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直球勝負もいいかげんにしろ! ◆N4CDx3zJvI


 「あの!あたし緑川なおって言います!この場所から脱出するのに協力し「やめろ」


場面は、1人の少女の真っ直ぐな言葉を、1人の青年が遮った所から始まる。

濃い緑の髪をポニーテールに纏めた活発そうな少女の名は、緑川なお。
水色の長髪に黒いコートを着た影のある雰囲気の青年の名は、鬼柳京介といった。
このバトルロワイヤルの地に放り込まれた2人が偶然出会ったのは、地図上にしてG-6。デパートの家具売場である。
意識がハッキリした直後、持ち前の行動力で手近にあった建物へと入り込んだなおが、階層の1つでぼんやりとしていた鬼柳に話し掛けた、その矢先の出来事であった。

「え……え!?でも、此処から脱出しないと死んじゃうんですよ!?」
「………だからどうした」

一瞬言葉に詰まったものの、遮られた会話をなおは続ける。
しかしそんな言葉に返されたのは、嘆息と共に出た気力のない返事だった。

「俺は元々、死に場所を探していたんだ。
あの地獄みたいな町で死ぬのが相応しいとも思っていたが……この場所で存在すら残さずに消えるのも、それはそれで構わねぇ。
誰が生き残ろうと誰が死のうと、俺には意味のない話だ」

淡々と語る鬼柳の目には生気がない。
こうして誰かと相対し言葉を紡ぐことすら億劫であるかのように、今ここで自分のいる区域が消滅しても何の問題もないかのように、生きる意思を失った目。
“死んでも構わない”その言葉が本心からのものであることを、なおはうっすらと感じ取った。

「別にあんた自身がここから抜け出そうとするのは止めはしない……が、俺は協力する気はねぇ。
 逃げたきゃ、逃げたいヤツらだけで逃げな」

吐き捨てた言葉と共になおに背を向け、立ち去ろうとする鬼柳。
慌てて、なおはその背に追いすがるように呼びかける。

「それで……それでいいんですか!?」

緑川なおは伝説の戦士プリキュアだ。そして何よりも、なお自身が強い正義感と優しさを持つ少女であった。
平和の為に戦い、人々の幸せのを願う者の1人として、自ら死にゆく目の前の青年を、見過ごすことは出来ない。
死なないでほしい、生きる気力を取り戻してほしいと思う真っ直ぐな心が、自然に言葉を並べていた。

「あなたに何があったか知らないし分からないけれど、簡単に死のうなんて……生きる事を諦めないでください!
こんな訳の分からない場所で、誰にも、友達にも会えないまま死んでいいんですか?
こんなところで死んじゃうなんて……それで満足するんですか!?」
「ハッ……満足、か」

なおの熱い直球な言葉にも、鬼柳の生気のない反応は変わらない。
ただ、なおの叫んだ1つの単語に、自嘲するように呟いた。

「忘れちまったぜ、満足なんて言葉」



◇  ◇  ◇



「はぁ………どうしよう」

あれから少し時が経ち。
場所は移って、デパート屋上に設置された、こぢんまりとした遊園地。
なおはそこで1人、ため息をついていた。
ちなみに彼女が腰掛けているのは、屋上遊園地に置かれた、お金を入れると動く玩具のトラの背中である。
無論、現在は入れるお金どころか財布すら持っていないので動くことはないのだが。
結局の所、なおは立ち去る青年を止めることは出来なかった。
いくら心の内から出た言葉が嘘偽りない真っ直ぐなものだとしても、それが全くの他人の心に響き、動かすなどは本当に稀なこと。
この地がバトルロワイヤルという異質な世界でも、そこまでは覆すことができなかったのだ。

「皆で脱出する方法を考えるのにも、あたし一人じゃどうしようもないし……同じような目的の人を探したかったんだけど……
 あんな素でバッドエナジー出してそうな人、どう説得したらいいかわかんないや……」

はぁ、と再びため息をつく。
バッドエナジーと言えば、配られた名簿の中にはプリキュアの仲間以外にも知った名前が載っていた。
ウルフルン、そしてジョーカー。二人ともプリキュアと敵対するバッドエンド王国の存在であり、何度も拳を交え戦った強敵である。
自分ひとりで交戦する羽目になれば、苦戦は必須だろう。仲間と再開することができれば、戦っても何とかなるかもしれないが―――

「仲間か……みんな、どこにいるんだろう」

ごそごそと支給された鞄に手を入れ、一枚のカードを取り出す。
金色の台紙に、奇妙なタヌキだかネコだか分からないキャラクターが何匹も描かれた、奇妙なカード。
説明書きとして付いていたメモによれば、『親友テレカ』というらしい。
おもちゃか雑誌の付録についているようなおまけだろうか。自分にはさっぱり分からなかったが、メモに書かれていた単語は心に残っていた。

―――親友テレカを使うことが許されるのは、不滅の友情と真の勇気を持つ者たちだけである。

「不滅の友情と真の勇気、か……おもちゃの割に、いいこと書いてあるじゃん。
 うん、悩んでたってどうしようもないしね!皆を信じて、あたしはあたしに出来ることをしよう!」

顔をあげ、気合いを入れておもちゃのトラから立ち上がる。
みゆきちゃんも、あかねも、やよいちゃんも、れいかも……大切な仲間たちならばきっと、同じように脱出する方法を考えているはずだ。
そうした仲間たちと一刻も早く再会するためにも、自分に出来る精一杯のことをして、この生き残りをかけた戦いを生き抜く。
決意を新たにしたなおは、親友テレカを鞄にしまい……同じく自分に支給された、“あるもの”を取り出した。

「元々、“このため”にデパートの屋上まで上ってきたんだしね。人を集めるにはこれが一番!
 やっぱりあたしの性格に合ってるのは、直球勝負だ!」
そう言い切り、なおは取り出した物を―――『拡声器』を、口元へと持って行った。



◇  ◇  ◇



「追ってはこない、か……ああ、それがいい。
 俺みたいな死神には、近づかないほうが身の為だろうしな……」

あれから少し時が経ち。
場所は移って、デパートの別階層、簡素なソファや自販機が設置された小さな休憩スペース。
鬼柳はそこで一人、独り言をつぶやいた。

あの奇妙なモンスターにバトルロワイヤルの説明をされてからも、謎の力でデパートの中に放置された後も、鬼柳はさして動揺しなかった。
驚きが無かったと言えば嘘になる。しかしそれ以前に、こう思ってしまっていたのだ。
『ああ、自分の死に場所はここなのか』と。

自分の周囲を省みない行動に友を巻き込み、些細な勘違いで友に裏切られたと思い込んで憎悪を抱き、
冥府の力でダークシグナーとして蘇り、憎み憎み切れなかった友を殺してやろうと戦い、
あの輝かしい救世の星屑の光で浄化され、再び現世に生き返り、
そして、友を憎んで殺しかけた自分を悔やみ、疎み、蔑み……最後には地獄のような鉱山の町で、用心棒として雇われ、生死をかけた決闘に明け暮れていた、筈だった。
幾度も幾度も勝ち続け、対戦者を死の鉱山送りにしたことで『死神』と恐れられた自分に相応しい死に様とは、決闘で負けて死ぬことではない。
このバトルロワイヤルの地で、空気も光も人も例外無く消し去る空間で塵と化すことか……はたまた、生き残りたいと思う誰かに殺されるか。
いずれにせよ、碌な死に様は残せないだろう。それが自分に相応しいかといえば、相応しいのだろうが。

「“どんな願いでも叶えられる権利”だがなんだか知らないが……そんなもん、欲しい奴が勝手に奪い合えばいいさ。
 俺はもう、何を願うことも、何かで満たされることも無いんだろうからな……」

どっかりとソファに腰を下ろし、いつの間にか持っていた鞄を下ろす。
そういえば、あのモンスターは道具が支給とか、地図や参加者の名簿がどうとかも言っていた。
何が入っているのか、他の参加者はどれだけいるのかと少しばかり気になったが……思い直して、鞄に手を伸ばすのをやめた。
どうせ、遅かれ早かれ大半は死ぬ命運なのだ。

(中には逃げ出そうと考える奴もいるんだろうがな……さっきのガキみたいな)

ふっと、先ほどであった子供のことを思い出す。
死んでも構わないと言った自分を叱咤した、真っ直ぐな性格の子供。
まるでかつての友を……遊星やジャックやクロウを思い出させるような、強い正義感と意思を見せつけた少女。

(まぁ、さすがに昔の俺たちほど馬鹿じゃないだろうがな……)

あの少女にも、かつての自分の友のような、良き仲間たちはいるのだろうか。
チーム・サティスファクションとしてサテライトの廃墟を駆け回り、サテライト統一を目指して多くのデュエリスト達を潰して回ったあの日々。
普段はクールぶりながらも根は熱い魂を持つ遊星、馬鹿で傲慢不遜ながらも周囲を魅せるカリスマを持っていたジャック、お調子者ながらも面倒見のいい鉄砲玉のクロウ。
そして、その三人を引き連れ満たされぬ心を満足させるために生き急いでいた、自分自身。

(……今となっちゃあ、もう遠い昔のことだ。
 あの頃は、自分がこんな無様なことになるなんざ思ってもいなかったな……)

懐かしくもまぶしい若かりし頃の自分を思い出し、ふっと笑みを浮かべる。
―――自嘲のつもりで浮かべた、その笑みは。



『みゆきちゃーーーん! あかねーーー! やよいちゃーーーん! れいかーーー!

 みんな、聞こえるーーーーー!?』



―――突如真上から響いた大声により、引き攣った笑みへと変化した。


『あたしは今デパートの屋上にいる!この声が聞こえたらこっちに向かって来てほしい!!!
 それとバトルロワイヤルだかなんだか知らないけど……あたしはそんなのするつもりはない!!!
 誰か一人だけが生き残るだなんて、そんなこと絶ッッッ対認めないよ!!!
 あたしは一人でも多くの人を助けて、皆でここから帰りたい……あたしの他に同じ思いの人がいたら、デパートに来てください!!!』
「んなっ……さっきのガキの声か!?」

思わず上を見上げるも、その視線の先には天井があるばかり。
ぐわんぐわんと大音量に揺さぶられる額を抑え、鬼柳は悪態をつく。

「馬鹿か、無警戒に大声で喚きやがって!
 うまく仲間や脱出したい奴らだけに聞こえりゃいいが、そんな奴らだけじゃねぇだろ……!」

確かに誰かを殺してまで生きたくない参加者もいるだろう。
一人でも多く生還させたいと考える、正義感の強い参加者もいるだろう。
だが、それ以外の参加者は確実にいる。
誰かを蹴落としてまで生き残り、最後の一人になることを望む者が。
誰かを殺して生き残り、勝者として願いを叶えることを望む者が。
そんな奴らかあのお人よし極まりない声に惹かれて、続々と集まってきたら……!?

「クラッシュタウンなんざ目じゃねぇ程の地獄になる、か……くそっ!」

どうする?
あの叫んでいる馬鹿の危険な行動を止めさせることが出来るのは、今ここにいる自分だけだ。
だが、止めてどうする?

もうすでに声は響き渡ってしまっている。近くにいる参加者ならば、すでに此方へ向かって来ていてもおかしくはない。
そして何より、生きる意志のない自分が、あの言葉を止めてしまってもいいのか?
あの言葉は本当に、彼女の望むとおりに殺し合いを望まない者の耳に届くかもしれないのに。
その僅かな可能性を、死に場所を求めている自分が絶ってしまってもいいのか?

戸惑う鬼柳の耳に届くのは、どこまでも真っ直ぐな、直球勝負な言葉だけであった。



『この声が聞こえた人……一緒に、ここから脱出する方法を考えてください!!!あたしに、力を貸してください!!!
 皆で、仲間と一緒に、帰りましょう!!!』

【G-6/デパート屋上/一日目-深夜】
【緑川なお@スマイルプリキュア】
 [衣装]:通常
 [状態]:健康
 [装備]:スマイルパクト@スマイルプリキュア
 [道具]:基本支給品一式、拡声器、親友テレカ@ドラえもん
 [思考・行動]
  基本方針:仲間と一緒に脱出する
  1:拡声器で仲間や脱出の意思がある人を呼ぶ!
  2:仲間と再会したい
  3:不満足そうな人(鬼柳)も死なせたくないが…
  ※参戦時期は不明です。
  ※親友テレカはただのおもちゃと認識しています。


【G-6/デパート内部/一日目-深夜】
【鬼柳京介@遊戯王5D's】
 [衣装]:通常(クラッシュタウン編の服)
 [状態]:健康、不満足
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
 [思考・行動]
  基本方針:死に場所を探す。
  1:流れに身を任せる。
   2:誰かを襲うつもりもないが、誰かに襲われても抵抗する気はない。
  3:屋上で叫んでいる少女(なお)は……?
 [備考]
  ※参戦時期はクラッシュタウン編直後、遊星と再会する前です。
  ※名簿未確認、遊星とジャックがいることに気付いていません。


※G-6の周囲8マス(上下左右斜め)に、拡声器を使ったなおの声が聞こえました。



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