高校二年――5月イベント

【高校二年 ―― 5月】

京太郎「(さて…もうそろそろ5月も終わりか)」

京太郎「(この一ヶ月ちょっとネト麻に集中してるお陰で…レートは伸びている)」

京太郎「(もうちょっと頑張れば来月にはランクアップ出来るかもしれない)」

京太郎「(そうなれば上級…次は…ランカークラス…か)」

京太郎「(ランカークラスにさえ入れば…大会にも呼ばれるだろうけど…)」

京太郎「(まだまだ道のりは遠そうだな…)」ハァ

京太郎「(上級は今よりも遥かに参加者のレベルがあがっていくだろうし…)」

京太郎「(レジェンドたちからの支援も受けづらくなる)」

京太郎「(…大会は…確か来年の3月だったっけか…)」

京太郎「(それまでに何とかランカークラスに入って…それで…)」

京太郎「(のどっちを倒さないと…な)」グッ


>>+1
末尾偶数:その時、電話が
末尾奇数:ん?気のせいか
































>>ん?気のせいか?

京太郎「(にしても…宥さんあの時…何を言いかけたんだろう…?)」

京太郎「(やえさんが良い人だからこそ…何か遠慮してるというか…気にしているというか…)」

京太郎「(…二人の間に何かしらの蟠りでもあるのか?)」

京太郎「(…いや、そりゃ…あるよなぁ…)」

京太郎「(だって、阿知賀は晩成を破ってIHに行ったんだ)」

京太郎「(三年で…最後の夏だったやえさんにとっては…阿知賀に何かしら思うところはあるだろう)」

京太郎「(ましてや…先鋒戦で大きくリードを作って逆転されたんだから…思わないはずがない)」

京太郎「(それを…阿知賀にいる俺がどうにか出来るとは思わないけど…でも…)」

京太郎「(二人にとって共通の知り合いである俺にはそれをぶつけあう機会くらいは作ってあげられる)」

京太郎「(…とは言え、それは大きなお世話も良いところだし…俺の想像の域を出ない)」

京太郎「(なら、まずは二人がどれくらい仲が良いか確かめるところから始めるべきだろうな)」

京太郎「(という訳で二人にメールしてっと…)」

京太郎「(あ…やばい。またデートに誘うみたいな文面になってた)」

京太郎「(ちゃんと姉さんややえさんが一緒だってことも書いて…うん。送信)」ピッ

京太郎「(後はあっちの予定を待…)」ブルル

京太郎「(…早いな、おい)」ピッ

京太郎「(って二人とも一緒にいるのか)」

京太郎「(で、遊びたいなら早く出てきなさいって事か。なるほど…)」

京太郎「(ってやばい…!俺、起きた後、寝癖すら治してないじゃん…!!)」

京太郎「(今すぐシャワー浴びて着替えないと…)」ガタッ













ピンポーン

京太郎「(って誰だ!こんな忙しい時に…!)」

京太郎「(あーもう…今日は親もいないってのに…!)」ガタッ

京太郎「はい。どちら様ですか?」

宥「あ、あの…きょーくん?」プルプル

京太郎「…あれ?姉さん…?」

やえ「…姉さん?」キョトン

京太郎「ってやえさんまで…って事は…」

宥「…えへへ…♪来ちゃった…♪」

京太郎「ちょ…ま、待って!少しだけ…ほんの数分だけで良いから待って!」

宥「…え?どうして?」キョトン

京太郎「いや…その寝癖ついてるし…パジャマだし…」

やえ「別にそんなの気にしないぞ」

宥「うんうん。大丈夫だよ、きょーくん」

京太郎「あー…じゃあ…開けるけど…笑うなよ…」




















ガチャ

宥「こんにちはーお邪魔します」フルフル

やえ「…悪いな、京太郎。急な来訪になってしまって」

京太郎「い、いや…それは良いんだけど…」

京太郎「幾らなんでも早すぎない?」

やえ「京太郎からメール来た時は丁度、私が宥の散歩に付き合っている時だったんだ」

宥「今の時期なら別に一人でも大丈夫って言ったんだけど…」

やえ「大学で凍えてる姿を良く見かけるのに信じられるか」

やえ「それに宥はもう少し規則正しい生活をするべきだぞ」

やえ「この前も妹と一緒に夜遅くまでネト麻をやっていたんだろう?」

宥「はぅぅ…」プルプル

京太郎「あ、あの…宥さんも反省してるみたいなのでそれくらいに…」

やえ「…まったく、君も宥に甘いな」ハァ

京太郎「す、すみません…」















やえ「あまり甘やかすと本人の為にならないぞ」

京太郎「そ、それは分かってるんですけど…でも…」

京太郎「宥さんがそれだけ頑張ってくれているのは俺の所為でもあるんで…」

京太郎「あんまり責めてあげないで欲しいかなって…」

やえ「…だからと言って…彼女を甘やかして良い理由にはならない」

やえ「ただでさえ普通の身体じゃないんだから…しっかり体力はつけておかないと」

宥「…ごめんなさい」

やえ「…いや、謝れという訳じゃないんだ。ただ…その…」

やえ「…心配になるから無理はしないで欲しい。そういう事だ」

宥「…うん」ニコー

京太郎「…」

宥「…ん?きょーくんどうしたの?」

京太郎「いや、なんていうか…」

やえ「なんていうか?」

京太郎「思ったよりも相性良さそうで安心したっていうか」

宥「…相性?」















京太郎「面倒見の良いやえさんと庇護欲そそる宥さんって結構良いコンビだなって」

宥「えへへ…♪」

やえ「宥、それ褒められてないから」

宥「…え?」

やえ「…と言うか私は別に面倒見が良い訳ではないぞ」

京太郎「そう言いながら俺含めて後輩の面倒ちゃんと見ててくれたじゃないか」

京太郎「なんだかんだ言ってやえさんは困ってる人を見過ごせない良い人なんだと思うよ」

やえ「…も、持ち上げ過ぎだ…」カァァ

宥「…やえちゃん顔真っ赤になってる…あったかぁい…」ピトー

やえ「こ、こら!外が寒かったからってひっつくな…!」

宥「…ダメ?」ウルッ

やえ「……あー…もう…少しだけだぞ…」

京太郎「…」ニヤニヤ

やえ「…後で京太郎には話があるから覚悟するように」マッカ

京太郎「ちょ…お、俺は関係ないでしょう!」















やえ「…それよりそろそろあがって良いか?」

やえ「このままだと宥が離れなさそうで…」

京太郎「あぁ、大丈夫」

京太郎「ただ、今日は親いないからさ」

やえ「お、親がいない…」カァァ

京太郎「大したおもてなしは出来ないだろうけど…それでも良かったら寛いでくれ」

宥「…カピーちゃんは?」

京太郎「あぁ、大丈夫。元気してるよ」

京太郎「良ければ構ってやってくれ。あいつも宥さんとあえなくて寂しそうにしてたから」

やえ「…私も良いか?」

京太郎「あぁ。勿論。あいつ人懐こいからきっと喜ぶよ」















宥「カピーちゃぁん♪」ギュゥ

カピー「キュー♪」

やえ「わわ…ほ、本当におっきい…」

カピー「…キュ?」

宥「触るとピクピク動いて可愛いんだよ…♪」

やえ「そ、そうなのか…じゃあ…」スッ

やえ「わわっ…本当に…ピクってした…」

宥「大丈夫だよ。そんなに怖がらなくても…」

やえ「だ、だけど…こんなに大きいなんて…」

宥「撫でるとすぐにピクピクって反応を返してくれるから凄い可愛いよ…ほら」スッ

やえ「あ…ぅ」

カピー「キュー?」

やえ「…」ナデ…ナデ

カピー「キューン♪」ハナピクピク

宥「どう?」

やえ「…本当だな。思ったよりも愛嬌があって…可愛らしい」

やえ「もっと可愛がってあげたくなるな」

カピー「キュー♪」
















京太郎「……」

宥「…あれ?どうしたの?きょーくん」

やえ「さっきから座ったまま微動だにしないが…」

京太郎「あ、ううん。何でもない。なんでもないんだ」

やえ「…そうか?だけど…」

京太郎「い、いや、こっちの事は気にせずにカピーの事を可愛がってやってくれ」

宥「でも…なんだか辛そう…」

京太郎「辛いって言うか…興奮するっていうか」

やえ「え?」

京太郎「い、いや、なんでもない。カピーも喜んでるからもうちょっと戯れてやってくれ」

京太郎「(…言えるかよ、二人がカピーを可愛がる言葉が無性にエロく聞こえるなんて)」

京太郎「(少なくとも健全な男子高校生としてはあんなセリフ聞かされると…やましい事を想像してですね)」

京太郎「(俺…そんなに性欲強い方じゃないと思ってたんだけど…なんか最近はそうでもないし…)」

京太郎「(あー…くそ…!折角二人が来てくれてるのに俺は何を考えてるんだ…)」

京太郎「(去れ…!煩悩よ…去れ…!!)」ブンブン














宥「…きょーくん」ギュッ

京太郎「わわ…って宥さん…」

宥「…今はやえちゃんカピーちゃんに夢中になってるから…大丈夫だよ…?」

京太郎「…姉さん」

宥「えへへ…♪良い子良い子…」ナデナデ

京太郎「…さっきはごめんな。後ろのやえさん見えなくって」

宥「…良いよ。いきなり来ちゃった私たちが悪いんだし」

宥「…でも、今は大丈夫だから…一杯、姉さんって呼んで欲しいな…♥」

京太郎「…姉さん」

宥「…んっ♥」ブル

宥「もっと…もっと…呼んで…ぇ♪」

京太郎「い、いや…でも…」

宥「最近、会えなかったから…おねーちゃん呼ばれ足りないの…だから…ぁ♥」

京太郎「…姉さんは本当、我慢が足りないな」

宥「んぅ・・ぅ♪」ブルル

宥「ごめんね…ぇ♥だらしのないおねーちゃんで…ごめんね…っ♥でも…ぉ♪」

京太郎「…良いんだよ、そんな姉さんも俺は好きだからさ」ナデナデ

宥「ふあぁ…ぁ♥」














やえ「…二人共何をやってるんだ?」ゴゴゴ

宥「あ…え、えっと…」

京太郎「…その…」

やえ「…はぁ…幾らカピーちゃんが可愛くても、後ろでそんなイチャイチャされて気づかないはずないだろ」

宥「…ごめんなさい」

京太郎「…っていうかカピーちゃんって」

やえ「べ、べべ別に良いだろ…!こんなに可愛いんだから…!」

カピー「キュゥゥ♪」ヒザウエチョコン

宥「わぁ…大分、慣れてるね」

やえ「大きい分ちょっと重いけどな」

宥「でも、嫌な重さじゃないでしょ?」

やえ「…あぁ、親愛を感じる…良い重さだと思…」

やえ「って違う!今はそっちの事だ!!」ウガー

京太郎「あ、あはは…」















やえ「そ、そもそもだな…宥は簡単に人に抱きつきすぎだ…!」

宥「…だって、きょーくん暖かいんだもん…」

やえ「だもんじゃない。君の特異な体質は理解しているが…それでも相手は男なんだぞ」

宥「そ、そうだけど…でも…」

宥「きょーくんのが誰よりも一番、暖かくて…玄ちゃんよりも癖になりそうで…」

やえ「だからって気安く抱きついて良い訳じゃないんだぞ」

やえ「同性だって抱きつかれると恥ずかしいと思う事も多いし、異性なら尚更だ」

やえ「そうやって誰彼構わず抱きついていたら誤解されるぞ」

宥「私だって…誰彼構わず抱きついている訳じゃないし…それに」

宥「誤解じゃない…よ」カァァ

やえ「…~っ…!」

宥「…やえちゃんだって…そうでしょ?」

やえ「な、何を言っているんだ…?わ、私は…!」













宥「何時ものやえちゃんならそんなに口酸っぱくして言わないし…」

宥「私がそういう事するの…ごく一部の人だけだって分かってくれてるから」

宥「でも…そうやって今、強く言うのは…相手が…きょーくんだから…でしょ?」

やえ「…そ…れは…」

宥「…やえちゃんもきょーくんとこうやって…触れ合いたいから嫉妬してるんだよね…?」

やえ「~~~っ…!私は…そんな…そんなつもりじゃ…」

京太郎「あー…その…な」

京太郎「別に俺は…良いぞ?」

やえ「…え?」

京太郎「こうやって宥さんに抱きつかれるのも慣れたもんだし…それにやえさんだってやってるじゃないか」

やえ「あ…ぅ」カァァ

宥「…やっぱりやえちゃんもしてたんだ」

やえ「ち、違う。あ、アレは…ちょっと胸を貸してもらってただけで…!」

宥「…でも、自分がやってるのに私がダメって事は…やっぱり独占欲じゃないかな?」

やえ「…ぅ…」













宥「…それにきょーくんはこれくらいでエッチな気分にはならないよね?」

京太郎「…え?」

宥「だって…もっと凄い事やってる訳だし…」カァァ

やえ「ちょ、ちょっと待て!凄い事ってなんだ!?」

宥「それは…幾らやえちゃんでも言えないよ」ニコッ

宥「だって私ときょーくんだけの秘密なんだから…」ポー

やえ「ぐ…ぐぬぬ…」

やえ「そ、それなら…それなら私にだって考えがある…!」ギュッ

京太郎「…ん?」

やえ「ど、どうだ?片腕を抱かれたら…身動きは取れないだろう?」カァァ

京太郎「あー…そうだな。まったく身動きとれないなーこれは困った」

京太郎「宥さんを襲おうにもまったく手も足も出せないぞー」

やえ「ふ、ふふん…!そうだ…これは宥を護る為に仕方なく…仕方なくなんだからな…」スリスリ

宥「ふふ…やえちゃんとっても幸せそう…♪」

やえ「ば、馬鹿な事を言うな。そもそも…宥さえ普通にしていれば私がこんな風になる事も…」

京太郎「はいはい。分かってるよ、やえさん」

カピー「キュー…」

京太郎「よし。じゃあ、カピーは俺の膝の上な」

カピー「キュー♪」ピョン

宥「四人一緒だととっても暖かいね…♥」ニヘラ

やえ「ん…確かに…悪い気分じゃない…な♪」トローン













京太郎「でも、良いのか?二人とも出かける予定だったんじゃ…」

宥「ううん…大丈夫。そもそも今日は散歩ついでに適当にショッピングでもしようかって話だったし…」

やえ「…ま、特に何か予定があった訳じゃないんだ。だから、こうやってのんびりしてても問題ない」

宥「…ふふ」

やえ「…ぅ…なんだ?」

宥「なんだかんだ言いながらもやえちゃん、今の状況が嫌じゃないんだなーって…」

やえ「べ、別に嫌だなんて言ってないだろうに。ただ…」

京太郎「ただ?」

やえ「ぅ…さ、察しろ…もう」カァァ

京太郎「はは。ごめんな」ナデナデ

京太郎「まぁ、やえさんは恥ずかしがり屋だからさ、あんまり人前で素直に甘えられないんだよ」

京太郎「だから、宥さんもあんまりイジメてあげないでくれ」

宥「そうなんだ…じゃあ…」

宥「私はいない方が…良い?」オズオズ

やえ「…別にここで宥を除け者にしたりするほど私は狭量じゃないぞ」

やえ「こうして…ギュって出来てるだけで…それなりに満足しているし」

やえ「…三人一緒でも問題はない」

カピー「…キュ?」

やえ「…あぁ、悪い。四人だったな」ナデナデ

カピー「キュルル♪」













宥「…でも、それじゃあね」

やえ「…ん?」

宥「私が…リードしてあげた方が良いのかな…?」

やえ「…え?」

宥「だって、私がもっと積極的になれば、やえちゃんも同じ事する理由が出来るでしょ?」

やえ「い、いや、その理屈はおかしい」

宥「え…?そうかな…」キョトン

やえ「そもそも何がどうなってそんな結論に至ったんだ」

宥「だって、やえちゃん今、私と同じことしてるし」

やえ「そ、それは…」

宥「だったら…私が同じことしたら…私にさせないようにって理由が出来るかなって…」

やえ「う…い、いや…」

やえ「ま、待て待て。そもそもそれを口に出した時点でもう色々と台無しだろう?」

宥「あ、それもそっか。えっと…それじゃ…」

やえ「…い、いや、もう良いから」

宥「え…でも…」

やえ「私は今の状況でも満足だって言ってるだろうに」

やえ「そ、そもそもだな…色々と前提条件が先走り過ぎじゃないか?」

宥「そう?」

やえ「そうだ。そもそも私が…あの、そういう事をしたがっているという事がそもそもの誤りだ」

宥「じゃ、やえちゃんはしたくない?」

やえ「…ぅ」












宥「きょーくんにギュってされたり…ナデナデされたり…スリスリされたりしたくないの?」キョトン

やえ「…そこで頷いたら私がまるで変態みたいじゃないか」

宥「えっ」

やえ「えっ」

京太郎「えっ」

やえ「…おい、ちょっと待て。京太郎、それはどういう意味でのえ、なんだ」

京太郎「い、いや、だって…俺、結構、そういう事されてるから…」

宥「うん。私も玄ちゃん…えっと妹も…結構そうやってスキンシップとってるよ」

やえ「…なん…だと…」

京太郎「それにやえさんもたまにそういうのオネダリ…」

やえ「わーわー!聞こえない!聞こえないぞ!!」カァァ

宥「ふふ…やっぱりそうなんだ」ニコォ

やえ「ほ、ほらぁ!またなんか宥が我が意を得たりって顔してるし…バラしちゃダメじゃないかぁ」ナミダメ

京太郎「あー…ごめん」














京太郎「…でもさ、俺は俺で…二人にもっと仲良くして欲しくて」

京太郎「やえさん先輩モードばっかりで、自分を出せてないし」

京太郎「可愛いところ一杯あるんだから、そういうのを宥さんに見せてあげて欲しいなって」

宥「今の素直じゃないやえちゃんも可愛いと思うけどね」ニコッ

やえ「ぅ…もう…お前らは…」カァァ

やえ「…そもそもそういうのをあけすけにするにはまだまだ時間が足りないだろうに」

やえ「私は…まだ宥と出会って二ヶ月程度しか経っていないんだ」

やえ「…そんな状態で何もかも曝け出せるはずないだろ」

京太郎「…あれ?でも、俺にはそれくらいだったような」

やえ「き、京太郎は…あの…色々と特別と言うか…」

京太郎「え?」

やえ「…もうホント…京太郎はもう…」

宥「ふふ…」

やえ「…あぅ…その…そのな…ち、違うんだ…いや、違う訳じゃないけど…あの…!」モジモジ














宥「大丈夫だよ、ライバルってだけでやえちゃんの事敵視したりしないから」

やえ「…でも」

宥「やえちゃんだって…一杯、辛い想いしてきたんだよね?」

宥「進学の事にしてもそうだし…インターハイの事にしても…私達の所為で一杯…」

やえ「…仕方のない…事だ。誰が悪いなんて事じゃない。私は別に…宥たちの事を恨んでいる訳じゃ…」

宥「本当に?」

やえ「……あぁ、勿論だ」

宥「…でも、私はほんのちょっぴりやえちゃんの事恨んでるよ」

やえ「…え?」

宥「…やえちゃんの所為で…玄ちゃんはボロボロになるまで泣いちゃったし…」

宥「やえちゃんがきょーくんと関わらなければ、もっと早く阿知賀に来てくれたかもしれないって」

宥「きょーくんが進学で悩む事なんてないって…そう思ってるから」

やえ「…宥」

宥「でも…私、それでもやえちゃんと仲良くしたいの」

宥「…やえちゃんの事恨んでるけど…でも、それ以上に感謝してるから」

宥「一杯一杯…やえちゃんに良いところあるって私はもう知ってるから」











やえ「…随分とあけすけだな…」

宥「えへへ…私、今まで友達少なかったから…」

宥「直球で勝負する事しか知らないし…出来ないの」

やえ「…じゃあ…言わせて貰うけれど…な」

やえ「私だって阿知賀の事は恨んでいる」

やえ「阿知賀がなければ…私の夏はあんなにあっけなく終わらなかっただろうし…」

やえ「京太郎が…阿知賀に取られる事はなかった」

京太郎「…やえさん」

やえ「…だけどな。それとこれとは…話は別だ」

やえ「確かに私は阿知賀を恨んではいるけれど…でも」

やえ「松実宥という友人は好ましく思っている」

やえ「色々と蟠りこそあるが…宥は良い友人だ」

やえ「これからも仲良くしていきたいのは…私も同じだよ」

宥「やえちゃん…」

やえ「…まったく…こんなに恥ずかしい事…言わせるな…もぅ」カァ

京太郎「…恥ずかしいなら隠せるように胸貸そうか?」

やえ「…ちょっとだけ…ギュってさせてくれ」ギュッ

宥「あ、良いなぁ…」

やえ「は、早いもの勝ちだからな」ギュゥゥ












宥「ふふ…ごめんね、きょーくん」

京太郎「…ん?」

宥「…本当なら二人でするべき話に巻き込んじゃって」

京太郎「良いよ、別に」

京太郎「こうやって可愛い二人に囲まれるのも正直役得だなって思ってるからさ」

やえ「か、可愛いって…」ポッ

宥「きょーくんのエッチ…」カァァ

京太郎「いやいや、特にエロい事言ってないだろ!?」

京太郎「ま、二人の蟠りが少しでもなくなるのに役立てたなら良かったよ」

やえ「…寧ろ、京太郎が一番の原因なんだけどな」

宥「…うん。殆ど、節操無いきょーくんの所為だよね」

京太郎「え?」

やえ「…まったく…後輩が増えたからってコレ以上、ライバル増やすなよ…」

宥「大丈夫だよ、憧ちゃんたちが見張っているだろうし」

やえ「まぁ…それなら大丈夫か」

宥「うんうん。でも…」

やえ「ん?」

宥「…そういう気持ち隠さない程度には…許してくれた?」

やえ「…そう…だな」

やえ「…もう完全にバレているのは分かったし…隠しているのも馬鹿らしいからな」

やえ「…あぁ、そうだ。そっちの思っている通りだとも」

宥「…ふふ」










宥「…私の気持ちも…分かってるよね?」

やえ「…勿論。今まで宥の話と言えば…妹か京太郎の事だったからな」

やえ「その上…この態度ともなれば分からないはずがない」

宥「…それでも仲良くしてくれる?」

やえ「…それこそ今更だろうに」

やえ「さっき言った気持ちをそう簡単に翻すほど私は移り気な女ではないよ」

宥「そっか…嬉しいな…♪」

宥「…でも、きょーくんに抱きつきながら格好つけても様にならないよ?」

やえ「べ、別に格好つけてる訳じゃない…!」カァァ

京太郎「…というか、まったく話が分からないんだけど…二人共、何の話をしているんだ?」

やえ「…別に大した話じゃない」

宥「うーん…ある意味では大した話かも」

やえ「…え?」

宥「もしかしたら…今日のこれがキッカケで…やえちゃんを手を組む事になるかもしれない訳だし…」

やえ「…手を組んでどうするんだ?」

宥「コレ以上、きょーくんの犠牲者を増やさないように努力する…とか?」

やえ「…分かった、私でよければ手を貸そう」

京太郎「と言うか…犠牲者って…俺、そんなに誰かを傷つけてるのか?」

やえ「…ある意味ではそうかもしれないな」

宥「…でも、質が悪いのはそれ以上にあったかくしてくれる事だよね…」

京太郎「え…えぇぇ…」




>>+2
末尾偶数:それから宥さんが寝てしまった
末尾奇数:それからやえさんが眠ってしまった



































>>やえさんが眠ってしまった

やえ「…すぅ…」

京太郎「…っとやえさん寝ちゃったのか」

宥「ここ暖かいもんね…♥」ポカー

京太郎「ま、温室だしな」

京太郎「…でも、動かすと流石に起きちゃいそうだし…」

宥「…もうちょっとだけ膝枕してあげる?」

京太郎「そうだな…何時も気を張って疲れてるんだろうし」

京太郎「…宥さんは退屈かもしれないけど」

宥「……」

京太郎「あー…姉さんは退屈かもしれないけどさ」

宥「ふふ…ううん。私は大丈夫だよ」フルフル

宥「こうしてきょーくんの側にいられるだけでとっても暖かいから…♥」スリスリ

京太郎「あー…うん。それは俺も同じだけどさ…でも…」

宥「…でも?」

京太郎「あ、あんまりそうやっておもちをすりつけられると…その…なんつーか」

京太郎「お、男として我慢出来なくなりつつあるというか…なんていうか…」

宥「…服の上からでもきょーくんは興奮しちゃうの?」キョトン

京太郎「…ごめん。ホント、ごめん」

宥「ふぁぁっ!?い、いや…そ、そういう意味じゃなくって…え、えっと…」











宥「…わ、私…嬉しいから」

京太郎「え?」

宥「だ、だって…私、憧ちゃんや穏乃ちゃんみたいに身体引き締まってる訳じゃないし…」

宥「ぷにぷにで…えっと…だらしない身体しちゃってるから…」

宥「そんな私の身体でも…服の上からでも興奮して貰えるなんて…とっても暖かくて嬉しい…♥」スリスリ

京太郎「…い、いや…姉さん?」

宥「…あ…ご、ごめんね…私…つい嬉しくなって…」

宥「…こうしてギュってするのは…大丈夫?」

京太郎「あ、あぁ…それくらいなら…まぁ」

宥「ふふ…良かった…」ギュッ

やえ「ん…っ」

宥「ふふ…やえちゃんとっても安心しきった顔してる…」

京太郎「ま、一つ姉さんと本音をぶつけて肩の荷が降りたんじゃないかな」

宥「んー…でも…それだけじゃないと思うよ。少なくとも…私はこんな風にやえちゃんが眠るところなんて想像出来なかったし…」














宥「あのね…私の知るやえちゃんって…とても凄い子なの」

宥「講義でも最前列でバンバン質問して…教授にどんどん名前を覚えられていって」

宥「私以外の同学年の子も…凄い面倒見てて…皆に頼りにされてる子なの」

京太郎「…そうだな。中学の時もやえさんはそんな感じだったよ」

宥「…うん。きっと…中学でも凄かったんだろうね」

宥「だからこそ…私…」

京太郎「…姉さん?」

宥「…ごめんね、私がやえちゃんみたいだったら…きょーくんにこんなに負担掛ける事なかったのに」

京太郎「…え?」

宥「ずっと…ずっと思ってたの」

宥「私、三年生なのに…全然、皆の面倒見てあげられてないって」

宥「寧ろ…私の方が皆に面倒見てもらっているのが現状で…」

宥「インターハイでも成績全然振るわなくて…先輩らしい事…まったく…」












京太郎「んな事ねぇよ」

宥「…でも…」

京太郎「そもそもだな…姉さんがいなきゃ阿知賀麻雀部はインターハイに行けなかっただろ」

宥「でも…インターハイじゃ…」

京太郎「準決勝じゃ活躍してたし、問題ないって」

京太郎「そもそもあのポジションは姉さんじゃなきゃもっと失点しててもおかしくなかったよ」

京太郎「特に準決勝でギリギリ白糸台をまくれたのは姉さんの活躍が大きいし」

京太郎「何より…姉さんは…皆の精神的主柱なんだよ」

宥「…え?」

京太郎「確かに姉さんは目立つタイプじゃなかったけどさ」

京太郎「でも、遠くから見守ってくれてる姉さんがいたから、皆あんなにはしゃげたんだよ」

京太郎「実際…宥さんがいなくなってからは、どれだけはしゃいでも空回り感があってさ」

京太郎「…少なくとも俺にとって物足りなさがあった」

宥「…本当?」

京太郎「あぁ。だから…姉さんは決して何も出来てない訳じゃないんだ」

京太郎「やえさんみたいなタイプじゃないけど…ちゃんと俺達の事見守って…支えてくれてた」

京太郎「だから、タイプの違うやえさんと比較して卑屈になんてならなくても良いんだ」ナデナデ













宥「…ふふ」

京太郎「ん?」

宥「…あ、ごめんね、私…嬉しくて」

宥「やえちゃんと比較して…全然何も出来てないって…そう思ってたから」

宥「それをきょーくんが否定してくれたのは…嬉しい」

宥「…ううん…ちょっと違うかな」

宥「…私、きっと…やえちゃんに嫉妬してたんだと思う」

京太郎「…嫉妬?」

宥「うん。いつだってきょーくんに頼られるやえちゃんに…きょーくんの先輩っていうポジションを確保した彼女に」

宥「私は…どうしてもそういう場所にはたどり着けないから」

京太郎「…姉さん」

宥「…でも、そうじゃなくても…良いんだよね」

宥「私には…私の立ち位置があって…それで…」

宥「きょーくんの役に…立ててるんだよね…?」

京太郎「…あぁ。勿論だ」

京太郎「姉さんは俺にとって…必要不可欠なくらい大事な人だよ」

宥「…じゃあ…お願いがあるんだけど…」

京太郎「ん?」

宥「…やえちゃんが起きるまでの間で良いから…私の事ぎゅってして欲しいな」

宥「私の事…必要としてくれてるんだってそう思えるくらい激しく…」

宥「壊れるくらいに…強くお願い…♥」
























【System】
松実宥の愛情度がLv2になりました
小走やえの愛情度がLv7になりました
二人の相性は案外、それなりに良いようです
最終更新:2014年01月29日 20:29