澤本 光男

【肩書】

京都大学大学院 工学研究科 高分子化学専攻 教授

【学歴】

1974年 京都大学 工学部 高分子化学科 卒業
1979年 京都大学大学院 博士後期課程 高分子化学専攻 修了(工学博士号取得)

【予想授賞理由】

高分子合成、重合反応設計、とくにカチオン重合、ラジカル重合、リビング重合、高分子精密合成、反応中間体の化学に関する一連の研究への貢献に対して。
Krzysztof Matyjaszewskiとの共同受賞の可能性がある。

【受賞歴】

1992年 高分子学会賞
1999年 日本化学会学術賞
2002年 The Arthur K. Doolittle賞

【著書】


【主要業績】


【研究内容】

高分子化学と高分子合成,とくにカチオン重合とラジカル重合において,従来不可能といわれていた2つのリビング重合 (副反応のない精密制御重合) を世界に先駆けて開発し,精密重合の一般原理として現在広く認められている「ドーマント種による重合制御」の確立に大きく貢献し,これらを通じて高分子化学の研究に新しい流れを生み出した。まずカチオン重合では,ルイス酸触媒の設計に基づいて,世界最初のリビングカチオン重合を見出し,数多くの開始剤系を開発した (Macro- molecules, 1984; Progress in Polymer Science, 1991)。ついでラジカル重合において,ルテニウムや鉄を中心とする遷移金属錯体を触媒として,世界最初の金属錯体によるリビングラジカル重合を実現し,やはり多数の開始剤系を開発している (Macromolecules, 1995; Chemical Reviews, 2001)。また,これらの精密制御重合の反応中間体 (生長種) の性質について,反応系の直接分光学的観測などにより基礎的研究を進め,その構造と性質を解明し,不安定炭素カチオンおよび炭素ラジカル中間体の化学の進歩にも貢献した。さらに,自らのリビング重合に基づいて,分子量,末端基,側鎖官能基などの構造が厳密に設計・制御された,ブロックポリマー,末端官能性高分子,両親媒性高分子,熱可塑性エラストマー,星型ポリマー,など多数の機能性高分子の精密合成法を開発し,その性質と機能を明らかにしている。これらは新しい高分子材料としても注目され,その実用化も目指す研究が産官学で国際的に展開されている。
これらの一連の研究は,高分子化学のみならず有機金属化学等の関連分野で,多くの研究を国際的に触発し,その波及効果がとくに顕著である。たとえば,これまでの発表論文約350報は,2008年3月時点で総引用回数が約6400回 (カチオン重合>3350回; ラジカル重合>3050回) に達し,とくに金属触媒によるリビングラジカル重合の第1報 (1995) は1300回以上,リビングカチオン重合の第1報 (1984) は約300回 引用されている。また平成15年(2003) に行われた調査によると (日本経済新聞,2月26日),本提案者は有機化学の分野で1997年-2001年の5年間の総被引用回数が日本で1位,世界で3位となっている。このように,基礎と応用の両面から国際的に注目される,革新的かつ独創的な多くの研究成果を挙げている。

【関連書籍】


【その他】


【本人HP】


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最終更新:2013年12月23日 18:40