中学二年――3月ホワイトデー

【中学二年 ―― 3月第二週(イベント)】

京太郎「(アレから…鷺森の事、色々考えた)」

京太郎「(俺にとってあいつは一歳年上なだけなのにすげー年上ぶった奴で…)」

京太郎「(俺の事可愛いって言って…何時も余裕見せて…)」

京太郎「(んで…すげー頼りになる奴だった)」

京太郎「(麻雀や勉強以外で言えば…俺が一番頼りにしてるのはきっと鷺森なんだろう)」

京太郎「(でも…多分…それじゃ足りないんだ)」

京太郎「(多分…鷺森が俺に望んでいるのは…そういう言葉じゃない)」

京太郎「(あいつは…きっと俺に何かを期待してくれているんだ)」

京太郎「(それが一体…どういうものなのかは俺には分からない)」

京太郎「(でも…)」スッ

京太郎「(鷺森から貰った…チョコレート…)」

京太郎「(これを…何とも思ってない相手に渡すのか?)」

京太郎「(わざわざ作りなおしてまで…イベントから二週間も過ぎた後に)」

京太郎「(それも…わざわざ外に持ち出して…出歩いて…さ)」

京太郎「(何時俺に会っても良いように…準備してたんじゃないのか?)」

京太郎「(俺が来てくれるのを…あいつも内心…期待してたんじゃないのか?)」










京太郎「(俺にその期待は分からない)」

京太郎「(でも…あいつが俺の事をすげー大事に思ってくれているのは分かる)」

京太郎「(だから…俺は…それに応えないといけない)」

京太郎「(今まで気恥ずかしくて言えなかった事…)」

京太郎「(分かってたけど…伝えられなかった事)」

京太郎「(全部が全部…ひっくるめて…鷺森に伝えるんだ)」

京太郎「(じゃないと…このままじゃ俺格好悪過ぎるだろ)」

京太郎「(こんなにまでしてもらって…何時も頼りにしてるのに…)」

京太郎「(肝心なところで…あいつの期待に応えられないなんて…さ)」

京太郎「(勿論…そうやって色々伝えるのは恥ずかしいけど…でも…)」

京太郎「(あいつ…最後震えてた)」

京太郎「(まるで…自分の内側から声を絞り出すように…震えていたんだ)」

京太郎「(そんな鷺森の前で…意地なんか張ってられるかよ)」

京太郎「(恥ずかしくても…何でも…俺は…あいつに伝えるんだ)」

京太郎「(俺が思っている事全部…あいつが…また何時もみたいに笑えるように)」










【鷺森レーン】

京太郎「(…って事で来た訳だけれど…)」

京太郎「(鷺森の奴から…まだ連絡ないな…)」

京太郎「(仕事が暇になったら呼んでくれって…そうメール送ったし…返事も来たんだけど)」

京太郎「(ここから見る限りじゃ…客なんて殆どいないんだけど…)」

京太郎「(何時もみたいに受付に座ってる訳でもないし…あいつ何をやってるんだ?)」

ブルル

京太郎「(あ…メールか)」

京太郎「(えっと鷺森から…こっちに来いって?)」

京太郎「(ここ…もしかして…)」

京太郎「(…いや、考えるのは後だな)」

京太郎「(とりあえず指定された場所に行こう)」

京太郎「(…あんまりここでうろちょろしてるのも不審者丸出しだしさ)」

京太郎「(実はさっきから視線がズキズキと来てるし)」

京太郎「(うん。そりゃな、外から中の様子チラチラ伺ってたらそう見られるよな…)」

京太郎「(メールの返事が来て待ちきれなかったとは言っても…流石に痛い行動だった…)」

京太郎「(ま、後悔しても仕方ないし…何より)」

京太郎「(…今からするのは…下手したら痛いじゃすまないかもしれないからなぁ…)」










【鷺森家】

京太郎「(さて…指定された場所に来た訳だけれど…)」

京太郎「(表札には見事に鷺森って書いてあるな)」

京太郎「(…うん。ここまで来れば俺にも分かるぞ)」

京太郎「(ここは鷺森の家って事だな!!!)」

京太郎「(いや、まぁ…ね。その…そりゃそうだよな)」

京太郎「(幾らあいつが座敷わらしみたいに外見変わってなくても流石にボウリング場で寝てる訳じゃあるまいし)」

京太郎「(他に実家があるのは当然なんだろうけどさ)」

京太郎「(…でも、俺…そんな事も知らなかったんだな)」

京太郎「(いや…正確には知ろうともしていなかったんだろう)」

京太郎「(あいつが悩んでた事も知らなかったように…俺頼ってばかりで…)」

京太郎「(いや…ネガネガするのは止めだ)」

京太郎「(今はそれより…)」ピンポーン

京太郎「……」

京太郎「……」

ガラガラ

京太郎「」ビクッ

灼「…京太郎?」

京太郎「お、おう…」





灼「…どうぞ。入って」

京太郎「あ…お、お邪魔…します」

灼「大丈夫。今日、誰もいないから」

京太郎「そ、そう…か」

灼「うん。…あ、お茶淹れるね」

京太郎「あ、いや…そんな気を遣わなくても…」

灼「私がしたいの。あ、悪いけど、その辺、座っててくれる?」

京太郎「あぁ…」

京太郎「(…こうして見ると鷺森の様子は何時もと変わらない)」

京太郎「(俺が知る…鷺森灼の姿そのままだった)」

京太郎「(だけど…だからこそ、違和感というか…痛々しさを感じる)」

京太郎「(この前…あんな風に別れたばっかりに…普通である事が無理している証のような気がして…)」

京太郎「(俺は…)」




灼「はい。どうぞ」コトッ

京太郎「お、おう…ありがとうな」ズズッ

京太郎「あちっ」

灼「ふふ…京太郎は猫舌だからね」

京太郎「…お前、分かっててこれ淹れたのか?」

灼「まさか。まぁ…熱いって言わないとそうなる気はしてたけど」

京太郎「まぁ…そそっかしい俺が悪いんだけどさ」スネー

灼「ふふ…拗ねない拗ねない。撫でてあげるから…ね」

京太郎「い、要らねぇよ。そんなの」カァァ

灼「…そっか。そうだよね」

京太郎「…ん?」

灼「…ごめん。調子に乗っちゃって…」

京太郎「…鷺森?」







灼「…ううん。何でもない」

灼「それより…ここに来たって事は…答えを聞かせてくれるんだよ…ね」

京太郎「…あぁ」

京太郎「俺なりに…一生懸命、考えたよ」

京太郎「鷺森に言われた通りに…出来るだけ…自分の頭で」

京太郎「それで…まぁ…納得が行く答えではないけれど…俺なりに一応…答えらしいものは見つけた」

灼「…そっか。じゃあ…それを聞かせてくれる?」

京太郎「…あぁ。俺は…」

>>+2
00~50 鷺森の事を大事に思ってる
51~99 『灼』の事を大事に思ってる

































>>『灼』の事大事に思ってる

京太郎「『灼』の事大事に思ってる」

灼「…え?」

京太郎「その…今まで言えなくて…ごめんな」

京太郎「…色々と…さ。恥ずかしくて…そういう仲じゃない…なんて思って」

京太郎「でも…違うよな。そういう…近しい仲だからこそ…俺はもっと早く…こうして踏み出しておくべきだった」

京太郎「俺は…灼って前々から呼びたかったし…その…本当に感謝してるんだ」

灼「あ…」ジワッ

京太郎「え!?あ、灼!?」

灼「…んで…」

灼「なんで…そんな…今頃…」ポロポロ

京太郎「…今頃…か。確かに今頃だよな…」

京太郎「でも…俺、灼に言われて気づいたんだ」

京太郎「俺、灼にされてばっかりで…何も返せていないって」

京太郎「恥ずかしがるだけで…お前の悩みも何も聞けていないって」







京太郎「…だから、俺は…灼にそれを返したい」

京太郎「お前の悩みを知りたい。お前の頼りにされたい」

京太郎「そして…お前の事を知りたい。」

京太郎「灼って呼び方は…その決意表明というか…さ」

京太郎「俺がお前の事…大事に思ってるって言うか…そういうのの…証って言うか…」

京太郎「…上手い事言えないけど…でも…まぁ…その…つまり…」

京太郎「…俺は灼の事が好きなんだよ」

灼「ふぇっ!?」カァァァ








京太郎「だから…教えてくれないか?」

京太郎「俺がまだまだ頼りないと思う。きっとお前の横には並べないんだろう」

京太郎「だけど…それでもお前を少しでも支えられると…そうなりたいと思ってるから」

京太郎「…教えてくれ、灼は…俺に何をされたいんだ?」

京太郎「今…泣いているお前に俺は何をしてやったら良い?」

灼「あ…ぅ…そ、それは…そ、の」ギクシャク

京太郎「…それは?」

灼「あ、いや…ぅ…だ、だから…」モジモジ

京太郎「だから?」

灼「…えっと…う…あぅぅぅ」プシュゥゥ

京太郎「…あれ?灼?大丈夫か?」ガシッ

灼「はぅぅ…っ」プルプル






灼「…ハッ」

京太郎「…気づいたか?」

灼「え…?あれ…私…どうして…」

京太郎「ん?思い出せないか?」

灼「…う…ん…何か…良い夢を見てたのは覚えてるんだけど…」

京太郎「…夢?」

灼「…うん。京太郎に灼って呼ばれて…す、好きって…い、言われて」カァァ

京太郎「…いや、別にそれ夢じゃないぞ」

灼「…嘘。京太郎が…あんな事言ってくれるはずないもん…」

灼「ずっと私だけ鷺森って呼んで…まったく…意識してくれなくて…」

灼「その間に…どんどん憧やあの小走って人と仲良くなって…」

灼「穏乃も…自分の気持ちに気づいて…だから…私…諦めなきゃって…」

灼「今の内に諦めてあげなきゃ…京太郎が辛いって…」

京太郎「あー…そっか…そんな風に思ってたのか…」ナデナデ

灼「ん…ぅ」ポワァ

京太郎「…ごめんな。俺がヘタレな所為で…灼の事そんなに追い込んで」

京太郎「でも…俺は灼の事だって大事なんだぜ」

京太郎「憧やしずとも変わらない…俺の本当の友達だって思ってる」







灼「友…達…?」

京太郎「あぁ。友達。…それじゃダメか?」

灼「…ううん…今は…それで良い…」

京太郎「そっか…」

灼「でも…もし…私が我慢出来なくなったら…」

京太郎「できなくなったら?」

灼「責任…取ってくれる…?」

京太郎「ん…よく分かんないけど…灼がそういうなら…幾らでも」

灼「…嬉しい…」

京太郎「…そっか」ナデナデ

灼「ん……♪」

京太郎「…」

灼「…」

京太郎「…」

灼「…」カァ

京太郎「ん?」

灼「あわ、あわあわわわあわわわわわ」フルフル

京太郎「あれ?」









灼「き、ききききき京太郎!?」カァァァァ

京太郎「おう。俺だぞ」

灼「え?え?えぇぇ!?」フルフル

灼「い、今の…聞いてた?」

京太郎「え?そりゃ聞いてたに決まってるだろ」

灼「え…あ…あぅぅ…」プシュウ

京太郎「はは。でも、まさか灼も俺の事そんなに大事に思ってくれてるなんてな」

灼「う…そ、それは…その…本気にした京太郎が…」カァァ

京太郎「幼馴染冥利に尽きる話だよ」

灼「…幼馴染?」

京太郎「あぁ。だって、灼と会ったのは憧やしずとそれほど大差ないしさ」

京太郎「灼も立派な幼馴染だろ」

灼「幼馴染…幼馴染…ふふ…ふふふふふ…」

京太郎「…あれ?灼?」









灼「京太郎、私…男だったらやっぱり熱いお茶くらい一気飲み出来ないといけないと思…」

京太郎「…あれ?灼さん…?目が据わってませんか…?」

灼「なんの事?それより…今からお茶一杯入れてあげるね…」

京太郎「いや…待って。ごめん!気に障ったなら謝るから!!」

灼「気に障った?そんな事ないよ」ニコッ

京太郎「そ、そうか…なら…」

灼「ただ…『幼馴染』としてはちゃんと京太郎の猫舌を改善してあげないといけないかなってそう思うだけで」ゴゴゴ

京太郎「え…い、いや…そ、それは…」

灼「京太郎は格好良い男なんだし…それくらい我慢出来るよね?」

京太郎「い、いや、それとこれとは話が別っていうか…」

灼「出来るよね?」ニコー

京太郎「ふぁい…出来ます…」ナミダメ

灼「じゃあ…沢山準備するから待っててね…」

灼「大丈夫。京太郎が猫舌治せるまでちゃんと付き合ってあげるから…ね」ニコリ

京太郎「どうしてこうなった…!!!」
















【System】
鷺森灼の思い出が12になりました
鷺森灼の好感度が14あがりました
現在の鷺森灼の好感度は91です

須賀京太郎の男気が6あがりました(※玄イベント分込み)
最終更新:2013年11月02日 16:06