高校一年――2月誕生日

【高校一年 ―― 2月第一週】

京太郎「(にしても…宥さんにも困ったもんだよな…)」

京太郎「(あんな事言われちゃ…男としたら黙っておけないって)」

京太郎「(正直…あのまま抱きしめてそのままキスしたくなったくらいだ)」

京太郎「(でも、本人にその気はまったくないんだろうなーきっと…)」

京太郎「(特に恥ずかしがる様子もなくきょとんってしてたし)」

京太郎「(…玄も意外とそういうところあるけど…宥さんも結構、魔性の女だよな)」

京太郎「(天然具合が妙に男心をくすぐるというか…距離感分かってないというか)」

京太郎「(もしかしたら玄だけじゃなく宥さんにも付き合い方をちゃんと教えてやった方が良いかもしれない)」

京太郎「(…少なくとも…今のままじゃ俺が気が気じゃないって)」

京太郎「(父親であるオーナーはさらに大変だろうなぁ…きっと)」

京太郎「(…うん。今度、何かしら持ってってあげるべきなのかもしれない)」

京太郎「(ま、それはさておきっと…)」

京太郎「(今日は俺の誕生日なんだけど…)」チラッ








京太郎「(…メールも電話の着信もない)」ズーン

京太郎「(い、いや…忘れられてる訳じゃない…よな?)」

京太郎「(でも…あいつら特に準備してる様子なかったし…何時も通りだったし…)」

京太郎「(誕生日の話題なんて欠片も出さなかった…し…)」

京太郎「(…もしかしてガチで忘れられてる…?)」

京太郎「(い、いや…でも…でもなー…)」

京太郎「(流石に…ない…よな?うん。ないない)」

京太郎「(あいつらはそんな薄情な奴らじゃないって…)」

京太郎「(…いや…でも…もうすぐ夕方になるのに連絡もないなんて…)」

京太郎「(…流石にちょっと不安に…)」


>>+2
末尾16 憧しずから電話
末尾27 灼から電話
末尾38 玄から電話
末尾49 宥さんから電話
末尾50 やえさんが襲来
































>>やえさん襲来


ピンポーン


京太郎「(ん…誰か来たのか)」

京太郎「(でも、いいさ。俺は今日、カピーと一緒にふて寝するって決めたんだ)」

京太郎「(親もいるし、今日は布団の中でじっくり…)」


ガチャ


京太郎「(ん?あれ…?来客って…俺のなのか?)」

京太郎「(ま、まさか…あいつらがパーティに呼びに来てくれたとか…?)」

京太郎「(ふふふ…なんだ。ちゃんと考えてくれてるんじゃないか、びっくりさせやがって)」

京太郎「(でも、こんなに俺を不安にさせたんだ)」

京太郎「(こっちだって少しくらいはドキドキさせてやらないと割に…)」

やえ「…あれ?寝てる?」

京太郎「(ってあるぇ…)」









やえ「折角、お祝いに来たのに…」コゴエ

京太郎「(あ…やえさんお祝いに来てくれたのか…)」

京太郎「(驚かせようと思って狸寝入りして悪い事したな…)」

京太郎「(これはとりあえず起きないと…)」

やえ「…でも、起こしちゃ可哀想だよね…」

京太郎「(ぅ…いや、出来れば起こしてくれるとこっちも起きやすいんだけど…)」

やえ「…ちょっとだけ待たせてもらっちゃお」スッ

京太郎「(や、やばい…これ…どんどん起きれなくなるパターンだ…)」

京太郎「(と、とりあえず白々しくても起きないと…)」

やえ「……」

京太郎「……」

京太郎「(あー…あー…やえさん!何かリアクションを!じゃ、じゃないと俺が起きるキッカケが…!)」








やえ「表情が辛そう…魘されてるの…?」スッ

やえ「…これで少しはマシになるかな…」ナデナデ

京太郎「(あ、気持ち良い…じゃなくて…!)」

京太郎「(そ、そういうのされると余計に起きられなく…)」

やえ「…京太郎君…今までずっと頑張ってたもんね」

やえ「こんな風に熟睡するのも仕方ないよね」ナデナデ

京太郎「(い、いや…あのあんまり外堀を埋めないで欲しいんですけど…!)」

やえ「今日は…起きるまで私が側にいて撫でてあげるから…安心してね」

京太郎「(嬉しいんだけど…いや、嬉しいんだけどね!そうやって優しくされるとこう…罪悪感の所為で余計に起きられなく…!!)」

やえ「…でも…京太郎君のまつ毛…長いよね」

やえ「こうして見ると顔も凄い整ってるし…女の子みたい」スッ

京太郎「(はぅ…)」

やえ「…可愛いな、食べちゃいたいくらい…」










やえ「…京太郎君寝ているし…良いよね…」

京太郎「(い、いや…ちょ…何をするつもり…)」

やえ「京太郎君が悪いんだよ…こんな可愛い寝顔晒して…」チュッ

京太郎「~~~っ!!」ビクッ

やえ「…ふふ、寝てる後輩にキスしちゃった…♥」

やえ「…起きてる時にするキスも良いけど…寝てる時の秘密のキスもドキドキしちゃうね…♪」

やえ「でも…京太郎君…まだ起きないんだ…」

やえ「…それじゃ襲ってくれって言ってるようなものだよ…?」シュルッ

京太郎「(い、いいいいいいや!?なんで!?なんで布擦れの音がするの…!?)」

京太郎「(いや、幾らなんでも気のせいだよな…!?気のせい…だよ…ね)」

京太郎「(た、確かにやえさんとはキスしたけれど…で、でもそういう関係じゃ…)」

京太郎「(いや…でも、目の前で確かにやえさんが脱いでる気配がして…)」

京太郎「(…だ、ダメだって分かってるのに俺…やえさんの裸…裸…見たい…!)」

京太郎「(…ち、ちょっとだけ、ちょっとだけ目をあけて…)」チラッ

やえ「…」ニコッ

京太郎「…え?」










やえ「…ようやく起きた?」クスッ

京太郎「…えっと…あの…」

やえ「ん?」

京太郎「…何時から気づいてました?」

やえ「最初から。見るからに私の言葉に反応してたし」

京太郎「…じゃ、今までのは全部…」

やえ「まぁ、先輩が来たのに寝たふりを続ける後輩へのお仕置きってところかな」クスッ

京太郎「うあー…!っていうか言ってくれれば良いじゃないか…!」

やえ「狸寝入りしている方が悪いの」

京太郎「うぐ…」

やえ「ま…そもそもあんな風に独り言ばっかり言ってる時点で違和感くらい感じないと」

やえ「後ろめたさでそれどころじゃなかったかもしれないけれどね」

京太郎「…おっしゃるとおりです…」












やえ「ふふ…まぁ、私も役得あったし許してあげる。でも…」

京太郎「…え?」

やえ「…京太郎君って…思ってたよりスケベなんだね」カァァ

京太郎「すみません。いっそ殺して下さい」

やえ「い、いや…別に悪い事じゃないし…男の子なんだから普通でしょ」

やえ「それに正直…ちょっと安心したし…」

京太郎「え?安心…?」

やえ「…私もちゃんとそういう目で見てくれているんだって事」クスッ

やえ「そんなに…私の裸見たかった?」

京太郎「う…そ、それは…」

やえ「…それは?」

京太郎「…すみません。もう土下座でもなんでもするんで許してください」

やえ「…ふふ、仕方ないなぁ」









やえ「でも、一つだけ…京太郎君にアドバイスするとね」

やえ「そんなに京太郎君が見たがってくれてる私の裸が見れる方法…一つだけあるよ」

京太郎「えっ」

やえ「君が好きだって言ってくれたら…今すぐにでも裸を見せてあげても良いかなって…」マッカ

京太郎「や…やえさん…?」

やえ「ぅ…ご、ごめん。今のやっぱなしで…」

やえ「さ、流石にちょっとこれは…ない…うん…痴女過ぎる…」

京太郎「あ…あぁ…うん…」

やえ「もう…これも全部京太郎君が悪いんだから…」スッ

京太郎「…え?やえさん…?」

やえ「…罰として顔が赤くなくなるまで…こうして抱枕の刑だよ」ギュッ










京太郎「あー…その…」

やえ「…ん?」

京太郎「…寧ろ、ご褒美なんだけど」

やえ「…スケベ」ジトー

京太郎「し、仕方ないだろ。男なんてそういうもんなの」

京太郎「可愛い子に抱きしめられたらどうしても意識しちゃう生き物なんだって」

やえ「…意識…してくれてるの?」

京太郎「…そりゃやえさん可愛いし…格好良いし…それに」

やえ「…それに?」

京太郎「キス…しちゃった…し…」カアァ

やえ「…ふふ…スケベな癖に初なんだ」

京太郎「し、仕方ないだろ!そういう経験なんてないんだからさ!!」

やえ「…じゃあ、そういう経験…一緒に積んじゃう…?」

京太郎「え?」










やえ「私たちもう一杯キスしちゃって…普通の先輩後輩も友達も超えちゃって…」

やえ「…あ、新しく…さ。関係を定義し直すというか…話し合う時期に…来てるというか…」

やえ「そ、それに私…京太郎君なら…そういう仲になっても構わないというか…」

やえ「…ううん…違う」

やえ「…京太郎君が…良いの」

やえ「他の誰でもない…京太郎君が…」

やえ「私…京太郎君の事が好きだから…!」ギュッ

京太郎「…やえ…さん…」

やえ「…京太郎君も私の事、意識してくれてるんだよ…ね」カァァ

やえ「…少なくとも魅力的だって…女の子として…見てくれているんだよね…?」

やえ「だったら…お試しでも…経験を積むだけでも…良いの」

やえ「絶対、私の事好きにしてみせるから…後悔なんて絶対させないから…私と…」








ブルルルル








やえ「っ…!」












京太郎「…あの…」

やえ「出て良い…よ」

やえ「それ…新子からの電話…なんでしょ」

やえ「早く出てあげないと…今日は京太郎君の誕生日だからきっとあっちも何か準備して…」

京太郎「…いや…今は良いや」ピッ

やえ「…え?」

京太郎「…今の俺にとってはやえさんの方が大事だ」

やえ「…でも…」

京太郎「良いんだよ。そもそもサプライズでパーティーなんてしようとした方が悪い」

京太郎「俺の今日一日は誰よりもメールで祝ってくれて…今もこうして祝いに来てくれたやえさんに捧げるって決めた」

やえ「あ…」










京太郎「…ただ、さ。俺はやっぱりやえさんの告白には…応えられない」

やえ「…っ!」

やえ「そう…なんだ。私…やっぱり…」

京太郎「あ、いや…違うんだ。やえさんが嫌いとか…そういうんじゃない」

京太郎「寧ろ…俺はやえさんの事すげー意識してるし…多分…他の誰よりも…そういう目で見てる」

やえ「…え?」

京太郎「だって…俺の周りにいるの殆ど幼馴染ばっかりだしさ…ドキッとする事はあるけど…今更って気もするし…」

京太郎「それにやえさんは最初からずっと俺の憧れで…だから…あー…えっと…」

京太郎「そういう中途半端な感情で付き合ったりしたくないんだ」

京太郎「でも、俺は自分自身の感情をまだちゃんと整理出来てなくて…どういう目で見てるのか…はっきりしてなくて」

京太郎「…そういうのをはっきりさせてからじゃないと…俺はやえさんに応える事は出来ない」

京太郎「やえさんの事大事だから…傷つけたくはないから…だから、卑怯な話だとは思うけど…」

京太郎「…とりあえず保留にさせてもらえない…かな?」

京太郎「何時か必ず…応えは出すから…俺…きっと…」

やえ「……」ポロッ













京太郎「や、やえさん!?」

やえ「あは…は…初めて…だね」グスッ

やえ「今まで一杯…告白してきたけれど…初めてちゃんとした応えが貰えた…」ギュッ

京太郎「…今までも…告白…?」ズキッ

京太郎「俺、もしかして今までも何度か…忘れてるのか?」

やえ「…うん…でも…良いの」

やえ「ちゃんと応え貰えただけで…私報われたから…」

京太郎「…良くなんか…ねぇよ…」ギュッ

京太郎「だったら…俺…またこれを忘れるって事じゃないか…」

京太郎「くそ…なんなんだよ…ホント…俺は何なんだ…」

やえ「…大丈夫だよ」ギュッ

京太郎「…え?」











やえ「京太郎君が忘れても、私は忘れない」

やえ「今日この日の事は…私の中で…ずっとずっと残り続けるから」

京太郎「でも…だからって…勇気を出して言ってくれた事まで忘れるなんて…」

やえ「…そんな京太郎君の事、好きになっちゃったんだもの。しょうがないよ」クスッ

やえ「それに…ね。私…諦めるつもりなんて…ないから」

京太郎「え?」

やえ「京太郎君が忘れるなら…私、何回だって告白する」

やえ「そして何時か…必ずオッケーって言わせて…」

やえ「忘れられないものにしてみせるから」

京太郎「…やえさん…」

やえ「それでもダメなら…京太郎君のそれを治して…アタックする」

やえ「君に振り向いてもらえるまで…ずっとずっと…」

京太郎「…俺は…告白を忘れたなんて言うような…最低な奴なんだぞ」

京太郎「正直、やえさんにそこまでして貰う価値なんて…」











やえ「価値なんてものは自分で決めるものじゃないよ」ナデナデ

やえ「少なくとも私は京太郎君にそれだけの価値があるって…そう思ったから」

やえ「自分の人生を捧げても良いくらいに…好きになっちゃったから」

京太郎「…やえさん…」

やえ「…ふふ。ごめんね、重い女で」

やえ「…でも、私、こうして誰かの事好きになったのなんか初めてで…どうしても止まれなくて」

やえ「こうして…抱き合ってるだけで好きって気持ち大きくなっちゃうの」

やえ「…だから…私はきっと…諦めない…ううん、諦めきれないから」

やえ「どれだけ辛い思いをしても…必ず京太郎君のそれを治してあげる」

京太郎「…ごめん。俺…」











やえ「良いよ。それより…」スッ

やえ「今日一日は私にくれるんだよね?」

京太郎「…あぁ。勿論」

京太郎「俺がやえさんに出来るのはそれくらいだからさ」

やえ「じゃあ…デートしよう?」ギュッ

やえ「…恋人みたいに手を組んで…映画やお店を回って…」

やえ「今日が終わるその時まで…一緒に…居て欲しいな」

京太郎「それくらいで良ければ…幾らでも」スッ

京太郎「…俺が忘れてもやえさんの方が忘れられないくらい」

京太郎「最高のエスコートをしてやるよ」

やえ「ふふ…期待してるよ♥」





























【System】
小走やえの愛情度がLv6になりました
小走やえは誕生日を恋人のように過ごせて満足だったようです
小走やえは告白の返事に手応えを感じているようです
最終更新:2014年01月29日 20:03