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未完了形変体刀・七つ花  ◆M3ZabKCP7w


 「本当……何なのこれ」

 少女が一人、暗く人気の無い洋館の前で座り込んでいた。

 「最後の一人になるまで脱出不可能……」

 謎のナマモノ、きゅうべぇの言っていた言葉を反芻しながらその少女、日向夏美はノロノロとデイバックの中身を漁っていた。

 「本当に言ってたものはそろってるわね……」

 デイバックに入っていたのは、食料、水、地図、名簿、ルールブック、筆記用具、照明器具そして、

 「刀かぁ」

 武器である。
 その漆黒の刀を見ながら、夏美はきゅうべぇが言っていた言葉が嘘や冗談ではなく真実、現実であると感じ始めていた。最後の一人になるまで続く殺し合いの場にいると。
 そう感じた瞬間夏美はとっさに自分の肩尾抱き身震いした。

 「っ! ……ふん!」

 バチーンと大きな音が響いた。夏見が自分のほほを叩いた音である。夏美は恐怖に負けそうな己に気合を入れたのだ。そして荷物の確認を再開し、参加者名簿に目線を移した。
 その名簿を手に取った夏美は息を呑んだ。この名簿にどんな名前が書かれているか、最悪を考えてしまっているのだ。時間をかけてゆっくりと名簿を開き、

 「そ、そんな!」

 その名前を目にしてしまった。
 日向冬樹、夏美の弟である。夏美の偏見ではあるが到底この場で最後前生き残れそうに無い人物、と同時になんやかんやと生き残れそうな人物でもあった。

 「で、ボケガエルどももここにいるのか」

 そして弟以外にも見知った名前が有り若干安堵の表情に変わった。そしてそいつらはこんな状況でも勝手に騒ぎを起こしながらも生き残れそうな名前ばかりであるのも夏美にはプラスに働いた。
 一通り名前の確認を終えた夏美は名簿をポケットにしまいながらどう動くかを考え出した。

 「(まずこんな殺し合いに乗る訳にはいかない。でも脱出? きゅうべぇとか言ったあの生き物は無駄だって……でもそそれしかない。そうするしかないじゃん!)」

 いつの間にか腕を組んで考えていた夏美は簡単に結論をまとめたがありきたりなことしか考えれない。

 「もー! とりあえず冬樹たちと合流! 後のことはそれから!」

 細かいことは放り投げて夏美は行動するための準備を整えだした。
 荷物をデイバックにまとめて突っ込み、護身用に武器である刀を腰に下げた。

 「とりあえず最初は……警察署かな? こんな森の中じゃろくなものがなさそうだし」

 そう言いながら夏美は目の前の洋館、ジョースター邸の探索は放棄した。深夜に明かりの無い洋館の探索などする気には早々ならないだろうし仕方が無い。
 呟きながら夏美は森の中へ向かっていくと、木々の間の闇の中に一人の男が立っていた。

 「あんたの持ってるその刀、俺に渡してくれないか」






◇  ◇  ◇






 「何でこんなことになっちまってんだ」

 一人の男が呆然と森の中に立っていた。
 その男はどのような場であっても目立つ服装をしていた。
 血染めの服。
 勿論自分の流した血ではないだが返り血ともいいがたい。それはその服の本来の持ち主の血が染み込んだものであるからだ。
 そんな物騒な服を好んで着るものは普通いない。しかも女物であるならばなおさらであるのだから。
 男の名は鑢七花、刀を使わない剣術虚刀流の七代目当主である。
 そして目的のためにある場所に向かっているさなかにこのゲームに参加させられたのだ。殺し合いのゲームに。

 「ハア……面ど、……いや、面倒だ」

 一度言いかけた言葉を言いなおしながら何をどうしようかと考え出した。だが纏まりはしない。色々なことが起きすぎているために上手く頭が働かなくなっているのだ。ただその場に立ち尽くしながら、

 「……人の、女の声か」

 離れたところから女の声が聞こえてきた。
 その女の声に七花はつい少し前に死に別れたとがめのことを思い出し、身一つで、全速力で声の聞こえたほうに向かった。声が聞こえたのは一度だけ。何故か大きな声を出したのだろう、今は聞こえない。
 そして七花は大きな洋館、ジョースター邸の見える位置まで近づき、少女を見つけた。
 とがめとは似ても似つかないその少女を見て七花は若干落胆したがそれも当たり前と気を取り直した。
 ハアとため息をつきながら、ふと自分が荷物を置いてきてしまっているのに気がついた。自分に呆れながらも再び少女に目をやり、腰に下げる刀に気がついた。

 完成形変態刀が一つ斬刀・鈍

 少女が腰に下げているのがそれであると七花は分かった。理解した。
 とがめと共に収集した最初の刀であり、とがめが死ぬことになった遠因とも言えなくもない、と言える刀である。
 そして七花にあらゆる負の感情が渦巻いた。そしてそれに流されるまま、

 「あんたの持ってるその刀、俺に渡してくれないか」

 そう少女に語りかけていた。
 突然見知らぬ男に語りかけられたことでその少女、日向夏美は咄嗟に刀を抜いて七花に向き直った。

 「あなたは誰!?」

 当然の質問である。夏美は七花に刃を向けたときに僅かに恐怖し震えたがそれでも気丈に相対していた。

 「オレの名は鑢七花、虚刀流七代目当主だ。で、その刀を渡して欲しいんだけど」

 七花は僅かに焦りと苛立ちを滲ませながらも落ち着かせて夏美に話し続ける。その原因は八つ当たり、目の前の刀のことを考えるとどうしても感情がやや先走ってしまうようだ。
 しかし、その焦りや苛立ちが殺気となって夏美に届いてしまっていた。
 そしてそれに気づいた。気づいてしまった夏美は負けることなく、目の前の男を危険人物と判断し覚悟を決めて刃を向けた。
 七花もその空気に気づき構えを取る。虚刀流二の構え・水仙。
 七花が構えをとったことで夏美は焦りを覚えた。

 『……』

 しばらく沈黙が続いたが、突然それを破り七花が動き出した。あまりにも急であまりにも早い動きであったが、夏美もそれに負けず早い動きである。互いにほぼ同時に向かっていった。
 夏美は刃を返し峰打ちで七花を無力化としようとしたが、

 「虚刀流・牡丹!」

 七花の攻撃を止められなかった。そしてそれどころか

 「嘘!?」

 刀がガラスのようにあっけなく砕け散ったのだ。
 信じられないと言った驚愕の表情を夏美は浮かべてしばし呆然とした。
 だが七花は止まらない。

 「え?」

 気がつくと夏美は七花に胸を貫かれていた。

 「虚刀流・蒲公英」

 その声を聞いて夏美は数瞬遅れて今の状態を理解した。

 「……イヤ」

 血と共にその言葉を吐き出し、日向夏美はそのまま力なくうつ伏せに崩れ落ち、二度と動かなかった。
 七花は砕け散った斬刀に視線を向け、

 「一本目」

 自然と、何の気なしに呟いた。
 そして七花はこれからの自分の行動について考え出した。
 この殺し合いの場に完成形変体刀がばら撒かれている。ならば自分は何をしたいのか。そして今何をしたのか。

 「これは八つ当たりだな」

 全ての完成形変体刀の破壊。それが今七花に浮かんだこれから自分が行うことである。それをやりきるまでは生きてその後のことはその後で考えようと決めた。
 自らの行動を決定し、次に考えたのは、

 「そういえば荷物は森の中に置いてきちまったな」

 この殺し合いの場で必要なものが入ったデイバックのことについてであった。

 「探しに行っても見つかりそうにないし、この娘のやつでいいか」

 七花はとりあえず自分が殺した少女の物を使うことにした。道具は一つ減っているがそれは自分では使えない刀であるがゆえに気にする必要は無いとして七花はその荷物を持って適当に歩き出した。



【日向夏美@ケロロ軍曹 死亡】



【B-7/ジョースター邸付近/一日目-深夜】

【鑢七花@刀語】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品(名簿無し)、ランダム支給品0~2
 [思考・行動]
  基本方針:完成形変体刀の破壊
  1:完成形変体刀についての情報を得る
  2:邪魔する者は殺害も辞さない
 [備考]
  ※尾張城へ攻め入る直前からの参戦

  ※鑢七花の支給品はB-7の森のどこかに落ちています



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