ…♪」

それを伝える俺の言葉に憧の肩がビクンと震える。
まるで叱られた子どものような声をあげながらのその反応に俺の吐息が一層長く吐き出された。
抑えきれない興奮を何とか吐き出そうとするそれは、しかし、俺の思考を一切冷やすことがない。
最早、そんなものではどうにもならないくらいに俺の身体は昂ってしまっているのだ。

憧「あぁ…好き…ぃ…♪京太郎のオチンチン…好きぃ…♥」
京太郎「くぅぅ…!」

そんな俺のムスコを扱く憧の手が激しさを増した。
今までのような確かめるようなそれではなく、リズミカルに動いている。
それは恐らく憧自身が快感を欲しているからなのだろう。
既におもちよりも長い時間を触っているが、憧の身体は未だ絶頂に達する気配がない。
しかし、その身体は目に見えて昂ぶっている以上、彼女もまた欲求不満を覚えているのは確かだろう。

京太郎「良いぞ…今…ご褒美もやるから…」
憧「ひんんんぅぅぅっ♪♪」

そう言いながら憧のクリトリスを触った瞬間、憧の口から今まで以上の大きな声が漏れた。
さっきまでの押し殺したものとは違い、口から飛び出すその嬌声に思わず俺の身体が強張る。
だが、今日は憧の家には誰もおらず、また憧の家は神社であるという関係上、周りに家が建っている訳じゃない。
防音もしっかりして音が外に漏れない事を思い出した俺はぷっくりと膨らんだ陰核部分をクリクリと弄び始めた。

憧「そこぉ…♪そこ…凄いです…ぅ♪イく…あたしもうイく…ぅぅんっ♥」
京太郎「そっか…今まで待たせてごめんな」

どうやらそれが憧にとってのトドメになったらしい。
俺の指先が円を描く度に身体を強張らせる憧の口から絶頂を告げる声が漏れた。
それに小さく謝罪しながらも、俺の手は激しさを増していく。
今まで催眠だの何だので待たせてしまった分、気持ち良くしてやろう。
そう思った俺の手が憧の陰核を摘み… ――

京太郎「思いっきりイッて良いぞ」
憧「きゅぅ…っぅうぅうんっ♪♪」

包皮に包まれた性感帯を左右から撫でた瞬間、憧の身体にグッと力が入る。
微かに強張る四肢をブルリと震わせるそれは恐らく快感の証だ。
憧は今、俺の手で二度目のオルガズムに達し、そしてそれを貪っている。
まるで快感を味わうように閉じた瞳からそれを察した俺は、さらにそれを憧に注いでやろうと手を動かした。

憧「ひぁぁぁぁっ♪」

陰核を挟む右手とは別に、粘膜に触れる左手。
キュンと締まる肉穴の入り口をクチュクチュと擦るそれに憧が悲鳴のような声をあげる。
イッている最中、さらに追い詰められようとしているのだから、それも当然だろう。
ましてや、憧は俺の暗示の所為で感度が跳ね上がっているのだから尚更だ。

憧「それ…ダメ…ぇ♪あたし今、イッてる…イッてるから…ぁ♪」
京太郎「何を言っているんだ、憧はこうして俺にイかされるのが大好きだろう?」

しかし、そうと分かっていても、俺の言葉が彼女に対して容赦する事はない。
それは憧の全てが俺の口先三寸で変わってしまうのだと、理解してしまっているからなのだろう。
苦痛にも近いその快感も、俺ならば天国のようなアクメに変えてやる事が出来るのだから。

京太郎「こうやってイっている最中に俺に触られると…どんどんイきたくなってくるだろう?」
憧「あ…あぁぁ…っ♪」
京太郎「イく度に俺の事好きになって…気持ち良くなるんだよな?」
憧「あひゅぅ…ぅぅ♥」

俺の言葉に反応し、憧の身体が身動ぎを見せる。
まるでそんなのは嫌なのだと、認めたくないのだと言うようなそれは肉体的反応か、あるいは精神的拒絶なのか。
どちらにせよ、そうやって抵抗したところで憧はもう俺の暗示には逆らえない。
今までだって逆らえなかったし、何より、絶頂時は暗示が効きやすいのだから尚更だ。

京太郎「だから、もっとイッて良いんだぞ。俺にイかされるのは憧にとってとっても幸せな事なんだから」
憧「んんんんぅぅっ♪♪」

その瞬間、憧の口が真一文字に結ばれ、全身がギュっと強張る。
絶頂のソレよりも数段強いそれはまるで自身が書き換わる事に対して必死に抵抗しているようだ。
それに巻き込まれたムスコからはかすかに痛みが伝わってくるくらいにそれは激しいものである。
けれど、それはまったくの無意味で無駄なものに終わったのだろう。
それは俺の目の前でゆっくりと見開かれた憧の目を見れば…ひと目で分かった。

憧「もっと…イかせて…ぇ♪あたしの事…気持ち良くしてぇ…♥」

今までの胡乱なものとは違い、はっきりと欲情と媚を浮かべたその瞳。
今にも涙が零れそうなくらいに潤んだその瞳にはもう俺しか映っていなかった。
まるで世界全てが俺だけになってしまったようなその瞳に俺の理性が完全に砕けてしまう。
唯一、残っていた躊躇いや自嘲の源すらなくなった俺にはもう憧への劣情しかなかった。

京太郎「…じゃあ、俺のチンポももっと気持ち良くしてくれるよな?」
憧「するぅ…♪京太郎のオチンチン気持ち良くするからぁ…♥」

それを満たそうとする俺の言葉に憧の手が再び動き出す。
シコシコと肉竿を扱くそれに俺の先走りが絡みつき始めていた。
結果、クチュクチュという粘ついた水音が鳴り、俺の興奮をさらに高める。
快感のボルテージは一気に跳ね上がり、理性を失った身体に射精が目に見えて近づいてくるのが分かった。

京太郎「憧…憧…っ」
憧「ふあっぁっ♪」

それに飲み込まれた俺は最早、憧に暗示を掛ける事さえ出来ない。
俺の口から漏れるのは恋人の名前と、そして快楽を示す吐息だけだ。
頭の中はもう既に射精への欲求と劣情に埋め尽くされ、ソレ以外の事を考える余地などない。
身体もまた憧の秘所を休みなくイジり続けるくらいしか出来ず、強張った身体がブルブルと震える。

憧「あぁ…♪またイくぅ♥京太郎の指でイく…ぅ♪あたし…あたし…ぃ…♥」

そんな俺の前で憧が再びオルガズムを告げる。
それが果たして何度目なのかは俺には分からない。
しかし、その気持ち良さそうな声が俺の脳を揺さぶる事だけは確実だ。
まるで耳から脳を擽られているような擽ったさに俺はもう耐える事が… ――

憧「はむぅ…♪」
京太郎「っ~~~っ!!!」

その瞬間、俺の意識が一瞬停止したのは俺のムスコの先端に何か柔らかいものが押し当てられていたからだろう。
指よりももっともっと柔らかで心地言良いそれが憧の唇であると認識した瞬間、俺の全身がブルリと震えた。
見知らぬ、けれど、気持ち良い事だけははっきりと分かるその柔らかさに俺の意識が白く染まる。
まるで目の前にいきなり流星が迫ったようなそのホワイトアウトに俺は為す術もなく押し流された。

京太郎「う…あぁぁっ!」
憧「きゃん…っ♪」

背筋に冷たい手が通り過ぎたようなゾクリとした感触。
それが腰の奥で熱に変わった瞬間、俺のムスコが弾けた。
その先端をビクンと震わせながら快感が海綿体の中を駆け回り、外へと溢れだす。
それが精液だと気づいた頃には、憧の顔はもう真っ白に染まっていた。

京太郎「憧…っ」

俺が見ていた頃よりも遥かにムスコへと近づいた顔。
そこに暴れるムスコから白濁した精液が降り注ぐのを憧は厭わない。
寧ろ、何処かうっとりとした顔でその真っ白いシャワーを受け入れている。
幸せそうと言っても過言ではないその表情に俺の快感は止まらない。
何度も何度もその先端を跳ねさせて、憧の顔やベッドに白濁液をまき散らしてしまう。

憧「ふわぁ…♥」

そうやって肉棒が跳ねた回数が30を超えたくらいだろうか。
ようやくムスコから精液が飛び出さなくなり、快感が急激に下火へと変わっていく。
先端はまだ諦めきれないと言わんばかりにビクビクと震えているが、そこにはもう先走り混じりの精液しか漏れ出さない。
しかし、それに安堵する事が出来ないのは…ベッドの上は悲惨な状態になっているからだろう。

京太郎「ご…ごめんな…」

壁際にまで届くほどの勢いで放たれた精液は憧の顔や制服へと降りかかっていた。
それだけならまだしも勢い余った精液はベッド中に飛び散っているのである。
それらを掃除するのはかなりの骨だし、そもそも匂いが残ってしまうかもしれない。
今日、ここで憧が寝る事を思えば、酷い事をしてしまったとしか思えなかった。

京太郎「あーえっと…えっと…」

それは勿論、射精後、急激に理性が戻ってきたという事もあるのだろう。
所謂、賢者状態となった俺は、ようやく自分がしでかしてしまった事の大きさに気づいたのだ。
しかし、それを取り繕う言葉を探しても、今更、遅い。
憧は覚えていないだろうが、俺がしてしまった事は俺自身が覚えているのだから。

憧「ぅう…ん…♪」
京太郎「ぅ…」

その罪悪感を薄れさせてくれるのは憧の幸せそうな表情だった。
艶やかな髪に白濁液を貼り付けているにも関わらず、心地よさそうなそれに少しだけ自責の感情が癒える。
けれど、だからと言って、俺が最低な事をやってしまった事には変わらない。
謝ってどうにかなるものではないが、とりあえず後始末した後、催眠を解いて… ――

憧「京太郎の…まだ大きい…♪」
京太郎「うあ……っ!」

そこまで考えた思考が急にバラバラになったのは憧の手は再び動き出したからだ。
射精の最中から停止していた憧の突然の逆襲に俺はついていく事が出来ない。
そもそも俺は幾分、冷静になったとは言え、肉棒はまだ熱く滾り、そして敏感になっているままなのだ。
射精直後のムスコを扱かれて冷静のままでいられるはずがない。

京太郎「あ、憧…そ、それ…」
憧「気持ち良くする…ぅ♪京太郎の事…♥もっと…♪もっとぉ…♥」

俺の言葉に、しかし、憧は止まらない。
俺によって暗示を幾つも掛けられた憧は、俺の事を気持ち良くする事を第一に考えているようだ。
しかし、それが一体、何がどう作用しているのか今の困惑する俺には分からない。

京太郎「ちょっと待って…待ってくれ…!」
憧「は…い…」

とにかく、今の憧を止めるのが先だ。
そう思って口にした俺の言葉に憧がシュンと肩を落とす。
まるで叱られた子どものように素直なその反応に俺の胸が小さく傷んだ。
そもそもこうやって憧がおかしくなったのは俺の所為なのだし、受け入れるべきだったのかもしれない。
実際、俺の身体もまだまだ満足してはいない訳だし、もう一回…今度はフェラで射精しても… ――

京太郎「(い、いや…おかしいだろ!!)」

一度、射精したにも関わらず、さらに憧をむさぼる事を考え始めた自分。
それに俺は違和感を超えて、明らかな疑念を感じた。
勿論、俺も年頃の男子高校生として性欲はあるし、このシチュエーションに興奮している。
しかし、それにしたって一度射精したのにまったく満足出来ていないのはおかしい。
日課の一人遊びでもこんな風になった事は一度もなかった。

京太郎「(何より…あの射精量は普通じゃないぞ…)」

射精してる最中は気持ち良すぎて気付かなかったものの、俺が射精した量は明らかに異常だ。
たった一回の射精でこんなにドロドロになるだなんてAVでさえ見た事がない。
そういう機能を鍛え、そのための食生活を心がけている汁男優の二倍以上はあるのだから。
これが一人の男から、しかも、たった一回の射精で出るだなんて異常以外の何者でもない。

憧「はぁ…はぁ…♪」
京太郎「ぅ…」

しかし、その疑念も熱っぽく俺を見つめる憧によって薄れていく。
まるで俺に対してオネダリするようなその視線に、興奮が理性を上回りつつあった。
脳の中では疑念を解決する事よりも、憧に対して次にどんな催眠を掛けるかが渦巻いている。
理性と欲望、その二つが主導権を争う二度目のぶつかり合いに前者が勝てる理由なんてなかった。

京太郎「…憧、俺の精液を舐めてくれないか?」
憧「…は…い…」

俺の言葉に小さく頷いた憧はそっと顔についた精液を指先ですくい取った。
そのまま唇へと運んだ憧はチュッと音を立てながら、口に含む。
その仕草でさえエロいと俺が思うのは、彼女が口に含んでいるのが俺の精液だからだろう。
粘ついて白濁したそれは到底、美味しそうとは言えず、少なくとも食べたいとは思えない。

京太郎「…どうだ?」
憧「苦い…です」

その上、それが苦いともなれば、進んでそれを飲みたいと思うものはほとんどいない。
強く想い合う恋人同士であったとしてもフェラチオの後、それを吐き出すのが普通だろう。
しかし、今の俺は言葉一つで、その普通を覆す事が出来る。

京太郎「でも、憧はそれが一番の好物なんだろう?」
憧「好…物…?」
京太郎「あぁ。デザートみたいに甘くて大好きだっていつも言ってるじゃないか」
憧「デザート…ぉ♪」

俺の言葉に憧の肩がビクンと跳ねる。
恐らく俺の言葉でさっき口に含んだ精液が彼女の中で甘いものに変わりつつあるのだろう。
しかも、それはただ甘いだけではなく、憧の中で一番の好物である。
普段、体型を気にして中々食べられないケーキ以上に憧はそれを美味しいと感じてしまうのだ。

憧「食べる…ぅ♥精液…食べる…ぅ♪」
京太郎「あぁ。一杯、食べて良いからな」

そしてその誘惑に憧は逆らえない。
子どものように俺へとそう告げながら顔や髪に飛び散った精液を手ですくい取り、舐めていく。
その仕草がさっきよりもエロいのは、その表情が夢中になっているからだろう。
俺の精液が美味しくて堪らないのだとはっきりと告げるその表情に俺のムスコがビクビクと跳ねた。

京太郎「どうだ?美味しいか?」
憧「はい…♪美味しくて…エッチな味…ぃ♥」
京太郎「エッチな味…か」

憧が頬を緩ませながらの言葉を、俺はオウム返しする事しか出来なかった。
そもそも自分の精液なんぞ口に含んだ事はないし、エッチな味とやらも分からないのだから。
想像すら出来ない味に対してどう反応してやれば良いのか分からない。
しかし、憧のお陰か、あるいは俺の煩悩が強すぎる所為か、すぐさま次の暗示が俺の中に浮かんでしまう。

京太郎「そうだ。俺の精液は憧をとてもエッチな気分にさせるものなんだ」
憧「エッチ…ぃ…♪」
京太郎「あぁ。身体が熱くなって、頭の中もエッチな事しか考えられないくらいになって、アソコも一杯疼いて…思いっきり発情するんだよ」
憧「はぁ…ぁん…♥」

瞬間、憧の手がブルリと震え、その動きが止まってしまう。
さっきまで熱心に両手で精液をしゃぶっていた彼女の突然の停止に俺は首を傾げた。
さらに精液を食べたくなるような暗示を掛けたはずなのに一体、どうしてなのか。
それを疑問に思う俺の前で憧の手がゆっくりとムスコへと触れた。

憧「エッチ…エッチしたい…♥あたし…あたし…したいよぉ…♪」
京太郎「ぅ…」

そのままゆっくりと肉竿を扱く憧の手はさっきのように激しいものではない。
俺をイかせる為のものではなく、どちらかと言えば、縋るようなソレに近かった。
しかし、そうやってチンポを恋人に触れられているという状況は童貞にとっては刺激が強すぎる。
ついつい身体を強張らせ、その口からうめき声を漏らしてしまう。

憧「精液欲しい…っ♥オチンチンも気持ち良くしてあげたい…♪気持ち良いの…好きぃぃ…♥」
京太郎「あ…あぁ…っ」

そんな俺の前で憧が胡乱な声で呟く。
今まで俺が掛けた暗示を再確認するようなそれに、俺は自身の失策を悟った。
俺が掛けた催眠全部が絡み合い、憧は今、俺とのセックスを欲し始めている。
勿論、それは嬉しいものの、それは俺の中で決して超えてはいけないラインだった。

憧「京太郎…して…ぇ♥エッチ…してぇ…♪」
京太郎「そ…れは…」

憧を愛撫して気持ち良くさせるのは良い。
憧に手コキさせるのもギリギリ許容範囲だろう。
しかし、セックスまでしてしまうのはどう考えてもアウトだ。
今のコレは憧の記憶には残す訳にはいかないのだから。
終わった後に証拠や影響を残すような真似は出来ない。

京太郎「(第一…そんなの憧にとって最悪の初体験だろうが…)」

記憶に無いだけではなく、恋人に半ばレイプされるような初体験。
そんなものをさせる為に俺は憧の恋人になった訳じゃない。
男性恐怖症になった憧にもっと幸せで気持ち良い思い出を作ってやる為に恋人になったのだ。
今まで憧の認識を歪めてきた俺が言えるセリフではないが、そんな酷い真似はしたくない。

憧「はぁ…ぁ♪京太郎…♥切ない…切ない…よぉ…♪アソコウズウズして…止まんない…ぃ♥」
京太郎「っ…!」

だが、そんな俺の決意を憧の言葉が揺るがす。
俺の暗示に身体が従順に従っている事を知らせるそれに腰の奥が熱を弾けさせた。
ブワリと揺らぐその興奮に俺の胸はドキンと跳ねる。
そんな俺の肉竿を大きく扱きながら、憧がそっとその顔を俺へと寄せた。

憧「もっと…気持ち良くしたらエッチしてくれる…?もう一回、射精したら…ご褒美…くれる…ぅ?」
京太郎「ぐ…ぅぅ」

蕩けた言葉の合間に憧はそっと俺のムスコに唇をつける。
腫れ上がった亀頭にチュッチュとキスをするようなそれに俺の背筋がブルブルと震えた。
寒気にも似た快感が中を一気に駆け抜け、脳へと突き刺さるのを感じる。
まだファーストキスもまだなのに、また恋人をチンポにキスさせている背徳感と興奮に俺の我慢がバキリと音を立ててひび割れた。

京太郎「…分かっ…た…」
憧「あぁ…っ♪」

ついに最後の一線まで譲り、欲望に陥落してしまった自分。
そんな俺の前で憧は輝かんばかりの笑みを浮かべた。
まるで最高の誕生日を迎えた子どものようなその表情に俺の中に下らない言い訳が広がる。
こんな風に憧が喜んでくれているのだから仕方ないのだと、憧から求められたのだからしかたがないのだと言うそれに自嘲が浮かんだ。
しかし、憧をそうしたのが自分だという事から目をそらすその言い訳は止まらず、俺の身体は手を離した彼女の正面に回る。

京太郎「…挿入れやすいように、アソコ広げてくれないか?」
憧「ん…っ♪」

俺の言葉に憧が喜色をそのままにして頷き、その両手で陰唇を広げた。
それと同時に足を大きく開いてくれるのは、きっとそれだけ憧が我慢出来ない所為だろう。
ベッドに横たわる身体をM字に開くその姿には快楽への期待しかなく、今すぐそこへとムスコを突っ込みたくなった。
だが、俺はその衝動をギリギリのところで堪えながら、自分の財布をカバンから取り出す。

京太郎「(と、とりあえず…コンドーム…っと…)」

買った当初は何時使うのかドキドキしていた大人のエチケット。
けれど、結局一年以上使わないまま来てしまったその薄ゴムを俺は丁寧に開けた。
そのままAVの見様見真似で着ければ、それは綺麗に俺のムスコを根本まで包んでくれる。
初めてなので勝手は分からないが、とりあえず緩みもないし、これで良いだろう。
そう判断した俺は、再び憧の方へと振り返り、横たわった彼女の身体へとのしかかるように近づいた。

京太郎「憧…その…」

しかし、そこで今更ながら逡巡を感じるのは、俺がその行為を止めるべきだと思っている所為ではない。
最早、そのような理性は俺の中にはなく、ただ恋人と気持ち良くなりたいという思考が脳裏を支配していた。
けれど、それでも彼女に何か言ってやらなければと思うものの、その言うべき言葉が出てこない。
無論…本来ならばここで好きだと愛していると言って、緊張を解してやるのが一番なのだろう。
けれど、今の俺がそれを言う資格はまったくない気がして、逡巡だけが身体中へと広がっていった。

京太郎「お、俺のチンポは…憧にとって一番、気持ち良くなる…ものだから…」
憧「はい…♥」
京太郎「初めてでも全然、痛くないし…気持ち良いから…その…安心してくれよ」
憧「は…ぃ…っ♥」

そんな俺に選べるのは結局、暗示だけであった。
ここまで憧を歪めたその力に頼るしか出来ない自分に、俺は自嘲を超えて自己嫌悪を覚える。
しかし、それはもうギチギチになったムスコを萎えさせる力もなく、ゆっくりと俺は腰を憧へと近づけていった。
そのまま憧の手で開かれた粘膜にクチュリと触れ合った瞬間、焼けるような火照りがゴム越しに伝わってくる。

憧「ふぁ…♪」
京太郎「ぅ…」

指で感じるのとはまったく違うその熱は淫らという言葉が相応しい。
風邪の火照りとは比べ物にならないドロドロとしたそれは、それだけで快感に繋がってしまいそうなくらいだ。
そんな熱に声をあげる俺に合わせて、憧が甘い吐息を漏らす。
期待混じりのそれに俺の身体が急かされ、ムスコを握りながら入口を探した。
けれど、童貞である俺には加減など分からず、クチュクチュと音を鳴らしながら憧に嬌声を漏らさせてしまう。

憧「んんっ♪」
京太郎「あ…」

一分後、ようやくその入口らしきものを見つけた俺はグッとその腰を進めた。
瞬間、ネバついた水音とともに肉の壁が開いていくのを感じる。
どうやら、憧の膣穴はここで合っているらしい。
それに一つ安堵しながら、俺はゆっくりと唇を開いた。

京太郎「行く…ぞ…」
憧「んあ…あぁぁっ♪♪」

無意味だと分かりながらも告げたその声と共に俺は憧の腰を掴んだ。
そのまま腰を進めれば、肉穴の入り口がゆっくりと開かれ、亀頭が飲み込まれていく。
瞬間、外の粘膜の部分からでもハッキリと感じた熱が亀頭全体に広がり、強い疼きへと変わった。
しかし、俺の頭の中を支配しているのは俺のムスコを咥え込む、濡れた媚肉に締め付けである。

京太郎「(や…ばい…!)」

初めて感じる女の膣肉。
それは俺が思っていたよりも遥かにきついものだった。
既に何度もイッて緊張が解れているとは言え、憧は初めてなのだ。
今まで男を受け入れたことがないであろうその場所はあまりにも不慣れで1cm進む毎にギチギチという悲鳴が聞こえてきそうなくらいである。

京太郎「(だけど…それが…)」

憧の痛みや苦しさが伝わってくるような肉の悲鳴に、俺の胸は確かに傷んでいた。
しかし、ソレ以上に俺の意識へと襲い掛かってきていたのは喩えようもない快感である。
閉じた肉の穴を強引に押し広げようとするという事はそれだけ肉壁が俺のムスコへと押し当てられる事を意味しているのだから。
憧の手に扱かれる感覚を何倍にもキツくし、そしてフィット感を強めたような独特の感覚。
まさに締め付けられているという言葉が相応しいその気持ち良さに俺の腰は止まらなかった。

憧「ふあぁぁっ♪」

グッと腰を掴んだ手に力を入れながら、俺のムスコがさらに突き入れられる。
既に亀頭を超え、肉竿まで入り込んだ瞬間、憧の口から甘い声が漏れた。
まるで初めてでも感じているようなその声は俺の暗示が上手く機能している証なのだろう。
そう思った瞬間、俺の中で憧への気遣いという最後の砦が崩れ、腰がガツンと一気に前へと進んだ。

憧「きゅぅんっ♪」

ズルズルと這いずるように奥を目指すのではなく、ズンッと一気に奥へと叩きこむような動き。
それに憧が肩を震わせながら、まるで猫のような鳴き声を漏らした。
まるでオスに対して媚を売っているようなその鳴き声に俺の身体が熱くなる。
その奥から沸き上がるのはこのまま思いっきり憧を犯してやれ、というあまりにも自分勝手な衝動だ。

京太郎「…あ…」

それに従いながら憧の中を抉る俺の視界に赤いものが写り込んだ。
お互いの性器の間からツゥと漏れるその筋を俺はすぐさま理解する事が出来ない。
それを俺が理解したのは、憧の最奥へと到達した頃。
衝動のまま憧を犯してしまったという結果が、否定しようのないくらいに残ってしまってからの事だった。

京太郎「…大丈夫…か?」

そう尋ねる俺の偽善っぷりに胸の痛みが強くなる。
初めてでこんな風に無理矢理に挿入されて大丈夫ではないはずがない。
幾ら催眠で痛みを誤魔化しているとは言え、実際に傷ついた身体までどうにかなるものじゃないのだ。
その証拠に結合部からは血が流れ出し、ベッドの上に小さなシミを作っている。
一体、何時かは自分でも分からないが、俺は挿入途中で憧の処女膜を破ってしまったようだ。
お陰で幾らか冷静になり、衝動に抗う余裕も生まれたが、さりとて俺がやってしまった事は消えない。

憧「ふわ…あぁぁ…♪♪」

そう思う俺の前で、憧が蕩けきった声を漏らした。
今にも唇から唾液をこぼしてしまいそうなその声に合わせて、憧の膣肉が収縮する。
特に俺のムスコに立ちふさがるポテっとした肉厚の唇は、ブルリと震えながら先端へと吸いついてきた。
唇のそれよりも遥かに情熱的に蠢くそれに俺の口からも声が漏れそうになる。

憧「だ…い…じょうぶぅ…♪」
京太郎「…本当か?」

それを何とかコントロールしようとする俺にとって、憧の言葉は信じられるものではなかった。
勿論、憧が今、俺に対してウソが吐けるような状態ではないことくらい理解している。
しかし、現実にこうして血が流れている以上、安心など到底、出来ない。
痛みを快感に変えてしまった以上、彼女自身が認識していない異常があるかもしれないのだから。

憧「う…ん…っ♪だって…とっても…気持ち…良い…♥」
京太郎「ぅ…」

瞬間、憧は俺に組み敷かれるような姿勢の中で蕩けるような笑みを浮かべた。
ふわりと表情を緩ませるそれは間違いなく幸せそうなものである。
一点の曇りさえも見当たらないそれに俺の意識がグラリと揺れた。
せめて憧の身体が慣れるまで動くのを止めようと衝動を受け止めていた理性が削れ、腰の奥でムズムズとした感覚が広がる。

憧「だから…京太郎も動いて…っ♪気持ち良く…なってぇ…♪」

疼きと興奮の二つを混ぜ込んだような独特の熱を憧の言葉がさらに強くする。
俺の気持ちも知らずにオネダリするようなそれに背筋がゾクゾクとした感覚を沸き上がらせた。
微かに寒気混じりのそれに、俺は何とか堪えようと歯を噛みしめる。
しかし、その歯の根がガチりと組み合わさった瞬間、憧の足が俺の腰を挟みこむように動いた。

憧「京太郎…っ♪京太郎…ぉ…♥」

そのまま憧は自分から腰を動かし始める。
両手で秘所を広げ、足で俺を挟み込むその動きは決して強いものでも大きなものでもない。
精々、1cm程度を動かすのが精一杯の弱々しいものだ。
けれど、それだけでも自身の衝動に対してあまりにも弱い俺にとっては十分過ぎる。
初めてなのにも関わらず、俺を必死で気持ち良くしようとしてくれている恋人の姿に俺は胸を打たれていた。

京太郎「(勿論、それは俺が憧に掛けた暗示の結果なんだろう)」
憧「ん…ぅっ…♪」

しかし、そうと分かっていても、我慢弱い俺は止まれない。
カクカクとぎこちなく動く憧の腰を再びガッチリと掴み、その動きを止めさせる。
代わりに俺はゆっくりと腰を前後させ、憧の中でムスコを動かし始めた。
既に潤沢に満たされた愛液はその動きを助け、キツイ肉穴の中を滑らせてくれる。

憧「きゃぅんっ♪」

そしてその愛液は俺のムスコが子宮口を突く度に奥からドプッと吐き出される。
ネバネバで濃厚なそれは亀頭に絡みつき、俺の粘膜を敏感にさせた。
まるで愛液そのものが媚薬か何かに思える感覚に俺の腰は少しずつエスカレートしていく。
しかし、憧はそれに苦痛の声をあげる事なく、寧ろ、媚びるような声を強めた。

京太郎「(特に…子宮口がやばい…!)」

女として男を受け入れる一番、奥の部分。
そこは周りの膣肉よりもさらに熱く、そして貪欲であった。
俺のぎこちない抽送に合わせて、むっちりと吸い付き、そしてもっとしてと言わんばかりに愛液をふりかけて来るのだから。
一突き毎に熱烈な歓迎を繰り返すその部分は、憧にとっても気持ちの良い場所なのだろう。
そこを突く度に憧の口から気持良さそうな声が放たれ、俺の本能をこれでもかと擽った。

京太郎「は…ぁ…!憧…気持ち良い…か…?」
憧「うん…♪気持ち良い…よぉ…♪」

結果、興奮と快感をより求めようとする俺の本能は憧に対して言葉を放たせる。
それに素直な声を返しながら、憧は身を震わせた。
しかし、その口から絶頂を伝える言葉が漏れる事はない。
気持ち良いのは確かだろうが、やはり肉体的な痛みが邪魔をしているのだろう。
挿入後からろくに慣らす事もなく、こうして強引に犯されているのだから当然だ。

京太郎「もっと気持ち良くなりたい…だろ」
憧「なりたい…♪なりたい…よぉ♥もっと気持ち良いの欲しい…♪」
京太郎「じゃあ…自分のクリトリス…弄ってみろよ」
憧「ひゅくぅっ♪」

なら、痛みなど気にならないくらい気持ち良くしてやれば良い。
そう思った俺の口から陰核への刺激を促す言葉が漏れる。
それに従って、今まで従順に陰唇を広げていた手がクリトリスをイジるものへと変わった。
包皮に包まれた敏感な部分を手慣れた様子で転がしながら、憧の肩がビクンと跳ねる。

京太郎「中に…俺のチンポが入ってると、自分の手が俺の手みたいに思えるだろ?」
憧「う…あぁ…♪」

その間に俺の暗示が憧の意識を書き換える。
勿論、それだけであれば、多少、疑問を感じる程度で済むだろう。
しかし、憧は既に『俺に性感帯を触られるとすぐにイッてしまう』という暗示を掛けられているのだ。
その上で改めて書き換わった意識がどうなるのかなんて、一つしかない。

憧「あぁ…っ♪イくぅ…っ♥京太郎の手で…イくぅんっ♪クリトリスで…イく…ぅぅ♥」

俺の目の前でオナニーしながら、あっという間に達してしまう憧の顔。
胡乱に濁った瞳を潤ませながら、絶頂を告げるその表情はとても淫らだ。
紅潮した頬を隠さず、半開きになった唇から吐息を漏らすそれはきっと誰が見ても絶頂を感じ取るだろう。
元々の顔立ちが美少女と言っても良いほど飛び抜けているのも相まって、まるで香り立つような色気を感じた。

憧「ひぅぅぅぅぅぅうんっ♪♪」

そして、そんな表情を恋人である俺だけが独占している。
そう思った瞬間、俺の腰はさらに乱暴になった。
これまでの一突き毎に確かめるようなそれではなく、腰を休まず動かし始めたのである。
一突き毎の切れ目がなくなったそれに憧は背筋を浮かせながら、甘い鳴き声を放った。

憧「イか…されるぅ♪オチンチンでも…イかされちゃう…ぅぅ♥」
京太郎「…くぅ…」

その合間にうっとりと漏らされる憧の言葉。
それに合わせて憧の膣肉がキュっと全周囲から締め付けてくる。
奥へ奥へと誘うような動きではなく、周囲から押しつぶすような感覚に俺の口から苦悶が漏れた。
勿論、今までも似たような反応はあったが、今のそれは比べ物にならない。
それはきっと憧が俺のムスコで初めてイッたという事が関係しているのだろう。

憧「あたし…初めてなのに…イッて…るぅ…♥京太郎にイかされて…どんどん…エッチな事好きになってる…よぉ…♪」

その証拠と言わんばかりに憧の言葉に合わせて、媚肉がひくつく。
そしてその度に突き出た肉襞が俺のムスコの表面を擽り、ムスコの奥に甘い火照りと快感を注ぎ込む。
手ではどうしても得られないその感覚に俺は否応なく、これがセックスである事を思い知らされた。
それが童貞である俺の中で興奮へと代わり、腰の奥でさらなる熱へと書き換わる。

京太郎「俺は…俺の事は好きか?」
憧「うんっ♪好き…ぃ♥大好き…ぃぃ♥京太郎の事…一番…好きだよぉ…♥♥」

その熱と共に吐き出された俺の言葉に憧は首肯と共にそう返す。
まるで恥ずかしさを知らない幼子のように素直なその返事に俺は鼻息を荒くした。
鼻息荒いその姿はきっと幻滅されてもおかしくない程度に情けないものなのだろう。
しかし、自身のクリトリスを言われるままにイジる憧にそんな感情は浮かばず、ただただ気持ち良さに満たされていた。

憧「京太郎とセックスするのが好きなの…♥セックス…さい…こぉ…♪もっとセックス…セックスぅ…♥」
京太郎「はぁ…っ」

そんな恋人から放たれる言葉は、まるでセックス中毒もかくやというものだった。
初めてにも関わらず恋人との交歓に溺れるそのセリフに俺の腰がブルリと震える。
そこにこう言わせるまで恋人をおかしくした事への後悔が欠片もないとは言えない。
しかし、ソレ以上に俺の胸の中で滾る興奮は大きく、そして彼女を気持ち良くさせてやりたくなる。

京太郎「憧はそんなに俺とのセックス…好きなんだな…っ」
憧「うん…うんぅっ♪好き…っ♥ずっとセックスしてたいくらい…好きぃぃ…♥」

ハァハァと熱い吐息を何度も漏らす憧の中が再び収縮する。
恐らく、こうして好きと言っている間に憧も興奮してるんだろう。
その媚肉がギュっと締め付ける感覚はさっきの絶頂時と大差ない。
それに腰から背筋へと寒気がまた這いずり寄ってくるのを感じながら、俺は再び憧へと暗示を掛ける。

京太郎「じゃあ…俺の事好きって言う度に…イく事くらい…出来るよな」
憧「う…ぅぅぅっぅんっ♪♪♪」

さらに淫らに憧の意識を書き換える俺の言葉。
それに憧が全身を震わせながら、肯定とも否定とも言えない声を漏らす。
しかし、今更、憧が俺の暗示に逆らえるはずなどない。
幾度となく快楽に果てた憧にはもう気持ち良くなる為の暗示を拒絶する理由すらないのだから。

京太郎「試しに言ってみろよ。俺の事…好きって」
憧「うあ…あぁ…♪京太郎…大好き…っ♥♥」
京太郎「くっぅぅぅ…!」

その瞬間、憧の肉穴が今までとは比べ物にならない締め付けを見せた。
ギュルリと中が蠢くようなそれはムスコそのものを搾られているようである。
しかも、ただ搾るだけではなく、優しく甘く溶かしてくるような熱で満たされているのだから洒落にならない。
そのまま一気に精液ごと搾られてしまいそうなくらいの快感を耐えられたのは正直、奇跡のようなものだろう。

憧「あぁ…ぁっ♪好き…ぃ♥♥好き…好き好き好きしゅきぃっ♥♥♥」

そのまま憧はまるで壊れたラジオのように同じフレーズを繰り返す。
俺へと向けられているであろうそれは途中から呂律が回らなくなっていた。
しかし、憧はそれでも構わないと言わんばかりに俺へと好意を伝え続ける。
そしてその度に肉襞は絶頂を表し、俺のムスコを甘く締め上げるのだ。

京太郎「どれくらい好きなんだ?」
憧「あ…あぁ…♪もう…分かんにゃい…ぃ♥頭の中どうにかなっちゃいそぉなくらい好き…ぃ♥♥」

俺の言葉に憧がそう胡乱に返すのはきっとイき過ぎた所為なのだろう。
イく度に俺の事が好きになってしまう憧は最低でも十数回目のオルガズムを迎えているのだから。
最初の時点で俺を思って日常的にオナニーしてしまう憧が、さらにその気持ちを大きくすれば我を失ってもおかしくはない。
その上、好きだと言う度にイッている彼女は半ば理性を失っているのだから尚更だろう。

京太郎「俺も…好きだぞ。憧の事…大好きだ…」
憧「ふあ…ぁぁ…♥♥」

そんな彼女に囁くように告げる言葉に憧は幸せそうな吐息を漏らす。
まるで俺にそう言ってもらえる事が幸せで仕方がないと言わんばかりのそれに俺の表情が歪んだ。
頬をつりあげて笑みを形づくる筋肉は、しかし、興奮に赤く火照り、唇からも吐息が止まらない。
きっと今の俺は恋人に見せられたものではないくらい、興奮しきった顔をしているのだろう。

憧「京太…ろぉ…♥キス…してぇっ♪あたしにキス…キス…ぅぅっ♥♥」
京太郎「~~っ!!」

それに負けないくらいに興奮し、そしてそれ以上に蕩けた憧の唇から甘いオネダリの言葉が漏れる。
吐息と共に吐き出されるそれに俺は心臓を掴まれたような感覚を覚えた。
ドクドクと休まずに脈打つ心臓を押しつぶすような興奮に一瞬、呼吸が止まりそうになったくらいである。
それを歯を食いしばりながら堪えた俺に対して、半開きのままになった憧の唇が再び動き出した。

憧「寂しいよ…ぉ…♪セックスだけで…キスもないなんて…寂しい…♥悲しい…ぃからぁっ♥」
京太郎「憧…っ!」

まるで子どものように自分の感情を素直に吐露する幼馴染の姿。
それに俺の中でもキスに対する欲求が膨れ上がっていく。
しかし、それを俺がすぐさま実行に移せないのは気後れしているからだろう。
ここまでやってしまっただけでも非道だと言うのに、ファースト・キスまで奪っても良いのだろうか。
そんな疑問が俺の胸を打ち、肯定とも否定とも言えないような彼女の名前を口から放たせた。

憧「あたしイッてる…よぉ♥京太郎の言う通りぃ♪一杯、イッてるぅぅっ♥♥オチンチンじゅぽじゅぽされてイッてるのぉっ♪♪」
京太郎「ぐ…ぅぅ…」

しかし、そうやって俺が逡巡している間にも憧の言葉はエスカレートしていく。
俺の迷いを吹き飛ばし、さらにケダモノへとさせようとするように淫らな言葉が放たれるのだ。
俺の教えた通り、絶頂を伝えるその言葉に後頭部が一瞬、赤く染まる。
そこにゾクゾクとした寒気混じりの快感が突き刺されば、まるでそこがドロリと蕩けていくように思えた。

憧「何をしたら…キスしてくれる…ぅ♪♪もっとエッチになったら…キスしてくれるの…っ♥」
京太郎「はぁ…っ」

勿論、今の憧は暗示によって理性を失っている。
その言葉は心の底から本心という訳ではないだろう。
しかし、それすらも欲情の中で溶け、甘い液体になり始めていた。
例え、そうであっても構わないと言うように、俺の意識は歪み、そして憧の顔へと近づいていく。

憧「んん…っ♪♪」

そのまま唇同士を触れ合わせた瞬間、あの柔らかな感触が身体中へと広がっていく。
ぷにぷにとした弾力と柔らかさを併せ持つ恋人の唇に俺は一瞬で虜になってしまった。
それがさっき俺のムスコを舐めていたという事も半ば忘れて、何度も何度も唇を触れ合わせる。
興奮しきった身体が酸素を求める時以外は密着し続けるそのキスに俺は感慨深い気持ちを沸き上がらせた。

京太郎「っ…!?」
憧「ふ…ぅん…♥」

しかし、次の瞬間、俺の中でその感慨深さが吹き飛ばされてしまう。
それは憧から何か熱いものが突き出され、俺の唇を割って入り込んできたからだ。
まったく正体の分からないそれはヌルリと湿っていて、そして唇とはまったく違う柔らかさで形作られている。
しかし、その何かにはべったりと甘い粘液が張り付き、唇の裏側や歯茎を撫でられる度に優しい香りが広がっていく。
憧の体臭を幾分、濃くしたようなそれに俺の身体から緊張が抜け、寧ろ、興奮が強まっていった。

京太郎「(だってこれ…憧の舌…)」

最初は何も分からなかったものも、数秒もすれば正体を把握する事が出来る。
俺の中をおずおずと動くその熱く柔らかなものは憧の舌だろう。
そしてそうと分かった今、俺がそれを拒否する理由など一つもない。
寧ろ、そうやって俺を求めてくれている事が嬉しくて、こっちから積極的に舌を絡ませてしまう。

京太郎「は…ぁ…」
憧「んちゅ…ぅ♪♪」

そんな俺に憧もまた応えてくれる。
その舌の動きを激しくしながら俺へと触れるそこには少しずつ遠慮がなくなっていった。
それに引っ張られるように俺の舌の動きもスムーズになり、二人の間でクチュクチュと淫らな音が鳴り始める。
お互いの唾液が絡み合っている事を教えるそれはセックスのそれよりも遥かに小さいはずなのに、俺の脳を強く揺さぶってきた。

憧「ん…あぁ…♪キスも好き…ぃ♥しゅきぃ…♥♥」

それはきっと憧も同じなのだろう。
呼吸の合間に漏らすその声は陶酔を強く感じさせた。
まるで酔っているなその甘い声は彼女がキスを喜んでくている証だろう。
暗示を掛けていないにも関わらず、そうやって俺とのキスを好きと言ってくれる憧に俺の最後の我慢が弾け飛んだ。

憧「ひぅぅぅぅぅうんっ♪♪」

唇を触れ合わせた憧の口から漏れるケダモノじみた叫び声。
艶混じりのその嬌声は俺の腰の動きがさらに激しくなったからだろう。
ベッドに横たわった憧の身体を揺さぶるほどのそれに、暗示で敏感になった憧が耐えられるはずがない。
中腹ほどピストンを繰り返すようになった俺のムスコが奥へと分け入る度に、その身体がビクンッと反応する。

京太郎「(それに…さっきよりも大分…緩んでる…!)」

どうやらキスは憧にとって、その緊張を解すものであったらしい。
ムスコが前後する肉襞の中は幾分、その締め付けを緩くしていた。
しかし、それは決して、チンポへの刺激が弱まっている事を意味しない。
寧ろ、そうやって柔らかくなった分、隙間なく肉棒へと密着し、その肉襞で擦ってくるのだ。
ズルズルとまるで吸い付かれているようなその感覚は、さっきとは比べ物にならないほど気持ち良い。

憧「ひきゅぅぅ♪きゅん…♥」

そんな俺の下で強張った身体から艶めいた声をあげながらも、憧は離れようとしない。
それどころか快感に負けたくないと言わんばかりにその舌が絡みついてくる。
さっきよりも遥かに熱心なそれは、しかし、時折、ビクンと舌を張らせてその動きが止まった。
その度に膣肉が蠢く辺り、恐らくその瞬間に憧がイッているのだろう。
キュンと締め付けるそれに笑みを浮かべながら、俺の手は憧の肩へと回った。

憧「んんっ♪♪ちゅ…れろぉっ♥♥」

そのままグッと憧の肩を抱いた俺の下で憧が微かに震えた。
それは恐らくこうして密着した身体が暗示によって快感を覚えたからなのだろう。
しかし、それは俺も同じだ。
こうして胸の中に強引に閉じ込めるような恋人の身体はとても柔らかく、抱き心地が良いのだから。
普段、抱枕にされている時のそれよりも数段、心地良いそれははっきりと快感と言っても良いくらいである。

京太郎「(あぁ…もう…止まらない…!)」

まるで憧を締め付けるように捕まえる俺の腕。
それがきっと眼下の恋人に窮屈さを与えているのであろうと俺も分かっていた。
しかし、それでも俺の身体はまるで蛇が食らいついた獲物を決して離すまいとするように憧を抱きしめている。
そして、身動き出来ない恋人にガツンガツンと腰を打ち据え、その全身を震えさせた。

憧「あぁ…っ♪あ゛ふぁぁっ♪♪」

それにもう我慢出来なくなったのだろう。
その唇の動きを止めた憧の口から嬌声だけが溢れ出す。
まるでケダモノ染みた喘ぎ声に俺の腰はさらに乱暴さを増した。
未だ硬さの残る憧の中を強引に犯すその動きには慣れなどなく、力任せの獣性に満たされている。

京太郎「憧…最高だ…すげー…気持ち良い…っ」

けれど、それでも俺の口からそんな言葉が漏れるのはそれが決して欲望だけのものではないからだろう。
そうやって俺が欲望に支配されているのは決して憧が魅力的なだけでも、彼女の方から誘惑してきたからでもない。
その前提には俺が憧の事が好きだと言う感情があるのだから。
そして、その気持ちが俺を獣性だけのオスにせず、そうして賞賛の声を漏らさせた。

憧「うれ…しい…っ♪嬉しい…よぉ…♥もっと…して良いから…っ♥♥もっともっとセックスして良いかりゃぁ…♪♪」

その言葉に憧が受容の返事をくれるのを聞きながら、俺は自身の下腹部に重い熱の塊が生まれたのを感じる。
今までの興奮とは違い、ズッシリとムスコの付け根部分にのしかかるそれは周囲の熱を奪っていく。
お陰でゾクゾクとした寒気が太ももや背筋に広がっていき、俺の身体を震えさせた。
しかし、それは不思議と寒いと感じる事はなく、寧ろ、ドロドロとした熱がチンポへと流れこんでいく。

憧「あたしも気持ち良い…っ♪♪もう数え切れないくらいイッてるぅぅ…♥♥頭の中馬鹿になっちゃってるよぉ…ぉ♪♪♪」
京太郎「~~っ!」

その瞬間、憧から告げられる淫らな言葉に俺の肉棒がビクンと跳ねた。
どうやら俺の身体はそろそろ限界というものを迎えつつあるらしい。
元々、俺は童貞で、こうしたセックスの経験なんて皆無なのだからここまで持った方が奇跡だ。
憧の体調も気がかりだし、ここは素直にイッた方が良いだろう。

京太郎「(だけど…どうしても勿体無いって気持ちが…なくならない…!!)」

しかし、そう思いながらも、欲望に囚われた俺の身体は勿体無いという気持ちを捨てきれなかった。
それは勿論、今の時間が今までの味わったどんなものよりも興奮し、そして魅力的なものだからだろう。
俺が初めて味わう性交渉は普通のセックスとはまったく違い、そして俺はもうその魅力に取り憑かれていた。
自分でも自覚出来るくらいに催眠セックスの魅力に嵌ってしまった俺はどうしても『もしかしたらこれが最後かもしれない』と思ってしまう。
結果、その終わりを出来るだけ先延ばしにしようと俺はぐっと尻に力を入れ、ムスコから伝わる快感を和らげようとしていた。

京太郎「何処が…何処が気持ち良いんだ…!?」
憧「じぇんぶぅ…っ♥♥クリひゃんも…アソコも乳首も…ぉ♪♪京太郎にだきゅしゃれて気持ち良いのれ一杯ぃっ♥♥」

だが、そんな我慢も俺の興奮には勝てないのだろう。
そうやって必死に快感を抑えようとする一方で俺の口からまた言葉が漏れ出す。
憧をさらに辱めようとするそれに彼女は素直に従ってくれた。
そしてそれが俺の我慢をゴリゴリと削り、また一歩、俺の身体を射精へと近づける。

京太郎「アソコって何処だよ…。ちゃんと言わないと…動いてやらないぞ…!」
憧「やぁ…あっぁっ♪♪オマンコぉっ♥♥オマンコれすぅぅっ♪♪」
京太郎「くぅ…ぅ!」

しかし、それでも満足出来ない俺に憧の淫語が突き刺さる。
アソコだなんてぼかした言い方ではなく、はっきりとオマンコと告げるそれに俺のムスコは根本からブルリと震えた。
それと同時に流れ込んだ俺の血液が皮の内側にみっちり詰まった海綿体を膨らませる。
既に限界一杯だったチンポがさらに膨らんでいくそれは間違いなく射精への前兆だろう。
それでも、もう俺の腰は止まらず、ガツンガツンと憧を乱暴に犯し続けた。

憧「あはぁ…♪♪おっきくならぁ…♥♥京太郎のオチンチン…グチョグチョオマンコの中れビクンしらぁ…♪♪♪」

そんな俺の変化に憧も気づいたのだろう。
その声に喜色を浮かべながら、憧はその身体にギュと力を込める。
特にそのスラリとした足は腰が微かに浮き上がるほどに力が入っていた。
まるで射精ギリギリの俺をもっと感じたいと言わんばかりのそれに俺のチャチな我慢が砕かれてしまう。
そして、その我慢に抑えられていた衝動が腰の奥で暴れ始め、俺は自身の射精を最高のものにする為に憧の肉穴全部を抉り始めた。

憧「ん゛ひぃぃぃいいいぃぃぃっ♪♪♪」

今までのような中腹から奥を突くものではなく、憧のオマンコ全部を亀頭で擦り上げるピストン。
しかも、その速度は今までとは比べ物にならないほど早く、一回の抽送が終わるまでの時間は以前よりも短くなっている。
勿論、幾らしずと週末ごとに山を走り回っている俺でも、そんな動きをずっと維持出来る訳がない。
これは終わりがすぐ目の前に見えているからこそ出来る自爆覚悟の特攻のようなものだ。

憧「ひぐううぅぅっ♪♪いぐよぉっ♥♥まらイくぅっ♪♪♪イグイグイクイクイクぅぅぅっ♥♥」

そして、俺のピストンに憧は敏感に反応する。
その身体を壊れるのではないかと思うほどに小刻みに震わせ、イクとそれだけを俺に伝えてくるのだ。
恐らくオルガズムの切れ目さえもなくなったのであろう憧の声に俺の意識が真っ白に染まっていく。

京太郎「憧…好きだ…憧…っ」
憧「きょうらろぉっ♥♥きょうたりょぉぉっ♥♥」

最後に俺が何を口走ったのかは分からない。
しかし、憧が俺の名前を嬉しそうに呼び返している声だけは鼓動の向こうで聞こえた気がする。
それが俺の気のせいなのか、或いは現実なのかは分からない。
ただ、確かなのはその瞬間、真っ白に染まった俺の意識が弾け、下腹部の熱が一気に解放へと向かった事だけ。

京太郎「あ…ぐぅぅぅう…ぅぅぅっ」
憧「きゅぅぅぅぅぅぅっ♥♥」

ビュルルと音が聞こえてきそうな激しい勢いで放たれる熱の塊。
それが精液であると気づいた頃には俺の腰はもう壊れそうなほどに震えていた。
まるで自分の中の熱全てを吐き出そうとしているようにそこには寒気が張り付いている。
しかし、それが決して不快ではないのは、そこには明確な快感が付与されているからだろう。
背筋を這い上がってくる麻薬のような射精感に俺はうめき声をあげながら射精を続けた。

憧「あ…ぁっ♪♪射精てる…ぅ…♥京太郎の…あちゅいの…ぉ♥♥」

そしてその射精は憧にもはっきりと分かるものらしい。
真っ白に染まった頭の奥を揺さぶる快感に毛を逆立てた俺の耳に憧のうっとりとした声が届く。
それは憧が敏感だからと言うよりは、俺の射精はさっきと変わらない激しい勢いを見せ続けているからだろう。
ベッド中の飛び散るほどの精液の勢いはコンドーム越しでもはっきりと分かるほどなのだ。

京太郎「はぁ…はぁ…ぐぅ…っ!」

それに違和感を抱きながらも俺の射精は止まらない。
ビクンビクンと肉竿を震わせながら、ひたすら精液を吐き出し続けるのだ。
それがさっきの30回を遥か超えても俺の射精は衰える事がない。
まるでここからが本番だと言わんばかりに憧の中で射精を続けていた。

憧「ひぃぅぅっ♪♪♪お腹のにゃか…ふくらん…でぇっ♥♥」

それがようやく衰え始めたのは憧がそう甘く声をあげてからだ。
何処か苦しそうな、けれど一方では気持ち良さそうなそれに俺の呼吸が止まる。
その瞬間、心臓の鼓動がドクンと激しくなり、俺のムスコが跳ね上がった。
最後の最後まで最高の射精をしようとするそれに、しかし、精液は応えない。
急速に衰えていく射精はそのまま途切れ、ただチンポを震わせるだけのものに変わる。

憧「あ……っ♪♪あは…あぁ…♥♥」
京太郎「ふぅ…はぁ…はぁ…ぁっ」

とは言え、そこで身体が一気に冷めていくほど俺は器用じゃない。
荒々しく抱きしめた憧の首元に顔を埋めながら、俺は射精の余韻に浸った。
そんな俺のムスコの付け根に痛みとも重みとも言えない感覚が生まれるが、今の俺にとってはそれも苦痛ではない。
筋肉痛に似た引きつりさえも心地よく思えるくらいに、さっきの射精は気持ち良いものだった。

京太郎「(憧もそうなのか…な)」

俺に抱きしめられた状態のまま荒々しく呼吸し、時折、ブルリと肌を震わせる憧の姿。
その口から笑みとも感嘆とも言えないような声が漏れる事から察するに、きっと彼女も気持ち良かったのだろう。
途中から憧の事なんて気遣う余裕もなかったセックスをしていただけに、俺は憧の反応に救われた。
あぁ、少なくとも、俺のやった事は完全に悪いものじゃなかったのだとそう思 ――

京太郎「(…える訳ないじゃん…)」

そこでハッと冷静に変えるのは俺がやってしまった事を思い出したからだ。
キスや愛撫ならまだしも、俺は彼女の処女まで奪ってしまったのだから。
その証拠はベッドの上にはっきりと赤い染みとして残り、俺の背筋に冷や汗を浮かばせた。
コレを一体、どうやって誤魔化すような暗示をかければ良いのだろうか。
既に暗示に頼るしかない自分に自嘲を覚えながら、俺は必死に思考を動かした。

京太郎「とりあえず…憧、抜くぞ」
憧「……はい…♪♪」

そんな俺がまずたどり着いたのは、とりあえず憧を解放しようというものだった。
勿論、こうして抱き合っているのは気持ち良いし、心地良いものである。
射精が終わった後も憧はイッているのか、俺のムスコを締め付けてくれるのだから。
お陰で射精後の余韻も長々と続き、チンポが萎える気配がない。
しかし、そうやって二回戦を始めてしまっても、最早、俺の手元にはコンドームはないのだ。
最悪、妊娠の可能性があるのだから、憧の返事がどれだけ不満そうなものでもここは心を鬼にしなければいけない。

京太郎「うあ…」

そう思いながら憧を手放した俺は背筋を直立へと戻し、ゆっくりと腰を離していった。
瞬間、俺のムスコからズルリと桃色の薄皮が外れ、ムスコだけが飛び出す。
不満気にひくつく肉穴から末端こそ出ているものの、精液が溜まっているであろう先端は未だ憧の膣内に残っていた。
それは恐らく…いや、間違いなく焦った俺が着け方を間違った所為だろう。

京太郎「(ど、どどどどどうしよう…!?)」

もしかしたら精液も漏れてしまっているのかと思うと、俺は冷たい手で肌を撫でられるような寒気を感じた。
勿論、憧との交際は本気だし、正直結婚も考えているが、ここで子どもが出来てしまってはもう誤魔化せない。
俺が憧の知らない間にファーストキスを奪い、そしてセックスまでした何よりの証拠が憧の中に残ってしまうのだから。

京太郎「…ほっ…」

その寒気に手を震わせながら、俺は微かに膣穴から飛び出したコンドームを引きずり出した。
瞬間、俺の口から安堵の吐息が漏れるのは、そこから精液が漏れている様子はないからだ。
愛液でドロドロになったそれを逆さにしても中の白濁液はタプタプと揺れるだけで外には漏れ出さない。
着け方が微妙だったとは言え、それをフォローするような仕組みが恐らくコンドームにはあるのだろう。
先人たちが必死になって育ててきたその技術に俺は心の中で感謝を捧げながら、薄皮に似たそれを見つめた。

京太郎「(…でも、これやばくないか?)」

薄いゴムの中に溜まっている白濁液は俺の握り拳よりも遥かに大きかった。
目算で二回りはでかいそれは正直、俺の陰嚢二つに収まっていたとは到底、思えない。
しかし、どれだけ知識が否定しても、目の前の光景は決して変わらなかった。
どうやら俺は本気でたった一度の射精でこれだけの量を放ったらしい。

憧「あ…あぁ♥ら…めぇ♪♪」
京太郎「ん?」

そんな自分に恐ろしさを感じながら、俺はそれを結ぼうとした。
その瞬間、憧の手が俺へと伸ばされ、その作業を静止する。
さっきまで従順であった恋人の突然の行動に俺はそっと首を傾げた。

憧「飲ましぇて…ぇ♥京太郎の精液…ぃ♥♥あたしに…飲ませて…ぇ♪♪」
京太郎「ぅ…」

未だ快感が抜けきっていないのか、舌足らずさを残す言葉で俺の精液を強請る憧。
それに小さく呻きながらも、俺は彼女に逆らう事が出来ない。
請われるままにコンドームを彼女へと手渡す。
それに顔一杯の喜色を浮かべながら、憧は薄皮から精液を吸い上げていった。

憧「ふぁぁ…♪♪おいひい…♥♥京太郎の白いの…プリプリして…美味しい…ぃ♪♪♪」
京太郎「そ、そう…か」

勿論、それは暗示だ。
俺によって歪められた価値観が憧にそう思わせているだけである。
しかし、未だ興奮の余韻を残す俺の前でそんな事言われてしまったら、ムスコの付け根が疼いて仕方がない。
さっきアレだけ異常な量を射精したというのにまだ足りないと言わんばかりに俺の中で興奮が強まっていく。

京太郎「…じゃあ、それを食べ終わったらシャワー浴びないと…な」

それを何とかねじ伏せながら、俺は憧の部屋の片付けを開始した。
勿論、ベッドに残る赤い染みや精液が染み込んだシーツなど俺ではどうにも出来ないものもある。
しかし、淫匂篭もる部屋や汗で濡れたシャツなどはまだ俺の手でもどうにか出来るものだ。
焼け石に水かもしれないが、少なくとも家族の皆が帰ってくるまでにはどうにかしたい。
そう思った俺に休憩する時間などあるはずもなく…… ――

憧「あ…れ?」
京太郎「どうかしたか?
憧「う…う…ぅん…?」

結局、俺が憧の催眠を解く事が出来たのはそれから一時間近くが経過してからだった。
途中でお互いにシャワーを浴びたりしていたものの、かなりの時間を処理に費やす必要があったのである。
お陰でなんとか部屋の中は取り繕う事が出来たと思うものの、まだ油断は出来ない。
一応、そのあたりを気づかないように暗示を掛けたとは言え、万が一という事もあるのだから。

憧「…あたし…何をしていたんだっけ?」
京太郎「べ、勉強だろ勉強」
憧「…あぁ。うん。そうだったわね」

そんな俺の不安をよそに暗示は上手くいっているらしい。
憧は首を傾げながらも特に違和感を持った様子はなかった。
これからどうなるかは分からないものの、とりあえずは誤魔化せたらしい。
それに一つ安堵しながら、俺はそっと胸を撫で下ろした。

憧「ってもうこんな時間…あたしたち結構勉強してたんだ」
京太郎「あ、あはは…そ、そうだな…」
憧「お母さんは…アレ?帰ってきてたっけ…」
京太郎「い、いや、まだだぞ!」

しかし、どうやら俺の暗示の掛けた方まだまだだったらしい。
ポロポロとボロが出るのを何とか取り繕いながら、俺は背筋に冷や汗を浮かべた。
なにせ、俺がやった事はバレたら即絶縁どころか、警察沙汰になってもおかしくない事である。
そのどちらも決して考えたくない俺が、必死で取り繕おうとするのも無理ない話だろう。

憧「そう。じゃあ、ご飯作るね」
京太郎「……良いのか?」
憧「何言ってるの。今更、遠慮するような仲じゃないでしょ?」

そこでクスリと快活な笑みを浮かべる憧の姿に俺は後悔の念を強めた。
さっきのように胡乱で人形のような表情とは違う彼女本来の姿。
けれど、そんな憧を俺が一時の欲望で穢した事は、決して消える事はない。
例え、憧がそれを忘れていても、俺自身が忘れる事が出来ないのだ。

憧「ほら、早く…きゅぅんっ♪♪」

その後悔で立ち上がるのが遅れた俺に憧がそっと手を伸ばした。
そのまま強引に立たせようと肌が触れた瞬間、憧の口から甘い声が漏れる。
何処か可愛らしい悲鳴のようなそれと共に、憧が俺から手を離した。

京太郎「あ、憧?」
憧「な、何でもない…!」

それは勿論、俺が憧に掛けた暗示を解いていないからだろう。
新しく暗示を掛ける事に精一杯で気付かなかったそれに俺は内心、冷や汗を浮かべた。
もし、これで俺のしてしまった事に気づかれてしまったらどうしよう。
そう思う俺の前で憧は小さく首を振り、取り繕おうとしていた。

京太郎「ま、まぁ…そ、そういう時もあるよな、うん」
憧「そ、そう…ね。び、ビックリする事くらいあるよね…」

そんな彼女に頷きながら、俺もそっと立ち上がった。
後で必ず快感関係の暗示は解いておこう。
そう決意する俺の前で憧がぎこちなく何度も頷き返した。
恥ずかしそうに赤く染まったその顔には、違和感めいたものは見当たらない。
どうやらさっきのそれは彼女の中で気のせいであると処理されたようだ。

京太郎「(…その辺のことも…後でまた催眠掛けて聞いておかないとな…)」

憧は俺なんかじゃ及びもつかないくらいに頭の良い奴だ。
阿知賀で麻雀部として活躍しながら、毎回成績上位陣に名を連ねているのだから。
そんな彼女がこの小さな違和感から真実にたどり着かないとは到底、言い切れない。
催眠で出来た失敗をさらに催眠で隠そうとするその矛盾に自嘲を禁じ得ないが、俺にはもうそれしか頼れるものがないのだ。

京太郎「(…だけど…これがあれば…)」

何時でも憧の気持ちを聞く事が出来る。
いや、それどころか、憧に俺がさせたい事を全部させる事が出来るのだ。
それこそ普段の憧では決して出来ないようなエッチな事や、男の願望を叶える事まで全部。
しかも、それを憧自身も内心、望んでくれているのだ。
いや、例え望んでいなくてもそれを望むように書き換える事が俺には… ――

京太郎「(な…何を考えているんだ!)」

自分の意識が不穏な方向へと向かいつつあるのを悟った俺はそっと頭を振った。
しかし、興奮しきった時ではなく、欲情している最中に浮かんだそれは決してなくなりはしない。
興奮しているからだと言う言い訳が使えない時にさえ、そんな言葉が浮かぶくらいに俺はもう催眠に嵌っている。
それに薄ら寒いものを感じた俺は、グッと指先に力を込め、拳を震わせた。

京太郎「(…もう二度と催眠になんか頼ったりするものか)」

幸いにして、俺は憧の気持ちを聞けたのだ。
不安がなくなった以上、もう催眠などに頼る必要はない。
憧が俺に心を開いてくれるまで待てば、自ずと俺達の仲は深まるだろう。
今回限りにして、俺の胸にしまっておけば、ギクシャクする事もない。
ただの気の迷いだったと…言う事が出来るだろう。

憧「どうしたの?」
京太郎「…いや、何でもねぇよ」

何より、この優しくて愛らしい幼馴染の事をコレ以上、傷つけたくはない。
俺に裏切られたと知った時に彼女が受けるショックを思えば、幾らでも我慢出来るはずだ。
その決意を心に秘めながら、俺は憧と並んで料理を始めて… ―― 


―― そしてその日は和やかな雰囲気のまま恋人と別れる事が出来たのだった。
最終更新:2014年01月29日 20:53