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死物語」(2013/09/11 (水) 11:38:10) の最新版変更点

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***死物語  ◆N4CDx3zJvI 薄いビニールの包装をぴりりと破り、蓋を半分ほど破り開ける。 入っているのは乾燥した麺といくつかの袋。かやくのみを麺の上にぶちまけ、液体スープの袋は取り出しいったん脇へ。 沸かしておいたヤカンのお湯をこぽこぽと内側の線までそそぎ、蓋を閉じて重しに割り箸を置き一段落。 「あとは三分待つだけ……っと」 雨生龍之介は、そういって軽く一息ついた。 バトルロワイヤルの会場に飛ばされた彼が意識を取り戻したのは、島の端に位置する病院の中。 特に行動方針もなく、真夜中にうろうろするのも面倒なので、とりあえず休憩できそうな場所を探して食堂に移動。 鞄の中に入っていたカップめん(レッドデーモンズヌードルとかいう見覚えのない商品だった)を腹ごなしに食べようとして、現在に至る。 「しっかしバトルロワイヤルかぁ……生き残るのは誰か一人だけ!なーんて言われても、ピンとこないんだよねぇ。  あのよく分かんない宇宙空間みたいな場所はいいとしても、喋るナマモノが説明したり共食いしたりしてるだけじゃーリアリティが薄いっつーかさぁ。  どうせなら一人か二人くらい見せしめでスパーンと殺しちゃえばよかったのになぁ、スパーンと……」 食堂の簡素な椅子に腰かけながら、龍之介は何故かキュゥべえに対して演出の文句を言い始めた。 この場にはキュゥべえどころか誰一人他の人間はいなかったし、聞かれたところで意味のないものだとは思うが、中々に大胆な発言であった。 「っていうかそもそも―――――」 また少しばかりぼんやりとする頭をかしげながら、龍之介は自分の記憶を手繰りなおす。 「―――――俺、なんで生きてんの?」 ハッキリとは覚えていないが、雨生龍之介は自分が死んだことを自覚していた。 自身の相方でもあり殺人の師でもある青髭の旦那の催した、巨躯かつ醜悪な化け物による“宴”の最中。 どこからかは分からないが、腹部に突然衝撃を受け……真っ赤な、鮮やかな死の色を自分の臓腑から撒き散らし。 その後直後、今度は頭に衝撃を受け、目の前が真っ暗になり―――――― 「んで、気が付いたらあの謎の空間に飛ばされてた、と……マジ訳わかんねーよなー」 ハァ、と龍之介は気だるげにため息をついた。 そこには死んだことへの恐怖でもなく、生き返ったことへの喜びでもなく……本気で面倒くさそうな気だるさが満ちていた。 そもそも、最期こそ意外な結末ではあったものの、龍之介自身は自分の生にそれなりに満足していた。 あれだけ求めていた“死”というものの正体を、彼は最期の最後に垣間見ることが出来たのだ。 まだ青髭の旦那が開催した、渾身の宴の結末を見ていないのが気がかりといえば気がかりだったが…… 「……っと、そろそろ三分か」 思考を止め、龍之介はいそいそと食事の準備を始める。 色々と考えることはあるのだろうが、とりあえず今は腹ごしらえだ。 蓋を開けれて液体スープを入れれば、ピリリとした匂いが鼻孔をくすぐる。 ああ、真夜中に食べるラーメンというのは何故こんなにも食欲を湧かせるのだろうか…… 「いっただきま――――――」 ガチャリ 龍之介がいざラーメンをいそいそと口に運ぼうとした瞬間。 何の前触れもなく、食堂の扉が開いた。 「……どうも、お邪魔いたします」 入ってきたのは、着物を纏った一人の女だ。 白いを通り越して青白い肌、今にも折れてしまいそうな華奢な体躯、清楚を形にしたような整った顔立ち。 見るからにか弱そうな女だ。それこそ……龍之介が軽く首を捻れば殺せてしまいそうなほどに。 「まぁ……お食事中でしたか?失礼しました。本当にお邪魔だったようですね……  あまり見慣れない食べ物ですけれど、何を食べてらっしゃるんですか?」 しげしげと、女は龍之介の持っているカップラーメンを物珍しそうに見ている。 カップラーメンを知らないとは随分と世間知らずようだ。古風な着物を違和感なく着こなしているあたり、まるで一昔前の人間のようでもある。 龍之介は数秒思考し、やがてごそごそと、自分の鞄からもう一つカップラーメンを取り出した。 「よかったら食べる?」 ◇     ◇     ◇ 「ごちそうさまでした」 ぱんと手を合わせ、女―――鑢七実と名乗った―――は、律儀に食後のあいさつをした。 「食べたことの無い味でしたけれど……なかなか美味しいのですね、このカップラーメンというのは。  あんまりたくさん食べると、少し胃にもたれそうですけれど」 「へぇ、ホントにカップラーメン知らないんだ……めっずらしー」 「ええ、龍之介さん……でしたっけ?貴方の様な服装も、見たことがありませんし。  そもそも、こんな石でも木でもない材質で出来た建物も知らないので」 「ふーん」 興味なさげに龍之介は相槌を打った。 一昔前の人間のようだとは先程感じたが、どうやら本当にそうであるらしい。 「ところで七実ちゃん……だっけ。これからどうすんの?  なんか最後の一人しか生き残れないみたいだし、他の奴ら殺して生き残んの目指す?」 「そうですね……それも、出来ないことではないのでしょうが」 随分と自信満々な言葉を呟きながら、七実は考え込むように目を伏せ…… やがて、龍之介にこう言った。 「実は私、一度死んだ人間なんです」 「あ、奇遇だね。俺もそうなんだ」 「まぁ、そうなんですか」 まるで『私、先月誕生日だったんです』とでも言うような気軽さで、七実は驚くべき事実を口にし。 それに対し『俺も先月誕生日だったんだ』と言うような気軽さで、龍之介は言葉を返した。 明らかにおかしい会話なのだろうが、互いに動揺すらしていない。 「それは本当に珍しいこともあったものですね……まさか、こうして生き返るとは思いもしませんでしたが」 「いやーホントそーだよね、死んだ時もそれなりに驚いたけどさー  ゾンビでもキョンシ―でもなくガチで生き返っちゃうなんて、まるで魔法だよ魔法」 けらけらと笑う龍之介に、七実は不思議そうに小首を傾げる。彼女には聞き覚えのない言葉が混じっていたからだろう。 「ちなみに、龍之介さんはどのようにして死なれたのですか?」 「俺?俺は腹を撃たれた後で、頭をブッ飛ばされて死んだ……と思うんだけど。  そういう七実ちゃんは?」 「ええ、私は弟に殺してもらいました」 「へー、そうなんだ。俺も昔、姉ちゃん殺したことあるよ」 ニコリと笑って、再び七実は驚くべき事実を気軽に口にし。龍之介はニヤリと笑ってそれに返した。 「まぁ、そうなんですか……何か理由が?」 「ん、いや大した理由じゃないよ。ただ俺が知りたかったもんがあっただけ。  複雑な家庭環境とか、大げさな事情とか合ったわけじゃないから気にしなくていーよ」 雨生龍之介が姉を殺した理由。それは単純な好奇心。 『死』というものの本質、存在、意味。それを知りたくて、確かめたくて……一番最初に殺した相手が、姉だった。ただそれだけの話。 そうですか、と七実も、龍之介の言葉通り気にしないことにしたようだった。 「そういう七実ちゃんは?『殺してもらいました』ってことは、自分から殺されたかったわけ?」 「ええ、私は自分から望んで弟に……七花に殺してもらいました。  七花ったら、私を殺すことを渋って、中々本気になってくれなくて……  散々待たせた挙句、ようやく殺してもらったのに―――」 す、と七実の目が細まる。 二コリとした良い笑みが、ニヤリとした悪い笑みへと変わる。 「―――こうして生き返ってしまうなんて。本当に困ってしまいますね」 ぞくり、と龍之介の背筋に悪寒が走った。 簡単に殺せそうな、か弱い女……と思っていたけれど、とんだ勘違いらしい。 この鑢七実という女性―――――なかなかに“COOL”であるようだ。 「ん?七花……『鑢七花』って、名簿に載ってた名前だよね?」 「ええ、何の偶然か弟もこの場所にいるようですね。  折角ですしもう一度、私を殺してもらおうと考えているんです」 七実はそう、あっさりと再び死への願望を口にした。 龍之介も、今度ばかりは少し驚いた。 今まで彼が殺してきた人間には、誰一人そんなことを口にするのはいなかった。 皆生きたいと、死にたくないと、殺されたくないと泣き喚くばかりであったのに。 何故、彼女は死ぬことを求めているんだろうか? 「七花も一度私を殺した以上、今度は殺さないなんて言わないでしょうし……でも、探すのは面倒ですね。  少しばかり島が広いので、方向音痴の私には苦労してしまいそうです……」 はぁ、と七実は物憂げに溜め息をつく。 そうしていると先程の悪い笑みや得体のしれない悪寒は何処へやら、ただの華奢な娘の様。 龍之介はそんな七実をしばし見、しばし首を捻って考え……やがてぽん、と手を打った。 「よっし、決めた!  俺、七実ちゃんの弟探し付き合っちゃうよ!」 その言葉に、七実は少しばかり驚いた様子を見せる。 「申し出はありがたいのですが……よろしいんですか?」 「大丈夫大丈夫、気にしなくていいよ。ただの興味本位なんだし。  ぶっちゃけ、やること無くてどうしようかと思ってたとこだったからさ!」 「……なら、お言葉に甘えさせていただくとしましょうか」 可憐な花のような笑顔を見せ、七実は笑みを浮かべた。 「弟を探すのに、協力してくださいませんか?龍之介さん」 「オッケー任せとけ!正直あんまり頼りにされても困るけど、道案内くらいだったら多分出来るからさ!」 「ええ、それだけでも大助かりです。  貴方のような同行者を得られたのは幸先が良いのでしょうね―――」 笑みを崩さぬまま、口の端だけを少しばかり歪め……最後に、七実は呟いた。 「―――いえ、悪いのかしら?」 【G-1/病院/一日目-深夜】 【鑢七実@刀語】  [衣装]:通常  [状態]:通常、満腹  [装備]:なし  [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3  [思考・行動]   基本方針:七花にもう一度殺してもらう。   1:七花を探す。   2:途中で邪魔な草は、適当にむしっていく。  [備考]   ※死亡後からの参戦です。 【雨生龍之介@Fate/zero】  [衣装]:通常  [状態]:通常、満腹  [装備]:なし  [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、ピリ辛レッドデーモンズヌードル×3@遊戯王5D's  [思考・行動]   基本方針:行き当たりばったり。   1:面白そうなので七実の弟探しに付き合う。    2:なんかCOOLなことないかなー  [備考]   ※死亡後からの参戦です。
***死物語  ◆N4CDx3zJvI 薄いビニールの包装をぴりりと破り、蓋を半分ほど破り開ける。 入っているのは乾燥した麺といくつかの袋。かやくのみを麺の上にぶちまけ、液体スープの袋は取り出しいったん脇へ。 沸かしておいたヤカンのお湯をこぽこぽと内側の線までそそぎ、蓋を閉じて重しに割り箸を置き一段落。 「あとは三分待つだけ……っと」 雨生龍之介は、そういって軽く一息ついた。 バトルロワイヤルの会場に飛ばされた彼が意識を取り戻したのは、島の端に位置する病院の中。 特に行動方針もなく、真夜中にうろうろするのも面倒なので、とりあえず休憩できそうな場所を探して食堂に移動。 鞄の中に入っていたカップめん(レッドデーモンズヌードルとかいう見覚えのない商品だった)を腹ごなしに食べようとして、現在に至る。 「しっかしバトルロワイヤルかぁ……生き残るのは誰か一人だけ!なーんて言われても、ピンとこないんだよねぇ。  あのよく分かんない宇宙空間みたいな場所はいいとしても、喋るナマモノが説明したり共食いしたりしてるだけじゃーリアリティが薄いっつーかさぁ。  どうせなら一人か二人くらい見せしめでスパーンと殺しちゃえばよかったのになぁ、スパーンと……」 食堂の簡素な椅子に腰かけながら、龍之介は何故かキュゥべえに対して演出の文句を言い始めた。 この場にはキュゥべえどころか誰一人他の人間はいなかったし、聞かれたところで意味のないものだとは思うが、中々に大胆な発言であった。 「っていうかそもそも―――――」 また少しばかりぼんやりとする頭をかしげながら、龍之介は自分の記憶を手繰りなおす。 「―――――俺、なんで生きてんの?」 ハッキリとは覚えていないが、雨生龍之介は自分が死んだことを自覚していた。 自身の相方でもあり殺人の師でもある青髭の旦那の催した、巨躯かつ醜悪な化け物による“宴”の最中。 どこからかは分からないが、腹部に突然衝撃を受け……真っ赤な、鮮やかな死の色を自分の臓腑から撒き散らし。 その後直後、今度は頭に衝撃を受け、目の前が真っ暗になり―――――― 「んで、気が付いたらあの謎の空間に飛ばされてた、と……マジ訳わかんねーよなー」 ハァ、と龍之介は気だるげにため息をついた。 そこには死んだことへの恐怖でもなく、生き返ったことへの喜びでもなく……本気で面倒くさそうな気だるさが満ちていた。 そもそも、最期こそ意外な結末ではあったものの、龍之介自身は自分の生にそれなりに満足していた。 あれだけ求めていた“死”というものの正体を、彼は最期の最後に垣間見ることが出来たのだ。 まだ青髭の旦那が開催した、渾身の宴の結末を見ていないのが気がかりといえば気がかりだったが…… 「……っと、そろそろ三分か」 思考を止め、龍之介はいそいそと食事の準備を始める。 色々と考えることはあるのだろうが、とりあえず今は腹ごしらえだ。 蓋を開けれて液体スープを入れれば、ピリリとした匂いが鼻孔をくすぐる。 ああ、真夜中に食べるラーメンというのは何故こんなにも食欲を湧かせるのだろうか…… 「いっただきま――――――」 ガチャリ 龍之介がいざラーメンをいそいそと口に運ぼうとした瞬間。 何の前触れもなく、食堂の扉が開いた。 「……どうも、お邪魔いたします」 入ってきたのは、着物を纏った一人の女だ。 白いを通り越して青白い肌、今にも折れてしまいそうな華奢な体躯、清楚を形にしたような整った顔立ち。 見るからにか弱そうな女だ。それこそ……龍之介が軽く首を捻れば殺せてしまいそうなほどに。 「まぁ……お食事中でしたか?失礼しました。本当にお邪魔だったようですね……  あまり見慣れない食べ物ですけれど、何を食べてらっしゃるんですか?」 しげしげと、女は龍之介の持っているカップラーメンを物珍しそうに見ている。 カップラーメンを知らないとは随分と世間知らずようだ。古風な着物を違和感なく着こなしているあたり、まるで一昔前の人間のようでもある。 龍之介は数秒思考し、やがてごそごそと、自分の鞄からもう一つカップラーメンを取り出した。 「よかったら食べる?」 ◇     ◇     ◇ 「ごちそうさまでした」 ぱんと手を合わせ、女―――鑢七実と名乗った―――は、律儀に食後のあいさつをした。 「食べたことの無い味でしたけれど……なかなか美味しいのですね、このカップラーメンというのは。  あんまりたくさん食べると、少し胃にもたれそうですけれど」 「へぇ、ホントにカップラーメン知らないんだ……めっずらしー」 「ええ、龍之介さん……でしたっけ?貴方の様な服装も、見たことがありませんし。  そもそも、こんな石でも木でもない材質で出来た建物も知らないので」 「ふーん」 興味なさげに龍之介は相槌を打った。 一昔前の人間のようだとは先程感じたが、どうやら本当にそうであるらしい。 「ところで七実ちゃん……だっけ。これからどうすんの?  なんか最後の一人しか生き残れないみたいだし、他の奴ら殺して生き残んの目指す?」 「そうですね……それも、出来ないことではないのでしょうが」 随分と自信満々な言葉を呟きながら、七実は考え込むように目を伏せ…… やがて、龍之介にこう言った。 「実は私、一度死んだ人間なんです」 「あ、奇遇だね。俺もそうなんだ」 「まぁ、そうなんですか」 まるで『私、先月誕生日だったんです』とでも言うような気軽さで、七実は驚くべき事実を口にし。 それに対し『俺も先月誕生日だったんだ』と言うような気軽さで、龍之介は言葉を返した。 明らかにおかしい会話なのだろうが、互いに動揺すらしていない。 「それは本当に珍しいこともあったものですね……まさか、こうして生き返るとは思いもしませんでしたが」 「いやーホントそーだよね、死んだ時もそれなりに驚いたけどさー  ゾンビでもキョンシ―でもなくガチで生き返っちゃうなんて、まるで魔法だよ魔法」 けらけらと笑う龍之介に、七実は不思議そうに小首を傾げる。彼女には聞き覚えのない言葉が混じっていたからだろう。 「ちなみに、龍之介さんはどのようにして死なれたのですか?」 「俺?俺は腹を撃たれた後で、頭をブッ飛ばされて死んだ……と思うんだけど。  そういう七実ちゃんは?」 「ええ、私は弟に殺してもらいました」 「へー、そうなんだ。俺も昔、姉ちゃん殺したことあるよ」 ニコリと笑って、再び七実は驚くべき事実を気軽に口にし。龍之介はニヤリと笑ってそれに返した。 「まぁ、そうなんですか……何か理由が?」 「ん、いや大した理由じゃないよ。ただ俺が知りたかったもんがあっただけ。  複雑な家庭環境とか、大げさな事情とか合ったわけじゃないから気にしなくていーよ」 雨生龍之介が姉を殺した理由。それは単純な好奇心。 『死』というものの本質、存在、意味。それを知りたくて、確かめたくて……一番最初に殺した相手が、姉だった。ただそれだけの話。 そうですか、と七実も、龍之介の言葉通り気にしないことにしたようだった。 「そういう七実ちゃんは?『殺してもらいました』ってことは、自分から殺されたかったわけ?」 「ええ、私は自分から望んで弟に……七花に殺してもらいました。  七花ったら、私を殺すことを渋って、中々本気になってくれなくて……  散々待たせた挙句、ようやく殺してもらったのに―――」 す、と七実の目が細まる。 二コリとした良い笑みが、ニヤリとした悪い笑みへと変わる。 「―――こうして生き返ってしまうなんて。本当に困ってしまいますね」 ぞくり、と龍之介の背筋に悪寒が走った。 簡単に殺せそうな、か弱い女……と思っていたけれど、とんだ勘違いらしい。 この鑢七実という女性―――――なかなかに“COOL”であるようだ。 「ん?七花……『鑢七花』って、名簿に載ってた名前だよね?」 「ええ、何の偶然か弟もこの場所にいるようですね。  折角ですしもう一度、私を殺してもらおうと考えているんです」 七実はそう、あっさりと再び死への願望を口にした。 龍之介も、今度ばかりは少し驚いた。 今まで彼が殺してきた人間には、誰一人そんなことを口にするのはいなかった。 皆生きたいと、死にたくないと、殺されたくないと泣き喚くばかりであったのに。 何故、彼女は死ぬことを求めているんだろうか? 「七花も一度私を殺した以上、今度は殺さないなんて言わないでしょうし……でも、探すのは面倒ですね。  少しばかり島が広いので、方向音痴の私には苦労してしまいそうです……」 はぁ、と七実は物憂げに溜め息をつく。 そうしていると先程の悪い笑みや得体のしれない悪寒は何処へやら、ただの華奢な娘の様。 龍之介はそんな七実をしばし見、しばし首を捻って考え……やがてぽん、と手を打った。 「よっし、決めた!  俺、七実ちゃんの弟探し付き合っちゃうよ!」 その言葉に、七実は少しばかり驚いた様子を見せる。 「申し出はありがたいのですが……よろしいんですか?」 「大丈夫大丈夫、気にしなくていいよ。ただの興味本位なんだし。  ぶっちゃけ、やること無くてどうしようかと思ってたとこだったからさ!」 「……なら、お言葉に甘えさせていただくとしましょうか」 可憐な花のような笑顔を見せ、七実は笑みを浮かべた。 「弟を探すのに、協力してくださいませんか?龍之介さん」 「オッケー任せとけ!正直あんまり頼りにされても困るけど、道案内くらいだったら多分出来るからさ!」 「ええ、それだけでも大助かりです。  貴方のような同行者を得られたのは幸先が良いのでしょうね―――」 笑みを崩さぬまま、口の端だけを少しばかり歪め……最後に、七実は呟いた。 「―――いえ、悪いのかしら?」 【G-1/病院/一日目-深夜】 【鑢七実@刀語】  [衣装]:通常  [状態]:通常、満腹  [装備]:なし  [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3  [思考・行動]   基本方針:七花にもう一度殺してもらう。   1:七花を探す。   2:途中で邪魔な草は、適当にむしっていく。  [備考]   ※死亡後からの参戦です。 【雨生龍之介@Fate/zero】  [衣装]:通常  [状態]:通常、満腹  [装備]:なし  [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、ピリ辛レッドデーモンズヌードル×3@遊戯王5D's  [思考・行動]   基本方針:行き当たりばったり。   1:面白そうなので七実の弟探しに付き合う。    2:なんかCOOLなことないかなー  [備考]   ※死亡後からの参戦です。 *時系列順で読む Back:[[]] Next:[[]] *投下順で読む Back:[[その血の運命]] Next:[[死の邂逅]] |GAME START|鑢七実|:| |GAME START|雨生龍之介|:|

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