高校一年――4月

【高校一年 ―― 4月】

京太郎「(さて…今日から高校生…か)」

京太郎「(制服も阿知賀のに変わって…まだ妙に違和感がある)」

京太郎「(俺にとって制服って言えば阿太中のだったからなー…)」

京太郎「(肌にもまだ馴染まないし、どうにも緊張感というか固っ苦しさを感じる)」

京太郎「(ま…考えても見れば阿太中の時だってそうだったしな)」

京太郎「(きっと何れは慣れていくんだろう)」

京太郎「(それよりも…今は…)」

穏乃「やっほー!京ちゃん」

京太郎「おう。おはよう、しず」

憧「おはよう。京太郎」

京太郎「憧もおはよう。…つか、わざわざ起こしに来てもらって悪いな」

憧「別に良いのよ、中学の時からそれはあたしの仕事だった訳だし」

穏乃「私はお隣さんだから、すぐに起こしに来れるしね」

憧「…しずは寝坊助だから、あんまり信頼しない方が良いわよ?」

穏乃「…憧だってお家遠いんだし遅刻した時大変でしょ」

京太郎「…ん?」












憧「…別にあたしそんなに寝起き悪くないし、遅刻した時に大変なのはそっちも同じでしょ」

穏乃「私だってちゃんと目覚ましセットして起きるようにしてるもん」

京太郎「あー…二人共ってのはダメなのか?」

憧「…え?」

京太郎「二人の言い分は一理あるけど、でも、二人が来てくれたら問題ない訳だし」

京太郎「寧ろ、いまからの時間だったらどっちか片方を起こしに行く事だって出来るしな」

京太郎「それに折角、阿知賀に進学したんだし、また三人一緒の方が良いって」

憧「…はぁ…もう…」

京太郎「え?」

憧「全然、分かってくれてないんだから…」

京太郎「ダメか?」

穏乃「…ううん。ダメじゃないよ」

穏乃「私はそれで良い。…憧は?」

憧「…ここで嫌なんて言うほど子どもじゃないわよ」

憧「ただし…」ギュッ

京太郎「ん?」

憧「…登下校する時はこうやって腕を組む事」

穏乃「う…ず、ずるいよ!私もする」ギュッ

京太郎「お、おい…流石にこれはまずくないか?」

憧「あたしはもう周囲から付き合ってるって思われてるし…今更、離れてまた噂されるの嫌だし…」

穏乃「え…えっと、私は…えっと…ううーん…その…」

穏乃「…京ちゃんとこうしたいから…じゃ…ダメ…?」

京太郎「…ったく二人共そんな言い方したら断れないだろ…」

憧「断らせる気なんてないもの」

穏乃「…うん。折角…三人一緒になったんだし…ね」

京太郎「…分かった。でも…とりあえず朝飯食おうぜ」

憧「あ、じゃあ、あたしがあーんしてあげる」スッ

穏乃「わ、私も!!」ダッ

京太郎「い、いや…一人で食べられるから」

憧「京太郎はバターで良いんだよね」ヌリヌリ

穏乃「い、苺ジャムも美味しい…よ?」ヌリヌリ

京太郎「…お、おぉ…」

京太郎「…分かった。両方とも食べるよ…」















京太郎「よーっす」

α「うむ…今日も煩わしい太陽だな、ゼロってうぇ!?」

β「ん…?どうかしたのかαってはぁ!?」

京太郎「は、はは」

憧「…二人共おはよう」

穏乃「え、えっとえっと…おはよう」ペコン

α「…なぁ、須賀…」

京太郎「急に、真顔になるなよ…一応、これには理由があるんだって」

β「いや…まぁ、大体察する事が出来るけどな…でも、お前…」


ざわざわざわざわ


α「…周りの視線がやばい事くらい分かってるよな」

京太郎「分かってる。でも…仕方ないだろ」

憧「…そんなに嫌?」ギュッ

穏乃「ぅ…ご、ごめんね。でも…」ギュッ

京太郎「…分かるか?」

β「…だいたい、分かった。これは無理だわ」

α「あぁ…断れるはずないよなこんなの…」














α「一応、忠告だけはしておくがな…」

α「そうやって腕を組むにせよ…どちらか一人ずつにした方が良いと思うぞ」

α「そうでなければ深淵から闇の刺客が現れるやもしれん」

α「怖いぞ刺客は。なんせぶすっと行くからなぶすっと」

β「ま、俺らは今更、お前相手に妬みとか感じないけどさ」

β「ただでさえやっかみの対象になりやすい経歴をしてるんだ。色々と気をつけろよ」

京太郎「…あぁ。分かってる」

憧「…」ギュッ

穏乃「…ぅー」ギュゥ

α「さて…では、ジューンスコールのようなジメジメとした話は終幕としよう」

β「それより…クラス発表見にいこうぜ」

憧「あたし…京太郎と一緒のクラスだと良いな…」

穏乃「わ、私は違うクラスでもちゃんと毎日会いに行くよ!」

京太郎「はは。そうだな。そうならないためにも全員一緒だと良いな」

α「…あれ気づいてると思うか?」

β「あれで気づけるようならとっくの昔に新子に陥落してるだろ。本当に難儀な奴…」














京太郎「っと…どうやらクラスは…」

穏乃「皆一緒…」

憧「やった!やったぁ!京ちゃん!今年一年よろしくね!!」

京太郎「はは。喜びすぎだっての」

憧「…あ、あたしだってしずほどじゃないけど嬉しいんだからね…」

京太郎「分かってる。俺も嬉しいからそんなに拗ねるなって」

憧「ん…♪」

β「ま…男子少ないしクラスの数もそう多い訳じゃないしな」

α「いや、違うな」

β「ん?」

α「あの三人が一緒のクラスなのはまさに運命の導き…シュタインズゲートの向こう側にある真理だったのだ」

β「また訳のわからん事を…」

α「馬鹿にするなよ、我のこういう時の勘は当たるんだ」

α「あの三人はきっと高校三年間一緒のクラスになる」

α「アカシック・レコードにそう記されているのを我のルーンの瞳は見抜いているのだからな」ドヤァ

β「はいはい。…ま、俺としてはお前が一人だけ別クラスとかじゃなくてよかったよ」

α「え?」

β「お前ほっとくとその口調でからかわれてイジメられそうだからな…」

α「…β」キュン

β「おい馬鹿止めろ!そういう目で俺を見るな!!!俺にそういう趣味はない!!」

α「お、俺にだってない!ば、馬鹿にするなよ!!!」














【放課後】

穏乃「きょーぅちゃーんっ♪」ダキッ

京太郎「ってうわ…!ったく…しずぅ」ナデナデ

穏乃「えへへ…♪ね、部活行こ!」

憧「ふぅ…ホームルーム終わってすぐ京太郎の所に飛び出すんだから…」

京太郎「そう言いながら憧も俺のところに来てくれてるじゃないか」

憧「あ、あたしは…!その…だって…」モジモジ

京太郎「ん?」

憧「し、しずだけなんて…ずるい…し」ギュッ

京太郎「はは。憧も最近、人前で甘えるようになってきたな」ナデナデ

憧「誰の所為だと思ってるのよ…もう…」

α「おい、そこのピンクオーラトライセル」

β「いちゃついてないで早く荷物纏めて…部室行くんだろ」

α「というか我らは場所を知らないから案内してくれないと行けないぞ」

京太郎「おっと…そうだな。悪い。んじゃ…そろそろ行くか」

β「あぁ。それが良い。…ぶっちゃけ周りの視線もやばいしな」

α「このクラスにいる男がほとんど俺達だけって状態で良かったな…ホント…」

β「あぁ…慣れてる俺たちでもきついのに…耐性のない奴らなら血の涙を流してるところだ…」

京太郎「おーい、二人共とっとと行くぞー」











京太郎「…って言うか、今更だけどさ」

α「ん?」

京太郎「お前ら本当に阿知賀で良かったのか?」

京太郎「阿知賀に男はほとんどいないし…俺も出来ないから団体戦なんてほぼ無理だぞ」

β「馬鹿にするなよ。そんなもんとっくの昔に理解してるっての」

α「そうだ。そもそも…俺たちは団体戦に出たい訳じゃない」

β「お前と一緒に団体戦に出たいんだよ」

京太郎「お前ら…」

α「ま、それに阿知賀でも個人戦には出られるし…」

β「そうそう。無理に晩成に行ったりしなくても…って」

憧「……」ジィィ

穏乃「…ぅー」ジィ

α「…いや、別にそういう意味じゃないからな?」

β「重ねて言うけど俺たち別にホモじゃないから!!」

憧「…その割には三人仲よすぎじゃない?」

β「同性の友人なんてそんなもんだっての…」

α「つか、これでもお前らに対して遠慮してる方なんだけどな…」

憧「え?」

α「…おい、どうする。新子も意外とポンコツっぽいぞ」

β「新子は須賀の事が絡むととたんにダメになるからな…仕方ない…」

憧「べ、別にあたしダメでもポンコツでもないわよ…!」カァ

穏乃「うー…」

京太郎「はいはい。話に入れないのは分かるけど…何れは慣れるからさ」

京太郎「それまで俺が側にいてやるから安心しろって」

穏乃「…うん」

憧「あ…ま、またそんな…」

α「…ああいう事するからなー」

β「分かってないんだろうなぁアレ…」

京太郎「ん?何がって…あ、ここだここだ」ガララ

京太郎「おーいレジェンド。部員連れてきたぞー」











晴絵「うぇるかーむ」パーン

灼「…」パーン

宥「…え、えっと…あ、あれ…」ワタワタ

玄「あ、おねーちゃんこうするんだよ、ほら」パーン

宥「あ…出たぁ♪」

京太郎「…何やってるんだ?」

晴絵「え?歓迎の儀式に決まってるじゃないの」ドヤァ

京太郎「儀式ってお前なぁ…」

灼「…」イソイソ

京太郎「ほら、飛び散った紙を灼が一生懸命片付けてるだろ…」

穏乃「あ、灼さん手伝おうか?」

灼「ううん。良い。こうしてハルちゃんの後始末するのも幸せだから」ニコッ

α「おい、またなんかすげー濃いのが現れたぞ」

β「お前の中二病キャラなんてもう霞んでるな…って、ハルちゃんって事はやっぱり…」

玄「そう!何を隠そうここにおわすこの人こそ!」

宥「え…えっと…灼ちゃんのカンペ…あ、あった。あちがにこうりんしたいけるでんせつー」ボウヨミ

晴絵「赤土晴絵とは私の事よ!」バーン

α「あ、阿知賀のレジェンド…って事は…」

β「須賀の先代…」ゴクッ












晴絵「で、出来ればその名前で呼ばないで欲しいかなって…」

α「そ、そうか…やっぱり…」

晴絵「え?」

α「須賀みたいに異性に思わせぶりな態度を取って逆ハーレム狙ったり…」

β「無意味に男を誘惑してその気にさせたり…」

晴絵「え、ちょ、ちょっとまって…!な、ナニソレ…!」

α「え?だって、阿知賀のレジェンドってつまりニューレジェンド呼ばわりされてる須賀の元だった訳で…」

β「同じくらい男をとっかえひっかえしてるって訳じゃ…」

晴絵「ち、違うもん!そ、そもそも私、男と付き合った事なんて…あっ」カァァ

玄「え?」

宥「え?」

憧「え?」

穏乃「ぅ?」

灼「やっぱり…」

晴絵「わ、わわわわわ忘れて!い、今のなし!ノーカン!ノーカン!」

灼「ノーカン…ノーカン!」

晴絵「はい。皆も一緒に!ノーカン!ノーカンノーカン!!」

京太郎「…まぁ、こういう奴だ」

α「…なんというか…まぁ…」

β「…すげー残念な人なんだな…」











京太郎「でも…これでレジェンド含めて八人だ」

京太郎「とりあえず二つ卓を囲む事くらいは出来るだろ」

晴絵「そうだねー。でかした京太郎!」

京太郎「はいはい。それより…他には?」

晴絵「うーん…まぁ、初日だしね。それに…知名度もある訳じゃないし」

晴絵「これからに期待…かな」

京太郎「そっか」

晴絵「それじゃ…ミーティング前に自己紹介始めるよー」

晴絵「皆適当な席に座って…それじゃ灼から適当に自己紹介していこうか」

灼「…ん。鷺森灼、二年生。よろしく。趣味は…ハルちゃん」

α「…ハルちゃん?」

灼「ハルちゃんの事なら記事を集めるのも、お世話するのも、メールするのも何でも良い」

灼「それで…私は幸せだから」ニコッ

β「お、おおう…」

灼「…後、最近のマイブームは京太郎をイジメる事…かな」クスッ

京太郎「そんなのブームにすんなよ…」

憧「…あ、でも、分かるかも」

京太郎「同調すんなそこぉぉお!!」











玄「じゃあ、次は私だね」

玄「阿知賀二年生、松実玄。よろしくなのです!」

玄「趣味は…」ニヤリ

京太郎「…ハッ!おい、誰か玄を止め…」

玄「おねーちゃーんっ♪」モミ

宥「ひゃぅん♪」ビクッ

玄「こうやっておもちを愛する事…いひゃぅ!?」

京太郎「…くそ…遅かったか…」グッ

玄「い、痛いよ、京太郎君…」

京太郎「知るか。男の前でそういう事する玄が悪い」

玄「えー…でも…これが一番、分かりやすいかなって…」

京太郎「あぁ。これ以上ないほど分かりやすいだろうけどな」

京太郎「でも、それで恥ずかしい思いするのはお前だけじゃなくて宥さんの方もなんだよ!!」

宥「はぅぅぅ…」プシュウゥ

α「な、なんなんだ今のは…」マエカガミ

β「お、俺は何も見てない…見てないからさ…」マエカガミ










穏乃「あ…じゃあ、宥さん起きないし、次は私だね」

穏乃「高鴨穏乃だよ。二人とは何度か京ちゃん繋がりで会ってるよね」

穏乃「趣味は山登り!後は麻雀かな!」

穏乃「えっと…後は…うーんと…」

穏乃「あ、京ちゃんにぎゅってされるのが大好き!」ニコー

玄「ふぇっ!?」ビクッ

灼「…」ピクッ

憧「っ!?」

α「…なぁ、β」

β「あぁ」

α「…なんか俺たちすげー場違いじゃね?」

β「言うなよ…俺も少しそれを感じてるところなんだからさ」

京太郎「え?何が?」

α「分かってたつもりだけど、まさかこんなに多いなんて思ってなかったって事…」

β「つーか、お前どうすんだよ…マジで刺されるぞ…」

京太郎「刺される?え?誰に?」

α「いや…良い。それよりも…宥さんは固まってるし、次は俺らの…」

憧「い、いや…あ、あたしが行く」

β「いや…でも、俺らは新子の事大体知ってるし…」

憧「い、良いから!とにかく…やらせて…」

α「あー…うん。じゃあ…頼む」















憧「新子憧。二人とは中学一緒だったし大体、知ってるけれど…改めて自己紹介すると…」

憧「しゅ、趣味は麻雀と…あ、後…き…京太郎と二人っきりでのんびり…する…事かな」

灼「む…」

憧「い、一応、京太郎とは付き合っている事になるし…毎日お弁当作ったり…するのも苦じゃなくって…」

憧「部屋でギュってされながらナデナデされるのも…大好き…だし…」モジモジ

穏乃「ぅー…」

憧「しょ、将来、き…き…京太郎の…」

京太郎「俺の?」

憧「お、およ…およめ…さ……」ボソボソ

宥「はぅ!?」ビクゥゥ

憧「ふぇぇぇ!?」

京太郎「あ、宥さん…大丈夫か?」

宥「ぅ…ぅ…え?あ…あぅ…あの…」プルプル

京太郎「って…悪い。憧の自己紹介の途中だったな」

京太郎「それで…なんだったっけ?」

憧「もう何でもないわよぉ…」グスッ

京太郎「え…!?あ、憧…!?」

α「…うん。とりあえずお前は新子の側にいてやれ」

β「泣かせた責任くらいはちゃんと取ってやれよ…」

穏乃「ぅー…」モヤモヤ

灼「……」ソワソワ

晴絵「」ニヤニヤ














晴絵「それで次は宥だね」

宥「あ…ま、松実宥…三年です。どうかよろしくおねがいします」ペコッ

宥「えっと…それで…見て分かるかもしれないけど…私、寒いの苦手で…」

宥「夏場でもこんな格好してるけど…あの…」

宥「暑苦しかったら…ご、ごめんね…」フルフル

α「…いや、なんつーか」

β「色々あった所為で、別にそれくらいじゃ驚かないし…」

α「…なんかようやく良識ある人に会えた感すらあるからな…」

β「今までのが濃すぎたんだよ…いや、ホントマジで…」

宥「え?」

α「いや…ともかく…次は俺…いや、我だな!

β「あー…」

α「ふっ。我こそは深淵の縁より現代に蘇りし闇の深淵騎士 ―― ダークオブロードナイト ――だ!!」バッ

灼「あー…」

穏乃「わー」キラキラ

α「今でこそ生来の名としてαと名乗っているが、遥か前世の時代にはゼロと共に混沌覇王を相手にそれはもう大活躍して…」

玄「混沌覇王…なんだか強そうなのです…」

宥「こ、怖い…」プルプル

α「そう。そしてあのゴルゴダの丘争奪戦では一番槍を勤め、我が王を救おうとしたものの敵の策略によって破れ…」

穏乃「そ、それでそれで!」

β「いい加減、とまれ」ベシッ

α「痛っ…!!」

β「…はぁ。という設定を信じ込んでいるαだ。そんな悪い奴じゃないから安心してくれ」

β「で、俺がβ。須賀の奴とは一年の頃からの付き合いだ」

β「とりあえず俺含めαも全員の邪魔をするつもりはないから遠慮無く頑張ってくれ」

玄「ふぇっ!?」カァ

穏乃「ぅ…」モジモジ

宥「…はぅん…」プルプル

灼「…」ソワソワ















晴絵「じゃあ、もう全員終わったね。じゃあ、ミーティングしよっか」

晴絵「とりあえずこれからの方針だけど…」

穏乃「はい!」

晴絵「はい。穏乃」

穏乃「皆と相談したんだけど、団体戦にエントリーするのが良いかなって」

晴絵「なるほど…個人はほぼ捨てるって事?」

穏乃「うん。やっぱり和に会うならここにいる皆と一緒が良いなって」

晴絵「そうだね…確かに宥が今年で卒業って考えるとそっちに絞った方が良いかも」

穏乃「じゃあ…」

晴絵「うん。女子は団体戦にエントリーして…個人はなし。教えるのも団体戦のスキル中心で行こうか」

晴絵「で…男子の方だけど…」

α「あー我らにはお構いなく。適当に個人戦出て結果残してくるので」

晴絵「へー…随分と鼻っ柱は強いみたいじゃないの」

β「これでも一応、インターミドル覇者のレギュラーですから」

β「県予選レベルなら負けるつもりはサラサラありません」

晴絵「と言っても…ね。ちゃんと指導しとかないと保護者がうるさいし」

晴絵「大丈夫。この私にドーンと任せておきなさい」

晴絵「それにこの部には優秀な雑用がいる事だしね」

京太郎「ん?」














晴絵「で、京太郎のこれからの方針だけど…」

京太郎「おう。どうした?」ギュゥ

憧「はぅん…♪」

穏乃「むむ…」

灼「……」

玄「ぅ…ん…」

宥「…あったかくなぁい…」ショボン

晴絵「…とりあえず君は自分の周りの事をもうちょっと見ようか」

京太郎「え?」

晴絵「いや…まぁ…冗談はともかく」

晴絵「京太郎には皆に色々教えてもらおうと思ってね」

京太郎「ん?俺が?でも…」

晴絵「中学3年間で京太郎は大分、強くなったから」

晴絵「能力を抜きにしても、京太郎はこの中で随一の打ち手だと思う」

晴絵「牌譜とか見てると本当、隙がないしね」

晴絵「高校生の中で見てもかなり上位のものだと思うよ」

京太郎「そう…か?」

晴絵「うんうん。だから、私が指導出来ない子たちに京太郎が教えてあげて欲しいの」

京太郎「…まぁ、レジェンドがそういうってのならそれが一番なんだろうけど…」

晴絵「決まりね!じゃあ、今日から本格的に活動開始!」

晴絵「まずは全員の実力をちゃんと測り直したいから…半荘数回どんどん打ってくわよー!」

晴絵「この二ヶ月間で強くならないと…晩成に勝つなんてふつーじゃムリなんだからね!」

灼「…でも、そのふつーじゃないのを成し遂げたハルちゃんが…ここにいる」

憧「つまり全員がハルエに勝てるようになれば良いんでしょ」

晴絵「言うじゃない。さっきまで泣きべそかいてた癖に」

憧「ぅ…そ、それは良いから!」カァ

晴絵「ま、でも…そう簡単にはいかないよ」

晴絵「こちとらこないだまで日本リーグのプレーオフで打ってたんだし」

晴絵「まずは二ヶ月間…ひたすら相手してあげる!」
最終更新:2014年01月25日 13:31