高校二年――8月インターハイ

【高校二年 ―― 8月第二週】

京太郎「(…さって…今年も来たぞ、インターハイ…っと)」

京太郎「(ま、と言っても三年生が大幅に抜けた事もあって去年ほど激戦区って訳じゃない)」

京太郎「(決勝で戦った白糸台も、清澄も、姫松も)」

京太郎「(データを見る限り、去年より劣化してる)」

京太郎「(だからと言って油断できるほど阿知賀だって飛び抜けている訳じゃないけどさ)」

京太郎「(だけど、この数カ月の間、レジェンドや憧たちも後輩の育成を頑張ったんだ)」

京太郎「(お陰で宥さんの穴を埋める一年生は、ひしめく雀士たちに引けをとらないレベルになっている)」

京太郎「(その他の部分で点差を作れば、決して二連覇は不可能じゃない)」

京太郎「(まぁ…去年と比べてそんなチームづくりに殆ど参加出来なかったのは心残りではあるけどさ)」

京太郎「(だけど、順調に勝ち上がっていくあいつらを見るのは…やっぱり嬉しい)」

京太郎「(俺が試合を見てその場で作る牌譜や傾向、その対策もしっかりと活かしてくれているんだから)」

京太郎「(ホント…雑用冥利に尽きる奴らだぜ)」

京太郎「(まぁ…だからと言って選手として参加出来ない寂しさが消える訳じゃないんだけど…さ)」

京太郎「(やっぱり…俺はあの光るスポットの中で…選手として立ちたい)」

京太郎「(あいつらの横に並び立てるような…雀士として…全国の強豪と戦いたいんだ)」

京太郎「(…でも…今の俺じゃ…それは出来ない)」

京太郎「(来年…来年だ)」

京太郎「(俺は…来年、必ず選手としてここに来て…αβと共に結果を残す)」

京太郎「(その為にも…って…アレは…)」


>>+2
末尾16 憧
末尾27 しず
末尾38 玄
末尾49 灼
末尾50 レジェンド
































>>しず

穏乃「京ちゃん…」

京太郎「ん?どうした?」

穏乃「えっと…その…」モジモジ

京太郎「…なんだ、不安なのか?」

穏乃「…ぅん…」

京太郎「はは。まさか何時も元気なお前がそんなに不安がるなんてな」

京太郎「ほら、こっち来いよ、話聞いてやるから」ポンポン

穏乃「…ありがとう」チョコン

京太郎「…で、なんでナチュラルに俺の膝の上に座るんだ?」

穏乃「え?違った?」キョトン

京太郎「俺は隣を叩いたつもりなんだけど…ま、いっか」

穏乃「えへへー…♪充電充電…」スリスリ

京太郎「そういや去年、岩手の選手も似たような事やってたっけ…」

京太郎「(あっちは相手が男じゃなくて、女の人だったけど)」















京太郎「まぁ、お前がこれで少しでも不安じゃなくなるならそれで良いけどさ」

穏乃「うん…京ちゃんと触れてると…不安なんかどっか行っちゃうよ」

穏乃「充電ってやっぱ凄いよね…ううん、京ちゃんが凄いのかな…?」

京太郎「そのくらいで元気を取り戻せる穏乃が凄いって見方も出来るけどな」

穏乃「そんな事ないよ。…だって私だけじゃないもん」

穏乃「憧だって玄さんだって灼さんだって宥さんだって…」

穏乃「京ちゃんにギュってされるとそれだけで皆元気になっちゃうよ」

京太郎「ん…そうなのか?」

穏乃「うん。あ、でも…するのは憧だけにして欲しいかな」

京太郎「…なんか最近、思うんだけどさ」

京太郎「お前、玄たちと何かあったのか?」

穏乃「…え?」











京太郎「いや、だって、前は今よりももっと仲良かったはずなのに」

京太郎「今はそんな玄たちをハブるような言い方してさ」

穏乃「それは…」

京太郎「俺が聞いていい事じゃないかもしれないけど…何かあったなら相談くらい乗るぞ?」

穏乃「だって…だって…仕方ないんだもん…」ギュッ

京太郎「…え?」

穏乃「京ちゃんは…一人だけしかいないんだから…」

穏乃「私…もう京ちゃんがいないと…」

京太郎「大丈夫だって。俺はお前の側からいなくなったりしないよ」

穏乃「…違うよ、そういう…意味じゃなくて…」

穏乃「…京ちゃんが他の人のものになるなんて…私…」

京太郎「…しず?」











穏乃「…私だって本当は…京ちゃんの事独り占めしたい…よ」

穏乃「でも…私じゃ絶対に…憧には勝てないし…ううん…他の人にだって…」

穏乃「ちんちくりんで…おもちもなくて…色気もなくて…憧みたいに…可愛くもないから」

京太郎「んな事ねぇよ。しずには沢山、可愛い所が…」

穏乃「…でも、京ちゃんがそう言うのは私だけじゃないでしょ?」

京太郎「それは…」

穏乃「…良いの。私自身…分かってるから」

穏乃「あたしじゃ決して…京ちゃんの一番になれないのは分かってる」

穏乃「でも…だからって…五番や六番で良い訳じゃないの」

穏乃「一番じゃないなら…私は二番でありたい。二番じゃないなら三番でありたい」

穏乃「…だから…他の人に入ってきてほしくないの」

穏乃「例え玄さんだって灼さんだって…」

穏乃「…私達の中に入ってきたら…私…きっと負けちゃうから…」










京太郎「あー…なんだ。つまり…玄たちをライバル視してるって事で良いのか?」

穏乃「…ううん。ライバルって程じゃないよ」

穏乃「だって…私、どうやっても…勝てないもん」

穏乃「皆が同じラインに立ったら…私はどうしても…一段劣っちゃうから…」

穏乃「でも…憧は一緒に共有してくれるって…仲間外れにしないって言ってくれた」

穏乃「ずっと三人一緒だってそう約束してくれたから…だから…」ギュッ

京太郎「…なるほど…つまり不安なんだな」

京太郎「…俺が玄や灼と仲良くする事で…今の関係が崩れるって…そう思ってるんだな」

穏乃「…う…ん」

京太郎「…分かった。じゃあ…どうすれば良い?」

穏乃「え?」

京太郎「しずが不安なのは分かった」

京太郎「俺の所為でそうさせているのも分かった」

京太郎「だから…聞きたいんだけど…お前は俺にどうして欲しいんだ?」

京太郎「俺はお前のしたいようにするよ」

穏乃「それ…は…」










京太郎「麻雀部から抜ければ良いのか?」

穏乃「ぅ…」

京太郎「それとも玄や灼と話さないようにすれば…それで満足するのか?」

穏乃「…いや…その…」

京太郎「それともあいつらが嫌いって…そう言えば…」

穏乃「…やめてよ…」ギュッ

穏乃「違うよ…私…そんなんじゃ…そんなんじゃなくて…」

穏乃「違う…私…そんな…つもりじゃ…」

京太郎「…あぁ。分かってる」

京太郎「お前は…すげー良い奴だもんな」

京太郎「そんな風に…自分の気持ちだけで誰かに迷惑掛けて良いなんて…」

京太郎「そういう風に思えるような奴じゃない」

京太郎「そんな事は…俺が一番、良く知ってるよ」ナデナデ









穏乃「…京ちゃん…私…」

京太郎「だけどさ…俺くらいは良いんだぞ?」

穏乃「え?」

京太郎「お前が言えるような我儘なんて可愛らしいもんなんだ」

京太郎「それくらい…俺は何時だって叶えてやる」

京太郎「お前が心からそれを望むなら…どんな事だってさ」

穏乃「…京ちゃん…」

京太郎「…言っとくけど…こんな事憧にだって言わないからな」

京太郎「あいつにこんな事言ったらなんか知らない間にすげー事させられてそうだし」

京太郎「お前が俺に誰かに対して酷い事をさせないって分かってるからこそ…」

京太郎「こうやって言ってるんだからな」

穏乃「…ふふ」

穏乃「…それ憧に言ったらきっと拗ねちゃうよ」

京太郎「その時はその時で俺は全力で謝るさ」










京太郎「…で、しずは俺にどうして欲しいんだ?」

穏乃「…本当に言って良いの?」

京太郎「おう。何でも良いぞ」

穏乃「……うーん…」

京太郎「……」

穏乃「…うぅぅーん…」

京太郎「……」

穏乃「…思いつかないよぅ…」プシュゥ

京太郎「…はは。そっか」ナデナデ

京太郎「まぁ、それなら何時でも良いさ」

京太郎「お前が俺に何か我儘を言いたくなったら何時でも…さ」

穏乃「…うん…ありがとう」

京太郎「どういたしまして。…あ、後…さ」

穏乃「…ん?」

京太郎「…別にお前にそういう色気がないって訳じゃないぞ」

穏乃「…ふぇっ」カァァ











京太郎「ここ一年くらいのお前はすげー女の子らしくなったよ」

穏乃「…本当?」

京太郎「あぁ。本当だ」

京太郎「元から…たまにドキっとする事あったけどさ」

京太郎「でも、今はその頻度割りと多くなってきて…すげー困る事がある」

穏乃「…意識してる?」

京太郎「…そういう事聞くなよ…」

穏乃「じゃあ…我儘使う」

京太郎「お前なー…」

穏乃「えへ…ごめんね。でも…どうしても聞きたくって」

京太郎「正直なところを言えば…割りとしてる」

京太郎「今も意外と柔らかくてあったかいお前を抱いて…ドキドキしてるよ」

穏乃「…えへへ…♪」フニャァ








京太郎「…満足したか?我儘娘」

穏乃「…うん。させられちゃった…♥」スリスリ

京太郎「そりゃ何より…」

京太郎「…ま、だから…何が言いたいかって言うとさ」

京太郎「お前は…そんな風に不安に思う必要はないんだ」

京太郎「しずは立派に女の子してるって…俺が保証してやるからさ」

穏乃「…ふふ」

穏乃「…ごめんね、京ちゃん」

京太郎「…ん?」

穏乃「…私、それを聞きたかったのかもしれない」

穏乃「京ちゃんに意識してるって…女の子だよって…」

穏乃「何回聞いても嬉しくなっちゃう言葉…聞きたくて…」

穏乃「こんな風に…甘えちゃってるのかなって…」









京太郎「…良いんだよ」

京太郎「例え何回だって…何十回だって言ってやる」

京太郎「俺が忘れても…お前が覚えていられるように」

京太郎「お前がほんの少しだけでも不安から逃れられるように」

京太郎「それが…お前を不安にさせてる俺なりの…責任の取り方だ」

穏乃「…京ちゃんはやっぱり格好良いね」

京太郎「本当に格好良い奴は…お前の事不安にさせたりしねーよ」

京太郎「…と言うか…これはあくまで対処療法的なもんで…根本的な対策にはなってない」

京太郎「だけど…俺は…お前が本当にどうして欲しいのか分からなくて…」

京太郎「どうしてやれば良いのかも…思いつかないんだ」ギュッ

穏乃「…京ちゃん…」

京太郎「…ごめんな…俺が悪いのは…分かってるのに」

京太郎「こんな事じゃどうにもならないくらい不安にさせてるの分かってるのに…」

京太郎「キレイ事しかお前に言ってやれなくて…俺…本当に酷い奴だ…」









穏乃「…良いんだよ、キレイ事でも」

穏乃「…だって、京ちゃんは何時だって綺麗なんだから」

京太郎「んな事ねぇよ。俺にだって…悪い所一杯あるし…それに色んな欲だってあるんだ」

穏乃「…でも、京ちゃんはそれだけじゃないでしょう?」

穏乃「それに…私…知ってるから」

穏乃「京ちゃんがどれだけ悩んで苦しんでいるのかって」

穏乃「今だって…本当は心の中で凄い戦ってくれてるんだよね?」

京太郎「…いや…だけど…」

穏乃「…だから、京ちゃんは…綺麗なんだ」

穏乃「どんな時だって自分よりも他人の為に動けるから」

穏乃「それは勿論、報われなかったり、方向が間違っている事はあるけれど」

穏乃「それでも…私は…憧はその綺麗さに惹かれて…そして救われてるんだよ」

京太郎「…しず?」










穏乃「憧はそんな京ちゃんを穢して自分だけのものにしたいって言った」

穏乃「私も…その気持ちは正直…分かるよ。でも…」

穏乃「…私は京ちゃんには…そのままで居て欲しい」

穏乃「勿論…全部が全部、今のままは辛いけど…」

穏乃「本当は…気づいて欲しい気持ち…一杯あるけど…」

穏乃「…だけど、だからって…京ちゃんを私達だけのものにしようとしたら…」

穏乃「それは…きっともう私が望んだ私達の関係じゃないんだよね」

京太郎「…そうなのか?」

穏乃「うん。そうなの」

穏乃「だって…私がしたかったのは…京ちゃんを閉じ込める事じゃない」

穏乃「皆笑いあいながら…一緒にいる事なんだから」









穏乃「…今、分かった」

穏乃「私が不安だったのは…皆に対して怯えていたからだけじゃなかったんだ」

穏乃「…今のままじゃ本当に欲しいものが手に入らないって」

穏乃「…間違っているんだって…内心、分かってたから…なんだね」

京太郎「…良く分からないけどさ。でも、答えは見つかったのか?」

穏乃「…うん。見つかったよ」

穏乃「私が…本当に欲しかったもの」

穏乃「私が本当に…望んでいたのは…今なんだ」

京太郎「…それを手に入れるのは間に合いそうか?」

穏乃「…分かんない。ちょっと回り道もしちゃったし」

穏乃「宥さんはもう卒業しちゃったから」

京太郎「なら…俺に手伝える事は?」

穏乃「…それじゃ…応援…して欲しいな」

京太郎「…応援?」

穏乃「うん。京ちゃんが応援してくれたら私…100人力だから」

穏乃「きっと…どんな相手にだって負けないし」

穏乃「どんな困難だって…乗り越えていける」

穏乃「だから…」

京太郎「…おう。分かった」

京太郎「俺は穏乃の事力いっぱい、応援してやる」

京太郎「だから…たまには甘えて来いよ」

穏乃「…うん。ありがとう…っ♥」


























【System】
高鴨穏乃の愛情度がLv13になりました
高鴨穏乃は三人だけの関係から抜け出しました
高鴨穏乃が欲しいのは今と過去のようです
最終更新:2014年01月29日 20:47