中学二年――8月インターミドル後半

【中学二年 ―― 8月インターミドル決勝】

京太郎「(さて…今日は決勝だ…)」

京太郎「(決勝戦の相手は上原と…そして青山)」

京太郎「(気の抜けない相手と…未だ未知数の奴が相手か)」

京太郎「(上原はともかく…青山の江藤は…まだ能力すら掴めない)」

京太郎「(俺も以前戦った時よりも強くなっているのは確かだけど)」

京太郎「(江藤に…勝てるだろうか?)」

京太郎「(いや…勝つ勝てない以前に…俺は…)」

京太郎「(あいつの能力の正体…つかめるだろうか?)」

京太郎「(あの小鍛治プロのように気持ちの悪い感覚が…どこから来るのか)」

京太郎「(それだけでも…掴む事が出来るんだろうか…)」グッ



+2
末尾16 レジェンドが声を掛けてくれた
末尾27 しずからメール
末尾38 宥さんからメール
末尾49 玄からメール
末尾50 やえ先輩が声をかけてくれた



































レジェンドが声を掛けてくれた

晴絵「やっほー悩める青少年!」

京太郎「…あぁ、なんだレジェンドか…」

京太郎「ってレジェンドおおお!?」

晴絵「やーん。そんなにびっくりしなくても良いじゃない」

京太郎「いや、そりゃ驚くだろ…つか、一体、こんなところで何やってるんだ?」

晴絵「インターミドルの今の時期はこっちもオフだからねー」

晴絵「ちょっと愛弟子の成長を見に来てあげたのよ」

京太郎「はは…そっか」

京太郎「ま…一応、決勝までこれたし期待には応えられたかな」

晴絵「…何言ってるの?」

京太郎「…え?」

晴絵「ここまで来たら…目指すのはトップでしょ!」グッ

京太郎「いや…だけど…」

晴絵「…不安?」

京太郎「…あぁ。一年前…俺は手も足も出なかった」

京太郎「秋季大会は…ぶつかる事なくて終わった」

京太郎「俺も強くなったけれど…あいつも強くなっていたらと思うと…俺は…」











晴絵「そっかそっか。…やっぱりあんたも子どもなんだ」

京太郎「当たり前だろ。何言ってるんだ」

晴絵「はは。最近、格好良いところばっかりしか見てないからちょっと新鮮」

晴絵「だから…ほら、こっちおいで」グイッ

京太郎「うわっ…!」

晴絵「…へー…やっぱりこうして近寄ると…もう身長殆ど一緒なんだね」

京太郎「ちょ…れ、レジェンド!?」

晴絵「わー髪もツンツンで…やっぱ男の子なんだ」ギュゥ

京太郎「ちょ…ば、馬鹿!離せよ…!」

晴絵「やーん♪照れちゃって可愛いー♥」ナデナデ

京太郎「ぅ…うぅ…」








晴絵「だから…そんな可愛い京太郎に師匠である私から一つヒントをあげよう」パッ

京太郎「…ヒント?」

晴絵「そう。青山の江藤君が使うオカルトの正体…京太郎も気になるでしょ?」

京太郎「分かるのか!?」

晴絵「モチのロンよ。私を誰だと思ってるの?一応、プロなんだからね」

晴絵「ま…あの子が本気出した時の牌譜少なかったから苦労したけどさ」

京太郎「すげーレジェンドすっげー」キラキラ

晴絵「ふふん。もっと褒めなさい」ドヤヤァ

京太郎「あ、でも、時間やばいんでそろそろ巻いてくれ」

晴絵「あ…うん…」

晴絵「ざっと見た感じ…あの子は自分の打ち筋ってものを持っていない」

晴絵「どんな相手にも相手の打ち方を真似て…それで上回ってる」

晴絵「…いやらしい打ち方だよ、例えわざとじゃないにしてもね」









京太郎「わざとじゃない?」

晴絵「うん。他の試合もそうだったけれど…」

晴絵「あの子は常に誰かを真似してる」

晴絵「…多分、それはトラウマか何かが原因なんだろうね」

晴絵「そうじゃないといけない強迫観念があるんだと思う」

晴絵「まぁ…どちらにせよ…彼は相手を潰すような打ち方しか出来ない」

晴絵「ある意味では…可哀想な子だよね」




【万物の例長】
あらゆるものに先んじて、あらゆるものに長じる魔物の証。
しかし、それ故に唯一にはなれず、真似事の域から出る事はない。
【自身に掛かる-補正】を無効にし、またその中で最も高い数値の【二倍の-補正を相手全体へと掛ける】。
また【相手の中で最も高い+の数値を二倍にした+補正を自身へと掛ける】。
ただし、これらは最大でも【自身の雀力を上回る事はない】。
特殊勝利???

















京太郎「…なん…だよ…」

京太郎「じゃあ…俺じゃ…勝てないって事か?」

京太郎「どうあっても上回れるしか…出来ないって事なのか…?」グッ

京太郎「(俺が今までやって来た事は…全部無駄だったって事か…?)」

晴絵「…京太郎」

京太郎「…レジェンド…俺…俺は…」

晴絵「…そんな事ないよ」ポンポン

京太郎「…え?」

晴絵「京太郎なら…大丈夫」

晴絵「今まで頑張ってきたのは私も知ってるから」

晴絵「あんな猿マネしか出来ない奴に…負けたりなんかしない」

晴絵「それに…江藤って子は何でも京太郎の上を行くかもしれないけど…」

晴絵「でも、彼には絶対ないものが京太郎にはある」

京太郎「俺に…あるもの?」

晴絵「それは…私の存在だよ」ドヤァ

京太郎「…は?」

晴絵「私が京太郎を勝たせてあげる」

晴絵「京太郎に勝つ為の術を与えてあげる」

晴絵「だから…ほら、顔をあげて」

晴絵「そんな顔をしてたら勝てるものだって勝てないよ」

京太郎「あ…あぁ…でも…レジェンド」

京太郎「勝つ為の術って一体…」

晴絵「…うん。落ち着いてよく聞いてね、まずは…」






【決戦のバトルフィールド】

上原「…おっせぇぞ」

京太郎「…あぁ、悪いな」

青山「はは。ようやく主役の登場か…」

京太郎「…江藤」

青山「ようやくだ…ようやく…本気を出せる…」

青山「今までの退屈な奴らじゃなく…本気で遊べるんだ…」

青山「だから…ほら、早く卓につけよ」

青山「俺は…今日という日をずっと夢見てたんだぜ?」

青山「お前と本気でぶつかって…本気で打って…」

青山「そして…それをねじ伏せる日をさ」

京太郎「……」

京太郎「…悪いけど、そうはならねぇよ」

青山「…ん?」




京太郎「…勝つのは俺だ」

京太郎「…いや、俺達だ」

青山「…本気でそう思ってるのか?」

京太郎「当たり前だ。そうじゃなきゃここには来ねぇよ」

京太郎「今度こそ…俺達が勝つ。必ず…な」

青山「へぇ…なるほど…やる気十分ってか」

青山「…面白いじゃねぇか…」

青山「俺と本気で打ってそんな事言える気力があった奴はお前が初めてだ」

青山「…念入りにすり潰してやるよ」

京太郎「…やってみろよ」



+2京太郎(雀力8+能力補正17+土壇場5+フォア(仮)5-上原12-青山34) -11
+3青山(雀力8+能力補正34) 42
+4上原(雀力6-京太郎17-青山34)-45
+5D(雀力6-京太郎17-青山34-上原12)-57































京太郎65 → 加速世界発動(+92) → 157
青山122 → 万物発動(+34) → 156
上原30
D0

京太郎「(勿論…俺じゃこいつ相手にガチの打ち合いじゃ敵わない)」

京太郎「(こいつは文字通り…規格外のバケモノなんだ)」

京太郎「(ここまで作り上げてきたもの全部の上を行く…そんな能力を持ってる)」

京太郎「(それに…諦めて…心が折れそうになった)」

京太郎「(だけど…レジェンドが…教えてくれたんだ)」

京太郎「(俺でも勝てる方法…何とか…後につなぐ方法)」

京太郎「(それがある限り…俺は…折れない…!諦めない…!!)」

京太郎「(必ず食らいついて…そして…!!!)」

D「…」スッ

京太郎「…ロン、ハネマンだ」

D「は…はい…」

青山「…へぇ…」

青山「(もう一巡で役満ツモれたんだけど…)」

青山「(まさか本気の俺の目の前で和了られるなんてな)」

青山「(ま、所詮マグレだ)」

青山「(次に行こう次に)」

+2京太郎(雀力8+能力補正17+土壇場5+フォア(仮)5-上原12-青山34) -11
+3青山(雀力8+能力補正34) 42
+4上原(雀力6-京太郎17-青山34)-45
+5D(雀力6-京太郎17-青山34-上原12)-57





























京太郎 43 → 加速世界発動(92) → 125
青山 107 → 万物発動(34) → 141
上原0
D5

青山「(さて…予想外の一撃に驚きはしたけれど…)」

青山「(ま、さっきのはやっぱりマグレかな)」

青山「(なんとかついてきてるのは認めるけれど…)」

青山「(だけど、それだけだからな)」

青山「(他の奴よりマシではあるけど…でも、俺に勝てるほどじゃない)」

青山「(てっきり何かあると思ったけれど…拍子抜けだな)」

青山「…それロン。役満だ」

上原「んな…っ!?」

京太郎「くっ…」





京太郎「(ダメだ…やっぱりこのままじゃ…青山には勝てない…!)」

京太郎「(速度も違う…火力も違う…!)」

京太郎「(何もかも…上回れてる…!)」

京太郎「(やっぱり…レジェンドの言ったとおり…今の俺じゃ…無理だ…!)」

京太郎「(俺を上回るあいつに…今の俺じゃ追いつけない)」

京太郎「(なら…土壇場ではあるけれど…)」

京太郎「(今、この場で…あいつを上回れるようになるしかない)」

京太郎「(…レジェンドからヒント聞いてる…やり方も…コツも)」

京太郎「(今まで何度だって発動しているし…やれる…やれるはずだ…!)」



+2
00~30 失敗
31~60 経験値1
61~99 経験値2
ゾロ目 習得
※雀力につき+8


































経験値1

京太郎「っ…!」

京太郎「(…頭が痛い…ヒビ割れそうだ…)」

京太郎「(目も脳も酷使して…ようやくこれかよ…)」

京太郎「(はは…だけど…とっかかりくらいは掴めたぜ…)」

京太郎「(【後二回…同じことを繰り返せば…何とかなるかもしれない】)」

京太郎「(ま…問題は…あいつがそれを許してくれるかって所だけど…な…)」

京太郎「(…頼むぜ…他家の奴らも…なんとか持ちこたえてくれよ…)」


+2京太郎(雀力8+能力補正17+土壇場5+フォア(仮)5-上原12-青山34) -11
+3青山(雀力8+能力補正34) 42
+4上原(雀力6-京太郎17-青山34)-45
+5D(雀力6-京太郎17-青山34-上原12)-57































京太郎88
青山45
上原0
D0


京太郎「(はは…さっきの一回で気が緩んだみたいだな…)」

京太郎「(さっきまであった警戒心が霧散していくのが分かるぜ)」

京太郎「(それでもお前に当てるのは…難しいよ)」

京太郎「(化物と…そう呼ばれるに足る実力が…お前にはある)」

京太郎「(だけどさ…そう…だけど…)」

京太郎「(他のやつならともかく…俺の前でその気の緩みは致命的だぜ…)」

京太郎「(この昏い流砂のような卓の中でも…俺はやまほど…大事なものを背負ってる)」

京太郎「(チームや皆の期待…そして…レジェンドの想いも…)」

京太郎「(それが…俺の背を押してくれる…お前に近づけてくれる…!!)」

京太郎「(そして…これが…)」

京太郎「…ツモ。4000オール」

青山「なっ…!?」

京太郎「(…人間の一撃だ)」

京太郎「(どうだ?少しは痛いかよ)」









京太郎「(…さて…)」

京太郎「(今のところはまだリード出来てはいるけれど…)」

京太郎「(…恐らく次の一局は…青山も本気を出すだろう)」

京太郎「(それに耐えられるかどうかは…俺には正直分からない)」

京太郎「(あいつの前で和了れたのは…俺の背負っているものが運を引き寄せてくれたからだ)」

京太郎「(俺自身の実力は…こいつにはまだ遠く及ばない)」

京太郎「(やはり…こいつに勝つ為には…俺も一歩…成長しなきゃいけない)」

京太郎「(こいつに先んじれるように…追いつけないように…)」

京太郎「(もう一皮…剥けなきゃいけないんだ)」

京太郎「(その為なら…勝つ為なら…どれだけ目が…頭が痛くても…)」

京太郎「(…必ず辿り着いてみせる…レジェンドと同じ場所まで…!!)」

+2
00~30 失敗
31~60 経験値1
61~99 経験値2
ゾロ目 習得
※雀力8土壇場5につき+13






























経験値1

京太郎「(くっ…ダメだ…)」

京太郎「(もう少しで手が届きそうなのに…くそ…っ!!)」

京太郎「(これが最後のチャンスだったのに…目が痛くて…視界が霞んで…)」

京太郎「(ダメだ…コレ以上は…麻雀そのものに支障が出る…)」

京太郎「(悔しいけど…ここまでに…しておかないと…)」

京太郎「(くそ…折角…レジェンドが教えてくれたのに…俺…)」


+2京太郎(雀力8+能力補正17+土壇場5+フォア(仮)5-上原12-青山34) -11
+3青山(雀力8+能力補正34) 42
+4上原(雀力6-京太郎17-青山34)-45
+5D(雀力6-京太郎17-青山34-上原12)-57






























京太郎「(くそ…ダメだ…引き際…間違えたか…)」

京太郎「(さっきから頭痛くて…何も考えられない)」

京太郎「(目の裏側もズキズキして…視界も霞んで…)」

京太郎「(牌すら…朧気にしか見えない…)」

京太郎「(役なんて…考える事すら出来なくて…)」

京太郎「(くそ…俺…こんなところで…)」

京太郎「(青山の前でこんなの…致命的なのに…)」

京太郎「(俺…何をやってるんだ…)」

京太郎「(無理して…意地張って…それなのに…)」

京太郎「(レジェンドの期待にも応えられないで…)」

京太郎「(格好悪い…最高に…格好悪いじゃねぇか…)」

京太郎「(あぁ…青山の奴笑ってやがる…)」

京太郎「(点差だって…そんなに離れてる訳じゃねぇしな…)」

京太郎「(何かの一発…直撃貰えれば…逆転される…)」

京太郎「(そしてこいつは悠々と…その為の準備を整えてやがる…)」

京太郎「(オーラスの親…それを前にして…連荘の準備をしてやがるんだ…)」

京太郎「(あぁ…それなのに…もう…頭がまわらない…)」

京太郎「(逃げなきゃ…いけないのに…)」

京太郎「(逃げる方向すら分からなくて…)」

京太郎「(くそ…俺…ここで…)」









 ―― あたしの王子様はこんなにも素敵な人なんだって…自慢出来るように…さ












                                 ―― 京太郎なら…大丈夫
                                 ―― 今まで頑張ってきたのは私も知ってるから
                                 ―― あんな猿マネしか出来ない奴に…負けたりなんかしない













―― きっと大丈夫
―― 頑張ってね

































京太郎「~~~~っ!!!」グッ

京太郎「(あぁ…くそ…そうだよな…)」

京太郎「(俺は…一人じゃねぇんだよな…)」

京太郎「(ここまで来るのに色んな人の手を借りて…背中を押してもらえて…)」

京太郎「(何より…控室で俺を待ってくれてる奴らがいる…!)」

京太郎「(俺にチームを預けて雑用に甘んじてくれた人がいる…!!)」

京太郎「(自分たちが卒業した後の阿太峯を託してくれた人がいる…!!)」

京太郎「(それなのに…目が痛い…頭が痛いなんて言ってられないだろ…!)」

京太郎「(どうせ…このまま行けば負けなんだ…!)」

京太郎「(ヘタレてないで…死ぬ気でアクセル踏み込めよ…須賀京太郎!)」

京太郎「(お前はあの時…小鍛治プロ相手に一回それをやってるんだろうが…!)」

京太郎「(なら…この一局…インターミドルの最後に…それが出来ないなんて言えねぇだろ…!!)」

京太郎「(どの道…俺は頭が悪いんだ…)」

京太郎「(麻雀も…感覚任せで突っ込む事しか出来ない…!)」

京太郎「(それなら…下手に保身なんて考えてるんじゃねぇよ…!)」

京太郎「(死んでも良いから…進め…掴め…!!)」

京太郎「(奴の胸元にある勝利を…奪い取ってやるんだ…!!!)」







青山「(…須賀の奴はもう終わりだな)」

青山「(さっきから俯いて覇気が感じられない)」

青山「(その上、ブツブツと呟いて…涙まで零して…)」

青山「(これが…俺が唯一、戦えると思った奴の末路か)」

青山「(途中まではまだ気概があると思ったけれど…)」

青山「(どうやらさっきの満貫で限界に達したみたいだな)」

青山「(そんなこいつの前で和了るのなんて…そう難しい事じゃない)」

青山「(他の奴らは論外だし…須賀が潰れればもう終わりだ)」

青山「(後はひたすらこのオーラスで和了り続ければDか上原辺りが割れて終了だろう)」

青山「(…はぁ…まったく…麻雀ってつまらないな…)」

青山「(小鍛治先生がやろうって言ってくれなきゃ…とっくの昔に投げ出してる)」

青山「(まぁ…今まで全部そうだったけどさ)」

青山「(どんなスポーツや競技だって…真似しているだけであっという間に一定以上を超えられてしまう)」

青山「(それがつまらなくて色々な事をやったけれど…どれも長続きしなかった)」

青山「(それでも麻雀だけはこうして続けられたのは…先生にだけはどうしても勝てなかったからだ)」

青山「(だけど…同年代で俺に敵う奴は誰一人としていない)」

青山「(同じように先生に教えられた部の仲間たちだって…俺に一度たりとて勝ててないんだ)」

青山「(だから…正直…最近は麻雀もつまらない)」

青山「(そもそも先生だって毎日、俺と打ってくれるほど暇じゃないんだ)」

青山「(だけど先生以外じゃ適当にやっても学ぶ事はなく…相手が飛んで終わってしまう)」

青山「(そんな競技に…こうして必死になる意味はあるんだろうか?)」

青山「(適当にやって…先生とだけ打っていれば良いんじゃないだろうか…)」

青山「(…やっぱり…俺は…)」ゾッ

青山「(…な…んだ…今の感覚…)」







京太郎「…必要なのは速度だ」ゴッ

青山「(これ…は…)」

京太郎「タイミングじゃない…振り切るのに必要な速度…」ブツブツ

青山「(須賀の背中でうねる…この…7つ首の大蛇は…)」

京太郎「振り切る速度…その為に必要な…距離と重さ…」ブツブツ

青山「(まるで…何もかも飲み込んでしまいそうな…これは…まさか…)」

京太郎「それを捻出する能力…生まれ変わった先…一度…垣間見たあの世界…」ブツブツ

青山「何を…言って…」ゾッ

青山「(…いや、気にするな…!こいつはもう死に体だ…!)」

青山「(現に…こいつの背中に現れた大蛇だって…もうボロボロで今にも死にそうになっている…)」

青山「(一体、そのイメージが何なのかは分からないが…)」

青山「(だが、こいつはもうろくに卓も見えていない状態なのは変わりがない…!)」

青山「(明らかに様子がおかしいのは気になるが…)」

青山「(俺の最後の親…ここで連荘すれば飛ばす事だって…)」スッ

京太郎「…ポン」

青山「…な…っ!」

青山「(鳴いた…?今更…)」

青山「(もう卓も終盤に入っているってのに…今更そんな事をしたところで…最早、お前じゃ追いつけない…!)」

青山「(いや…そもそもお前の鳴きのお陰で俺は次のツモで…和了る事が出来る)」

青山「(なんのつもりかは分からないが…裏目に出たな)」

青山「(今までのような計算された鳴きではなく、ただ単に鳴いただけでは俺には…)」

京太郎「…ポン」

青山「っ…!」

青山「(鳴いた…二回目!?)」

青山「(ツモはズレた…聴牌もされた…だけど…今更、鳴いたところで…!)」

青山(次のお前のツモに俺の和了牌を誘い込んだだけだ…!)」

青山「(そして…お前はそれを抱え込めない)」

青山「(それを抱えようとすればノーテンになる)」

青山「(勿論…ノーテン罰符くらいで俺たちの順位は逆転しない)」

青山「(だけど…親である俺は既に聴牌している以上、例え流局でも俺の連荘は続く…!)」

青山「(今のお前が限界なのは目で見て取れるんだ…長引けば長引くだけ…お前の方が不利…)」スッ

青山「…~~~っ!」ゾッ











京太郎「(…あぁ、そうだよ)」

京太郎「(レジェンドから教えてもらったヒント…)」

京太郎「それはお前の能力はあくまでも…俺の模倣だって事だ…)」

京太郎「(お前の打ち筋は俺のコピーだって…事…)」

京太郎「(だから…俺の弱点はお前の弱点でもあるんだ)」

京太郎「(それを突くのは…正直、レジェンドから今の打ち方を教えて貰っていても…)」

京太郎「(かなり難しかった…けれどな)」

京太郎「(なんせ…お前は基本配牌の時点で聴牌してるし…)」

京太郎「(俺はそれをさばくのに精一杯だったんだから)」

京太郎「(だけど…こうして俺も聴牌に辿り着いた今…)」

京太郎「(お前のその能力が…大きく裏目に出る…!!)」

京太郎「(俺と同じ弱点が…お前にも現れる…!)」

京太郎「(つまり…今のお前が引いたのは…)」









青山「(…この土壇場で…和了牌を…須賀の奴の和了牌を…掴まされた…!)」

青山「(ダメだ…これは…打てない…!!)」

青山「(これを出したら…須賀の奴が和了る…!)」

青山「(く…まさか…まさか……!)」

青山「(二度…鳴くのを許したばっかりに…こんな…)」スッ

青山「(聴牌を…崩すしか無いなんて…!!)」

京太郎「(あぁ…そうだよな…お前はそれを打てない)」

京太郎「(俺の和了牌が分かるが故に…打ち出せるはずがない)」

京太郎「(だけど…逆に…俺はお前の和了牌を安心して打てる)」

京太郎「(そしてお前が聴牌を崩してくれたお陰で…俺の弱点が消え…)」

京太郎「(…俺は和了に近づける)」

青山「(ダメだ…!このまま須賀を進ませたら…!)」

青山「(和了る…!今のあいつなら…確実に和了る…!!)」

青山「(だけど…次…くそ…その次も…ダメか…!)」

青山「(さっきの鳴きで…全部が一気に裏目に出た…!!)」

青山「(勝てるはずだったのに…俺がさっき和了れたはずだったのに…!)」

青山「(鳴く事すら許されず…ただ…見ている事しか出来ないなんて…!)」








青山「(あぁ…そうか…)」

青山「(さっきのイメージは…これだったんだな…)」

青山「(こいつは死に体なんかじゃなかった…寧ろ…逆だったんだ)」

青山「(自らの殻を破り…一歩成長しようとしていた)」

青山「(涙まで流すほどに…頭を酷使し…目を凝らして…)」

青山「(文字通り…必死に俺へと喰らいつこうとしていた…)」

青山「(だから…そうか…この目の前で…脱皮して…俺へと牙を剥く蛇たちは…)」

青山「(…須賀…お前の…)」

京太郎「ツモ」

京太郎「400・700」

京太郎「これで…俺の勝ち…だな」ゴッ

青山「…っ!」ゾクッ







「怒涛の快進撃ィィィィ!!」

「阿太峯一年須賀京太郎!!!最後は安手で和了り、次鋒戦へと繋ぎました!!!」

「いやぁ…手に汗握る戦いでしたね」

「一見しては須賀選手が優勢でしたが…青山の江藤選手も凄かったです」

「常に高めを張ってプレッシャーを掛け続けていましたからね」

「須賀選手も気が気ではなかった事でしょう」

「では、最後の方、須賀選手が見るからに消耗していたのも…」

「恐らく精神的な疲れがどっと出たのでしょう」

「それくらい緊張感のあるいい戦いでした」

「ただ、流れとして阿太峯有利ではありますが、まだまだ先は分かりませんね」

「先鋒戦は間違いなく須賀選手が一歩リードしましたが、しかし…」

「あぁっと…!須賀選手の様子が…!!」







青山「…は…はは…」

青山「どういう…事だ…?俺がこんな…」

青山「…負けた?何かの…冗談だろう?」

京太郎「冗談じゃ…ねぇよ」

京太郎「俺が一位勝ち抜け…お前が二位だ」

青山「…は…はは…ははは…」

青山「はは…ははははは…」

青山「…っげー…」

青山「…っげーよ…!須賀…!」

青山「俺が負けるとか先生以外に今までなかったのに…!」

青山「こんなやり方で俺を負かせるなんて…」

京太郎「…ちげーよ」





京太郎「お前は…負けてない。いや…そもそも勝負すら…してない」

京太郎「お前がやってたのは所詮、誰かの真似だ」

京太郎「お前自身が一度足りとも…勝負なんかしてねぇ」

京太郎「そんな奴に…勝ったところで…負かせたなんて言えねぇよ」

青山「…っ!」グッ

京太郎「だから…さ」

青山「え?」

京太郎「…次は…麻雀やろうぜ」

京太郎「誰かの真似じゃなく…自分のやり方で…」

京太郎「もう舐めプするような事もなく…真剣に…」

京太郎「麻雀やって…そんで…決着つけようぜ…」

京太郎「どうせ…俺達は後一年あるんだから…さ」

京太郎「次こそ…決着…を…」グラッ

青山「っ!?須賀っ!!」






京太郎「(頭…重い…)」

京太郎「(やばい…視界昏くて…何も…)」

京太郎「(また…此の前みたいに…俺は…)」

京太郎「(意識失って…あぁ…でも…)」

京太郎「(今回は…ちゃんと覚えてる…ぞ…)」

京太郎「(俺は…勝った…から…)」

京太郎「(バトン…ちゃんと渡したから…)」

京太郎「モブα…β…)」

京太郎「(後は頼んだ…ぜ…)」


+2
00~30 しかし、全員京太郎がきになって逆転された
31~60 何とかギリギリ持ちこたえられた
61~99 モブαβが華麗に優勝を決めた
※京太郎の勝ち星により+15































京太郎「ん…」モゾモゾ

京太郎「(あれ…?なんか…暖かくて柔らかい…)」ムニムニ

「ん…っ」

京太郎「(なんだこれ…俺の部屋にこんなのあったっけ…?)」ムニムニ

京太郎「(ん…いや、良いか…ここにあるって事はあったんだろ)」ムニムニ

京太郎「(なんか無性に頭痛くて…考えるのも億劫だし)」ムニムニ

「は…ぁん…♪」

京太郎「(でも…この声…なんだろうな…)」ムニムニ

京太郎「(妙に色っぽいって言うか…エロいって言うか…)」

京太郎「(聞いてると…すげぇ腰の奥にクる…)」

京太郎「(これ…なんなんだろうな…?)」


+2
末尾偶数:憧の声
末尾奇数:レジェンドの声




































レジェンドの声

晴絵「は…ぁ…ダメだよ…京太郎…」

京太郎「(あれ…レジェンド…か…?)」

晴絵「歳の差…か、考えてくれないと…」

京太郎「(歳の差…?なんの事だろう…?)」

晴絵「幾ら私が美人なお姉さんだからってそんな風にしたら…ぁ」

京太郎「(自分で美人って言うなよ…お前は寧ろ残念だろ…)」

京太郎「(ま…でも、一々突っ込むのも面倒だし…)」

京太郎「(それより…このおもちに似た感触を愛でる方が優先…)」ムニムニ

晴絵「私…本気になっちゃう…」

京太郎「(本気…?)」モミモミ

晴絵「やぁ…その触り方…エッチ…」

晴絵「ね…京太郎…本当は起きてるんでしょ…?」

晴絵「起きて…私の事…こんな…」







晴絵「京太郎が…悪いんだから…ね…」

晴絵「私のそこ…そんなに触るから…私…」

晴絵「私…もう…本気に…なっちゃったんだから…」

晴絵「だから…良いよ…ね?」

京太郎「(…ん…だから…何が…)」

















晴絵「いつまで私のお腹触ってるのよ、悪戯小僧があああああ」ムニー

京太郎「むぎゅうううううう」





















京太郎「…あれ?レジェンド?」

晴絵「そうよ、アンタの大好きな赤土晴絵先生よ」

京太郎「…さっきの柔らかいのは?」

晴絵「柔らかいの?」

京太郎「あぁ…あのおもちみたいな柔らかくてぷにぷにした…」

晴絵「へぇ…そんなにぷにぷにしてたんだぁ…」ビキビキ












晴絵「悪かったわね最近、太り気味でえええええええ!!!」ムニー

京太郎「むぎゅううううううっ!!」





















晴絵「まったく…心配して添い寝してあげたらいつの間にかあんな風に…」

晴絵「これが太ももとかだったら洒落にならないわよ…」

京太郎「つか、それだったら添い寝なんてしなければ良いのに」

晴絵「いや…だって、起きた時に驚かせたかったし」サラッ

晴絵「そもそも教え子の手癖があんなに悪いなんて思ってないわよ」ハァ

京太郎「いや…まぁ、それは悪かったけどさ」

晴絵「うんうん。海よりも深く反省しなさい」

晴絵「乙女のお腹っていうのは唇と同じく不可侵領域なんだからね」

京太郎「…乙女?」

晴絵「うんっ」キャルーン☆

京太郎「…え?本気で言ってるのか?」ドンビキ

晴絵「オッケー。もう一回くらい頬引っ張ってあげましょうか。今度は手加減なしで」








京太郎「…で、わざわざ起きるまで待って何の用だ?」

晴絵「その前に…京太郎はどこまで覚えてる?」

京太郎「え?どこまでってインターミドルの決勝戦で…あぁ…そうか」

京太郎「…俺倒れたんだな…心配させて悪い」

晴絵「そうだよ…まったく…」

晴絵「頑張るのは良いけど…がんばりすぎちゃ見てる方はハラハラするんだから…」

京太郎「…面目ない…」

京太郎「…って!そうだ!団体戦は!?チームはどうなったんだ!?」

晴絵「それは…」ウツムキ

京太郎「まさか…」

晴絵「…うん。阿太峯は…団体戦…負けちゃった」

晴絵「中核となるαとβが中々振るわずに…副将戦まで回っちゃって…」

晴絵「そこで青山に大きく点差つけられて…結局、二位になっちゃった…」

京太郎「そう…か…」









京太郎「俺たち…負けたのか…」

晴絵「…うん」

京太郎「そっか…はは…そうかぁ…」

晴絵「…京太郎?」

京太郎「よし…!目標がまた出来たな…!」

晴絵「…え?」

京太郎「来年は打倒江藤じゃない!打倒青山だ!!」グッ

晴絵「…落ち込んでないの?」

京太郎「あったりまえだろ。だって、モブαもβも全力を尽くしたんだろうし」

京太郎「それで負けたならチームとしての力が足りなかっただけだ」

京太郎「それに…強いて言えば…俺が個人での勝利にこだわってぶっ倒れたのも影響あるだろうし…」

京太郎「適当に流すって事を考えられなかった俺が原因だろうし…」

京太郎「だったら、落ち込んでる暇なんてないって!」

京太郎「来年の為にも…ちゃんと鍛えなおさないとな!!」











晴絵「…はは、そっか」

京太郎「ん?」

晴絵「…いや、京太郎は凄いなって…」

晴絵「私は負けた時…そんな風に思えなかったから」

晴絵「私の所為で負けたんだって…そうずっと自分を責めていたから…さ」

京太郎「…あぁ。そんな事か」

晴絵「…そんな事?」

京太郎「だって、そうだろ?高校時代のレジェンドには確実に一つ足りないものがあるんだからさ」

晴絵「…足りないもの?」

京太郎「そう。こうして負けた俺に一番つらい事実を伝えて、青山に怯える俺の背中を押してくれた…」

京太郎「そんな…赤土晴絵がレジェンドの側にいなかったからだろ?」






晴絵「…ふふ…あはは…っ」

京太郎「な…なんだよ、笑うなっての…」カァァ

京太郎「こ、これでも必死に考えたんだぞ!!」

晴絵「あぁ…ごめんごめん。でも…まさかそんな風に言ってくれると思ってなかったから」

晴絵「そっか…京太郎は私の事そんな風に思ってくれてたんだ…」

京太郎「う…まぁ…そう…なるかな」

晴絵「へーふーん…ほー…」ニヤニヤ

京太郎「…な…なんだよ?」

晴絵「…いや、私、やっぱり教師になるのも良かったかなって」

京太郎「ん?まだ迷ってるのか?」

晴絵「ううん。違う違う。教師だったら京太郎と禁断の恋が出来たなって」

京太郎「ばっ!す、するかそんなもん!!」

晴絵「えー?してくれないの?」

京太郎「する訳ねぇだろ!!ったく…」

晴絵「…じゃあ、実業団で活躍する綺麗なお姉さんとラブラブちゅっちゅなストーリーを…」

京太郎「紡がねぇよ!!」













【System】
須賀京太郎の雀力が3あがりました
須賀京太郎はスキルがランクアップし【反転世界】を手に入れました
このスキルは基礎であった頃に比べて発動条件が【雀力×2倍】にまで広がりました

赤土晴絵の欠片を二つ手に入れました
最終更新:2013年10月20日 16:59