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ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk



砂浜に一人の少女が倒れている。
雪のような色の髪と、小柄な体。その体に見合わぬ発育の良い双丘。

―――雪音クリスは目を覚ますと、上体を起こし、首を振る。

「……ったく。一体どうなってんだよ、これ」

立ち上がって身体の砂を払い、まわりを確認する。
傍にデイパックが一つあることを確認。
辺りには砂浜が続き。
月に照らされ、波が揺れている。

「月、か―――」

見上げる月に、傷跡はない。
あれはフィーネが穿った月ではなく―――自身が居た世界ではないのだと、認識する。

「参ったな……マジかよ」

白い猫のような生物―――キュゥべえの話を思い出し、反芻する。

『生き残った一名は、今まで生きてきた世界を取り戻すことができる。』
『更にその一名には、どんな願いでもかなえる権利を与えられるんだ。』

「……ハ。」
鼻で笑った。

間違った願いで突き進んできた彼女には。
夢を取り戻し。【絶唱】を使い、死を垣間見たクリスには。
それが、薄っぺらいもののように感じた。

(アイツなら……願いは自分の力でかなえるもの!なんて言うんだろうか)

僚友となった真っ直ぐな彼女を思い出し苦笑する。

『戦いの意志と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種をなくす』

その決意で、フィーネに従い、他者を傷つけてきた己。
以前のクリスであれば、迷うことなくその提案に乗り、
その願いを叶えるため、他者を躊躇なく排除したであろう。

だが、今は―――


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「ま。何をするにしても、とりあえずコイツを確認しておかないとな」

なんてひとりごち、デイパックをごそごそと漁る。

食料、水……飢えの苦しみについて、何度も何度も経験したあたしは良く分かってる。
これが生命線であることは間違いない。
長丁場になるだろうから、補給できる地点があるなら探さないといけないな。

地図……現在地がどこかはわかんないが、海沿いってのはラッキーかな。
どっちかに歩いていけば、海沿いの何かしらの建物は見つかるだろう。
後は川の上流の山に行けば、毒も心配せず飲み水には苦労しねーかな。
あ、水を入れておく容器も欲しいな。

次は……名簿。

「―――良かった……」

あたしを助けてくれた小日向未来、お人よしの立花響、一本気な風鳴翼。
誰の名前もない。

「……別に、さびしかないけどさ」

こんな場にはあたしみたいなのが似つかわしい。
あたし一人でも、あの猫だか兎だかのナマモノを、
そしてその裏にいるであろう黒幕を、蜂の巣にしてやるよ。

「……って。おっさんはいるのかよ……」

風鳴弦十郎。

暑苦しく、鬱陶しく、あたしの保護者のように構ってくるおっさん。
対ノイズでなければ、腹を貫かれても少し経てば復活するような、
殺しても死なないような男だけど。

「ま、まあ。仕方ないから助けてやるか」

どうせあたしを心配して探しにくるのだろうし。
逃げても巻いても結局掴まえにくるのだから、仕方ない。合流してやろう。うん。
そしてランダム支給品などを確認していき、最後の品が―――

「……へえ。やれるもんならやってみろ、ってことか」

【イチイバル】のペンダント。
あたしだけが使える、第2号聖遺物。
これがあれば早々遅れを取ることはないだろうが……

「……それだけ、化け物揃いってことか」

ボボボーボ・ボーボボやらバーサーカーやらケロロ軍曹やら
明らかに人の名前ではない連中が参加者に名を連ねている。
シンフォギア装者だから戦闘面でアドバンテージがある、などと慢心してはいけないだろう。

「なにしろあのおっさん、完全聖遺物を纏ったフィーネを生身で圧倒したって話だからな……」

ああいう超人級がゴロゴロいると思っていた方がいい。正直御免だが。

「ま。まずは本物かどうか、試しておかないとな」

海と向かい合い―――月に照らされながら、唄を紡ぐ。



『Killter Ichaival tron―――』



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「バトルロワイヤルだあ?まーたTVの変な企画じゃねーだろうな」

見かけは中年だが身体は引き締まっている男―――鏑木・T・虎徹が、
きょろきょろとカメラが無いか辺りを見回す。

「視聴率の為なら悪魔にも魂を売り渡す奴がいるくらいだ。ありうる話だが……」

通信機も取りあげられ、本社に確認することもできない。

「いや、待てよ……確かこいつは……」

マーベリック事件の際、親友のアントニオ(※牛角さん)が、
『首輪を付けられ、最初にボタンを押した人間だけが助かり、他の人間は死ぬ』
という悪趣味なことを仲間のヒーロー達とさせられていた、という話を思い出す。

危うく策略に乗り、ボタンを押してしまいそうになってしまった、
と酒を飲みながらアントニオは吐露していた。

「今回も同様に、犯罪者が絡んでいる可能性が高い……か」

ならば、例え能力が減退していようと、
例え2部リーグ在籍であろうと、鏑木虎徹はヒーローである。


『どんな時でも市民を守るのがヒーローでしょ?

 ―――あなたは、どんな時でもヒーローでいて』


そう、妻―――友恵と、約束したのだ。

「ああ、わかってるよ。それがオレの役目だな!!」

パチパチと頬を叩き気合をいれる。

「楓もきっと!いや絶対!間違いなく!!心配してるだろうし。
 パパ、バシっと犯人を捕まえて、急いで帰るからなあーーー!!!」

届くはずのない声を最愛の娘に向かって叫ぶ男。

デイパックに入っていた名簿を見てみる。

「見知った名前は、と……」

『イワン・カレリン』……折紙サイクロンか。

昔のアイツは頼りなかったが、今の折紙なら、心配はいらないだろう。
アイツももう立派なヒーローの一人だ。
いずれ合流もできるだろう。

そして、他に出てきたものは。
あの事件でベンさんが持ってきてくれた、アタッシュケースと全く同じもの。

―――中には、ワイルドタイガーの旧式スーツとリストバンド。

木陰でもそもそと。
青と白を基調にした、何世代も前の野暮ったいデザインを着込む。

開発主任の斉藤さんは『クソスーツ』なんて呼んでいたが。
オレにとってはバーナビーとはまた違った意味での『相棒』。
むしろかっこいいだろう?
慣れ親しんだリストバンド式のワイヤーガンも腕に装着して。

「さて……ワイルドに吼えるか!!」

誰も見ていないのにビシっとワイルドタイガーのポーズを決める。
これも職業病なのかねえ。

「呼び出しも掛かるわけねえし。まずは、付近のパトロールからだよな」

月が出ているからか、懐中電灯を使うまでもなく付近の様子が分かる。
デイパックを担ぎ、歩いていると
―――波の音と共に、歌声が聴こえてきた。

澄んだ声色。
色なんて元々見えやしないが、これが透明な声ってやつなんだろう。



『Killter Ichaival tron―――』



□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



―――赤と白を基調とした装具を身に付けていく。

(よし、本物みたいだな……。……ッ!?誰かいるッ!!)

後ろに気配を感じ、クリスは右腕のアームドギアをクロスボウへと変形させて構える。

構える先には、月に照らされる覆面、肉体にピッチリ張り付いた服、そして翻るマント。

「……なるほど、これが『変態』って奴かッ!!」

威嚇のため、変態の足元に向け躊躇なくクロスボウを放つ。

「どわっ!?撃ってきた!?」

虎徹の身体から青白いオーラが出始め、
クロスボウから放たれた光の矢が、足元に到達する前に横っ跳びで避ける。

「んなッ!?発射を見てから避けたッ!?
 ……なるほど、早速『超人級』のお出ましってワケか!」

クリスは左腕のアームドギアも変形させようとし―――

「わー!!待った!待った待った待った!!お嬢ちゃん、話を聞いてくれ!!」

バンザイのポーズで敵意の無いことを示す。

「なんだ変態、言い残すことでもあるのか?」
「変態って酷いなおい……知らない?オレのこと。ほら」

両手をサムズアップさせポーズを取る。

「……なにしてんだ?」
「いや……オレも結構有名になってたと思ったけど……
 ああそうか、お嬢ちゃんまだ若いもんな。このスーツ時代のオレのことは知らないか。
 何を隠そう……オレが!ワイルドタイガーだ!!」

ビシっとポーズを決める。
チャキっとクロスボウを構える。

「待て!待てって!!ホントに知らない?
 ほら、あのバーナビーとコンビを組んでる、ヒーローのワイルドタイガーだよ?」
「知らない。」

がっくりと両腕を砂浜につく虎徹。

「そうか……今は二部リーグだもんな。これが現実だよな……
 世間の風は冷たいぜ……」
「お、おい?
 あーほら、あたしテレビとかって観ないし。
 そういうの知らないんだよ。ごめんな。」

がっくりする男を不憫に思ったのか、近づいて何故かフォローしてしまうクリス。

「いやいいんだ。過去の栄光に縋ろうとしたオレが間違ってたんだ。
 お嬢ちゃんにも知られるよう、オレ頑張るからな」
「お、おう。そ、そっか。がんばれよおっさん。
 えっと、名前なんだっけ?」
「ワイルドタイガーだ。覚えておいてくれよな。お嬢ちゃんは?」
「クリス。雪音クリスだ。…………ん?」

再び間合いを取って、名簿を取りだす。

「おっさん、動くなよ……。
 えーっと。ライダー、ラオウ、ワ、ワ……ワムウ、……」

そしてチャキっとクロスボウを再び構える。

「おっさん。ワイルドタイガーなんて名簿にねえぞ!」
「は……?
 ああああ!!そうだったあああああ!!!!!」

またしてもがっくりとする男。

「???」

何がなんだか分からない少女。

「……お嬢ちゃん。ヒーローってのは正体がバレちゃいけないんだ。
 幸いにして、お嬢ちゃんはオレのヒーロー姿のことは知らない。
 だから言うけど、絶対に他の人には言わないでくれよ」
「お、おう?」
「オレの名は……鏑木・T・虎徹だ。一児のパパにして、ヒーローをやってる」

立ち上がってマスクを外す。
ヒゲのあるおっさん顔だ。

「ふーん……かぶらぎ……
 (『鏑』の字が読めないけど、Tもあるしこれか)
 ……うん、あった」

名簿から目を離し、再びじろじろと虎徹を見る。

「うーむ。ここではマスクを取って活動した方がいいんかなあ……」

とぶつぶつ呟く虎徹。
全然違うが、なんとなく雰囲気が弦十郎のおっさんと共通しているところもある。

「ま、悪い奴には見えないか……
 ……わ、悪かったな。いきなり撃ったりして」
「おう、構わないぜ。
 こんな場所でお嬢ちゃんひとりなら仕方ない。心細かったろう」

ぽむと頭に手を乗せる。

「なっ!?」
「お、おっと悪い。つい娘にもしちまうんだよな」

バツが悪そうに苦笑いする虎徹。

「フン。次やったらドテっ腹に穴開けるからな……」
「ハハハ、悪い悪い。
 んで、お嬢ちゃんのその格好はなんだい?
 ブルーローズのコスプレ……か?
 ダメだぞ、そんな胸を強調するような服。
 あ、楓にもきちんと言っておかないとな。いくらTV向けだからって…」
「な、な……!!
 これは聖遺物のせいで、好きでこんな格好してるわけじゃないからな!!」


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


クリスは装具を解いて私服に戻り。虎徹は旧スーツのまま、マスクを外し。
お互いに知人、風鳴弦十郎とイワン・カレリンについての情報を交換する。

「ふーん、こいつも『ヒーロー』って奴なんだな」
「ああ、競うべきライバルの一人であり、とても頼りになる仲間さ」
「……変わった奴が多いんだな」
(ガングニールの……立花響と同じようなバカが、世の中には結構いるもんだな……)

「で、風鳴弦十郎って人が、お嬢ちゃんの保護者と」
「アイツの自称だよ。……でもまあ、そんなとこだ」

ぷいっと横を向きつつ肯定するクリス。

「そうか、じゃあ会わせてやらんとな」

うむ、と頷く。

「は!?おっさん、ついて来る気かよ!?」
「当たり前だろう。お嬢ちゃん一人でこんな場所は危ないだろう」
「ハン。さっきの見ただろ。
 あたし一人でも切り抜けて、こんなのを仕組んだ奴を蜂の巣にしてやるさ。」
「おっとっと。奇遇だな。オレも主催者は懲らしめてやらなきゃならんと思ってるんだ」
「…………はぁ」

溜息をつくクリス。
(おっさんといい、このおっさんといい。
 どうせ振り切っても振り切ってもおっかけてくるんだろうな……)

「わかった、わかりましたよ。ついて来たければ勝手にすればいいだろ」

ぷいと横を向きつつ、しぶしぶ了承する。


「んで、おっさん。まずどっちに行くのがいいと思う?」
「ああ……オレの勘ではこっちだ!!」

海岸線の片方を指差す虎徹。

「なるほどね。じゃあこっちか」

即座に虎徹の差す方向と反対側にクリスが歩き出す。

「ってお嬢ちゃんもかよ!みんなオレの勘を信じろよ!!」

と虎徹がクリスの後を小走りで追ってくる。



それにしても、とクリスは思う。


―――何故あたしは、おっさんにばかり付き纏われるのか、と。




【A-2/海岸付近/一日目-深夜】
【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
 [衣装]:いつもの服(一期私服)
 [状態]:疲労(微)
 [装備]:イチイバル@戦姫絶唱シンフォギア
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
 [思考・行動]
  基本方針:主催者を蜂の巣にする
  1:虎徹と(仕方なく)協力して主催者に対抗する
  2:海沿いを歩き、現在地を確認する
  3:風鳴弦十郎と合流する
  4:C-4の山に行き、安全な水を補給する
 [備考]
  ※参戦時期は一期終了後です。
  ※イワン・カレリン(+折紙サイクロン)の情報を入手しました。

【鏑木・T・虎徹@TIGER&BUNNY】
 [衣装]:ワイルドタイガー旧式スーツ@TIGER&BUNNY(マスク外し)
 [状態]:疲労(微)
 [装備]:リストバンド形ワイヤーガン(スーツ付属品)
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
 [思考・行動]
  基本方針:ヒーローを貫く。市民を守る。
  1:クリスと協力して主催者に対抗する
  2:楓は心配してるかな……
  3:折紙とはいつか合流できるだろう
 [備考]
  ※参戦時期はTV版最終回終了後です。
  ※風鳴弦十郎の情報を入手しました。
  ※【ハンドレッドパワー】
   1分間だけ身体能力を100倍にします。インターバルは1時間。
   使用後、疲労状態が一段階低下します。


【イチイバル@戦姫絶唱シンフォギア】
雪音クリスに支給。
第二号聖遺物「イチイバル」のシンフォギア。
赤と白を基調とした装具。高火力での遠距離・広範囲射撃を得意とする。
可変・可動式主武装のアームドギアはクロスボウ・ガトリング砲・ライフル・ミサイル等に変化する。

【ワイルドタイガー旧式スーツ@TIGER&BUNNY】
鏑木・T・虎徹に支給。
青と白を基調としたアメコミヒーロー風のスーツ。
耐久力と身体能力を少し向上させる。
ワイヤーを射出できるリストバンドが同梱されている。




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