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今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい」(2013/09/11 (水) 11:46:04) の最新版変更点

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**今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA ドラえもんは今までにないほど慌てていた。 気が付いたら真っ暗な空間に居て、キュゥべえとかいう変な生物に最後の一人になるまで殺しあえ、などと言われたからだ。 否、それだけだったらまだ冷静だったかもしれない。 慌てている原因、それはのび太の存在であった。 勉強もスポーツもダメでドジでのろまなのび太が『バトルロワイアル』に参加させられたらどうなるか? 考えるまでもない。すぐに危険人物に見つかって殺されるに決まっている。 大切な親友であるのび太を死なせる訳にはいけない。すぐにのび太と合流しないと! そう考えたドラえもんは、会場に飛ばされるなり走りだした。 すこし走っていると、長身の男を見つけた。 のび太を探すことを最優先にしているドラえもんにとって他の参加者との接触は避けたかった。 そのため回り道をしようと思った時、男の手に有る物に気が付いた。 それは―――― どら焼きだった。 どら焼きに気が付いた瞬間、ドラえもんに迷いが生じた。 (ああ、そういえば何日もどら焼きを食べていないせいで禁断症状を起こしてたっけ。あのどら焼き、分けてくれるかなあ。  いや、危険な人かもしれない。ここは避けてのび太くんと合うことを第一に……  でも、次にどら焼きを食べることができるのはいつかわからないし……  いや、どら焼きよりのび太くんの方が大事だ。  けれど、のび太くんを探すにしても一人じゃ難しいだろうし、協力してくれる人が居ると心強い。  しかし……うう……) などと考えている内に、男はどら焼きを口に持って行こうとする。 このままではどら焼きはあの男が食べてしまうだろう。 一刻を争う事態にドラえもんは、 「待って~~~!!!」 躊躇する事無く大声を張り上げ、男の元へ走り出したのだった。 * 「……フン、下らん。」 ジャックは空を見上げ、呟く。 「キュゥべぇと言ったか。  貴様が何を考えてるのかは知らんが、貴様の野望なぞこのジャック・アトラスが粉砕してくれる!」 そう宣言し、まずデイパックの中身を確かめることにした。 「これは、名簿か……なるほど、遊星と鬼柳もここに連れてこられた様だな」 しばらくの間会っていないが、ジャックは二人を心配をすることは無かった。 同じチームサティスファクションの一員として、そして遊星とは同じチーム5D'sの一員としても共に闘った。 二人の強さはジャックも良く知っている。 恐らく鬼柳はバトルロワイアルをぶっ壊して満足しようとするだろうし、 遊星は仲間を集めてバトルロワイアルを、そしてキュゥべぇを打倒しようとするだろう。 そんな二人を想像し、思わず笑みがこぼれる。 (俺も負けてられんな……) そして名簿を読み進めようとするが、見逃しかけた遊星と鬼柳の間にある名前に驚愕する。 「ブルーノだと!? 馬鹿な! あいつが居るというのか!?」 ブルーノ。かつてジャックや遊星と同じチーム5D'sの一員であった青年。 記憶喪失ではあったが、遊星にも引けを取らない技術力の高さ、そして穏やかでマイペースな性格などから いつしかチーム5D'sに必要不可欠な存在となっていた。 しかし、遊星が言うにはブルーノの正体はイリアステルの一員、本名はアンチノミーで遊星と決闘を行ったという。 アンチノミーは遊星と闘い、遊星を新たな次元へと進化させるためデルタアクセルシンクロを見せ、 決着後は遊星を助けるため命を落とした、とのことだった。 「……どういうことだ? これは一体……」 遊星はブルーノのサングラスを回収していた。 サングラスはボロボロで、持ち主がどうなったかはおおよそ察することができるくらいだった。 「く、考えても埒が明かん。今は状況把握に努めるべきか」 ブルーノの事は一旦後回しにし、名簿を読み進めていく。 その結果、ジャックの知る名前は不動遊星、鬼柳京介、ブルーノの三名であった。 それより気になったのが、名簿に記された名前だった。 「どうやら、全ての者が本名で載っている訳では無さそうだな」 少なくともケロロ軍曹、ギロロ伍長、クルル曹長、ドロロ兵長、 ドラえもん、先生、ボボボーボ・ボーボボ、首領パッチ、ヘッポコ丸、ところ天の助、魚雷ガール辺りはそうだろう。 上の者は階級ごと載っており、下の者に至っては意味不明である。 まあ、ボボボーボ・ボーボボ、ところ天の助はまだ有り得るかもしれないが。 もっと言うならジョーカー、セイバー、ライダー、バーサーカーもその可能性はある。 それぞれ、道化師もしくは切り札、刀剣もしくは救世主、騎手、狂戦士の名を冠するため、コードネームとして使いやすい。 デュエルモンスターズカードの中にもその名を持つカードが存在しているから、おかしくは無いだろう。 「それにしても、ジョーカーとはな。今の俺はキングではないが、キングを討つ切り札と聞いては黙っておれん。  何時か決闘で叩き潰してくれる」 名前に関する考察はここまでにして、ジャックは再びデイバックの中身を調べる。 次に出てきたのは……どら焼きだった。 「……どういうことだ、これは」 付属の紙を読んでみる。 「どら焼き、十個入り……だと?」 つまり、ジャックのランダム支給品の一つはどら焼き十個ということになる。 「ふざけおってキュゥべえめ! 同じ食べ物ならカップヌードルを入れておけ!  しかも入れ物も無しにそのままどら焼きをデイパックに入れるなど言語道断! 少しは食べ物の有難味を知れ!!」 叫んだあと、自らの浅はかな行動に気が付き、ハッとする。 「しまった、こんな状況で大声を出すなど自らの居場所を知らせるようなもの。クソ、キュゥべえめ……!」 もう過ぎたことは仕方ない。 しばらくの間、周囲に誰か居ないか見渡した所、誰も居ないようでジャックの心配は杞憂に終わったようだった。 「要らぬ心配をしたせいか、小腹が空いたな。ちょうどいい、どら焼きを食べるとしよう」 そう思って食べようと思ったが、 (いや、待て。バトルロワイアルは数日かそれ以上の長期戦になるかもしれん。  ここは温存しておくべきか……?) もしもバトルロワイアルが食糧が無くなるほど長引けば数少ない他の誰かの食糧を巡っての争いが起こるだろう。 そうなっては協力関係を結ぶことさえ困難になり、会場の脱出も限りなく不可能に近くなる。 そうなった時、どら焼きがあれば少しの間だけだが飢えを凌ぐことが出来る。 たかがどら焼き、されどどら焼き。どら焼きを笑う者はどら焼きに泣く。 しかし、どら焼きの放つ甘い匂いが食欲を誘う。 しばらく考えた後、 (腹が減っては戦が出来ぬ。一つくらいならいいだろう) そう判断したジャックはどら焼きを口に持っていき―――― 「待って~~~!!!」 「!?」 すごい勢いで走ってくる青い土偶のようなものに邪魔されることとなった。 「ぜー、ぜー……」 「…………何者だ貴様」 よほど必死だったのだろう。青い土偶は土下座のような体制になり、呼吸を荒げている。 いろいろ聞きたいことがあるが、とりあえずジャックは名前を聞いてみることにした。 「ぼ、ぼくドラえ、ぜー……もん、です。その……ぜー、はー……どら焼、き……ぼくに、もらえません、か?」 「まずは落ち着け、何を言ってるのかさっぱり解らん」 * 「なるほど、つまりお前はどら焼きが欲しいと、そういうことだな?」 「うん、もう何日も食べて無くて……」 簡単な自己紹介を終え、改めてどら焼きが欲しいと言いだすドラえもん。 ジャックも好きな食べ物が食べられない辛さはよく知っている。 「いいだろう、一つぐらいくれてやる」 本当は全部あげたいのだが状況が状況だ。何時必要になるか分からない。 「わ~~い! ありがとう、ジャック! いっただっきま~す!」 そう言ってドラえもんはどら焼きを一口で食べ、 「ごちそうさまでした~!」 と満足そうに言った。 もっと味わいながら食った方が良いのではないか、とジャックは思ったが本人が満足しているのでまあいいだろう。 「そうだ、何かお礼をしないと」 ドラえもんはそう言い、お腹に手をやるが…… 「あれ、四次元ポケットが無い……おかしいな……」 「……? どうかしたのか?」 「普段お腹につけてるポケットがないんだ」 「ああ、その事か。どうやら衣服等を除いて普段身に付けている物は全て没収されているようでな、  俺のデュエルディスクも没収されていた」 「う~ん、じゃあどうしよう」 ドラえもんは何かお礼をしたいようだが、思いつかないらしい。 「なら、お前のデイパックの中身を……」 見せてもらおうかと言おうとした時、ジャックはあることに気付く。 「お前、デイパックはどうした……?」 そう、ドラえもんはデイパックを持っていないのだ。隠し持っている様子もない。 まさか忘れてきたのではないかとジャックは思うが、ドラえもんの回答はそれを超えたものであった。 「デイパック? 何それ、何の事」 「……何?」 (デイパックを知らない? ドラえもんはキュゥべえの説明を聞かされていなかったのか?) バトルロワイアルのルールについてどこまで知っているのか聞いてみることにした。 「……ドラえもん。バトルロワイアルのルール、どこまで知っているか言ってみてくれないか」 「……最後の一人になるまで……殺し……合うんでしょ?」 (俺が聞いた説明と合ってい―――― 待て。どこかおかしい。バトルロワイアルのルールは最後の一人になるまで殺し合う。  なぜなら最後の一人だけが会場から脱出できる、だから殺し合う。おかしくは無いはずだ。  だが、この違和感は何なのだ? まるで何かを見落としているような……) 「……ジャック? ……もしかして、ぼく変な事言った?」 ドラえもんは黙りこむジャックに恐る恐る聞いてみた。 まさかぼくはルールを勘違いしていたんじゃ、とドラえもんは思えてきたが、ジャックは黙ったままだった。 不安になってきて、もう一度聞いてみる。 「ねえ、もしかしてホントは殺し合いなんてしなくて良かったとか?」 この願望混じりの一言が、ジャックに閃きをもたらした。 (殺し合いをしなくていい? 少なくともキュゥべえによればそんなことは――――いや、待て!) ジャックは違和感の正体に気が付いた。 けれど些細なことで、どうでもいい事かもしれないし、無意味な考えをさせるための罠かもしれない。 それでもキュゥべえの説明には気になることがあったのだ。 「礼を言うぞ、ドラえもん」 「? はぁ、どういたしまして……それで、どうなの?」 「……何がだ?」 「殺し合う必要、ないんだよね?」 期待半分で、ドラえもんは再度聞いてみる。勘違いならどれほど嬉しいか。 しかしジャックの言葉はドラえもんの願望を打ち砕く。 「ああ、そのことか……最後の一人だけしか、会場から脱出することは出来ない。少なくともアイツが言うにはな」 「……そ、そんな……」 勘違いでは無かったと知り、ドラえもんは項垂れた。 「……それより、キュゥべえの説明、気にならないか?」 「え……?」 「ヤツは殺し合えなどと言っていない。それどころか、戦え、争えなどと言った暴力表現を一切使っていない。  ただ、バトルロワイアルの終了条件は参加者の中で生存している者が一名になること、としか言っていない」 「……それがどうしたのさ、最後の一人しか脱出できないんじゃ、結局殺し合いになるじゃないか」 「そうだ、殺し合いで生き残るしかないと、そう考えるように誘導しているように思える」 「……なんでそんな事を?」 「人間、一度思い込んだ事は中々考え直す事は出来ないものだ、  故に殺し合って生き残るしか会場から脱出する事は出来ないと思わせれば他の脱出手段を探そうとしなくなる。  と、普通なら答えるが、今回の場合は意味が異なってくる。  もちろん引っ掛かればいいな、程度には狙っているのだろうが……  そんなことをするよりは、『突然だけど、バトルロワイアルに参加して皆と殺し合ってよ!』とでも言った方が印象に残る。  わざわざ遠まわしな言い方をした理由、それは……キュゥべえが嘘をつかないからだ。  つけないのかどうかは知らんがな」」 「え、そうなの!?」 「お前……」 ジャックは衝撃の真実でも聞かされたかのようなショックを受けるドラえもんに呆れそうになるが、説明を続ける。 「キュゥべえは嘘をつかない。この事はキュゥべえを知る者が複数人この会場に居ることから本当だと言える。  何なら聞いて見ると良い、とまで言っているからな」 「けどさ、それ自体が嘘だったら?」 当然の疑問を浮かべるドラえもん。 確かに、この考察はキュゥべえが嘘をつかないことを前提とした物だ。 キュゥべえを知る者が参加されていなかったらキュゥべえは嘘をつかないことを証明できない。 証明できなければ―――― 「この考察は無意味なものとなるだろうな」 「ええ!?」 「だからひとまずキュゥべえは嘘をつかない事は本当として扱う。  それで、なぜ殺し合え、戦えなどと言った暴力表現を言えないかと言うと……」 「もしかして、嘘をつくことになるから?」 「そうだ。そしてそこに、重要な何かがあるかもしれん」 「何かって?」 「ああ。少なくともキュゥべえに知られたくない何かがあるのだろう」 「それじゃあ、もしかしたら……!」 その何かに因っては誰も殺すことなく会場から脱出できる……? 一筋の希望が出てくるが、ジャックは忠告するように言う。 「念のために言っておくが、これは仮説としては穴だらけだ。  仮に当たっていたとしてもキュゥべえが隠している事が俺達とは全くの無関係の事かもしれん。  それに、先程言った通り思い込みによってこの仮説に拘り、目が曇る可能性がある。  頭の片隅に留めておく程度にしておけ」 それでも、何も思い付かないよりは全然違う。 「さて、ずいぶんと脱線したが、お前はバトルロワイアルのルールをどこまで把握している?」 そういえば、そんなことを聞かれていた最中だった。 ジャックの質問に答える。 「えーっと、最後の一人になるまで生き残らないといけないんだよね?」 「そうだ。それで、次は?」 「……あ」 「お前、まさか……それ以外の説明を聞いていなかったのではないか?」 ジャックの予想通り、キュゥべえにバトルロワイアルの終了条件を聞いた時点で参加者同士の殺し合いが起きると考え、 いかにしてのび太と早く合流できるか、それだけを考えていたため、 そこから後の説明は全然聞いていなかった。 何せあののび太である。死ぬ瞬間をどうしても想像してしまう。 それを少しでも想像しないように、必死に考えていた。 もっとも、結局「会場に飛ばされると同時に走ってのび太を探す」ぐらいしか思い浮かばなかったが。 「……はい、そうです」 「……馬鹿か貴様は!! お前が会場に飛ばされた地点にお前のデイパックがあるはずだ!  今すぐ探すぞ!」 「う、うん!」 二人はドラえもんのデイパックを全速力で探しに行った。 【A-3/海岸付近/一日目-深夜】 【ジャック・アトラス@遊戯王5D's】  [衣装]:いつもの服  [状態]:健康  [装備]:なし  [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2、どら焼き×9@ドラえもん  [思考・行動]   基本方針:会場から脱出し、キュゥべぇを叩き潰す   1:ドラえもんが来た道を辿りドラえもんのデイパックを探す   2:キュゥべえを知る者を探す   3:なぜブルーノが生きている……?   4:遊星と鬼柳は大丈夫だろう、合流するのは後でいい   5:キュゥべえめ、何を隠している……?   6:ジョーカーに興味  [備考]   ※参戦時期は151話と152話の間、武者修行の旅に出ている途中です 【ドラえもん@ドラえもん】  [衣装]:なし  [状態]:健康、満足  [装備]:なし  [道具]:なし  [思考・行動]   基本方針:会場から脱出する   1:来た道を戻りぼくのデイパックを探す   2:のび太を探す   3:キュゥべえを知っている人を探す   4:キュゥべえは何を隠しているんだろう……?  [備考]   ※参戦時期は神様ごっこ開始前です   ※しずか達が参加させられていることに気づいていません   ※A-2にドラえもん@ドラえもんのデイパック(基本支給品、ランダム支給品1~3)が放置されています。 【どら焼き@ドラえもん】    ジャック・アトラスに十個支給された。  ドラえもんの大好物。
**今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA ドラえもんは今までにないほど慌てていた。 気が付いたら真っ暗な空間に居て、キュゥべえとかいう変な生物に最後の一人になるまで殺しあえ、などと言われたからだ。 否、それだけだったらまだ冷静だったかもしれない。 慌てている原因、それはのび太の存在であった。 勉強もスポーツもダメでドジでのろまなのび太が『バトルロワイアル』に参加させられたらどうなるか? 考えるまでもない。すぐに危険人物に見つかって殺されるに決まっている。 大切な親友であるのび太を死なせる訳にはいけない。すぐにのび太と合流しないと! そう考えたドラえもんは、会場に飛ばされるなり走りだした。 すこし走っていると、長身の男を見つけた。 のび太を探すことを最優先にしているドラえもんにとって他の参加者との接触は避けたかった。 そのため回り道をしようと思った時、男の手に有る物に気が付いた。 それは―――― どら焼きだった。 どら焼きに気が付いた瞬間、ドラえもんに迷いが生じた。 (ああ、そういえば何日もどら焼きを食べていないせいで禁断症状を起こしてたっけ。あのどら焼き、分けてくれるかなあ。  いや、危険な人かもしれない。ここは避けてのび太くんと合うことを第一に……  でも、次にどら焼きを食べることができるのはいつかわからないし……  いや、どら焼きよりのび太くんの方が大事だ。  けれど、のび太くんを探すにしても一人じゃ難しいだろうし、協力してくれる人が居ると心強い。  しかし……うう……) などと考えている内に、男はどら焼きを口に持って行こうとする。 このままではどら焼きはあの男が食べてしまうだろう。 一刻を争う事態にドラえもんは、 「待って~~~!!!」 躊躇する事無く大声を張り上げ、男の元へ走り出したのだった。 * 「……フン、下らん。」 ジャックは空を見上げ、呟く。 「キュゥべぇと言ったか。  貴様が何を考えてるのかは知らんが、貴様の野望なぞこのジャック・アトラスが粉砕してくれる!」 そう宣言し、まずデイパックの中身を確かめることにした。 「これは、名簿か……なるほど、遊星と鬼柳もここに連れてこられた様だな」 しばらくの間会っていないが、ジャックは二人を心配をすることは無かった。 同じチームサティスファクションの一員として、そして遊星とは同じチーム5D'sの一員としても共に闘った。 二人の強さはジャックも良く知っている。 恐らく鬼柳はバトルロワイアルをぶっ壊して満足しようとするだろうし、 遊星は仲間を集めてバトルロワイアルを、そしてキュゥべぇを打倒しようとするだろう。 そんな二人を想像し、思わず笑みがこぼれる。 (俺も負けてられんな……) そして名簿を読み進めようとするが、見逃しかけた遊星と鬼柳の間にある名前に驚愕する。 「ブルーノだと!? 馬鹿な! あいつが居るというのか!?」 ブルーノ。かつてジャックや遊星と同じチーム5D'sの一員であった青年。 記憶喪失ではあったが、遊星にも引けを取らない技術力の高さ、そして穏やかでマイペースな性格などから いつしかチーム5D'sに必要不可欠な存在となっていた。 しかし、遊星が言うにはブルーノの正体はイリアステルの一員、本名はアンチノミーで遊星と決闘を行ったという。 アンチノミーは遊星と闘い、遊星を新たな次元へと進化させるためデルタアクセルシンクロを見せ、 決着後は遊星を助けるため命を落とした、とのことだった。 「……どういうことだ? これは一体……」 遊星はブルーノのサングラスを回収していた。 サングラスはボロボロで、持ち主がどうなったかはおおよそ察することができるくらいだった。 「く、考えても埒が明かん。今は状況把握に努めるべきか」 ブルーノの事は一旦後回しにし、名簿を読み進めていく。 その結果、ジャックの知る名前は不動遊星、鬼柳京介、ブルーノの三名であった。 それより気になったのが、名簿に記された名前だった。 「どうやら、全ての者が本名で載っている訳では無さそうだな」 少なくともケロロ軍曹、ギロロ伍長、クルル曹長、ドロロ兵長、 ドラえもん、先生、ボボボーボ・ボーボボ、首領パッチ、ヘッポコ丸、ところ天の助、魚雷ガール辺りはそうだろう。 上の者は階級ごと載っており、下の者に至っては意味不明である。 まあ、ボボボーボ・ボーボボ、ところ天の助はまだ有り得るかもしれないが。 もっと言うならジョーカー、セイバー、ライダー、バーサーカーもその可能性はある。 それぞれ、道化師もしくは切り札、刀剣もしくは救世主、騎手、狂戦士の名を冠するため、コードネームとして使いやすい。 デュエルモンスターズカードの中にもその名を持つカードが存在しているから、おかしくは無いだろう。 「それにしても、ジョーカーとはな。今の俺はキングではないが、キングを討つ切り札と聞いては黙っておれん。  何時か決闘で叩き潰してくれる」 名前に関する考察はここまでにして、ジャックは再びデイバックの中身を調べる。 次に出てきたのは……どら焼きだった。 「……どういうことだ、これは」 付属の紙を読んでみる。 「どら焼き、十個入り……だと?」 つまり、ジャックのランダム支給品の一つはどら焼き十個ということになる。 「ふざけおってキュゥべえめ! 同じ食べ物ならカップヌードルを入れておけ!  しかも入れ物も無しにそのままどら焼きをデイパックに入れるなど言語道断! 少しは食べ物の有難味を知れ!!」 叫んだあと、自らの浅はかな行動に気が付き、ハッとする。 「しまった、こんな状況で大声を出すなど自らの居場所を知らせるようなもの。クソ、キュゥべえめ……!」 もう過ぎたことは仕方ない。 しばらくの間、周囲に誰か居ないか見渡した所、誰も居ないようでジャックの心配は杞憂に終わったようだった。 「要らぬ心配をしたせいか、小腹が空いたな。ちょうどいい、どら焼きを食べるとしよう」 そう思って食べようと思ったが、 (いや、待て。バトルロワイアルは数日かそれ以上の長期戦になるかもしれん。  ここは温存しておくべきか……?) もしもバトルロワイアルが食糧が無くなるほど長引けば数少ない他の誰かの食糧を巡っての争いが起こるだろう。 そうなっては協力関係を結ぶことさえ困難になり、会場の脱出も限りなく不可能に近くなる。 そうなった時、どら焼きがあれば少しの間だけだが飢えを凌ぐことが出来る。 たかがどら焼き、されどどら焼き。どら焼きを笑う者はどら焼きに泣く。 しかし、どら焼きの放つ甘い匂いが食欲を誘う。 しばらく考えた後、 (腹が減っては戦が出来ぬ。一つくらいならいいだろう) そう判断したジャックはどら焼きを口に持っていき―――― 「待って~~~!!!」 「!?」 すごい勢いで走ってくる青い土偶のようなものに邪魔されることとなった。 「ぜー、ぜー……」 「…………何者だ貴様」 よほど必死だったのだろう。青い土偶は土下座のような体制になり、呼吸を荒げている。 いろいろ聞きたいことがあるが、とりあえずジャックは名前を聞いてみることにした。 「ぼ、ぼくドラえ、ぜー……もん、です。その……ぜー、はー……どら焼、き……ぼくに、もらえません、か?」 「まずは落ち着け、何を言ってるのかさっぱり解らん」 * 「なるほど、つまりお前はどら焼きが欲しいと、そういうことだな?」 「うん、もう何日も食べて無くて……」 簡単な自己紹介を終え、改めてどら焼きが欲しいと言いだすドラえもん。 ジャックも好きな食べ物が食べられない辛さはよく知っている。 「いいだろう、一つぐらいくれてやる」 本当は全部あげたいのだが状況が状況だ。何時必要になるか分からない。 「わ~~い! ありがとう、ジャック! いっただっきま~す!」 そう言ってドラえもんはどら焼きを一口で食べ、 「ごちそうさまでした~!」 と満足そうに言った。 もっと味わいながら食った方が良いのではないか、とジャックは思ったが本人が満足しているのでまあいいだろう。 「そうだ、何かお礼をしないと」 ドラえもんはそう言い、お腹に手をやるが…… 「あれ、四次元ポケットが無い……おかしいな……」 「……? どうかしたのか?」 「普段お腹につけてるポケットがないんだ」 「ああ、その事か。どうやら衣服等を除いて普段身に付けている物は全て没収されているようでな、  俺のデュエルディスクも没収されていた」 「う~ん、じゃあどうしよう」 ドラえもんは何かお礼をしたいようだが、思いつかないらしい。 「なら、お前のデイパックの中身を……」 見せてもらおうかと言おうとした時、ジャックはあることに気付く。 「お前、デイパックはどうした……?」 そう、ドラえもんはデイパックを持っていないのだ。隠し持っている様子もない。 まさか忘れてきたのではないかとジャックは思うが、ドラえもんの回答はそれを超えたものであった。 「デイパック? 何それ、何の事」 「……何?」 (デイパックを知らない? ドラえもんはキュゥべえの説明を聞かされていなかったのか?) バトルロワイアルのルールについてどこまで知っているのか聞いてみることにした。 「……ドラえもん。バトルロワイアルのルール、どこまで知っているか言ってみてくれないか」 「……最後の一人になるまで……殺し……合うんでしょ?」 (俺が聞いた説明と合ってい―――― 待て。どこかおかしい。バトルロワイアルのルールは最後の一人になるまで殺し合う。  なぜなら最後の一人だけが会場から脱出できる、だから殺し合う。おかしくは無いはずだ。  だが、この違和感は何なのだ? まるで何かを見落としているような……) 「……ジャック? ……もしかして、ぼく変な事言った?」 ドラえもんは黙りこむジャックに恐る恐る聞いてみた。 まさかぼくはルールを勘違いしていたんじゃ、とドラえもんは思えてきたが、ジャックは黙ったままだった。 不安になってきて、もう一度聞いてみる。 「ねえ、もしかしてホントは殺し合いなんてしなくて良かったとか?」 この願望混じりの一言が、ジャックに閃きをもたらした。 (殺し合いをしなくていい? 少なくともキュゥべえによればそんなことは――――いや、待て!) ジャックは違和感の正体に気が付いた。 けれど些細なことで、どうでもいい事かもしれないし、無意味な考えをさせるための罠かもしれない。 それでもキュゥべえの説明には気になることがあったのだ。 「礼を言うぞ、ドラえもん」 「? はぁ、どういたしまして……それで、どうなの?」 「……何がだ?」 「殺し合う必要、ないんだよね?」 期待半分で、ドラえもんは再度聞いてみる。勘違いならどれほど嬉しいか。 しかしジャックの言葉はドラえもんの願望を打ち砕く。 「ああ、そのことか……最後の一人だけしか、会場から脱出することは出来ない。少なくともアイツが言うにはな」 「……そ、そんな……」 勘違いでは無かったと知り、ドラえもんは項垂れた。 「……それより、キュゥべえの説明、気にならないか?」 「え……?」 「ヤツは殺し合えなどと言っていない。それどころか、戦え、争えなどと言った暴力表現を一切使っていない。  ただ、バトルロワイアルの終了条件は参加者の中で生存している者が一名になること、としか言っていない」 「……それがどうしたのさ、最後の一人しか脱出できないんじゃ、結局殺し合いになるじゃないか」 「そうだ、殺し合いで生き残るしかないと、そう考えるように誘導しているように思える」 「……なんでそんな事を?」 「人間、一度思い込んだ事は中々考え直す事は出来ないものだ、  故に殺し合って生き残るしか会場から脱出する事は出来ないと思わせれば他の脱出手段を探そうとしなくなる。  と、普通なら答えるが、今回の場合は意味が異なってくる。  もちろん引っ掛かればいいな、程度には狙っているのだろうが……  そんなことをするよりは、『突然だけど、バトルロワイアルに参加して皆と殺し合ってよ!』とでも言った方が印象に残る。  わざわざ遠まわしな言い方をした理由、それは……キュゥべえが嘘をつかないからだ。  つけないのかどうかは知らんがな」」 「え、そうなの!?」 「お前……」 ジャックは衝撃の真実でも聞かされたかのようなショックを受けるドラえもんに呆れそうになるが、説明を続ける。 「キュゥべえは嘘をつかない。この事はキュゥべえを知る者が複数人この会場に居ることから本当だと言える。  何なら聞いて見ると良い、とまで言っているからな」 「けどさ、それ自体が嘘だったら?」 当然の疑問を浮かべるドラえもん。 確かに、この考察はキュゥべえが嘘をつかないことを前提とした物だ。 キュゥべえを知る者が参加されていなかったらキュゥべえは嘘をつかないことを証明できない。 証明できなければ―――― 「この考察は無意味なものとなるだろうな」 「ええ!?」 「だからひとまずキュゥべえは嘘をつかない事は本当として扱う。  それで、なぜ殺し合え、戦えなどと言った暴力表現を言えないかと言うと……」 「もしかして、嘘をつくことになるから?」 「そうだ。そしてそこに、重要な何かがあるかもしれん」 「何かって?」 「ああ。少なくともキュゥべえに知られたくない何かがあるのだろう」 「それじゃあ、もしかしたら……!」 その何かに因っては誰も殺すことなく会場から脱出できる……? 一筋の希望が出てくるが、ジャックは忠告するように言う。 「念のために言っておくが、これは仮説としては穴だらけだ。  仮に当たっていたとしてもキュゥべえが隠している事が俺達とは全くの無関係の事かもしれん。  それに、先程言った通り思い込みによってこの仮説に拘り、目が曇る可能性がある。  頭の片隅に留めておく程度にしておけ」 それでも、何も思い付かないよりは全然違う。 「さて、ずいぶんと脱線したが、お前はバトルロワイアルのルールをどこまで把握している?」 そういえば、そんなことを聞かれていた最中だった。 ジャックの質問に答える。 「えーっと、最後の一人になるまで生き残らないといけないんだよね?」 「そうだ。それで、次は?」 「……あ」 「お前、まさか……それ以外の説明を聞いていなかったのではないか?」 ジャックの予想通り、キュゥべえにバトルロワイアルの終了条件を聞いた時点で参加者同士の殺し合いが起きると考え、 いかにしてのび太と早く合流できるか、それだけを考えていたため、 そこから後の説明は全然聞いていなかった。 何せあののび太である。死ぬ瞬間をどうしても想像してしまう。 それを少しでも想像しないように、必死に考えていた。 もっとも、結局「会場に飛ばされると同時に走ってのび太を探す」ぐらいしか思い浮かばなかったが。 「……はい、そうです」 「……馬鹿か貴様は!! お前が会場に飛ばされた地点にお前のデイパックがあるはずだ!  今すぐ探すぞ!」 「う、うん!」 二人はドラえもんのデイパックを全速力で探しに行った。 【A-3/海岸付近/一日目-深夜】 【ジャック・アトラス@遊戯王5D's】  [衣装]:いつもの服  [状態]:健康  [装備]:なし  [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2、どら焼き×9@ドラえもん  [思考・行動]   基本方針:会場から脱出し、キュゥべぇを叩き潰す   1:ドラえもんが来た道を辿りドラえもんのデイパックを探す   2:キュゥべえを知る者を探す   3:なぜブルーノが生きている……?   4:遊星と鬼柳は大丈夫だろう、合流するのは後でいい   5:キュゥべえめ、何を隠している……?   6:ジョーカーに興味  [備考]   ※参戦時期は151話と152話の間、武者修行の旅に出ている途中です 【ドラえもん@ドラえもん】  [衣装]:なし  [状態]:健康、満足  [装備]:なし  [道具]:なし  [思考・行動]   基本方針:会場から脱出する   1:来た道を戻りぼくのデイパックを探す   2:のび太を探す   3:キュゥべえを知っている人を探す   4:キュゥべえは何を隠しているんだろう……?  [備考]   ※参戦時期は神様ごっこ開始前です   ※しずか達が参加させられていることに気づいていません   ※A-2にドラえもん@ドラえもんのデイパック(基本支給品、ランダム支給品1~3)が放置されています。 【どら焼き@ドラえもん】  ジャック・アトラスに十個支給された。  ドラえもんの大好物。 *時系列順で読む Back:[[]] Next:[[]] *投下順で読む Back:[[死の邂逅]] Next:[[スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th]] |GAME START|ジャック・アトラス|:| |GAME START|ドラえもん|:|

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