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死の邂逅 ◆wYOF3ar91U


願いから産まれるのが魔法少女。呪いから産まれるのが魔女。
魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。

これは魔法少女と魔女の物語。







魔法少女を産むのは純粋な願い。
それは巴マミの時も変わりはしなかった。

幼いマミの家族とドライブの最中に体験した交通事故。
どこにでも在るようなありふれた交通事故は、しかし当事者にとっては全てを失う悲劇である。
父と母を亡くし、マミ自身もまた、ただ死を待つ運命のみが残されているように見えた。
キュゥべえと出会ったのはその時だった。

――――助けて

促されるままに願い、そして契約する。
それまでのマミは死に、魔法少女が産まれる。

人の身には叶えられない願いを叶えて貰う代償として魔法少女は、魔女と戦う使命を帯びる。
魔女は結界の奥に身を隠し、人の世の表には決して姿を現さず、
しかし人々に災厄を撒き散らす。
原因の判らない事故や自殺の多くは、魔女の仕業とも云われる。
魔女との戦い。それは常に命懸けであり、それが終わりの無い新たなる日常となる。
しかしマミは強い使命感を持ってやり通すことができた。
魔女との戦いは、人々をその災厄から守ることに他ならないから。
人の世に生き、人々に役立ち続ける。
それは人の喜びに他ならない。

しかしその日常と喜びは終わりを迎えることになる。
自らが人で無いと知ることによって。

魔法少女が常に持ち続ける魔力の源・ソウルジェム。
キュゥべえとの契約の証であるソウルジェムが絶望に染まって壊れた時、魔女を産む。

――――てめぇ、一体何なんだ!? さやかに何しやがった!

――――さやかちゃん、やめて! お願い、思い出して。こんなこと、さやかちゃんだって嫌だったはずだよ

――――ごめん……美樹さん…………

――――さやか……。ちくしょうっ……こんなことって……

――――ひどいよ……こんなのあんまりだよ……

――――はっ!? 巴さん!?

――――ソウルジェムが魔女を産むなら――――

魔法少女こそが魔女の基だったのだ。

魔法少女の魔女との戦いは、彼女たちなりの正義に基づく物だった。
そしてそれは明確な根拠が在る。
魔女が人々に災厄を撒き散らす存在であり、それを討つことは人々を守る正義に他ならない。
それはマミにとって、あまりにも明確なことだった。
だからこそ魔女との戦いを厭わなかったし、
魔法少女の力で何かを傷つけることも厭わなかった。

そして魔女と魔法少女との新たな因果を知ったからと言って、それが変わるだろうか?
マミのこれまで行ってきた戦いも、
マミがこれまで抱いていた正義も、
何も変わりはしない。

マミは自らの使命を果たすために、銃を取る。

しかしキュゥべえは、運命はマミに違う使命を授けた。
突然闇の中に召喚され、バトルロワイアルへの参加を宣告される。

自らの存在理解が変貌するほどの出来事を体験している最中に、
文字通りに自分を取り囲む世界が変貌したのだ。
気付いた時には、木々が乱雑に立ち並ぶ森の中に居たのだ。
マミの混乱は計り知れない。

「――――どうしてなの? …………これも魔法少女になった代償だと言うの、キュゥべえ!!?」

思考は現実的な論理性から離れて纏まらない。
どれほど問うた所でキュゥべえも、誰の声も聞こえない。
夜の闇に覆われた森は、ただ静寂でマミに答えるのみだった。

(……………………誰?)

闇の向こうから聞こえて来たのは足音。
消え入りそうに小さかったそれは、次第に大きくなり、
確かに人間の物だと判ってくる。
それもマミと同世代の少女の物。

そして闇の向こうから、音の発生源が転げ落ちるように姿を現した。
一人の少女。
マミと共に魔法少女として戦って来た少女が。

そしてマミは思い出す。
魔法少女の使命に纏わる物語を。


    *


闇は人々にとって、古来より恐怖の象徴だった。
人は暗闇の中に恐怖の対象を投影して、それを払うために灯りを点していく。
しかし周囲を闇に覆われてしまえば、恐怖から逃れることはできない。
鹿目まどかが現在置かれているのも、そんな状況である。

現在のまどかは深い森の中に居た。
闇の中から木々がざわめき、擦れる微かな音が聞こえて来る。
そんな微かな音にさえ、まどかは電流が走るような怖気に襲われる。

まどかはキュゥべえを知っている。
キュゥべえから類稀なる魔法少女の素質を見込まれていたのが、まどかなのだ。
しかし今のまどかは未だ契約を果たしていない、普通の中学生に過ぎない。
命を掛けた戦いの経験など無いのだ。

ただ命を掛けた戦いを目撃した経験はあった。
その結果の死も。
熟達した魔法少女である巴マミがお菓子の魔女に殺される瞬間を。

多くの魔女を倒してきたマミが、一瞬の隙に無残な姿と化した。
命を掛けて戦うと言うことがいかなることか、その片鱗を垣間見たのだ。

その恐怖は今もまどかの中に残っている。
今も闇の中から、何者かが襲い掛かってくる気がして仕方が無い。
そうなれば魔法も使えないただの少女であるまどかには為す術も無い。
一瞬で無残な屍と化すだろう。

それを自覚したため、まどかは森の中を一歩も動けなくなった。
一人で居る方が危険であることも、ただじっとしていても事態は解決しないとも分かっている。
しかしバトルロワイアルの闇、そこに死が潜んでいるかもしれない闇は、
まどかが一人で歩いていくには深過ぎた。

スカートが汚れることも構わず土の上に座り込むまどか。
そしてほとんど体育座りのように膝を抱えていた。

(――――どうしてなの? …………魔法少女の契約をして欲しかったんじゃないの、キュゥべえ!?)

心中でキュゥべえに問い掛けるまどか。
何故こんな死地に自分を追いやるのか、全くその真意が計り知れない。
それとも今この場でも魔法少女の契約ができるのだろうか?
無論、そんな思索をした所で解決策になど繋がることは無い。
無為に時間が過ぎていく。

闇に光が奔る。

不意の出来事であったにも拘らず、恐怖ゆえ周囲に過敏になっていたまどかは、それを見逃さなかった。
深い森の中を光る物が在る。
光は不規則にその方向を変えている。

闇を払う光。
それを見て、更なる恐怖がまどかを襲った。

不規則に反射するその光は、おそらく金属片のような物だろうと、まどかにも容易に想像できた。
そしてそんな光が、森の中で不規則な光の反射をしていると言うことは、
それを持って動いている者が居ると言うこと。
更にバトルロワイアルの中でそんな金属片と言えば、おそらく――――。

まどかは短く息を呑む。
光が徐々に近付いて来るからだ。
足音。更に衣擦れの音まで伴ってくる。

まどかは更に身を縮めて木陰に隠れた。
しかし光はまどかに近付いて来る。
木陰から覗き見ても、光の正体が分かるほど。

それは三つ又の異様な剣。
紛れも無く人を殺傷するために作られた武器。
鋭利さと重量を併せ持ったそれならば、まどかなど容易く殺されるだろう。
そしてそれを恰幅の良い男が手に携えていた。

男は眼鏡の奥から鋭い眼光を、まどかの居る木陰に向ける。
そして鋭い声を上げた。

「誰かそこに居るのか!!?」

見付かった。
あの剣で殺される。
想像の中でも恐ろしかった死が、今現実の脅威となって迫ってきている。
まどかは迫り来る死の恐怖に耐えられず、駆け出した。

「ま、待ちなさい!!」

背後から男の声が聞こえた。
そこから離れるため、まどかは更に足を速めようとする。
問題はここが山道であり、まどかは山道を進むことに全く慣れていないことだった。
岩か草木か、何かも判明できない物に足を取られて、
まどかはあえなく転倒した。
そしてまどかの身体は止まることなく落ちていく。
なだらかな坂を、為す術なく転げ落ちていくまどか。

ようやく大地に倒れて、ようやく転落が止まる。
痛む身体を起こしながら、周囲の状況を確認するまどか。
目前に居たのは、魔法少女。
それもかつて戦いの中で死んだはずの。

「……マミさん? …………でも、そんなはず…………」

まどか死んだはずの魔法少女、巴マミの名を呼ぶ。

信じられない物を見て、呆然としているまどか。
マミはそんなまどかに構わず、魔法の力でマスケット銃を作り出し、
そして徐にまどかへ向けた。

「――――ソウルジェムが魔女を産むなら、皆死ぬしかないじゃない!」


    *


マミの前に現れたのは鹿目まどか。

まどかもまた魔法少女であることに変わりは無い。
そしてそれはやがて魔女を産む存在。

魔法少女は魔女と戦って来た。
人々を災厄から守るため、命を掛けて。
それこそが分不相応な願いを叶えて貰った代償なのだから。

魔法少女が魔女を産むならば、魔法少女は討たれなければならない存在なのだ。
人々に災厄を齎す前に。
それが魔法少女の正義であり使命である。
少なくともマミにとってはそうだった。

マミは自らの使命を果たすために、銃をまどかに向けた。
引き金を引く。
銃弾は正確に頭部に着弾。
頭部がスイカのように跡形も無く吹き飛んで、赤い破片を撒き散らす。

そこから力無く尻餅をついたまどかは、
頭を吹き飛ばされた男を見上げていた。


    *


小学校の教師である男は、いつも先生と呼ばれていた。
バトルロワイアルに招聘された先生は、支給品である三つ又の剣を携えて、
自分の生徒を捜すために散策する。

名簿には生徒である四人、
野比のび太、剛田武、源静香、出木杉英才の名前が有った。
四人ともただの小学生に過ぎない。
バトルロワイアルの中では容易に命を落とすだろう。

先生自身とて、ただの中年男性に過ぎない。
バトルロワイアルの中で命の保証は無いが、
自身の教師としての高い職業意識から、生徒を優先的に保護するために、
散策を開始したのだ。

そしてその途中、木陰に隠れる人の影を捉える。
思わず声を荒げる先生。

「誰かそこに居るのか!!?」

威厳を持って生徒を叱り付ける習慣を身に付けていたため、図らずも威圧的な声色で呼び掛けてしまう。
走り去っていく後姿は、自分の生徒より少し年上の少女。
脅かしてしまったと、先生は慌てて制止する。

「ま、待ちなさい!!」

しかし少女は止まらない。
そしてなだらかな坂を転げ落ちて行く。
先生は駆け寄って、少女の様子を見る。
少女は別の少女に銃を突きつけられていた。

脅かして危険に晒してしまった罪悪感か、
それとも教師としての職業意識か、
先生は躊躇無くその場に飛び出した。

少女を突き飛ばして、銃の射線から退かす。
その勢いで先生が銃の射線上に入る。
銃から発射された弾丸は先生の頭に着弾した。

多くの生徒に慕われた男は、呆気なく命を散らした。





まどかにとっては何もかも訳が分からなかった。
何故、マミが生きているのか?
何故、マミが自分を殺そうとしたのか?
何故、男が自分の変わりに死んだのか?

確かなのは男の死と言う現実。
頭の無い男の死体が、まどかの方に倒れて来る。
まどかは大量の血を浴びる。

生々しい血の臭い。
先刻まで生きていた人間の意思無き肉塊。
それはかつてのマミ以上に、まどかに死を意識させる物だった。

お前もこうなる。
意思無き肉塊に。
そう訴えているようだった。

そしてその死を産み出したのはマミなのだ。
あの頼れる魔法少女だった人が自分を殺そうとしている。

恐怖と混乱に襲われたまどかは、まるで引き攣るような悲鳴を上げて、
知らぬ間にその場から逃げ出していた。

それは危険からではなく、恐怖と混乱からの逃避だった。





「…………嘘……」

マミは自分が殺した男の死体を呆然と見下ろしていた。

魔法少女は人を守るのが使命である。
それだからこそ魔女を産む魔法少女たる、まどかを殺そうとしたのだ。
しかしその銃弾はまるで関係ない人間を撃ち抜いた。

男は魔法少女であるはずが無い。
守るべきただの人間を殺してしまったのだ。

魔法少女が災厄を産み出してしまった。

狂ったような悲鳴を上げて逃げ出すまどか。
しかしそれに構うこともできないマミ。
マミは己の産み出した災厄の前で立つ尽くす。



こうして魔法少女と魔女の物語が新たに始まる。


【C-7/森林部/一日目-深夜】
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
 [衣装]:魔法少女衣装
 [状態]:健康、魔法少女に変身中
 [装備]:マスケット銃
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
 [思考・行動]
  基本方針:?????

 [備考]
  ※原作第10話『もう誰にも頼らない』からの参戦です。


【C-7/森林部/一日目-深夜】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [衣装]:見滝原中学校制服(血塗れ)
 [状態]:健康、恐慌状態
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
 [思考・行動]
  基本方針:?????

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。
  ※先生@ドラえもんの支給品(基本支給品、三つ又の剣@北斗の拳、ランダム支給品0~2)は死体の傍に放置されています。


【先生@ドラえもん 死亡】


支給品紹介

【三つ又の剣@北斗の拳】

先生に支給された。
ラオウがトキの足を自分の足ごと貫いたのに使用した剣。



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