中学三年――8月インターミドル決勝

【中学3年 ―― 8月決勝戦前夜】

京太郎「(…眠れない…な)」

京太郎「(明日は決勝戦なのに…俺…まったく…眠気がこない)」

京太郎「(牌譜検討会や準決勝の様子見てて…疲れてるはずなんだけどな…)」

京太郎「(…もしかしたら・・・その所為なのかも…な)」

京太郎「(準決勝で…江藤の奴…起親から全員飛ばしやがった…)」

京太郎「(しかも…全てツモってって言う…化物染みた打ち方で)」

京太郎「(俺には…あんな真似は出来ない)」

京太郎「(勿論…俺は強くなった)」

京太郎「(最初のインターミドルからは比べ物にならないくらいに)」

京太郎「(だけど…それでもあいつに…追いつけるだろうか)」

京太郎「(文字通り…人の領域の外にいるあの男に…俺は…)」

京太郎「(あー…くそ…一人でいるとどうしても暗い事考えちまう…)」

京太郎「(つっても隣のWのは爆睡中だし…他の部屋の奴は迷惑になるだろうしなぁ…)」

京太郎「(…時間もまだ遅い訳じゃないし…誰かに電話でもしてみるか…)」


2
末尾16:憧に電話
末尾27:しずに電話
末尾38:松実姉妹に電話
末尾49:灼に電話
末尾50:逆にこっちに電話が


































逆にこっちに電話が


京太郎「…って着信?」

京太郎「(こんな時間に誰からだ?)」

京太郎「(知り合いなら有難いんだけど…って…)」

+2
末尾偶数:レジェンドから
末尾奇数:やえ先輩から
































レジェンドから

晴絵「…やっほ。京太郎、起きてる?」

京太郎「おう。どうかしたか?」

晴絵「んやー…あはは…実は私、明日、女子の方の解説の仕事で…ね」

京太郎「…うん」

晴絵「寝なきゃいけないんだけど、眠れなくてどうしようかなって」

京太郎「だからって明日決勝戦の相手に電話してくんなよ」

晴絵「良いでしょー私と京太郎の仲なんだし」

京太郎「どういう仲だ…」

晴絵「キスしようとした仲じゃないの~もうっ♥」

京太郎「レジェンドが一方的にだけどな!!」






京太郎「まったく…ま、俺も眠れなかったから良いけどよ」

晴絵「やっぱり…不安?」

京太郎「そりゃあ…な」

京太郎「今までとは違って…相手はマジモンのバケモノだ」

京太郎「しかも、去年よりも遥かに強いと来てる」

京太郎「チームとして劣っているつもりはないけど…個人としてはちょっと自信がないかな…」

晴絵「…そっか」

晴絵「…ごめんね。私も京太郎の事…助けてあげたいんだけど…」

京太郎「忙しいんだろ?構わないって」

京太郎「つか、実業団入って解説の仕事やりながらでもこうして電話くれるだけで嬉しいって」

晴絵「ホント?」

京太郎「あぁ。ホントホント」

晴絵「ハルちゃんはやっぱりナンバーワン?」

京太郎「寝言は寝て言えレジェンド」

晴絵「ぅー…京太郎ってば素っ気ない…」

京太郎「知るか。人で遊ぼうとするからだろ」ハァ





京太郎「で…それだけなのか?」

晴絵「…素っ気ない上に要件まで急かして…」

晴絵「そんなやり方じゃ女の子にモテないぞ☆」

京太郎「安心しろ。こういうのはレジェンドにだけだ」

晴絵「酷い!?」

京太郎「…で、こんな時間に電話してきたんだ」

京太郎「本当にただ世間話がしたかったって訳でもないんだろ?」

晴絵「…うん」

晴絵「いや…その…ね」

晴絵「今年も…京太郎の力になりたいなって思って」

晴絵「あの江藤って子の公式戦ずっと見続けてたんだけど…」

京太郎「…レジェンド?」

晴絵「…京太郎。やっぱり…あの子と戦っちゃ…ダメ」

京太郎「…レジェンド、どうした?声が震えて…」

晴絵「アレは…ダメだよ。絶対に…ダメ」







晴絵「…あの子の打ち筋は…私にも見覚えがある」

晴絵「ずっと信じられなかったけど…怖かったけど…でも・・私…何度見ても…そうとしか思えなかった」

晴絵「今の彼は…最早、モノマネという領域から遥か超えた場所にいる」

晴絵「アレはもう…イミテーションだよ」

晴絵「それも…不気味なくらいにそっくりな…ね

京太郎「イミテーション…それは誰の…?」

晴絵「アレは…恐らく彼が知る最も強い人物」

晴絵「彼の…憧れの相手を…模倣しているんだと思う」

京太郎「憧れの相手…それってまさか…」

晴絵「…うん。今の彼は…師匠である小鍛治健夜プロの打ち筋をほぼ完璧にコピーしてる」






【万物の例長・イミテーション】
あらゆるものに先んじて、あらゆるものに長じる天性の才能。されど、それ故に唯一無二にはなれない魔物の証。
だが、彼は鏡である自身を受け入れ、唯一無二を超越した。
このスキルは今まで対局した中で、最も高い補正を持つ相手を一人選び、その補正値をコピーする。
このスキルは+-の両方を選べ、また-は相手全員に掛けられる。
現在は【小鍛治健夜】を選択されており、補正値は+100の-100となっている。
また相手が特殊勝利した場合、次の局で自身も特殊勝利する事が出来る。









京太郎「でも…小鍛治プロじゃないんだろう?」

京太郎「それなら問題はないよ。それに…俺は一度、小鍛治プロからだって和了ってるんだ」

京太郎「確かに手加減されてたけど…偽物相手に負けるつもりはねぇよ」

晴絵「…うん。だけど…もしかしたらソレ以上に質が悪いかもしれない」

京太郎「…え?」

晴絵「…彼の対局相手にも…いたのよ。京太郎と同じようなオカルト使いが」

晴絵「でも…彼は何もさせてもらえなかった」

晴絵「いえ…させてもらえなかったというよりは出来なかったって言ったほうが正しいんだと思う」

晴絵「まるでオカルトなんて最初からなかったかのように…普通に打たされていた」

晴絵「もしかしたら…模倣する以外にも何か目覚めているのかもしれない」







【破邪の鏡】
?????










晴絵「…正直…インターハイでも彼を相手に出来る雀士は殆どいないと思う」

晴絵「下手をしたら…プロだって歯がたたないかもしれない」

晴絵「そんな相手と闘う必要が…ある?」

晴絵「相手は…化物なんだよ」

晴絵「小鍛治プロのような…人間の範疇外にいる相手なんだ」

晴絵「対策とか…そんな事してもどうにもならない…本物の化物」

晴絵「それでも…京太郎は…戦いに行くの?」

京太郎「…俺は…」


+2
00~50 どう…だろうな
51~99 …レジェンドならどうしてた?
※男気により+10
































レジェンドならどうしてた?


京太郎「…レジェンドならどうしてた?」

晴絵「…え?」

京太郎「今のレジェンドがインターハイに戻って」

京太郎「もし、明日また小鍛治プロと戦わなきゃいけないとして」

京太郎「それでも…逃げるって言えるか?」

晴絵「それは…」

京太郎「…言えないよな。言える訳ねぇよ」

京太郎「だって…こんな夜中まで必死になって教え子の為に対戦相手研究して」

京太郎「データくれるような奴だもんな」

晴絵「ぅ…べ、別にそんな事ないし…」

京太郎「じゃ、どうしてこんな時間に電話掛けてきたんだよ」

晴絵「だ、だから…眠れなくて…」

京太郎「本当に眠れないなら酒でも何でも呑んでるだろ」

京太郎「でも、、レジェンド、シラフだし…そんなもん一発でわかるよ」







京太郎「…確かにさ。江藤の相手をするのは怖ぇよ」

京太郎「ぶっちゃけ去年の時点でも勝てるかどうかギリギリだった」

京太郎「今年は多分、無理なんだと思う」

京太郎「でも…さ。それでも…」

京太郎「…俺はエースで…レジェンドの教え子なんだよ」

京太郎「俺を信じてついて来てくれた仲間がいて」

京太郎「俺を応援してくれる友人がいて」

京太郎「俺を肯定してくれる先輩がいて」

京太郎「そして…俺を後押ししてくれる先生がいて」

晴絵「……」

京太郎「だから…俺は逃げねぇよ」

京太郎「どれだけ無様な結果になっても…俺はあいつと最後まで闘うさ」

晴絵「…ごめんね…」

京太郎「ん?」







晴絵「私が京太郎に麻雀教えていなかったら…きっと…」グスッ

晴絵「少しは…京太郎が背負っているものも…少なかったのに…」

京太郎「…馬鹿な事言うなよ」

京太郎「レジェンドが教えてくれなきゃ…俺は今、ここにいないっての」

京太郎「いや…もしかしたら麻雀すらやってなかったかもな」

京太郎「意外と俺って飽き症だしさ」ハハッ

京太郎「それに…今更、レジェンドと会ってない俺なんて想像出来ねぇって」

京太郎「それくらい…俺の中で麻雀ってのは染み付いてるんだ」

京太郎「…だから、寧ろ…有難う」

京太郎「俺に麻雀を教えてくれて」

京太郎「俺を…ここまで引っ張りあげてくれて」

京太郎「…本当に感謝してるんだ

京太郎「だから…そんな風に自分を責めたりすんなって」

京太郎「俺は…大丈夫だからさ」

晴絵「…本当?」

京太郎「本当本当。つか…一応、勝算はあるんだぜ」

晴絵「え?」







京太郎「詳細は言えないけどさ。でも…決して勝てない相手じゃないんだ」

京太郎「それを…信じてくれとは言わない」

京太郎「でも…今だけは泣き止んでくれないか?」

京太郎「結果は…俺が必ず明日出すから」

京太郎「勝つとは言わないけど…でも、決して負けて折れるような真似はしないから」

晴絵「…ふふ…そこは嘘でも勝つって言ってよ」

京太郎「悪いな。俺にとってレジェンドはそうやって格好つける相手じゃないし」

京太郎「つか、勝つって言ったらそれこそ嘘にしか聞こえないだろ」

晴絵「分かってないわねー女ってのは時々は優しい嘘が欲しい生き物なのよ」

京太郎「レジェンドは女っていうかレジェンドって生き物だから」

晴絵「え?酷くない?」

京太郎「悔しかったら女の色気一つくらい出してみろよ」

晴絵「あっはーんうっふーん♥」

京太郎「0点…つか、今時、小学生でもそんな事言わないぞ」

晴絵「えーじゃあどうすれば良いのよ」

京太郎「…笑ってろよ」

晴絵「え?」

京太郎「笑って…俺が精一杯あがくところ見てろ」

京太郎「んで…負けたらラーメンの一杯でもおごってくれればそれで良いよ」

晴絵「…ふふ」

京太郎「ん?」

晴絵「…分かった。ラーメンね」

京太郎「おう。トッピング山盛りでな」

晴絵「しょうがない。大人の色気の為にちょっと頑張りますか」

晴絵「…だから、京太郎も…頑張ってね」

京太郎「…おう。任せろ」









【中学3年 ―― インターミドル団体戦決勝】

京太郎「(アレから結局、レジェンドと明け方近くまで話してた)」

京太郎「(なんだかんだ言って…レジェンドから聞いた情報に俺は怯えていたんだろう)」

京太郎「(そんな俺に遅くまで付き合ってくれたレジェンドには頭があがらない)」

京太郎「(普段はすげー頼りない奴だけど…やっぱり年上なんだな)」

京太郎「(ラーメンおごれって話だったけど…やっぱりこっちから奢るのが筋かもしれない)」

京太郎「(ま…そもそも簡単に奢られてやるつもりはないけどな)」

青山「…よう」

京太郎「…おう。久しぶりだな」

青山「…そうだな。ようやく…ようやくここまで来れた」

青山「半年間…寂しかったぞ」

京太郎「…おい、俺にそんな趣味はないぞ」

青山「馬鹿。誤解するな。俺だって先生一筋だ」

青山「ただ…やっぱりお前しかいないんだよ」

青山「俺とガチで打てる奴ってのはさ」

京太郎「…」

青山「それに…前回、前々回とお互いに納得行かない終わり方だっただろ?」

京太郎「…あぁ。そうだな」

青山「…だから、決着つけようぜ」

青山「今度こそ…俺の勝ちって形でさ」

京太郎「ばーか。そう簡単に負けるかよ」



+2 京太郎(雀力10+能力補正20+土壇場5+フォア10-能力補正(青山)100)-52
+3 青山(雀力10+能力補正100-能力補正(京太郎)20)90
+4上原((雀力7-能力補正(京太郎)20-能力補正(青山)100))-113
+4A(雀力6-能力補正(京太郎)20-能力補正(青山)100))-114































京太郎 0 → 加速世界発動不能 → 0
青山 111 → 反転世界発動 61
上原0
A0


京太郎「(確かに青山の能力は強力だ)」

京太郎「(こうして打っていると…やっぱりその異質さが良く分かる)」

京太郎「(これは…小鍛治プロだ)」

京太郎「(この息が詰まるような苦しさは…間違いなくあの時感じたのと同じものだ)」

京太郎「(だけど…それと同じなら…俺が突破出来ない理由はない…!)」

京太郎「(鳴きの速度でこいつの能力を逆手に…)」

青山「…ソイツだ」カッ

京太郎「っ!」ゾッ

青山「…お前を攻略する上で一番、恐ろしいのがその速度だ」

青山「だから…貰うぞ。その能力」ジジッ

京太郎「…んな…!」



※須賀京太郎のスキル、加速世界が奪い取られました



青山「それで…ツモだ。1300・2600」

京太郎「…ぐっ…」

+2 京太郎(雀力10+能力補正20+土壇場5+フォア10-能力補正(青山)100)-52
+3 青山(雀力10+能力補正100-能力補正(京太郎)20)90
+4上原((雀力7-能力補正(京太郎)20-能力補正(青山)100))-113
+4A(雀力6-能力補正(京太郎)20-能力補正(青山)100))-114
































京太郎12
青山130
上原0
A0

京太郎「(ダメ…だ…どうなるとか…そういうレベルじゃない…)」

京太郎「(配牌が最悪な上に…鳴く事さえ封じられて…)」

京太郎「(何も…出来ない)」

京太郎「(唯一の救いは…青山に俺の能力が微かではあるものの聞いているという事)」

京太郎「(こいつの能力は…決して完全無敵って訳じゃない)」

京太郎「(付け入る隙ははっきりと…ある)」

京太郎「(だけど…そこに…どうしても手が届かない…)」

京太郎「(小鍛治プロのような圧倒的プレッシャーで…抵抗全てが飲み込まれていく)」

京太郎「(…どうしろってんだよ…こんなの…)」

青山「ツモ。3000・6000」






「先鋒戦前半終了ー!!」

「いやぁ…まさかここまでワンサイドゲームになるとは思いませんでした」

「江藤選手圧倒的です!あの須賀選手でさえ寄せ付けません!」

「強いというのは分かっていましたがまさかここまでとは…」

「前半戦が終わったばかりというのに全員の顔色は真っ青に近いです!!」

「唯一、マシなのは須賀選手でしょうか」

「それでも顔色は悪いみたいですが…」

「しかし、十分の休憩の後、また後半戦が始まります」






京太郎「(あー…くそ…ダメだ…)」

京太郎「(何とか出来ると…そう思ってた自分が馬鹿だった…)」

京太郎「(安手でたった一回の親流すのが精一杯とか…笑うしかねぇ…)」

京太郎「(しかも、一番、笑えるのは…次一回同じ事出来るか分からないって事だ)」

京太郎「(さっきだって…微かにあった勝機を何とか掴ませて貰ったようなもんだし…)」

京太郎「(…きっと…次は飛ぶ)」

京太郎「(…俺じゃなくても…上原かBの奴が…きっと飛ぶ)」








京太郎「(団体戦先鋒で10万点飛ばすとかどんなチートだよ…)」

京太郎「(これが…本物の魔物…か)」

京太郎「(俺なんかじゃ…本当に足元にも及ばないんだな…)」

京太郎「(小鍛治プロから一回和了れたからって…調子に乗ってた)」

京太郎「(思い返せば…アレはやえ先輩に手伝って貰ってギリギリなんとかなったんだよな)」

京太郎「(俺一人じゃ…どうにもならない)」


         ――    うに?


京太郎「(…無理だ。俺はもう決してあいつに勝てない)」


         ――   とうに?


京太郎「(既に点差は15万も離れてるんだ。どうにかなるようなもんじゃない)」


         ――  んとうに?


京太郎「(あいつらならきっと許してくれる。仕方なかったんだって言ってくれるだろう)」


         ―― ほんとうに?


京太郎「(…あぁ。そうだ。俺は全力を尽くした)」

京太郎「(俺に出来る全部を…使い果たした)」

京太郎「(でも、勝てない。届かない)」

京太郎「(…なら、仕方ないじゃないか)」








京太郎「(エースでも…出来ない事はある)」

京太郎「(俺だって食らいつきたい)」

京太郎「(諦めたくはない)」

京太郎「(だから…俺に出来る事なんてもう何もないんだ)」


      ―― ホントウに?


京太郎「(…)」


      ―― ホントウに?


京太郎「(…俺は)」


     ―― ホントウに?ソレでゼンリョクだったとイえるのか?


京太郎「(……全力…だった)」


     ―― エースとしてサイゴまでハタらけたか?


京太郎「(……)」


     ―― センパイたちにハずかしくないタタカいがデキたか?


京太郎「(…それは…)」


     ―― そんなにイッパイものをカカえてホントウにデキたのか?


京太郎「(…それでも!これは大事なものなんだ!!)」

京太郎「(俺が今まで皆から託して貰って…ここまで背負ってきたものなんだよ!!)」

京太郎「(それを捨てられるか…!?捨てられる訳ないだろう!!)」


       ―― それで、イッショウ、ウソをツくのか


京太郎「(っ…!)」


       ―― ホントウはカてたかもしれないのにワガミカワイサにマけたのだと


京太郎「(…違う…)」


       ―― ミンナのシンライをダマし続けるのか


京太郎「(…違う…!)」


    ―― ササげろ


    ―― オマエのイチブをササげろ


    ―― そうすればオマエはオいツける


    ―― ミンナのシンライをウラギらなくてスむ


京太郎「(……)」

京太郎「(……俺は…)」

京太郎「(……俺は…っ!)」











青山「(さて…そろそろ休憩時間も終わりか)」

青山「(だけど…退屈だな)」

青山「(須賀の奴…秋季大会から殆ど変わってなかった)」

青山「(俺はあいつに勝つために…必死に特訓したっていうのに…)」

青山「(あいつにとって俺は…そうやって必死になるような相手じゃなかったってことか?)」

青山「(あるいは…ここがあいつにとっての限界なのか)」

青山「(まぁ…良い。どちらにせよ…)」

青山「(次で…終わり…え?)」









京太郎「(…捧げれば…良いんだな)」

京太郎「(…それを捧げれば…俺はチームの皆に恥を欠かさなくて済むんだな)」

京太郎「(俺をエースと慕ってくれるあいつらを…泣かさなくて良いんだな)」

京太郎「(…それなら…持っていけ)」

京太郎「(だけど…それは決して俺の為じゃない)」

京太郎「(勝つ為でもない)」

京太郎「(チームのために…皆の信頼に応えるために)」

京太郎「(俺の一部をお前に捧げる。だから…!)」



         ―― あぁ…カとう


         ―― あのナマイキなカガミフゼイをタチキッてやろう


         ―― フみコえたオマエにはそのチカラがあるのだから


青山「(…須賀の奴の雰囲気が変わった…!?)」

青山「(…これは…去年のインターミドルの時と同じ…)」

青山「(いや…違う)」

青山「(あの時は…こんなに禍々しいものは感じなかった)」

青山「(恐ろしいものではあったが…こんな風に怖気が走るものじゃなかったんだ)」

青山「(だが…この空気が腐っていくような…悪寒は…)」

京太郎「……」ゴッ

青山「(須賀の後ろから…あの大蛇が…)」

青山「(…いや…前とくらべて…首が増えている)」

青山「(あれじゃ…まるで…本当に伝説の…ヤマタのオロチみたいじゃないか…)」






【貪欲の八つ首】
あらゆる感情を飲み、あらゆる感情を糧にする貪欲な魔物の証
自身に向けられる好意に気づけなくなる代わりに、攻略ヒロインの愛情度と思い出分の+補正を自身に掛け、また同じ分の-補正を相手全員に与える
また自身の雀力の上限を攻略完了ヒロイン×10まで引き上げる
※この効果により京太郎の雀力が105に上昇します













青山「(くっ…)」ビシッ

青山「(…良く分からないが…いまの一瞬で…上を行かれた…)」

青山「(…お陰で…鏡が破られて…封じておけなく…)」


※【破邪の鏡】
相手のスキルを一つ選択し、そのスキルを自身のスキルとして扱うことができる。
相手の雀力自分と同じか下の場合、そのスキルを封印する。


青山「(…だけど…今更…負けられるか…!)」

青山「(何が起こったのかは分からないが…リードはある!)」

青山「(それを活かせば…このまま勝ち抜けることは難しくない…!!)」

青山「(…勝つのは…青山だ…俺達だ…!!)」



+2 京太郎(雀力10+能力補正100+土壇場5+フォア10-能力補正(青山)100)19
+3 青山(雀力10+能力補正100-能力補正(京太郎)99)1
+4上原((雀力7-能力補正(京太郎)99-能力補正(青山)100))-192
+4A(雀力6-能力補正(京太郎)99-能力補正(青山)100))-193











































京太郎89 → 加速世界発動(200) → 290
青山 100 → 加速世界発動(200) → 反転世界発動(-50) 250
上原0
B0


京太郎「(…頭の中が軽い)」

京太郎「(なんだろうな…ふわふわして凄く自由な気分だ)」

京太郎「(今まで囚われてたものから開放されたっていうか…)」

京太郎「(今ならどんなことだって出来てしまえそうな気がする)」

京太郎「(心なしか…ふせてある山すら透けて見えるみたいだ)」

京太郎「(はは…そんなことねぇのにな)」

京太郎「(でも…それくらいすげー良い気分なことには変わりがない)」

京太郎「(…なんで俺こんな風になるのに悩んでいたんだろうな…)」

京太郎「(勝てるし気分が良いし…いいことづくめだったのに)」

京太郎「(もっと早く…こうなっておけばよかった)」

京太郎「(そうしたらあんな風に悩むことなんてなかったのにな)」

青山「…っ!」

京太郎「(あれ?江藤の奴なんであんなに青ざめてるんだろう?)」

京太郎「(…そんなに手が悪いのか?そんな訳ないよな)」

京太郎「(かなり高め張ってるのは目に見えてるし…)」

京太郎「(…って、あぁ、そうか)」

京太郎「(俺が先にツモ和了できるのが分かってたんだな)」

京太郎「(点数稼がないといけないし…ここは一応、和了っておくか)」

京太郎「ツモ。倍満だ」

+2 京太郎(雀力10+能力補正100土壇場5+フォア10-能力補正(青山)100)20
+3 青山(雀力10+能力補正100-能力補正(京太郎)100)10
+4上原((雀力7-能力補正(京太郎)100-能力補正(青山)100))-193
+4A(雀力6-能力補正(京太郎)100-能力補正(青山)100))-194
































京太郎 107
青山 106
上原0
A0


青山「(くそ…!なんなんだ…この須賀の強さは…!!)」

青山「(さっきまで俺が圧倒してたはずなのに…もう点数が追いつかれそうに…)」

青山「(他家を飛ばそうにも…完全に須賀の奴に卓を支配されてる…)」

青山「(何より…この禍々しさはなんだ…!?)」

青山「(呼吸する度に…肺が腐っていくようにさえ思える…)」

青山「(これが…本当に須賀から放たれているものなのか?)」

青山「(確かに…こいつは多少強くはあったが…それだけだ)」

青山「(他人を威圧するような禍々しさなんて思ってはいなかった)」

青山「(何より…こいつはもっと楽しそうに麻雀を打っていた奴だった)」

青山「(だけど、今は楽しそうというよりも…胡乱だ)」

青山「(ひたすら夢見心地で…楽しんでいる気配さえ見えない)」

青山「(これが本当にあの須賀なのか…?)」

青山「(これが…俺に麻雀の楽しさを…再確認させてくれた奴なのか…?)」

京太郎「ツモ」

青山「…あぁ…」






「なんという…なんという…」

「…誰がこんな決着を予想したでしょうか!」

「阿田峯の須賀選手!前半とは打って変わって果敢に攻め始めました!!」

「…まさかあの状態で青山に迫るとは思っていませんでした」

「しかし、お互い直撃は殆どなし!」

「他校から点数を奪った形になっています!!」

「これは…次鋒戦が勝負の鍵ですね」

「既に他校は飛んでもおかしくない領域に入っています」

「次鋒戦で青山学院が他校を飛ばすか、あるいは阿太峯が追いつくのか!!」

「では、運命の次鋒戦スタートです!!」

+2
00~30 他校が飛ばされ終了した
31~60 何とか差を縮めた
61~99 Wが逆転した
※雀力6能力10勝ち星10で+26されます






























Wが逆転した

W「(師匠の様子は途中から変だった)」

W「(まるで卓すらはっきり見えてないようにフラフラして…)」

W「(心配でつい側に駆けつけたくなったくらいだ)」

W「(だけど…師匠はそんな状態でも差を詰めて…)」

W「(きわどい部分だけど…バトンを渡してくれた)」

W「(なら…俺がそれに応えるしかないだろう!)」

W「(師匠の様子は気になるけど…でも、今はそれよりも…)」

W「(師匠が繋いでくれたバトンを…次へと確実に手渡すこと…!)」

W「(それも…できるだけ最高の状態で…!)」

W「(できるよな…いや…出来ないとは言わせないぞ…W)」

W「(そのために…師匠は今日まで俺のこと面倒見てくれてたんだ)」

W「(ここでその恩返しをしなくてどうするんだよ…!)」

W「(師匠の恩義に報いる為にも・・俺はここで必ず…勝つ…!)」

W「ロン!6400!!」








β「…凄いな。Wの奴」

京太郎「あぁ。ここに来てさらに一皮剥けたな」

京太郎「俺が不甲斐なかった分まで取り返してくれてる。凄い奴だよ」

α「…それは良いんだけど…さ。須賀…お前…」

京太郎「ん?」

α「…大丈夫なのか?その気分とかさ」

京太郎「あぁ。心配掛けて悪いな」

京太郎「でも、今はすげー気分が良いんだ」

β「…それなら良いけど…でも、無理するなよ」

α「あぁ。なにせ…お前の出番はまだあるんだからな」

京太郎「出番?」

β「…優勝インタビューだよ」

京太郎「それは気が早くないか?」

β「いや、早くなんて無いさ」

β「今から俺が優勝決めてくるからな」

α「出来なかったら?」

β「そうだな…帰りに全員分の荷物持ちしてやるよ」

α「よし!お前ら!上原とAを応援するぞ!!」

β「ちょ…!ば、馬鹿止めろよ!そういうの!!」

+2
00~30 逆転された
31~60 順調に点を削った
61~89 青山をさらに突き落とした
90~99 飛ばして終了
※雀力8能力10フォア10勝ち星10で+38されます
































β「(と明るく振る舞ったものの…だ)」

β「(…須賀の様子が明らかにおかしい)」

β「(本人は何でもないと言っているけど…明らかに空気が違う)」

β「(…正直、気味が悪いくらいだ)」

β「(須賀の皮をかぶった別の何かがあそこにいると言われても…信じられるくらいに)」

β「(けど…モニターを見てた俺達は知ってる)」

β「(アレは…間違いなく須賀だ)」

β「(他の何かじゃない…間違いなく…須賀京太郎そのものだ)」

β「(須賀を須賀たらしめている『何か』がズレてはいるものの…アレは須賀なんだ)」

β「(だからこそ…ここは速攻でケリをつける!)」

β「(あいつに何があったのか、確かめる為にも)」

β「(あいつを元に戻す手段を探す為にも…今は時間をかけてはいられない…)」

β「(幸いにして…俺は須賀ほどじゃなくても速攻が得意なタイプだ)」

β「(狙い撃ちと合わせれば…残り2万ちょっとを半荘二回の間に飛ばすくらい…!)」

β「…ロン!2600」

β「(…やってみせないと…な)」

β「(…最後のインターミドル、ほぼ出番なしで終わったαには申し訳ないけれど…)」

β「(…あいつもきっと納得してくれる)」

β「(だから…今は…)」












α「…よし。終焉の時を迎えたか」

α「W、Y、荷物をまとめろ。すぐにホテルに帰るぞ」

Y「了解です」

W「え…で、でもインタビューとか…」

α「良いんだよ、そんなもん」

α「それよりも牌譜検討やビデオチェックだ」

W「うへぇ…」

α「強豪校ってのはそんなもんだ。諦めろ」

α「(…ま、本当はもうちょっと優勝の余韻に浸らせてやりたいんだけどな)」

α「(特にWは初戦からずっと次鋒で頑張ってくれていた)」

α「(だけど…それに浸らせてやるほどの時間敵余裕が…俺達にはない)」

α「(それよりも…須賀の事が気がかりなんだから)」

Y「…そう言えば優勝旗の受取やらはどうします?」

α「そんなもんは監督にでもやらせとけ」

α「俺達は出来るだけ早く帰…」

「すみませーん!インタビュー!インタビューお願いします!!」

「一言!一言だけで良いんです!!須賀選手ー!」

「モブW選手からも一言!!一言よろしくおねがいします!!」

α「あー…来やがったか…」









京太郎「あ、じゃあ、俺が対応しとくからそっちは荷物纏めててくれよ」

α「いや…でも…」

京太郎「それに控室前にこんなにいられるとβが困るだろ?」

α「…たしかにな。でも…」

京太郎「大丈夫だって。一年二年とインタビュー受け続けてるんだ」

京太郎「ボロを出したりしないって」

α「…そういう意味じゃないんだがな…」

京太郎「ん?」

α「…いや…でも、お前が言うのが確かに最善だろうな…」

α「…悪いがこの騒乱を収める為に…頼む」

京太郎「あぁ。分かってる」ガチャ

「須賀選手!優勝おめでとうございます!!」

「先鋒戦お疲れ様でした!」

「やはり江藤選手は強かったですか!?」

京太郎「そうですね。やはり彼は一段飛び抜けていると思います」

京太郎「結局、先鋒戦での収支も何とかギリギリ勝てたって感じですし」

「なるほど。こうして三年で優勝できた気持ちを一言!」

京太郎「去年、二連覇を阻まれた青山学院に勝てて内心ほっとしています」

京太郎「これで先輩に怒られなくて済むので」

「はは。では、最後に今の心境を一番伝えたい人に一言!!」

京太郎「そうですね…」



+2
末尾16 幼馴染二人に
末尾27 助けてくれた姉妹に
末尾38 導いてくれた幼馴染に
末尾49 後押ししてくれた先輩に
末尾50 何時だって助けに来てくれた恩師に































後押ししてくれた先輩に

京太郎「…俺、一時期、江藤選手に勝てるかどうか分からなくて」

京太郎「凄い悩んでいた時期がありました」

京太郎「チームの為に自分が出来る事考えて雑用だけをやっていた月もあります」

京太郎「だけど…そんな俺がこうして江藤選手と戦えたのは」

京太郎「どんな結果になっても肯定するって…受け入れてくれるって」

京太郎「そう言ってくれた先輩がいるからです」

京太郎「多分、その人がいなかったら俺は今こうして優勝インタビューを受けている事はなかったでしょう」

京太郎「それくらいその人の言葉は俺にとって有難いものでした」

京太郎「それがいなかったら、俺はきっとあの土壇場で挫けていたでしょう」

京太郎「だから…ありがとうございます、先輩」

京太郎「先輩がいなかったら…俺、きっとダメになっていました」

京太郎「最後の支えになってくれてありがとうございます」

京太郎「(先輩として)大好きです!!」







【晩成控室】

やえ「…」

「…あれ?やえー?」

「テレビ見てたと思ったら急に固まった…」

「大丈夫?」

やえ「…・・わ」カァァァ

「…ん?」

やえ「わ、わわわわわわ…」プルプル

「え!?ちょ…ど、どうしたの」

やえ「ふわ…ふあああ…っ」ニヤァ

「あぁ!やえの顔がニンマリ笑顔に!!」

やえ「ふあ…あ…あわわわ…」ゴロゴロ

「と思ったら転がり出した!?」

やえ「えへ…えへへ…えへ…」ハッ

やえ「け、けいた…携帯…」プルプル

「お、落ち着いてやえ!携帯ポケットにないから!」

「確か試合の邪魔になるって言ってカバンに入れてたでしょ?」

やえ「そ、そか…じゃあ…か、カバン…」

「そ、そっちは私のだって!やえのはあっち!」

やえ「ご、ごごごめん!」

「…よっぽど嬉しかったんだろうなー」

「…何があったんだろうね?」

「さぁ。でも、面白そうだし、今は放っておこっか」

「うんうん。言及するのは落ち着いてからでも出来るもんね」

「…にしても今のやえ可愛いなー」

「あんなに乙女モード全開になるのって初めてかもなー…」






α「…お前ってさー…」

京太郎「え?」

α「いや…お前がタラシなのは分かってる話だけどさ」

α「…マジ刺されたりするなよ。そういうの後味悪いからさ」

京太郎「刺されるって?」

α「あぁ、ホントこれだから…」

α「…まぁ、刺される前に俺たちも何とかするけどさ」

α「ここまでやったんだから全員養うくらいの甲斐性は持てよ、お前」

京太郎「え?…あぁ…まぁ、甲斐性は持つつもりだけど…全員?」

W「先輩かっけーっす!全国放送で告白なんてマジリスペクトっすよ!!」キラキラ

京太郎「告白…?あぁ、まぁ、告白か」

W「俺も来年は先輩みたいになれたらなー!」

Y「…やめとけ。そもそも言う相手がいない」

W「そ、そんな事言うなよ!!俺だって来年には恋人の一人や二人…!」

京太郎「…はは」

京太郎「(…そうだな。何はともあれ…)」

京太郎「(このチームで優勝出来てよかった)」

京太郎「(後を託せる奴らがいて…一緒に歩んでくれた仲間がいて)」

京太郎「(最初の年とくらべても遜色ないチームだったからな)」

京太郎「(俺…先輩たちみたいにこいつらの事導いてやれたかは分からないけど…)」

京太郎「(…でも、優勝っていう結果を残せたのは嬉しかったな)」

京太郎「(…にしても…結局、あの時、俺は何を失ったんだ?)」

京太郎「(いや、そもそもあの時って…なんだ?)」

京太郎「(麻雀やってる途中から記憶がすっぽり抜け落ちてるんだけど…まぁ、いっか)」

京太郎「(それより…今は優勝した事を喜ぼう)」

















【System】
須賀京太郎の雀力が1あがりました
小走やえの好感度は99からあがりませんでした
コレ以上進めるのにはイベントを取る必要があります
最終更新:2014年01月24日 04:30