中学三年――7月イベント

【中学3年 ―― 7月】

京太郎「(さて、学校も終わって…夏休みになった)」

京太郎「(勿論、普通の学生であればここで遊び倒すんだろうけど…)」

W「うわー…嫌だーもういやだー」

W「合宿…止めろ…バスで寝泊まり…響くいびき…篭もる異臭…うっ頭が…」

α「…大丈夫か?」

β「あーついにWの精神にヒビが…」

Y「…大丈夫です。壊れるのも早ければ立ち直るのも早いのがWの特徴なので」サラッ

W「くそ!まるで俺が単純みたいな言い方しやがって!」ガバッ

Y「実際、それで立ち直ってるだろう」

W「う…そ、それは…」

Y「なら事実なのだから問題ないな」

W「くそー…」






京太郎「はは。まぁ、最近、毎日練習やら合宿やらだからな」

W「そうですよ!折角の中学生…しかも、夏休みなのに毎日、麻雀漬けだなんて!」

W「女の子との出会いもないなんてそんなのってあんまりですよ!!」

W「こんなの人の休みの過ごし方じゃないですよ!!」

Y「…世の中には休み中、ひたすら投下するような人種もいると聞くが」

W「え?投下?」

Y「いや…なんでもない。ただ…Wは女がいれば良いのか?」

W「そりゃ…まぁ、このむさっくるしい環境にも潤いが出てくるかなって」

α「なら、安心だな」

β「あぁ。一安心だ」

W「え?」







Y「…聞いていなかったのか?次の合宿相手は奈良王者の晩成だ」

W「え…?晩成って…」

α「高校だな」

W「え?い、いや、良いんですか!?」

β「大会規定には接触していないよ」

W「いや…そういう意味じゃなくて…えっと…」

京太郎「つまり中学校と高校で打って大丈夫かって事だろう?」

W「あ、はい。そうです」

京太郎「ま、その辺は大丈夫だ」

京太郎「やえ先輩…えっと、晩成の知り合いに聞いたけど、俺達の実力はさほど離れている訳じゃない」

京太郎「チームとしては劣っているけれど個々人の能力は決して引けをとるものじゃねぇよ」

α「ま、格上であることは否めないけどな」

β「ただ…これくらいの相手じゃないとそろそろ練習にもならなくなって来たからな」

Y「…だからって今の時期の晩成を引っ張ってくるなんてどんなコネなんですか」






α「その辺は同志ゼロの活躍のお陰だな」

京太郎「ちょ…馬鹿。言うなよ…」

W「え?それって…」

京太郎「…晩成からのスカウトに頼んだんだよ」

京太郎「進学するにあたって、まずそっちの実力が見たいんで男女合同で合宿させてくださいって」

Y「それが通ったんですか?」

京太郎「…通った」

W「すっげー!師匠マジすっげー!!!」

京太郎「俺も通るとは思わなかったんだけどな…晩成からのスカウトって去年からあってしつこかったし」

京太郎「てっきり断られると思ってたんだよ…」

β「ま、その辺はインターミドルチャンプって称号を甘く見た須賀のお陰だな」

京太郎「くっそー…たった一回チャンピオンになっただけなのに…」

Y「それでだけって言うのがおかしいと思いますが」

京太郎「…一番やべー奴が個人戦棄権してたんだ。だけって気になるのも仕方ないって」







W「で、そ、それよりですね!男女合同って事は…」

京太郎「あぁ。綺麗なお姉さんも一杯来るぞ」

W「いっよっしゃあああ!俄然、やる気が出てきた!!!!」

α「あ、そうだ。一つだけ言っておくぞ」

W「え?」

β「小走やえって人には絶対、ちょっかい出すんじゃないぞ」

W「え?その人ってどういう人なんですか?」

W「ま、まさかその筋の人とか…?」ブルブル

α「あぁ、違う違う。そういうんじゃない」

β「寧ろ、すげー優しくて、良い先輩だよ」

α「ま…会えば分かるさ。会えばな」

W「???」






【晩成高校】

やえ「…須賀っ」パァァ

京太郎「あ、小走先輩。久しぶりです」

やえ「あ、あぁ…そうだな。ひさし…ぶりだな」チラッ

京太郎「…やえ先輩って呼んだ方が良いですか?」

やえ「そっちの方が…その嬉しいかな…」

京太郎「じゃあ…やえ先輩」

やえ「…うんっ♪」

W「あー…」

α「…分かったか?」

W「分かりました。アレは…アレですね」

β「アレだ。悲しいけど…アレだ」

W「…師匠ってどれだけフラグ体質なんですか…」

α「さぁな。前世では100の女性を自らの為にはたらかせていたが」

W「前世?」

β「まぁ…1説には7人だの8人だの10人だの言われてるな」

W「それで気づいてないんですか…」

β「本人は恋人いないって言ってるからな…」

W「…男の敵ですね」

β「あぁ、敵だな…」







やえ「あ、それよりも…まずは案内が必要だろう?」

やえ「差し支えなければ私がやろうか?」

京太郎「良いんですか?」

やえ「勿論。それくらいお安い御用だ」

やえ「と言うか…出来るだけ須賀に早く会いたくてな」

やえ「私からその役目を買って出たんだ」

京太郎「まったく…やえ先輩は晩成のレギュラーなんでしょうに」

やえ「エースなのに雑用やっている須賀にだけは言われたくないぞ」クスッ

京太郎「あ、アレは息抜きなんですよ」

やえ「じゃあ、私も息抜きだ。問題はないな」ニコッ

京太郎「ぅ…それは…」

やえ「ふふ…それに好きでこういう事をやっているんだ」

やえ「須賀とお揃いと…そう思うのはいけない事かな?」

京太郎「…そういうのずるいですよ」








W「…すみません。俺たち目の前でずっとあの砂糖空間見せつけられなきゃいけないんですか?」

β「言っとくがアレでもまだマシな方だぞ」

α「あぁ。新子の奴がまだ着いてないみたいだからな」

β「…これが三人揃うとちょっとした異空間になる」

Y「…今でもあの二人にこちらは眼中にないようですが」

α「ま…久しぶりに邂逅なんだ多目に見てやれ」

W「いや…俺達は良いんですけどね。良いんですけど…」チラッ

「うぅ…こんなむさ苦しい遠征の果てにあんな光景を見せつけられるなんて…」

「これがリア充か…※ただイケの力か…!!」

Y「…後ろの方の心が割りと折れかけています」

α「しっかりしろ!今、回復魔術を掛けてやるからな!!」

β「まぁ…耐性ないとアレはきついわな…」

β「俺たちも一年の頃の新子で慣れてなきゃああなっていたかもしれない…」

α「…言うなよ、そういう事…」

β「…悪い…」

京太郎「あれ?後ろ遅れてるぞー」

京太郎「相手さん待たせてるんだ。早くしないと…」

α「あぁ…そうだな」

β「そうなんだけど…お前が言うな」

京太郎「え?」







【夜】

京太郎「(合宿そのものは割りと上手くいった)」

京太郎「(幾ら晩成が強いと言っても、今の俺達はインターミドルでも有数のチームだ)」

京太郎「(まだWとYが未完成なだけに不安定ではあるが)」

京太郎「(チームとしての収支を上回った事は何回もある)」

京太郎「(WとYにも自信がついたみたいだし、牌譜検討会で安定性も増したような気がする)」

京太郎「(…気が進まない合宿ではあったけれど、+になったようでよかった)」

京太郎「(ただ…そんな合宿も今日で終わり)」

京太郎「(今は壮行会として…皆で鍋を囲んでいる真っ最中だ)」

京太郎「(数日一緒だった所為か、部員たちも晩成のレギュラー達相手に気兼ねなく話しかけている)」

京太郎「(Wは晩成女子部員に声を掛けて振られる作業を繰り返しているみたいだけれどさ)」

京太郎「(ただ…俺は…)」








やえ「…須賀君」

京太郎「あ…やえ先輩」

やえ「…こんなところに居たんだ」

京太郎「はは。ちょっと今は騒ぐ気分にはなれなくて」

やえ「…不安?」

京太郎「…はは。やえ先輩には隠せそうもないですね」

やえ「そりゃね。一年とは言え、君の先輩だった訳だし」

やえ「今も…私は先輩のつもりだよ」

やえ「…隣良いかな?」

京太郎「どうぞ」

やえ「ありがとう」ヨイショ

やえ「で…不安なのは青山の事?」

京太郎「…はい」





やえ「…須賀君でも勝てそうにない?」

京太郎「…去年までなら良い勝負は出来たと思います」

京太郎「でも…今年はどうか分かりません」

京太郎「そもそも…俺は去年の秋季大会の頃からまったく強くなれていないんです」

京太郎「今も成長しているであろうあいつに…今年勝てるかどうかは…」

京太郎「かなり…分が悪いと…そう思います」

やえ「…そっか。で…本題は?」

京太郎「え?」

やえ「…それが不安ってだけじゃないんでしょう?」

やえ「それだけなら皆相手に距離を離す必要はないもんね」

京太郎「…でも…」

やえ「どんな突拍子もない話でも良いから…話してみて」

やえ「私は絶対、須賀君の事笑ったりしないから」

京太郎「先輩…」






京太郎「…俺…強くなる方法があるらしいんです」

京太郎「もう打ち止めだと思ってる俺にまだ伸び代があるらしくて…でも、俺…」

京太郎「…それを拒絶…しました」

やえ「…どうして?」

京太郎「そうやって強くなるには俺の中の大事なものを犠牲にするかもしれないらしくて…」

京太郎「でも、俺…先輩たちから託されたものが沢山あって…」

京太郎「それをなくしたら俺じゃなくなるって思ったから…」グッ

やえ「……」

京太郎「でも…インターミドルが近くなって…俺、思うんです」

京太郎「本当に今のままで良いのか…それは我儘じゃなかったのか…」

京太郎「もし…俺の所為で青山に負けてしまったら後悔しないだろうか…」

京太郎「…そんな事を…最近…ずっと思うんです…」

やえ「…そっか」

やえ「…だから、気まずくて皆のところに戻れなかったんだ」

京太郎「…はい…」






やえ「そうだね…私にはそんな須賀君に何を言ってあげれば良いのか分からない」

やえ「でも…一つだけ確かに言える事があるよ」

京太郎「え?」

やえ「きっと…今の皆ならば大丈夫だって事」クスッ

やえ「…今の君の周りにいる皆は…良い子ばっかりだよ」

やえ「最初の年と変わらない…ううん。ソレ以上に立派なチームになってる」

やえ「少しだけ…羨ましいくらいに」

京太郎「…先輩?」

やえ「きっと君の分のミスは他の皆がフォローしてくれる」

やえ「須賀君が出来なかった分、皆が取り戻してくれる」

やえ「…あのチームを見ていると…私はそう思えるよ」

京太郎「…だけど…」

やえ「それでも…皆に申し訳ない…そうならないといけないって思うなら…」スッ

やえ「私が…全部集めてあげる」

京太郎「え?」








やえ「君が失った分は私が拾い集めてあげる」

やえ「君が失くした分は私が探してきてあげる」

京太郎「…先輩…」

やえ「もしダメだった時は私が慰めてあげる」

やえ「後悔した時は懺悔を聞いてあげる」

やえ「だから…君の好きなようにやりなさい」

やえ「どんな選択でも私は絶対に肯定してあげるから」

やえ「そしてそれによって失ったものを私が補填してあげるから」

やえ「…だから…その時だけで良い」

やえ「君が後悔しないとそう思えるものを選べば良いよ」ナデナデ






京太郎「なんで…ですか?」

やえ「ん?」

京太郎「…どうして…俺にそこまでしてくれるんですか?」

京太郎「この前の事だってそうですし…俺そんな風にやえ先輩にしてもらえるような何かがあるなんて…」

やえ「そうだね…理由は色々あるけど…」

やえ「…一番は君が放っておけないから…かな」

京太郎「…俺が?」

やえ「うん」

やえ「なんていうんだろうね…うん。そう」

やえ「…頼れそうで時にヘタレて…素直なようでたまに意地を張って」

やえ「強いようで弱くて…優しいようでたまに意地悪で…」

やえ「子どものようで大人で…可愛いようで格好良くて…」

やえ「そんな君から…目が離せなくなっちゃったから…かな」カァ






やえ「だから…だから…ね」

やえ「私…須賀君に晩成に来て欲しい」

京太郎「…え?」

やえ「私…もっと君の事を見ていたい」

やえ「もっともっと…頼って欲しい」

やえ「もっともっと鍛えてあげたい」

やえ「もっともっと…一緒にいたい」

やえ「…勿論…私達が一緒にいられる時間は一年だけで…それはきっと私の我儘なんだと思う」

やえ「でも…決して後悔はさせない」

やえ「晩成に来てよかったって…必ず須賀君にそう思って貰えるようにする」

やえ「だから…心の片隅で良い。覚えておいてくれないかな?」

やえ「私が…晩成で君の事待ってるって言う事」

京太郎「…やえ先輩…」







やえ「あはは…ちょっと卑怯だね…ごめん」

やえ「でも、もし晩成に来てくれなくても…私は君の為に最善を尽くすよ」

やえ「…約束する。小走やえは…必ず君の最後の希望になるって」

やえ「だから…インターミドル頑張ってきてね」

やえ「どんな結果になっても…必ず私は受け入れるから」

やえ「私だけは…君の事慰めてあげるから…ね」

京太郎「やえ先輩…俺…」

やえ「あ、返事は良いよ」

やえ「今はそういうの考えられないだろうし」

やえ「私も…今、ドキドキしちゃってて冷静に聞けないと思うから」

やえ「だから…その…もう行くね」カァァ

やえ「じゃ…その…またね」

京太郎「…っ!」



>>+2
00~50 ……
51~99 待って下さい
※男気、想い合う仲により+13








>>待って下さい

京太郎「待って下さい」

やえ「え?」

京太郎「…そういうの…卑怯ですよ」

京太郎「自分だけ…言いたいこと言って…去っていくなんて」

やえ「ぅ…だ、だって…」

やえ「私…顔赤いし…恥ずかしいし…」

京太郎「知りませんよそんなの」ギュッ

京太郎「俺…一方的にやられっぱなしなんて性に合わないんです」

やえ「ぅ…じゃあ…どう…するの?」

京太郎「…決まってます。俺も…約束するんですよ」

やえ「え?」






京太郎「俺も…同じです」

やえ「…同じ?」

京太郎「はい。やえ先輩も…インターハイ頑張ってください」

京太郎「俺…応援していますから」

京太郎「いえ…応援してるだけじゃなくて…その隣の舞台で…俺も必ず結果を出してみせます」

京太郎「やえ先輩の後輩として…恥ずかしくない結果を…必ず」

京太郎「だから…やえ先輩も頑張ってください」

京太郎「それでもダメで…結果出なかったなら…」

京太郎「俺が…慰めにいきますから」

京太郎「やえ先輩が辛い時は必ず…側にいるって約束しますから」

やえ「…っ」カァァ






やえ「もう…こ、後輩の癖に生意気…」カァァ

京太郎「はは。残念ですけど…俺はたまに子どもっぽくなるようでして」

やえ「ぅー…」カァァ

京太郎「…嫌でした?」

やえ「…嫌じゃないから困ってるのよ…もぉ…」カァァ

京太郎「はは。嫌じゃないなら良かった…って」~♪

やえ「…あ、この音…」

京太郎「…なんでしたっけ?」

やえ「フォークダンス。もう…誰が持ち出してきたんだろ…」

京太郎「あー…Wの奴ですね。必死にダンス頼み込んで断られてます」

やえ「ふふ…そんなにダンスしたいんだ」

京太郎「ま、男ばっかりの合宿続きだったんであいつも浮かれてるんでしょう」

やえ「…須賀くんも浮かれてる?」

京太郎「そりゃ…まぁ。こうしてやえ先輩の手を握ってる訳ですし」







やえ「…そか。じゃあ…じゃあ…ね」スッ

京太郎「え?」

やえ「一曲…踊ってくれない?」

京太郎「良いんですか?俺、踊り方なんれ殆ど知りませんよ」

やえ「大丈夫。私も知らないから」

やえ「…でも、須賀君と踊りたいの」

やえ「…ダメかな?」

京太郎「…俺で良ければ…是非とも」スッ

やえ「あは…なんだか…緊張するね」

京太郎「大丈夫ですよ、別に誰も見てませんし」

やえ「…そういう意味じゃないのに…」スネー

京太郎「…え?じゃあ…どういう事ですか?」

やえ「教えてあげない。悔しかったら自分で考えなさい」クスッ


















【System】
小走やえの思い出が12になりました
小走やえの好感度が14あがりました
小走やえの現在の好感度は99です

須賀京太郎の男気が3あがり、補正がMAXになりました
最終更新:2014年01月24日 03:43