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『それがどーした。オイラクロちゃん』/『自由気ままなバトルロワイアル』 ◆LL3ffKrOXk



  ★ それがどーした。オイラクロちゃん ☆



「……ハァ、また面倒くせーコトになっちまったなー」

 と、一匹の黒猫が溜息をついた。
 名前をクロといい、科学者ドクター剛に改造されたサイボーグ猫である!
 いつもは老夫婦の家で気ままな生活を送っているクロだったが、次に目覚めたときにいたのは――この無人島。そして殺し合いの舞台だった。

「ったくよー、なんでオイラがこんなことしなくちゃなんねーんだ。
 なんだ、あのチンチクリンなイヌみてぇなヤローは。なにが殺し合いだよバッカみてえだぜ」

 クロは、現在遊園地にいた。
 いた――というよりも、ここへ飛ばされてきた。といったほうが正確であろう。
 何度も何度も、剛やミーくん。マタタビにナナ。それ以外にも、色々な人や猫や宇宙人を取り巻いて、ドタバタな日常を過ごしていたクロではあったが、さすがに殺し合いという状況に陥るのは珍しかった。
 一度、ネコ同士の抗争に巻き込まれたり、カラスと壮絶な戦いを繰り広げたりと、紆余曲折はあったものの、それでもイキモノ同士で殺し合いをするなどというシチュエーションは、さすがに逢った事もなかった。
 だからこそクロは思考する。『何故こんなことになったのか』を。

「また、剛のヤローのシワザ……とゆーワケでもなさそうだな。っつーか、どうやら剛とミーくんもいるみてえだしな。
 まさかジム……ないない。コタロー……さすがにあんなことあってまた同じことしねーよな。ナナは絶対にありえねーからパス。
 じゃーロミオ……ありうるな。アイツなら退屈しのぎとかいう理由でやりかねねーし。
 しかも一度、ジーサンとバーサンが爆破されかけたし、殺し合いとか平気でやりそうな気はする……が、さすがにそりゃ考え過ぎだよな。うん」

 まずは、この殺し合いを企てたのは誰か。それを考えていた。
 自分の知っている者から自分のメモリー、もとい記憶を頼りに洗い出していく。
 しかし当てはまらない。ハチャメチャな行動をする者は確かに多いが、しかしそこまで過激な行動をする者は該当するとは思えなかったからだ。
 だからクロはこう思う。
 『自分の知らない誰かがこの殺し合いを企てた』のだ、と。
 自分の知る者ならまだしも、自分が知らない者を詮索しても仕方ない。だからこそクロは思うまま行動をすることにした。
 いつも通り、自由に気の向くまま、暴れる。
 クロの思考は、結局のところそこに行き着いたようだ。

「とりあえず、テキトーに暴れとくか。誰かヒトが気づいてくれんだろ。
 それに……オイラにケンカ売るヤツとかがもしいたら、ゴーホー的に暴れられるからなぁ」

 自分なりの決意を固めたことで、まずクロが始めたこと。それは、自分のディパックを調べることだった。

「んー、あった。
 これがここにいるヤツら全員のリストか」

 クロはディパックから参加者が記載されている名簿を引っ張り出していた。
 場を把握するために必要なのは、やはり状況であるからだ。自由な行動には必要最低限の情報が要る。本能的にそう感じていたのだろう。

「マタタビもいんのか。それ以外にも結構いるじゃねーか。
 ひー、ふー、みー……オイラ含めて70ってとこだな。この中にどんだけ骨のあるヤツらがいんのかね。
 ま、オイラのタマを本気で狙ってくるよーなヤツと会ったときには殺すかもしんねーけど、それ以外は精々半殺しで我慢してやるか。別にオイラは殺し合いしに来たワケじゃあねーんだし?」

 名簿を確認したクロは、次に自分がやりたいことの整理をはじめる。
 といっても、やはりそれは、彼のアイデンティティーでもある一つの思考に行き着いた。

「とりあえず、気が済むまで暴れて、あのキューベーとかいうヤツのところへ戻って、気が済むまでボコる。そして桜町へ帰る。これでいいだろ。
 まあグダグダ言ってても仕方ねー。オイラもそろそろ出発するとしようかね」

 と、そう口にした機械の身体の黒猫は、自分の目的を確認して、行動を始めたのだった。
 そして徐に自分の周辺を漁り始める。おそらく武器を探し始めたのであろう。
 暴れるのに必要なもの、自分の能力を遺憾なく発揮できるオプション。それが彼にとっての『武器』である。
 しかし、クロ自体に思いがけない事態が起こる。

「よ~し、まーずーはオイラのガトリングで~……ってねーじゃん! なんでねーの!?
 じ、じゃあ盲腸のあたりにある剣……ってこれもねーし!」

 武器の不在――である。
 この殺し合いは公平性を汲むために、自身が装備している武器は全て没収され、その代わり支給された武器を使用することになる。
 自分の武器が無いなら、どうするか――
 クロはキュゥべえが言っていた言葉を思い出す。

「そういや、カバンには武器も入ってるとか言ってたな……
 じゃあ何か入ってるかもしれねーな。ちょっと調べてみっか」

 まず、クロが取り出したのは、輪状になった細いヒモ。
 それは、『あやとり』という遊びに使われるヒモだった。
 確かに暇潰しくらいにはなるだろう。しかし――

「って、いきなりなんだこりゃ。誰がどう見ても輪っかになったヒモにしか見えねーよな。
 こんなん武器にもなりゃしねー。首締めて殺せってか?」

 次に出たのは、木刀だった。
 名前の通り、木でできた模擬刀の一種である。

「お次は……木刀かよ。武器にゃなるがすぐに壊れちまうぜ。何せ木でできてんだからよー。
 ……まだ他にもなにかあるみてーだ。」

 そして、クロが最後に取り出した武器。それは――



「ってバターじゃねーか! なんでンなモン支給されてんだ!」

 ……バターだった。
 ただのバターだった。なんの変哲もない、バターだった。
 黄色くて四角い、箱に入った新品のバターだった。
 食材と一緒に炒めたりと、色々な料理に使える、あのバターだった。
 最後の望みを断たれた黒猫は、ぐったりと地面に突っ伏していた。

「ちくしょお……なーにが『ハジケリストが面接の際弾いたバター』だよ!
 バターは弾くもんじゃなくて食うもんだろーが!」

 勢いでバターを地面に叩きつけたクロは、そのややグチャグチャになった固形食品を箱に入れ、ディパックに封印した……

「身体の武器もねえ、ロクな武器もねえで、どうやって暴れりゃいいんだ!
 ……仕方ねえからどこか武器がありそうなとこ見つけて調達するしかねーか。まあ、"ここ"なら都合いいかもしれねーしな。
 おっしゃ! 早速行ってみっか!」




  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆




「んー、学校にでっけー塔、ホテルってとこだな。あとはデパートにすげー家もあるぜ。
 結構遠くみてーだが、工場っぽいのもうっすらと見えるな。おっしゃ、まずはそこ目指すとするぜ!」

 ……何故か、クロは観覧車に乗っていた。
 殺し合いだというのに、何故か観覧車に乗っていた。

「このでっけー輪に乗れば島全体見渡せんだろ。
 それに、折角遊園地に来たんだから、少しぐれー楽しまねえとな」

 そんなことを呟きながら、外からの景色を眺めるクロ。
 そんなクロを載せた観覧車は、そろそろ一番上へと到達しようとしていた。

「……つーかこれ、いつ下に着くんだ?」



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



 こうして、数十分の時間が過ぎていた。観覧車とは、ゆっくりと外を観覧する遊具であるが故、到着も遅かった。
 最初は、景色を眺めていたクロも、次第に飽きがきており……

「だー! おっせー! いつになったら着くんだよ!」

 我慢の限界を突破。密室の中で大声で叫んでいた。
 ネコ一匹しかない狭い個室で叫んだところで、結局なんの意味も持たないのだけれど、彼の性分上それは仕方のないことだったのかもしれない。

「ちくしょー、こんなことになんなら乗らねえほうがよかったかも……ん?」

 憤るクロ。その彼の目に映ったのはひとつの影だった。
 今まで誰とも遭遇していなかったクロであったが、とうとう参加者の一人を目測した。
 いや、参加者ではない、ここに"偶然"紛れ込んだ『いきもの』かも知れなかったが、彼にはそういうまどろっこしい思考はあまりなかった。いや、ほぼなかった。

「お? 誰かいんじゃねーか。
 ちょーどいいや。ちょっくら話でもしてくか。
 敵ならブッ飛ばせばそれでいいんだしよ」


 観覧車の中の黒猫がそんな事を考えていた頃――


「ドラえもん! しずかちゃーん! ジャイアーン! スネ夫ー! みんなー!
 うわあああ! もうおしまいだ。ぼくはここで殺されて死んじゃうんだ。
 うわ~ん、助けてドラえもーん!」

 丸メガネをかけたやや小柄な少年。野比のび太は泣いていた。
 普通であれば笑顔が飛び交うような場所である遊園地で、場違いな涙顔を振りまきながらへたりこんでいた。
 遊園地で泣くような人間といえば、よほどの遊園地嫌いか、親とはぐれて迷子になった子供か、一部のアトラクションに泣かされた人か、はたまた予想以上の出費で涙を流す一部の大人くらいであるというのに。
 まあ、そもそもこんな凄惨な殺し合いの場に遊園地という施設がある事自体が場違いとも言えてしまうが。

 のび太ははじめ、遊園地にいた。
 キュゥべえと言った謎の生物に殺し合いの話を聞かされ、目の前が閃光に包まれたと思った瞬間、彼はいつの間にか"ここ"にいた。
 最初はわけがわからず、静かにここに座っているだけだった。が、時間が経つにすれ、自分が今置かれている以上自体に気づき、察し、心がパニックで暴れ始め、こんな状態とあいなってしまったのであった。


「まだ読んでないマンガもあるのに、こんなのってないよ!
 ドラえもん、いつものようになんとかしてよ~! どこにいるんだよう、早く助けにきてよ!」

 大声で泣きじゃくるのび太に、はじめてかけられた声は、慰めの言葉ではなかった。
 当然哀れみの言葉でもないし、叱咤の言葉でもない、『それ』は――

「うるせー! こんなとこで泣いてんじゃねえ!
 オメーが危ねえし、なにより殺し合いに乗ってるようないかれたヤツに会ったらどーすんだ!」

 ……一匹の猫の怒鳴り声だった。





  ★ 自由気ままなバトルロワイアル ☆


 のび太は怒鳴り声に過剰な反応を示しながらも、恐る恐る振り向く。
 そこには、二足歩行の目つきの悪い黒猫がいた。

「だ、だれ……? ドラえもん?」
「あん? ドラえもん?
 ……ダレだそりゃ」
「違う……ネコ?
 ええー!? ネコが、ネコが喋ってるー!?!?!?」

 はじめは、きょとんとした。
 そのあと間髪入れずに放たれたネコの言葉に、のび太は驚愕した。
 なぜなら、喋るはずのないネコが喋っているからだ。
 その時点で、ただでさえ切迫状態になっているのび太の心は破裂寸前となった。
 恐怖のあまり思考にならず、彼は『 ニア にげる 』という選択肢を選ばざるを得なかった。

「ネコがネコがネコが……ドラえもんドラえもんドラえもんドラえ……」
「うるせー……ってんだろ!」

 のび太は親友であり家族のような存在でもあるネコ型の子守ロボットの名を、壊れたレコードのように連呼し、床を這いずり回る虫のように逃走を測った。が、すぐに憤った黒猫に拳で阻止された。
 のび太の頭に鉄の衝撃が駆け巡った。まあこれでも彼は手加減しているのだが。本気で殴るときっとのび太の頭は鯵の開きのように裂かれて脂肪の塊が散乱していただろう。
 まあ、キュゥべえが暗に設定した『制限』により、クロのサイボーグとしてのパワーが減少していたのももちろんあったのだが。

「いたいじゃないか! なんで殴るんだよう!」

 のび太の頭に、でっかいたんこぶができた。
 現実ではあり得ないような、ギネス級の大きさのだ。

「まさか、殺し合いに乗ってるの!?」
「別に殺し合いに乗ってるわけじゃねー。オメーがあまりにも騒ぐから殴っただけだ」
「そんな、ひどい」
「あーそうかよ。
 じゃあ、騒いで誰かに見つかって殺されてもオイラは知らねーからな。じゃあな」
「まま、まってよ!」

 あっさりどこかへ行こうとするクロを、止めるのび太。
 なぜさっき殴られたはずなのに、止めるのか。ときっと皆は思うだろう。
 しかし、彼は一人で放置されていた方がの方がよっぽど嫌だったのだろう。行こうとする黒猫を呼び止めた。

「あー、なんだよ。
 殴ったらわめく、行こうとしたら止める。オメー少しはハッキリしろよ」
「ドラえもん、ドラえもんを知らないかな?
 ぼくは、小学五年生の野比のび太」
「あ? 誰だそりゃ」

 のび太は、自分の友達のドラえもんというロボットの事を話した。
 少しではあるが、彼にドラえもんと共に過ごしてきた事を話した。そのほうがドラえもんのことを分かってもらえると思ったから。

「あー、わりーが知らねーな」
「そう……」
「ネコ型ロボットねぇ……剛のやろーの作ったサイボーグか?
 いや、まだわかんねえ。他のヤツが作った可能性も……コタローみたいなのもいるしなー」
「……なにブツブツ言ってるの?」
「ん? 別に大したことじゃねえよ。こっちの話だ」

 次に、クロはのび太の目を見る。
 こいつは大丈夫だろう。明らかに無害そうな顔だ。そんな顔をした後、クロは口を開いた。

「オイラはクロってんだ」
「う、うん、よろしくね」

 はじめて、一人と一匹はまともな会話を始めたのだった。



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「のび太も殺し合いに乗る気はねえってことでいいんだよな?
 ま、ドラえもんってヤツに会ったら、のび太が探してたって言っとくわ。別に、ついでっつー事以外なにもねえからな」
「あ、ありがとうクロ」

 参加者名簿を再び確認し、『ドラえもん』の名前を再確認すると、クロはネコ視点で見ると一回り程度大きく見えるディパックを携えた。

「じゃーな。オイラはもう行くから」
「えっ……う、うん……」

 こうして、二人は別れた。
 別れた……と、なるはずだったのだが。



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「ったく……時間食っちまったなー。早く武器のある場所へ向かわねーと。
 さすがに木刀じゃ、さすがのオイラでも危ねえかもしれねーし」

 遊園地抜けるべく、まずは出口。というか入り口を探すクロ。
 しかし、彼が感じていたのはなによりも、なにかしらの『気配』であった。

「……誰か、いるな」

 いや、気配だけではない。
 明らかに物音がするのだ。
 いくら静かに動こうと、クロはネコである。聴覚は人以上のものを持っている。さらにサイボーグ化によって強化さえされているのだ。反応しないわけがない。

「誰だ? 気配を消す気もねーっぽいけど、まさかオイラとやろーってのか?」
「……」

 反応は、ない。
 しかし呼吸の音や、何かを蹴ったような音が明らかにする。
 やはり、黙りながら隠れているだけだ。しかもかなり露骨に。
 素人でもそこまで露骨ではないだろう。その程度のものだった。

「こねーなら、こっちから行くぞ」
「ひいっ!」

 クロは後ろを向いて草陰へと向かう。するとさらに誰かの声がした。クロを尾行している者の声だろう。
 もう隠れる気はなさそうだ。そう思い半ば呆れながらクロはその"陰"へと近づく。

「オラアアアアアァ!」
「うわぁああぁああっ!」

 キケンなヤツならぶっ殺すとまでに物凄い形相で突撃しているクロに恐怖したのか、追跡者は大声をあげて地べたに倒れこむ。
 そこにいたのは、野比のび太の姿だった。

「……なんだ、のび太じゃねーか。
 コソ泥みてーなマネしてんじゃねえよ」
「ご、ごめん」



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「なんでついてきたんだ?」
「……ぼく一人じゃ、心細いから……
 誰か、殺し合いに乗った怖い人が出たら、きっと殺されちゃうよ!」
「オメーの命はオメーで守れよ。
 さすがに甘えすぎじゃねーか?」
「でも……」

 あまり元気もないせいか、ブツブツと小声でしか理由を述べるしかないのび太。
 耐えかねたクロは、その言葉を絶叫で斬り捨てた。

「あ~! グダグダうるせー!
 この木刀やるよ! それならオメー自身で少しは守れんだろ!」
「えっ……」

 のび太の眼前に、ディパックから引き抜いた木刀を放り投げる。
 木刀はカランと乾いた音を立ててパステルカラーの床に転がった。

「つーわけで、今度こそサヨナラだからな。ついてくんなよ」

 しかし、のび太はまだ言葉を口に出すことをやめはしなかった。
 それだけ、不安なのだろうか。
 それとも、殺し合いには生き残れないと自分から悟っているのだろうか。
 はたまた、いつもドラえもんに頼っている悪い癖が出てしまっていたのだろうか。
 まあ、おそらく全てなのだろうが。

「そ、そうだ!
 じゃあぼくの支給品を!
 クロって、武器を探してるんでしょ!? だったらぼくに支給品された空気砲、使ってみない!?」
「あ? 空気砲?」

 そう言い、自分の支給品を取り出すのび太。
 そこには、鉄の丸い空洞のような奇妙な物体があった。
 その形は、クロがいつも常備しているガトリングによく似ていた。

「へー、結構いいじゃねーか。オイラのガトリングを思い出すカタチだぜ」
「じ、じゃあ早速つけてみてよ」
「もうとっくにつけ終わってる。
 つけ方もガトリングに似てたから、すぐに馴染みそうだなー。いいじゃんいいじゃん! 結構気に入ったぜ!」

 しかし、彼はある違和感に気がついた。

「ん?」

 弾を発射するための引き金。トリガーがないのだ。
 内側をいくら探ってもそれらしいものは見当たらない。
 それはそうだった。何故ならこれはドラえもんの所有している未来の道具、『ひみつ道具』なのだから。
 この空気砲のトリガーは、少し特殊なものである。シンプルではあるが、普通の思考ならば考えつかないものであるだろう。
 だからこそ、支給品には説明書が付属している。さらに、その持ち主自身が説明書のようなものであるので、クロがこの道具を使うのは容易くなるはずではあるのだが。

「オイ、これどうやって撃つんだ?
 トリガーみてーなもの、どこにもねーぞ」
「えっと、『ドカン』って叫べば空気の弾が撃てるはずだよ」
「ん? 叫ぶだけでいいのか?
 おし。『ドカン』」

 クロがそう言った瞬間、空気砲のトリガーが"起動した"。
 空気が勢いよく弾のようになり、飛び出る。それは弾丸と遜色ないスピードで飛んで行った。
 が、しかし。
 クロは周りをよく見ずにトリガーを起動させた。だからその弾の行方はクロ自身には知り得ない。
 その弾が飛んで行った先が、トラブルのはじまりであった。

「おお! マジで出たぜ! スゲー!
 でも弾丸ってワケじゃねえのか。ちょっとそこらへんはビミョーだな……ってありゃ?」


 ――――――。

 野比のび太は気絶していた。
 頭には二つの大きなたんこぶがはっきりと見えている。
 一つはどうということはない。クロに殴られた時にできたものだ。

 では、もう一つはなんなのだろう?

 答えは簡単。
 頭を強く床にぶつけた時にできたものだ。

 解説としてはこうだ。
 ①クロの空気砲が声のトリガーにより発射される
 ②弾がのび太に当たる
 ③のび太は反動でバランスを崩し、倒れこむ
 ④そのまま頭を床にぶつける
 ⑤気絶 ←☆ イマココ ☆

 ……ということである。

「……伸びてやがる。あ、もしかしてオイラの空気砲のせい?」

 目をグルグルと回しながら気絶しているのび太。顔の上には無数の星が飛び交っている。
 不可抗力とはいえ、この状況を作ったのはクロである。そして、ここは殺し合いだと彼は再び思い出す。
 このまま気絶されて、誰かに殺されても後味が悪い。だとすれば、もうひとつしかなかった。

「…………しかたねー」

 結局クロはのび太を連れて行くことにした。
 とは言っても、安全な場所に連れて行って目が覚めるまで見ておくというだけだ。それ以外に連れて行くイミはない。クロはそう思い返しながら気絶したのび太を引きずり歩き出した。



 気絶した野比のび太を仕方なく、連れて行くことにしたクロちゃん。
 まだバトルロワイアルも序盤!
 いったいどーなる!? 待て、次回!




【H-8/遊園地/一日目-深夜】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
 [衣装]:ネコのぬいぐるみの皮(中国製)
 [状態]:健康
 [装備]:空気砲@ドラえもん(残り99/100発)
 [道具]:基本支給品一式、空気砲@ドラえもん、あやとりのヒモ×10@ドラえもん、バター@ボボボーボ・ボーボボ
 [思考・行動]
  基本方針:ここを脱出してキューベーとかゆーヤツをブッ飛ばす。それまではテキトーに暴れる
  1:とりあえずのび太をどっかテキトーなとこへ連れてく
  2:邪魔する奴はもれなくぶっとばす
  3:アイツらなら大丈夫だろ
 [備考]
 ※参戦時期は不明です。
 ※ドラえもんの情報を獲得しました
 ※サイボーグとしてのパワーやスピードは制限、体内武器もすべて没収されています。

【野比のび太@ドラえもん】
 [衣装]:いつもの服、丸眼鏡
 [状態]:気絶、たんこぶ二つ
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2、木刀
 [思考・行動]
  基本方針:ドラえもんに会いたい。あとはその後から考える
  0:死にたくない
  1:……(気絶中)
 [備考]
 ※参戦時期は不明です
 ※クロがサイボーグであることは分かっていません





【空気砲@ドラえもん】
野比のび太に支給。
ドラえもんのひみつ道具の一つ。
『ドカン』という声がトリガーとなり空気の弾を発射できる武器。大砲の砲口部を模している。腕にはめて使用する。
弾とはいっても空気なので、殺傷力はさほど無いが直撃時の衝撃は強い。
本ロワでは威力が本来の70%ぐらいに制限されており、弾数制限も設けられていて最高100発しか撃てないようになっている。

【あやとりのヒモ@ドラえもん】
クロに支給。
あやとりという遊びをするために、楕円状に結ばれた色付きの細いヒモ。
赤、青、緑、黄、ピンク、橙、紫、白、黒、水色の10色セットが支給。
あやとりはのび太の得意技のひとつ。

【木刀@現実】
クロに支給。
樫などの木を削って日本刀の形に模したもの。武術用としても使用されることがあり、打撃武器としてはそれなりの威力を持つ。
修学旅行でおみやげに買う生徒がいるとかいないとか。

【バター@ボボボーボ・ボーボボ】
クロに支給。
ギターじゃなくてバター。無職男の淡い夢の象徴でもある。
面接会場で魂の演奏をしたとしても、掃除を要求されるだけで心は届かない。
泣いていた人がいたとしても、それは多分目にゴミが入っただけ。古いっちゃあ古いリアクションをすること請け合い。
夏場は臭って大変らしい。




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000:オープニング 野比のび太 :
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