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「悲しい想い」(2013/09/11 (水) 10:32:01) の最新版変更点
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***悲しい想い ◆WDoOKneeAw
美樹さやかの目前には、目の前には美しい海が広がっていた。
宝石のような星空は宝石箱の様で、とても綺麗だった。きっと、友達みんなで見に行けばきっと盛り上がったかもしれない。今となっては、叶わない願いだけど。
潮の香りを乗せた風は肌に突き刺さるが、特別寒いと思わない。だって、またゾンビの身体になってしまったのだから。
(まどかは魔法少女のみんなを助けたはずなのに、どうして……?)
さやかは考えるが、答えは得られない。
そもそもどうしてこんな所にいるのかがわからなかった。全能の力を持った魔法少女になった鹿目まどかと一緒に、円環の理に導かれたはずだった。
それが今、こんな殺し合いに巻き込まれてしまっている。しかも、あのソウルジェムだって持たされていた。
キュウべぇがまた何かをしたのか。さやかはそう考えたけど、そこから何かをする気力が湧いてこない。
いや、何もしたくなかった。
(まどかはあたし達が絶望しないようにしてくれた……でも、キュウべぇはどうなんだろう? まどかが頑張ったってキュウべぇは……あたし達を絶望させないって言いきれるのかな?)
つい先ほど、魔法少女を生み出したキュウべぇの姿を見つけた。キュウべぇはこの世界に集められた者達で戦えと言っている。その数は七十人。
生きて帰るには、最後の一人になるしかない。つまり他のみんなを殺せって事だろう。
だけど、さやかはそれに乗る気になれなかった。正義感から生まれる想いなどではない、純粋に嫌なのだ。
(もしかしたら、あたしはまたみんなを絶望させちゃうのかな……? また、みんなを殺しちゃうのかな……?)
さやかは記憶の糸を辿る。
親友の志筑仁美に幼馴染の上条恭介を取られたと思い込んで、その鬱憤を晴らそうとして戦った。正義の魔法少女になろうとして、魔女や使い魔を倒し続けた。
それが原因で消耗したにも関わらず、グリーフシードを使うことを拒んだ。その果てに、何もかもを失って同じ魔法少女である佐倉杏子を殺してしまった。
……人魚の魔女。オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ。
「……ッ!」
その姿を思い出した途端、さやかは一気に震えてしまう。
魔女になったさやかは、親友である鹿目まどかを悲しませてしまった。巴マミみたいな正義の味方になろうと思ったのに、たくさんの人を絶望させる怪物になってしまった。
また、そんな魔女になってしまうのか。また、誰かを殺してしまうのか。さやかがそれが不安だった。
「嫌だ、そんなの嫌だよ……もう、こんなこと……嫌だ……!」
さやかの瞳からポロポロと涙が零れていく。
まどかは頑張って呪いから解放してくれたけど、キュウべぇの存在が恐ろしかった。もう魔女にならないという確信が持てなかった。
怖い。魔女になりたくない。みんなから疎まれたくない。人を傷つけたくない。誰かを殺したくない。
もしもまた魔女になってしまったら、今度こそ数え切れない程の被害を生み出すかもしれなかった。
「このソウルジェムが魔女を生み出すんだよね……だったら、なくしさえすればいいんだよね……」
不意にさやかは青く光るソウルジェムに目を向ける。
穢れ切ったらソウルジェムは壊れ、そこから魔女が生まれるらしい。まどかはそんなシステムを変えたようだが、この場でもそうとは限らない。
また例え、まどかの力が及んでいたとしても、さやかの行動は変わらない。身勝手な感情でみんなを振り回すような奴が集団に入ったとしても、どうせ火種になるだけ。
誰かの力になりたいけど、願いが叶うとは思えなかった。
「ごめん、まどか……あたし、まどかの頑張りを裏切っちゃうよ……でも、もうあたしは無理なの。みんなの為に戦おうとしたって、みんなの足を引っ張るだけだから……あたしって、まどかと違ってどうしようもないバカだから」
もしかしたら、まどかだったら殺し合いを止めようと精一杯頑張るはず。
本当ならさやか自身もまどかの力になりたい。だけど、何もできないくせにまどかと一緒にいても、邪魔になるだけ。
だから、まどかが生きてみんなを解放してくれるのを祈るしかなかった。
「ごめんね、まどか……ごめんね……どうか、頑張って……あたしのことなんか忘れて、どうかみんなを助けてあげて……」
そう独りで呟き続けながら、さやかは歩く。
彼女が歩く先にあるのは美しい海だけ。
(そういえば、人魚姫って泡になってからは天国に行けたんだよね……でも、あたしみたいな人殺しは天国には行けるわけないよね。むしろ、地獄に落ちて苦しむのがお似合いよ)
力なく歩きながら、ぼんやりと考える。
一歩、また一歩進む度に美しい海がどんどん近くなっていく。
ソウルジェムだけを壊せばすぐに楽になれるけど、もしも誰かが死体を見つけたら大変だ。特にまどかだったら、悲しみのあまりに泣いてしまうだろう。
それだったら、ソウルジェムごと海に沈んだ方がずっとよかった。そうすれば誰かに見つかることはないし、何よりも魔女だって生まれない。
俯きながらまた一歩だけ前に踏み出そうとした、その時だった。
「いけません!」
唐突に響いた声によって、さやかの足は止まってしまう。
ピクリと雷に打たれたように震えながら振り向いてみると、そこには見知らぬ少女が立っていた。
見覚えの無い制服を纏った彼女は、先程まで走っていたのか随分と息を切らせている。そして、どういう訳かやけに心配そうにこちらを見つめていた。
「そんなこと……してはいけません!」
その少女・青木れいかの声は、美樹さやかの耳に響いていた。
◆
殺し合いに放り込まれた青木れいかが最初に見つけたのは、酷く落ち込んだ少女の姿だった。
同年代の少女があそこまで落ち込んでいるなんて、余程の事がない限り有り得ない。例えば、誰かにいじめられたか……それとも友達と喧嘩をしたか。
だが、今はそれを究明している場合ではない。彼女を助けなければいけなかった。
あのキュウべぇという謎の生物は戦えと言っていたが、そんな言葉に従うつもりなどない。人々を守る為に存在するプリキュアが人々を傷付けるなど言語道断。
誰かを傷付ける道など、れいかは歩むつもりなどなかった。
「だ、誰……!?」
「あの、突然声をかけて驚かせてしまい申し訳ありません! でも、あなたの事が気になってしまって……」
「あたしのことが?」
そう答えると、名前も知らない少女は自嘲するような笑みを浮かべる。
「そっか……心配させちゃったんだ。誰にも迷惑をかけないうちに死のうと考えてたけど、駄目だったか……あたしって、どこまで駄目なんだろう」
「死ぬ……!? 何てことを言うんですか!?」
「ごめんね、変なことを言っちゃって……でも、あたしの事は気にしないで。あたしなんて、生きてたって誰かに迷惑をかけることしかできないんだから」
少女の目からは、希望というものが感じられない。
信じてきたもの全てから裏切られて、独りぼっちになってしまい怯えと恐怖で震えているようだった。
「ねえ、誰だか知らないけど、すぐにあたしから離れて……あたし、あなたのことを傷つけたくないから」
「私が傷つくなんて、そんな……!」
「来ないで!」
れいかは一歩前に踏み出そうとした瞬間、少女が叫ぶ。
少女の表情は一変して絶望に歪み、その瞳から涙が流れ始めた。
「信じられないかもしれないけど、あたし化け物なの……人間じゃない、ゾンビみたいな化け物なの。こんなあたしを心配してくれた子を、殺しちゃったの」
「えっ……!?」
「だから、早く逃げて……このままじゃあたし、あなたの事も傷付けちゃうから」
少女の言葉に、れいかは愕然としてしまう。
どこにでもいるような普通の少女にしか見えないのに、人を殺した化け物だと言っている。そんなこと、到底信じられるわけがなかった。
それに目の前の少女が悪人であるとも思えない。何かわけがあるのではないかと思わざるを得なかった。
そう考えている間にも、既に少女はれいかから背を向けて再び海に向かって歩いていた。
「待ってください!」
だかられいかも急いで走り、少女にしがみつく。
当然ながら、少女からは「離して!」と抵抗された。でも、ここで力を緩めたら少女は自殺してしまう。
それだけは避けなければならない。
「お願い……やめてっ!」
しかし少女の抵抗が予想以上に激しく、すぐに突き飛ばされてしまった。
当然ながられいかは地面に尻もちをついてしまう。しかし諦めるつもりなどない。何度でも少女を説得して、生きる意味を示さなければならなかった。
そう思いながらすぐに起き上がったれいかは少女に振り向く。しかしそれかられいかは見てしまった。
目の前の少女が、愕然としたような表情を浮かべている姿を。
「あ、あたし……また……!」
「あの……どうかしたのですか……?」
「ね、ねえ……大丈夫? 痛くなかった? あたしなんかが、突き飛ばしちゃったせいで……!」
「そんなことありません! あなたのせいなんかじゃ……!」
「やっぱり、あたしはバカだ……あたしのことを心配してくれる人ばかり心配させて、その上傷付けて……救いようのない大バカだよ……!」
やがて少女は、まるでれいかのことが見えてないかのように泣き崩れてしまう。
その姿を前にれいかは何も言えなかった。彼女を救いたいのに何もできない自分自身が情けなく感じてしまう。
彼女に何があったのかはわからない。でも、わかってあげたかった。傷口を抉る形になるかもしれないけど、彼女のことを知りたかった。
(誰かを傷付けた……それは、残念ながら事実なのかもしれません……でも、彼女自身は決して悪い人じゃないはず。私のことを、心配してくれたのですから)
今は少女が泣きやんでくれるのを待つしかない。それから、ゆっくりと話をしたかった。
本当の優しさを取り戻して、生きる力を取り戻させる為にも。
そう決意を固めながら、青木れいかは泣き続ける少女・美樹さやかをそっと抱き締める。今はこうすることしか、できないのだから。
【B-1/海岸/一日目深夜】
【青木れいか@スマイルプリキュア!】
[状態]:健康、制服姿
[装備]:スマイルパクト@スマイルプリキュア!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止める為に動く。
1:今は泣いている彼女(美樹さやか)の力になりたい。
【備考】
※参戦時期は不明です。
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、自分自身や人を傷付けることへの強い恐怖、通常状態
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れなし)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本方針:??????????
1:青木れいか(まだ名前を知らない)には自分から離れて欲しい……
2:また魔女になって誰かを傷付けたくない……
[備考]
※最終回で上条恭介のコンサートを見届けて、鹿目まどかと共に消滅した後からの参戦です。
※その為、魔法少女が魔女になることを知っています。
***悲しい想い ◆WDoOKneeAw
美樹さやかの目前には、目の前には美しい海が広がっていた。
宝石のような星空は宝石箱の様で、とても綺麗だった。きっと、友達みんなで見に行けばきっと盛り上がったかもしれない。今となっては、叶わない願いだけど。
潮の香りを乗せた風は肌に突き刺さるが、特別寒いと思わない。だって、またゾンビの身体になってしまったのだから。
(まどかは魔法少女のみんなを助けたはずなのに、どうして……?)
さやかは考えるが、答えは得られない。
そもそもどうしてこんな所にいるのかがわからなかった。全能の力を持った魔法少女になった鹿目まどかと一緒に、円環の理に導かれたはずだった。
それが今、こんな殺し合いに巻き込まれてしまっている。しかも、あのソウルジェムだって持たされていた。
キュウべぇがまた何かをしたのか。さやかはそう考えたけど、そこから何かをする気力が湧いてこない。
いや、何もしたくなかった。
(まどかはあたし達が絶望しないようにしてくれた……でも、キュウべぇはどうなんだろう? まどかが頑張ったってキュウべぇは……あたし達を絶望させないって言いきれるのかな?)
つい先ほど、魔法少女を生み出したキュウべぇの姿を見つけた。キュウべぇはこの世界に集められた者達で戦えと言っている。その数は七十人。
生きて帰るには、最後の一人になるしかない。つまり他のみんなを殺せって事だろう。
だけど、さやかはそれに乗る気になれなかった。正義感から生まれる想いなどではない、純粋に嫌なのだ。
(もしかしたら、あたしはまたみんなを絶望させちゃうのかな……? また、みんなを殺しちゃうのかな……?)
さやかは記憶の糸を辿る。
親友の志筑仁美に幼馴染の上条恭介を取られたと思い込んで、その鬱憤を晴らそうとして戦った。正義の魔法少女になろうとして、魔女や使い魔を倒し続けた。
それが原因で消耗したにも関わらず、グリーフシードを使うことを拒んだ。その果てに、何もかもを失って同じ魔法少女である佐倉杏子を殺してしまった。
……人魚の魔女。オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ。
「……ッ!」
その姿を思い出した途端、さやかは一気に震えてしまう。
魔女になったさやかは、親友である鹿目まどかを悲しませてしまった。巴マミみたいな正義の味方になろうと思ったのに、たくさんの人を絶望させる怪物になってしまった。
また、そんな魔女になってしまうのか。また、誰かを殺してしまうのか。さやかがそれが不安だった。
「嫌だ、そんなの嫌だよ……もう、こんなこと……嫌だ……!」
さやかの瞳からポロポロと涙が零れていく。
まどかは頑張って呪いから解放してくれたけど、キュウべぇの存在が恐ろしかった。もう魔女にならないという確信が持てなかった。
怖い。魔女になりたくない。みんなから疎まれたくない。人を傷つけたくない。誰かを殺したくない。
もしもまた魔女になってしまったら、今度こそ数え切れない程の被害を生み出すかもしれなかった。
「このソウルジェムが魔女を生み出すんだよね……だったら、なくしさえすればいいんだよね……」
不意にさやかは青く光るソウルジェムに目を向ける。
穢れ切ったらソウルジェムは壊れ、そこから魔女が生まれるらしい。まどかはそんなシステムを変えたようだが、この場でもそうとは限らない。
また例え、まどかの力が及んでいたとしても、さやかの行動は変わらない。身勝手な感情でみんなを振り回すような奴が集団に入ったとしても、どうせ火種になるだけ。
誰かの力になりたいけど、願いが叶うとは思えなかった。
「ごめん、まどか……あたし、まどかの頑張りを裏切っちゃうよ……でも、もうあたしは無理なの。みんなの為に戦おうとしたって、みんなの足を引っ張るだけだから……あたしって、まどかと違ってどうしようもないバカだから」
もしかしたら、まどかだったら殺し合いを止めようと精一杯頑張るはず。
本当ならさやか自身もまどかの力になりたい。だけど、何もできないくせにまどかと一緒にいても、邪魔になるだけ。
だから、まどかが生きてみんなを解放してくれるのを祈るしかなかった。
「ごめんね、まどか……ごめんね……どうか、頑張って……あたしのことなんか忘れて、どうかみんなを助けてあげて……」
そう独りで呟き続けながら、さやかは歩く。
彼女が歩く先にあるのは美しい海だけ。
(そういえば、人魚姫って泡になってからは天国に行けたんだよね……でも、あたしみたいな人殺しは天国には行けるわけないよね。むしろ、地獄に落ちて苦しむのがお似合いよ)
力なく歩きながら、ぼんやりと考える。
一歩、また一歩進む度に美しい海がどんどん近くなっていく。
ソウルジェムだけを壊せばすぐに楽になれるけど、もしも誰かが死体を見つけたら大変だ。特にまどかだったら、悲しみのあまりに泣いてしまうだろう。
それだったら、ソウルジェムごと海に沈んだ方がずっとよかった。そうすれば誰かに見つかることはないし、何よりも魔女だって生まれない。
俯きながらまた一歩だけ前に踏み出そうとした、その時だった。
「いけません!」
唐突に響いた声によって、さやかの足は止まってしまう。
ピクリと雷に打たれたように震えながら振り向いてみると、そこには見知らぬ少女が立っていた。
見覚えの無い制服を纏った彼女は、先程まで走っていたのか随分と息を切らせている。そして、どういう訳かやけに心配そうにこちらを見つめていた。
「そんなこと……してはいけません!」
その少女・青木れいかの声は、美樹さやかの耳に響いていた。
◆
殺し合いに放り込まれた青木れいかが最初に見つけたのは、酷く落ち込んだ少女の姿だった。
同年代の少女があそこまで落ち込んでいるなんて、余程の事がない限り有り得ない。例えば、誰かにいじめられたか……それとも友達と喧嘩をしたか。
だが、今はそれを究明している場合ではない。彼女を助けなければいけなかった。
あのキュウべぇという謎の生物は戦えと言っていたが、そんな言葉に従うつもりなどない。人々を守る為に存在するプリキュアが人々を傷付けるなど言語道断。
誰かを傷付ける道など、れいかは歩むつもりなどなかった。
「だ、誰……!?」
「あの、突然声をかけて驚かせてしまい申し訳ありません! でも、あなたの事が気になってしまって……」
「あたしのことが?」
そう答えると、名前も知らない少女は自嘲するような笑みを浮かべる。
「そっか……心配させちゃったんだ。誰にも迷惑をかけないうちに死のうと考えてたけど、駄目だったか……あたしって、どこまで駄目なんだろう」
「死ぬ……!? 何てことを言うんですか!?」
「ごめんね、変なことを言っちゃって……でも、あたしの事は気にしないで。あたしなんて、生きてたって誰かに迷惑をかけることしかできないんだから」
少女の目からは、希望というものが感じられない。
信じてきたもの全てから裏切られて、独りぼっちになってしまい怯えと恐怖で震えているようだった。
「ねえ、誰だか知らないけど、すぐにあたしから離れて……あたし、あなたのことを傷つけたくないから」
「私が傷つくなんて、そんな……!」
「来ないで!」
れいかは一歩前に踏み出そうとした瞬間、少女が叫ぶ。
少女の表情は一変して絶望に歪み、その瞳から涙が流れ始めた。
「信じられないかもしれないけど、あたし化け物なの……人間じゃない、ゾンビみたいな化け物なの。こんなあたしを心配してくれた子を、殺しちゃったの」
「えっ……!?」
「だから、早く逃げて……このままじゃあたし、あなたの事も傷付けちゃうから」
少女の言葉に、れいかは愕然としてしまう。
どこにでもいるような普通の少女にしか見えないのに、人を殺した化け物だと言っている。そんなこと、到底信じられるわけがなかった。
それに目の前の少女が悪人であるとも思えない。何かわけがあるのではないかと思わざるを得なかった。
そう考えている間にも、既に少女はれいかから背を向けて再び海に向かって歩いていた。
「待ってください!」
だかられいかも急いで走り、少女にしがみつく。
当然ながら、少女からは「離して!」と抵抗された。でも、ここで力を緩めたら少女は自殺してしまう。
それだけは避けなければならない。
「お願い……やめてっ!」
しかし少女の抵抗が予想以上に激しく、すぐに突き飛ばされてしまった。
当然ながられいかは地面に尻もちをついてしまう。しかし諦めるつもりなどない。何度でも少女を説得して、生きる意味を示さなければならなかった。
そう思いながらすぐに起き上がったれいかは少女に振り向く。しかしそれかられいかは見てしまった。
目の前の少女が、愕然としたような表情を浮かべている姿を。
「あ、あたし……また……!」
「あの……どうかしたのですか……?」
「ね、ねえ……大丈夫? 痛くなかった? あたしなんかが、突き飛ばしちゃったせいで……!」
「そんなことありません! あなたのせいなんかじゃ……!」
「やっぱり、あたしはバカだ……あたしのことを心配してくれる人ばかり心配させて、その上傷付けて……救いようのない大バカだよ……!」
やがて少女は、まるでれいかのことが見えてないかのように泣き崩れてしまう。
その姿を前にれいかは何も言えなかった。彼女を救いたいのに何もできない自分自身が情けなく感じてしまう。
彼女に何があったのかはわからない。でも、わかってあげたかった。傷口を抉る形になるかもしれないけど、彼女のことを知りたかった。
(誰かを傷付けた……それは、残念ながら事実なのかもしれません……でも、彼女自身は決して悪い人じゃないはず。私のことを、心配してくれたのですから)
今は少女が泣きやんでくれるのを待つしかない。それから、ゆっくりと話をしたかった。
本当の優しさを取り戻して、生きる力を取り戻させる為にも。
そう決意を固めながら、青木れいかは泣き続ける少女・美樹さやかをそっと抱き締める。今はこうすることしか、できないのだから。
【B-1/海岸/一日目深夜】
【青木れいか@スマイルプリキュア!】
[状態]:健康、制服姿
[装備]:スマイルパクト@スマイルプリキュア!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止める為に動く。
1:今は泣いている彼女(美樹さやか)の力になりたい。
【備考】
※参戦時期は不明です。
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、自分自身や人を傷付けることへの強い恐怖、通常状態
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れなし)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本方針:??????????
1:青木れいか(まだ名前を知らない)には自分から離れて欲しい……
2:また魔女になって誰かを傷付けたくない……
[備考]
※最終回で上条恭介のコンサートを見届けて、鹿目まどかと共に消滅した後からの参戦です。
※その為、魔法少女が魔女になることを知っています。
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